2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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塩見賢治氏(以下、塩見):ちなみに、まずデジタル庁ができて、いの一番にやりたいこと。たくさんリストはあると思うんですけれども、平井さんご自身が、まずはここから手をつけたいと思われるところを、いくつか教えてください。
平井卓也氏(以下、平井):「デジタル」という言葉は一般に使われるようになって古いんだけれども、日本語なのか英語なのかよくわからないところがあるじゃないですか。デジタル化と言うと、「私はやだ」と思う人もたくさんいる。どんなメリットがあるかわからないということもある。デジタルディバイド(情報格差)という言葉もあるんだけど。まず、今年の10月10日と11日を「デジタルの日」にするんですね。
塩見:10月11日。
平井:10日と11日、2日間。
塩見:なるほど。
平井:「デジタルの日」のロゴのデザインを、どのクリエイターの方に作ってもらいたいですかと世の中に募集していて。今、20人ぐらいのすごい人たちがリストアップされています。来月に決めて、作って、盛り上げようと。「デジタルとはなにか」という理解がまだこの国にはないので、まずはそれを国民のみなさんにやってもらいたいと思います。
平井:そして具体的には、国のシステムや地方のシステムの作り替えですね。アーキテクチャ(構造)から見直してやらないと、いつまで経っても新しい価値を生めないので。その段取りをやろうと思っています。ここには民間の力を借ります。今まで国は、システム上での使い勝手を一切考えていなかったんですね。
塩見:そうですね。
平井:UI・UXの専門家とか、デザインチームとかもどんどん集まってきているので。そういう視点からシステムを作り替える。要するに、サービスをいかに提供するかです。「すべての行政手続きはスマートフォンで60秒以内に完結しなきゃだめだ」という目標を決めたんですよ。
塩見:いいですね。
平井:そのKPIを目指して、エンジニアのみなさんに汗をかいてもらおうと。
塩見:なるほど。期待しています。私も「せっかくマイナンバーカードを取ったのになー」って思う経験があったりしてですね。
平井:あれ(マイナンバーカード)はこれからどんどんおもしろくなりますよ。携帯電話にも入るし。
塩見:ぜひ期待したいですね。ちなみに、選挙の時のインターネット投票も個人的にすごく期待したいと思うのですが。その辺りはいかがですか?
平井:マイナンバーカードを国民全員が持ったら、いつでも始められます。
塩見:そうなんですね。
平井:今は(マイナンバーカードの取得率が)約4割ぐらいに近づいてきているけど、全員が持ったらやろうという話に、すぐなると思います。
塩見:なるほど。そこも期待したいなと思います。
塩見:私からまだまだお聞きしたいことがたくさんあるんですけれども、視聴者のみなさんからもQ&Aをかなりいただいているので。ここからはご質問に答えていただこうかなと思います。
ご質問をいただいていますね。「デジタルに疎く、変化を恐れるおじさん世代を、どうすればデジタル化の波に巻き込めるでしょうか?」。
平井:我々が目指しているデジタル化は、「デジタルを意識しないデジタル化」だと思っています。変化を恐れるおじさん世代も、「あれ、知らないうちに便利になってるな」と。つまり、裏で情報連携するだけで、世の中がガラッと変わるんですよね。
そんな意味で、デジタルは嫌だ嫌だと言ってる人たちにとっても、知らない間にすごく便利になったということで、いいんじゃないかなと思います。
塩見:そうですね。うちの母も、デジタルにはすごく疎いんですけれど。コロナワクチン摂取の予約がQRコードを撮影すればできるという話で、このあいだLINEが来まして。「手伝おうか」って言ったんですけれど、「QRコードがあるから大丈夫だ、心配するな」と言ってましたね。
平井:でも、LINEを使ってるだけでもね。
塩見:(笑)。少しずつデジタル化が進んでいるなというのは、最近私自身も実感したことではありますね。
平井:そうですよね。
塩見:次の質問にいきましょうか。高校生の方もご覧いただいてますね。「高校生なのですが、学校教育のデジタル化についてどう思われますか?」。
平井:「学校教育のデジタル化」というとよくわからなくなるんだけど、小・中学校でタブレットを配布して知識を得たりするだけだったら、圧倒的に便利ですよね。
学校はやはりそれだけじゃなくて、アナログの世界で部活をやったり、一生の友達を作ったり、すごく楽しい部分があるんだけど。教育のある部分においては、デジタルによって圧倒的に、要するに先生に教わるよりももっとすばらしい知識を得るチャンスがあると思います。
「先生はティーチングからコーチングに代わる」ってみんなが思っているのは、まさにそこです。AIやいろいろなデジタルの機器をうまく使いこなして、本人がスキルをつけていくこと。大切なのは、そのやり方を一緒に考えていくことだと思います。
プログラミングの必修化とかいろいろあるんですけど、みなさん全員がプログラマーになる必要はなくて。論理的な思考であるとか、昔で言うと「読み・書き・そろばん」のようなものの中に、プログラミングとAIが入ってくるんだと思うんです。これはもう、みなさんが人生を切り拓くうえでの道具なので、学べる範囲で学ぶものではないかなと思います。
塩見:なるほど。ちなみにデジタル庁も、学校教育にはある程度の指針を出されたりするんですか?
