2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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菅澤英司氏(以下、菅澤):つよつよエンジニア社長の菅澤です。
池澤あやか氏(以下、池澤):エンジニア兼タレントの池澤あやかです。
菅澤:アプリ開発者って世界中にいると思うんですが、何人ぐらいいると思います?
池澤:どれぐらいいるんだろう。考えたことなかったんですが、アプリのリリース本数が、確か10万本くらいじゃなかったですか? もうちょっと?
菅澤:いや、10万は足りないですね。1,000万本ぐらい、まあ、1,000万人ぐらい。
池澤:1,000万人いる(笑)。
菅澤:今日はその中でも、最高齢というか、ほとんどいないんじゃないかというキャラクターの方のお話が聞けると。ぜひ楽しみにしてくださいということで、今日もよろしくお願いします。
池澤:本日のゲストは、世界最高齢のiPhoneアプリ開発者、若宮正子さんをお呼びしています。どうぞよろしくお願いします。
菅澤:よろしくお願いします。開発の大変だったところの話ももっと聞きたいんですが、最初はわからないことだらけじゃないですか。
若宮正子氏(以下、若宮):わからないことだらけです。
菅澤:for文があってとか、そういうものは1個1個習得していったんですか?
若宮:1行1行というか、1つの塊の意味はわかるんです。もしもこれが七草の野菜だったとしたら、「こういう音を鳴らして、こうしなさい」というようなことを作るのはぜんぜんできるんです。
ただ、全体の構成みたいにやって、前置きとかを構築していかないといけない。家を作る時だって、部品はこう、窓はこういうふうに貼って、屋根はこういうふうに、と。だけど全体を組み立てていくのは、やはり力量がいるんだと思いました。
菅澤:でもそこを乗り越えたんですか?
若宮:聞いて聞いて聞きまくって。
菅澤:聞いて聞いて(笑)。
菅澤:始まってから、できたと思うまでの期間はどれぐらいですか?
若宮:「hinadan」の場合は6ヶ月ぐらいかかったと思います。今もそうですが、いろいろな勉強を教えたり、本を書いたり、講演会があったり。いろいろやっているので、使える時間がすごく少ないんです。実際にプログラミングしていた時間は、そんなにないかもしれません。それと、部品を考えるのがやはり大変なんですよね。
菅澤:部品?
若宮:例えば効果音とか、BGMみたいなものとか。お雛さまのアイコンを作るための元絵を、絵の上手な方にお願いして描いてもらったりとか。
菅澤:だから、プロデュースもやっていますよね。
池澤:iPhoneアプリはプログラムを書くだけじゃできないんですね。
若宮:コーディングができるからiPhoneアプリが作れる、というわけではありません。ゲームの場合は、まずストーリーがあって、どういう構成にしようかとか。映画を作ったりするのと同じで、1つのものを作る。
菅澤:特にアプリは、そういう要素が強いですね。
池澤:次に作るアプリも、開発されていたりするんですか?
若宮:作っていて、もうすぐできそうなのが「NANAKUSA」というアプリです。
池澤:七草粥。
若宮:七草粥が1月の7日です。だから年内に紹介して、みなさんで七草粥を食べてもらえればと思い。
池澤:どんなアプリですか?
若宮:いろいろな野菜があって、その中でそれが七草粥に入れているものか、入れていないものかを見分けるというアプリです。例えば、「私は畑や田に生えていたものだ」「私はβ-カロチンの栄養が富んでいる」とか、「おひたしとか漬物にするとおいしい」とか。次々ヒントを出していくような。ゲームとして遊んでもらうだけではなくて、葉物野菜を知ってもらいたい。別に早くやったから偉いというのではなくて。
せりは七草粥に入っていますが、三つ葉とか似たようなのがたくさんあって。混ぜこぜになっています。
菅澤:「hinadan」は「私たちにアプリ作ってよ!」みたいなことで始まったという話ですが、今回はどうだったんですか?
若宮:これからもっともっと年寄り向けのアプリが増えると思って、みなさんにも「ぜひ作ってください」とお願いして。せっかくスマートフォン買ったなら、楽しく遊べるものがいっぱいあったほうがいいんじゃないかしら。
菅澤:作っている日々は、忙しくもあるし、楽しくもある。そういう感じですか?
