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ワークスタイル・トランスフォーメーション(全3記事)

会話はオープン、日報は会話のきっかけに使う いま起きているコミュニケーションの3つの変化とTips

プロジェクトに関わるすべての方のための祭典、Backlog World。3回目の開催となる「Backlog World 2021 旅 ~Journey~」は、プロジェクト管理に関する知見を相互に高め合うことを目的として開催されました。ここで、株式会社キャスターの石倉氏が登壇。つづいて、ワークスタイル・トランスフォーメーションにおけるコミュニケーションの変化を紹介します。前回の記事はこちらから。

“伝えること”に起きている変化

ではどうやって変わるのか、どう変わってるんだっけ、みたいなことをお話したいと思います。今日は改めて、具体的に4つに分けてお話ができたらと思っています。特に大きいのはコミュニケーションの部分になると思っています。1個目のコミュニケーションのところですね。

けっこうリモートで働いていたり、Backlogなどを使っているということは、いろいろなプロジェクトメンバーがいる中でいろいろなプロジェクト管理をしながら仕事をすることに慣れているような方が今日はすごく多いと思うので、もしかしたら常識的な話になるかもしれませんが。

コミュニケーションはその場にいない人や、その時間にいない人に合わせて行わないといけないというか。今この場にいない人たちを前提にして、どうやってコミュニケーションを浸透させるかを考えることが大きな変化として訪れていると思っています。もう1つは、コミュニケーションを見えるようにすることがすごく求められていると思っています。

すごく具体的なところでいうと、例えばオフィスで話していた話。雑談や相談で話していた話は耳には入ってきていたと思いますがう、例えば会話が文字として見えていたり、「この人とこの人がこういう会話をしていた」とか、「このミーティングではこういうことを話していた」ということは、実はあまり見えていなかったりしたわけです。

ただ働く場所がバラバラだったり、働く時間帯が違ったり、コミット具合、時間数が違ったりを考えていくと、その場にいない人でも同じような情報が見えるようになっていて、その人たちでもきちんと参加できる状態をどうやって作っていくかが、コミュニケーションとしてはすごく変化として大きいと思っています。

具体的に「じゃあどういうことが変わってくるんだっけ?」みたいなことを、下のほうに小さく書いています。今までオフィスで働いていた時は、コミュニケーション能力の中で非常に重要とされていたのは、話すことと聞くこと、特にその中でも話すです。

うまく話せるか、相手にすごくうまく伝えられるみたいなことがすごく重視されてきたと思います。しかし、いろいろな働き方をする人たちがいる中において、実はコミュニケーションの重要な能力というのがシフトしていて。これからオフィスワークとして働く上でコミュニケーションとして非常に大事な能力は、読んだり書いたりの能力に、比重が非常に移ってきていると思っています。

みなさんも経験あると思います。話す時はすごくじょうずなのに、チャットになったら残念ながら何を言っているかわからない方とか、こちらが伝えたいと思ったことじゃないことを邪推されて読まれてしまったりとか。それによってコミュニケーションの齟齬が起きたり、なかなかうまくチームとしてコミュニケーションがとれなかったりがあると思っています。

そのため、どちらかというと、うまく話せることよりも自分が伝えたいことをきちんとテキストに起こして書いて伝えられることや、書いてあることをきちんと正しく読める能力が、今まで以上にものすごく求められてくるんじゃないかと思っているし、コミュニケーション能力の主戦場もこちらに移ってくるんじゃないかとは思っています。

“会話”に起きている変化

2つ目は同期から非同期というのも同じような話ですが、やはり会話です。その場にいる人たちの会話や口頭でのコミュニケーションというところから、チャットなどをつうじて、非同期でコミュニケーションを取ることがすごく多くなってくると思っています。そのため、やはり同期的にその場の空気に合わせてコミュニケーションを取ったり、相手の顔色に合わせてコミュニケーションをとる。

