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Web討論会/SIer(システムインテグレーター)の未来はどこにあるのか? ~DX時代のSIerの役割についての、ディスカッション大会~(全5記事)

新しい知識を入れずに生き残れた人はいない “活躍できなくなってきた”50代エンジニアが気づくべきこと

「SIerは崩壊する」という議論が長らくされてきましたが、企業からシステムを受託するというスタイルのシステムインテグレーター(SIer)は存在し続けています。GAFAのような新しいタイプの企業の登場により、企業からSIerに求められるもの自体が変わってきていると言われます。今回は、デジタルトランスフォーメンション(DX)、内製化、エンジニア獲得競争、50代以上の人材、アフターコロナというテーマを通して、SIerの未来を語り合いました。最後はアフターコロナ後のIT業界について。前回はこちら。

50代エンジニアはどう生き残るべきか?

寺田進一氏(以下、寺田):ありがとうございます。ちょっと次のテーマどうしてもやりたいので、少し飛ばして次いきますね。

「50代の話」をしたいです。これは私がちょっと2020年、力を入れていきたいテーマなんです。別に50代に限定したいわけじゃなくて、40代とか60代も含めていいんです・これなんでかというと、私の古巣の友人がけっこう困っています。今までのスキルが通用しなくなってきていて、なかなか活躍できなくなっているエンジニアが非常に多くなってきています。

繰り返しますけれど、今までの経験が通用しなくなってきているなかで、そういった50代を中心とした社員にはそのスキルとかを、新しいスキルを身につけてもらわないといけないなんですよね。でも、けっこう成功体験もあったり、プライドもあったりして、難しいんです。

ただ、最近いろいろな技術だけじゃなくて、社会環境も変わっていますし、今日も入れていますけど、コロナの問題もあってまた大きく変わると思います。そこで僕は「価値観も含めていろいろ自ら変化をしていかないといけない」と思っているんですけど、みなさんどうですかというのがこの問いなんですよね。

(投票中)

じゃあいったん締め切りますね。結果、これもやっぱりちょっと「アップデートしたほうがいい」という方が多かったですね。これも山本さんコメントをいただいていいですか。

山本融氏(以下、山本):これも50代という話じゃなくて、長いITの歴史でも、同じスキルのままそもそもずっと働けることってなかったと思うんですよね。そのときそのときで必要なものがあって変わってきている。

だから、今から50年前だって、そりゃあそのとき50歳の人は同じ仕事を続けることはできないし、同じスキルじゃ通用しなかったとおもいます。今だって昔だって変わらず、どんな年代の人であろうと、その時代に合わせて必要なものって変わってきます。常にスキル・経験・価値観って世の中に応じて調整していかなきゃいけないものだと思います。大幅かどうかは知らないですけど、アップデートする必要があるというのは、当たり前すぎることだと思っています。

寺田:でも、それできない人って多くないですか。そんなことないですか?

山本:まぁ、そういう世代だということなんですかね。できない人はそれはいると思いますけれども。ただ、やるしかないんじゃないですかね。

50代でエンジニアをやれているということは、スキルのアップデートをやってきたはず

寺田:そうですね。これちょっとパネリストの方にもコメントをいただきたいと思います。じゃあ佐藤さんどうですか。

佐藤氏(以下、佐藤):少なくともこのIT系の仕事をやっている人で、新しい知識を入れなくて、今まで生き残れた人はいないと僕は思いますよ。外に出ていろいろな人のアイデアを聞いたりして自分に取り込んでいかないと、無理ですよね。5年、10年で消えていくと思います。

僕は逆に「50代で(システムエンジニアを)やっているということは、それ(知識やスキルのアップデート)をやってきたんでしょ?」って、思うんですけどね。

寺田:なるほど。そうかもしれないですね。田辺さんはどうですか?

田辺泰三氏(以下、田辺):大幅に変えなくてもいいと思うんですけど、マインドセットを少し変えたほうがいいかなという方はけっこうお会いします。言葉悪いですけど、「老害」という言葉がありますが、それに近いんですよね。

ちょっとだけ一歩だけ待って、若手と一緒にやっていく。まぁ話を聞いたりですね。「昔はこうだった」みたいな感じで入られちゃうと、「うーん……」って受け入れきれなくなっちゃうというのはあります。そこはいま佐藤さんがおっしゃった通り、いい経験をお持ちですし、勉強しているはずなので、そこを一歩踏み留まって、ちょっと考えて協力していければ、ぜんぜん活躍の場はあると思います。