若宮:そうですね。
菅澤:NANAKUSAを出したら、また次も作り続けるというか。
若宮:NANAKUSAは、譜面起こしをして、サウンドも自分で作りました。「七草なずな、唐土の鳥が……トントントン」という、昔からの歌があります。楽しいリズムに乗って遊んでもらうことを考えて。
池澤:NANAKUSAはどれぐらいできているんですか?
若宮:一応、ビルドまでは終わっているんです。ただ、中身はまだ直すところがいっぱいあって。とりあえず完全なものにしないうちにAppleに送ります。
そうすると、自分が思っていたところ以外にも、「ここはこういうふうに作り直してほしい」とか注文が来ます。だから、早めに上げるほうがいいと思って。とりあえずエラーがなければ上げてしまい、また修正版をすぐあとで出せばいいと思っています。
池澤:修正依頼はけっこう来るんですか?
菅澤:Appleはけっこう見るんですよ。セキュリティがダメとかもそうだし、「こういう表現はダメだ」とかもあるし。「ここがわかりにくい」「UIガイドラインに沿っていない」とかいろいろ来るので。
1発出してもダメな時があるので、早めに出しておいて、フィードバックをもらいながらまた進めていく。完全にプロの作り方(笑)。
池澤:今後はAppleの指示とか、「もうちょっとこうしたらいい」みたいなところをどんどんリファクタリングしていくフェーズみたいな。
菅澤:どんどん直して直して、「このへんか」というところで出す。でも間に合うかちょっとドキドキですね。Appleはクリスマスの時期に2週間ぐらい審査をバシッと休むので。日本からすると「そんなに休むの?」みたいな。
池澤:やはり健康にいいアプリだから。Appleの方の健康を損ねるのはよくないから、そこはちゃんと休んでもらって(笑)。
菅澤:健康は大事(笑)。
池澤:それまでに、開発を進めると。
菅澤:そうですね。Appleの方にもそのアプリを使ってもらって、NANAKUSAを広めていけるといいですね。
菅澤:ほかにも作ってみたいにアプリとか、いろいろあるんですか?アプリ以外にも、もの作りとかも。
若宮:そうです。今着ている服を見てもらえますか。これも私がExcelのセルで作ったもので。ちょうどクリスマスが近いから。
池澤:若宮さんはExcelで柄を作るのがとてもうまくて。
菅澤:すごい!
池澤:服はびっくりしましたが、うちわとか、いろいろなものをデザインされているんですよね。
菅澤:Excelって、あのExcelですよね。
池澤:あの数字を打つやつです。服は作りませんが。
若宮:Excelには数字や文字を入れるマス目があります。そこに色を塗れることはみなさん知っていますが、色をグラデーションにしたり、斜め縞を作ったりして。
池澤:青と赤。オシャレな柄ですよね。クリスマスツリーの柄が交互に描かれていて、すごくオシャレです。まさかこれをExcelで作ったとは、誰も思わない(笑)。
菅澤:誰も思わない(笑)。
池澤:Excelで作って、シャツを作ってくれるところがあるんですか?
若宮:今は、布地印刷技術がすごく進歩していて。ネットで柄を決めて、夏のものの薄地でとか、冬物の厚地でとか生地を指定すると、1メートル2,000円とか3,000円でプリントしたものをまた送り返してくれます。
池澤:布をまたそこから自分で仕立てる、もしくは仕立てに出す?
若宮:この前は、縫い物が上手な友達にお願いして作ってもらいました。
池澤:プログラミングにとどまらず、本当にもの作りが好きなんですね。
菅澤:そこがやはり根本にある気がしますね。
若宮:世界中で、こんなバカなことやっている人は私しかいないんですね。
池澤:まさか着ている洋服がExcelでできているとは思いませんでした。
菅澤:いつぐらいからやっているんですか?
若宮:10年ぐらい前からやっていたんじゃないでしょうか。
菅澤:時間が来たので、後半にAppleの社長に会ったとか、最近は政府の取り組みもやっているみたいな話もちょっと。hinadanを出してそのあとどうなったのか。本も出されたということで、いろいろと聞きたいなと思います。
(次回につづく)
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