非常に重要な能力だと思いますが、それが実はなかなか武器にならなくなってきている。同じ空間でない中でも正しく情報を伝えるとか、正しく情報を読み取ることをどうやってできるかがすごく大事になってくると思っています。

“察すること”に起きている変化

3つ目も同じような話です。空気を察したり、その場の雰囲気やみんなの表情を見ながらコミュニケーションをとるところよりは、文字だけだとなかなか空気って読みにくいのが事実だと思いますが、空気を読むことよりもきちんと言いたいことは全部伝えるとか、伝えたいことをきちんとテキストにとって、お互いがコミュニケーションをし合うことがすごく重要になってくると思っています。

オフィスで無意識に行われていた3つのコミュニケーション

職場において必要な3つのコミュニケーションというか、実はオフィスにいた時に行われていたコミュニケーションは3種類あると思っています。これはオフィスにいる時は無意識にやっているので、あまり言語化されていなかったりするかなと思っていますが、1個目は指揮命令とか仕事の話です。これはリモートになって場所が離れようと時間が離れようと、必要だからみんなします。

もう1個は、仕事の話や「これやっておいて」「あれやっておいて」という指示ではなく、もうちょっと柔らかいところ。壁打ちをしたり、「ちょっといいですか?」という相談があったりとかが2つ目。

3つ目に、仕事に関係ない雑談やプライベートなどの話があったと思っています。1個目の指揮命令、指示の話や仕事の話は必要だから、これはリモートになろうが場所が離れようがなんとかするんです。

ただ2つ目や3つ目は自然と起きないことだなと思っていて。リモートになった時に、なかなか雑談がしにくいとか、気軽に相談しにくくなったみたいな話があると思いますが、これは実は意図しないとできない空間になってきている。

要は、非同期的なコミュニケーションや、ふだん行われていた相談や壁打ちや雑談、プライベートの話みたいなことが、分散型で働く時は実は意図しないと、わりとごっそり抜け落ちる傾向があると思っています。これからのチームで働く上でのコミュニケーションにおいては、この雑談や相談、壁打ちや軽い話を、どうやって意図的に増やしていくかが実は非常に求められるというところです。

当たり前ですが、ふだんから雑談や何気ない会話、相談もいろいろしやすかったりするチームと、相談をしたことがないとか、雑談をしたことがないチームで、どちらのほうが議論が活発にできるかとか意見を言いやすいかと言ったら一目瞭然だと思います。

雑談や相談など、カジュアルな話をどれだけ自然に起こせるかが実はコミュニケーションにおいてはすごく大事だし、実は放っておくとここが失われることを認識して、チームの中でどう意図的にみんなが起こせるようにするのかをやっていくことがすごく必要だと思っています。

キャスターのSlack運用状況

これはうちの会社のSlackですが、コミュニケーションとしてどれだけ会話が見えるようにするのかをtipsとして1個持ってきています。だいたい90パーセントぐらいがパブリックな中でコミュニケーションを行っている。プライベートチャンネルとDMでだいたい10パーセント弱ぐらい、という中でコミュニケーションが行われているので、実は職場のコミュニケーションをこのくらいオープンで見えるようにしていくことがすごく大事かなと思っています。

パブリックチャンネルは具体的にいうと、今までの職場でいう執務スペースです。プライベートチャンネルやダイレクトメッセージは、今まででいうと会議室だと思います。

会議室の中での会話とオフィススペース、執務スペースの会話は、たぶん本当は9:1や8:2ぐらいで行われていたはずなので、それをそのままチャットの中でも実現するためにどうやってやるかだと思っています。これぐらい見えるようにコミュニケーションをしていくのが、すごく必要なんじゃいかなと思っているというところです。

我々の会社でいうと、例えば業務のやり取りはすべてパブリックの中でやっているし、経営数値もすべて開示したり、全員の給与や給与テーブルも開示したり、役員の議事録も開示したりと、なるべく情報が見えるようにしていく。会話やコミュニケーションが見えるようにやっています。