平井:ある程度。まずは学校職員や地方自治体の職員の研修プログラムを新たに開発しようと思っています。デジタルの時代だと、世界中のどんな先生の授業も受けられるのでいいですよね。
塩見:そうですね。だけど確かに、先生は大変だなって思います。
平井:だから、先生はコーチとしてがんばることではないでしょうか。
塩見:わかりました。ありがとうございます。
塩見:では次の質問にいきたいと思います。「海外ベンダーの利用はいかに、サプライチェーンリスクをどのように考えればよいですか」。
平井:デジタル庁は、同時に安全保障の問題もあるので、非常にセキュリティに関してきっちりやっていこうと思っています。やはりそうは言っても、AWSとかAzureといった大きなクラウドベンダーを、我々政府としても使わざるを得ないと思います。
その時には必ず、日本流の条件でやると。データセンターのデータは国外へ一切出さない。そして海外の法律によってなにか侵されることがない、とか。いざなにかが起きた時のBCP(事業継続計画)の話であるとか、そういったことを思っています。
海外のサプライチェーンリスクだと、中国や韓国のこととか、個人情報の問題とか、いろいろあると思います。国のシステムを作っていくことだと、私はあまりふだんは言わないことなんですけど、ある程度の人間的なセキュリティ・クリアランス(適格性)がないといけないと思っていて。それはそれで責任を持って進めていきたいと思います。
そして、デジタル庁は庁内を非常に透明化したいと思っています。よーいどんで、コンプライアンス委員会も発足させます。すべての調達などに関して、コンプライアンスの問題があるのかないのかを見ていきます。
これも今、民間の方々に募集をかけていて、すばらしい方々に来ていただけると思っているんですが。セキュリティの専門チームはわりと強固な組織を作ります。自ら全部システムを監査していこうと思っていますので、そういうことができるだけないようにしたいと思います。
塩見:わかりました。さらにもう1つ、質問にいきましょう。「海外と日本のデジタル格差はどれほどなのか」。先ほどもちょっとお話がありました。
平井:デジタル格差というか、デジタルをその国々の成長戦略や成長力の中に取り込んでいるか否かという意味だと、日本は相当遅れていると思います。アフターコロナの経済で考えた時に、潜在成長率や生産性は、イコール競争力・成長率となると思うんですけど。それはもうまさに、新しい付加価値を生むように、デジタルデータをどうやって使えるかということです。
デジタル庁はデータ戦略もやるんですけど、そういうデジタルの成長力を日本の企業や社会が取り込んでいく「戦略」が足りなかったわけです。リソースははっきり言って負けているわけではないし、人材も負けてないんですよ。本気を出せば、一気にいけると思っています。
塩見:なるほど、そうですね。一気にいきたいですね。
平井:一気にいきたいです。
塩見:我々も本当に協力したいなと思っています。
塩見:そろそろお時間が迫ってまいりましたので、最後に。今まさに困難に立ち向かっている視聴者、若手ビジネスパーソンを中心としたみなさん、それこそDXの最前線にいらっしゃる方もいらっしゃると思うので、その方にちょっと熱いメッセージをいただければと思います。
平井:これから先の未来予測って、誰もできないと思うんですよね。だから楽しいといえば楽しいし。文系理系に限らず、次の時代がどうなるかというワクワク感を自分のビジネスにできれば一番幸せじゃないですか。そういう基盤というかきっかけをつくって、トリガーを引くのがデジタル庁の意味です。
まさにデジタル庁は今までの霞ヶ関を否定するところから出てくる、珍しい役所なので、そういう意味でいろんな山に、これからデジタル庁は登ろうとします。ぜひみなさんも一緒にでっかい山を登りきっていってほしいなと思います。
塩見:ありがとうございます。本当にDAY2の1発目にふさわしい、熱くて力強い、勇気をもらえるような熱いメッセージをいただけたと思っております。本日は平井さん、本当にお忙しいところありがとうございました。
平井:ありがとうございました。
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