日報はコミュニケーションツールの1つ

これはtipsとして紹介しておくので、もしよかったらぜひ明日から使ってもらえればと思います。僕らの日報で、最初にその日のやったことや明日やることを書くのではなく、今日の一言や今日の気持ちを最初に書くことをやっています。

これは何かというと、みなさんけっこう業務をどうするのかは見ていなくて、日報をコミュニケーションのきっかけのツールとして使いたいというのがあって。「気持ちや今考思っていること、得ていることを何でもいいから書いて」というところからやっています。この日報や気持ちから書いていくと、それにけっこうスタンプが押されていったり、それをもとにコミュニケーションがたくさん生まれていったりがあります。

日報は実は報告のツールではなく、コミュニケーションを発生させるための起源のツールとして使っていたりします。なので、日報のある文化の会社はぜひやったこととかではなく、まず今日の気持ちみたいなところから書いてもらうだけでも、けっこうみんな楽しみにして、それをもとにコミュニケーションをとることが文化として根づいたりするので、小さいtipsですが、ぜひやってもらえればと思っています。

タスクの優先順位も変化する

2つ目に、タスク管理とかプロジェクト管理のところです。

僕が分散型のコミュニケーションの中でけっこう大きく変わるかなと思っているのが、タスクや仕事の優先順位の考え方が変わるんじゃないかなと思ったりします。

今までタスク管理やタスクマネジメントは重要度と緊急度があって、4象限に分けて緊急度が高い・重要度が高いとか、緊急度が高いけど重要度が低いとかを分けて順番に処理していきましょう、みたいなことだったと思います。しかし、これが僕は実はあまり今のような分散型の働き方、例えばいろいろなクラウドツールや、いろいろなチャットツールを使いながら働いていく中においては、あまり適さないかなと実は思っていたりします。

同期的な働き方を中心としてきた時は優先順位は緊急度や重要度で分ければよかったんですが、今は分散型の働き方となってきている中で、ツールも使い方が変わってきているわけです。ツールの使い方も変わっているということは、たぶんタスクの優先順位の考え方や分類の仕方も変わってくるんじゃないかなと思っています。

大切なのはボールをもたないこと

その中で僕がすごく大事だなと思っているのは、ボールをなるべくもたないようにすることです。みなさんも経験あると思いますが、例えばSlackとFacebookのメッセンジャーとメールとみたいに、いろいろなツールで次々と自分にボールというか仕事、タスクや連絡がどんどん押し寄せてくるわけです。そのため、どんどん手放さないと自分にボールが溜まっていって、タスクの処理が本当に大変になってくるのがあります。

なので、僕はなるべくいろいろなツールできたボールをなるべくすぐに返す。自分ではなるべくもたない。すぐに手放すことが、まずはベースとしてはすごく大事だと思っています。その中で、仕事をどうやって整理していくか、優先順位をつけていくかを考えていく時に、仕事の分類を4種類に分けたほうがいいなと僕は思っていて。その分類の仕方がこの4つじゃないかと思っています。

仕事は事務処理、要はタスクとしてどんどん処理をしていかないといけないよね、ということ。あとチームとしてのコミュニケーション。そしてものを作る。例えば実際にコーディングをすることもあると思うし、仕様書を作ることもあると思います。そういう時間があると思います。

当たり前ですが、ものづくり、何かをアウトプットしたりとか思考したりというところに時間を使いたいじゃないですか。上の事務処理やコミュニケーションでボールをもっていると、残念ながら時間が使えません。なぜなら、それをあとからどんどんやらなければならないので。そのため、自分はできるだけ事務処理だったりコミュニケーションの種類のタスクに関しては、すぐに手放してボールをもたないようにする。

結果的に、ものを作ったり考えたりに対して、どれだけ時間を割けるかで大きくアウトプットが変わってくるんじゃないかなと思っています。

(次回につづく)

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