現に私も何人も、50歳、55歳以上の方と仕事をしていますし、活躍できる可能性はあると思います。

寺田:ありがとうございます。コメントこれについてはけっこういただいていて、「ベテランは新しい知識をこれまでの知識を融合できる点で有利なんだ」というご意見だとか、「これまでの経験を棚卸してみて自分に何ができるのか・何が足りないことかを考えないと、エンジニアとしての市場価値がなくなると思っています」と。「ただ、これはエンジニアだけではなくて、40代後半以上のすべての人に当てはまるんじゃないか」と。そんなご意見もいただいていますということですね。

じゃあちょうど1個前のテーマに戻ってSaaSの話ですけど、チャットのほうで意見をいただいていたので紹介すると、「DXという文脈で言うと、請負開発かどうかというよりも、お客さんと一緒にビジネスやサービスを開発していくべきじゃないでしょうか」と。持ってくるという方法もあるとは思うんですけど、お客さんと一緒に協業という話はよく言われている話ですけど、そういうのがいいんじゃないかというご意見をいただいていますということですね。

アフターコロナにおいて、IT業界は変わるか?

では、一応もう最後のテーマをやっていきましょうか。これも投票からいきます。アフターコロナの話。

アフターコロナだけじゃなくてミッドコロナ、つまり完全に収束というのは難しいだろうと思っています。コロナをはじめとしたウイルスと我々は共存していかないといけないんだろうというなかで、もちろん世の中が変わるのはもう当たり前というか目に見えているわけなんですけど、IT業界はどうなんだろうというのを最後にここで議論して終わりにしたいです。

みなさんにお聞きしているのは、「IT業界も変わるでしょ」ということなのか、「世の中はいろいろ変わるけど、ITはそんなに変わらないんじゃないか」ということなのかというところですね。

ちなみにこれに対しては最初にコメントをいただいていて、「今後の国内回帰、グローバルサプライチェーンから国内回帰にいくんじゃないか」とか「今まで都市集中だったのが地方分散にいくんじゃないか」とか、そのへんもみなさんの意見をうかがいたいですというコメントをいただいています。

(投票中)

じゃあいったん投票を終わりにして、結果はこうですね。それほど大きな差は広がらなかったですけど、やっぱり「大きく変わる」という方が多かったです。

今まで以上に自動化・効率化が進む

お三方にコメントを最後いただきたいと思います。山本さん最後にしましょうか。じゃあ、佐藤さんからコメントいただいていいですか。

佐藤:私は変わるだろうなと思っています。人間ってやっぱりけっこう優秀なので機械化とかソフト化してこなかった部分が今までけっこう残っているんですけど、こういう時代になると、「うーん、そうも言っていられない」という重い腰を上げる部分がそれなりに出てくるだろうなと、思っています。

人間は本来考えて、新しいアイデアを出すとかそういう方向に寄っていって、同じようなことをやるのは多少高くてももう機械化しよう、システム化しようという、そういう方向になるんだと思います。

寺田:それは、今までも自動化とか効率化をやってきたし、ITの業界はそれをかなり担ってきたわけですけど、それがさらに極限までというか、さらに突き進むだろうということですかね?

佐藤:そうですね。例えば、採算性を考えると「人を雇ったほうが安いじゃん?」ということが今まであったと思うんですけど、そういうボーダーラインにあるやつはどんどん多少高くても、今まで高いと思っていたけど、トータルで高くないという判断に変わっていくと思いますね。

CTOが変えられなかったことをコロナが変えた

寺田:なるほど。ありがとうございます。田辺さんどうですか?

田辺:大きく変わると思います。先ほど(私の経営している会社の)役員とも話していたんですけど、CTOが変えられなかったことをコロナが変えたということですね。働き方改革的やリモートワークもそうですね。そういう観点から言うと、やっぱり変わってくると思います。

どこが変わるかというと、やっぱりクラウド化がさらに加速化していくと読んでいます。こういうかたちで、オンプレミスであっても、運用領域はITの人としては、広く薄くやっていくのは変わっていかないとは思いますけれども、クラウド、先ほどのSaaSやIaaSも、どんどん利用が進んでいって、そこに対してDXというキーワードが加わって、働き方が変わっていくと思います。

IT業界のエンジニアの方法・手法というのも変わってくるのではないかと思います。この波をちゃんとキャッチして、SIerは動くのが一番いいのかなと思います。

寺田:ありがとうございます。では最後に山本さん、コメントをお願いします。

山本:時間ないなかで恐縮なんですけど、用意したものを出していいですか?(笑)。ちょっと議論が迷走しているというか、変わっている気がしています。コロナという話と、テレワークという話を混同しているんじゃないかなという気がしていてですね。

一般的にテレワークとか働き方改革とかっていうと、「なんで?」とか「いつ?」とか、そういうことで落としていって、会社としてどうやるべきかってことを考えていくわけですよ。

というふうに考えたときに、今回いまなぜテレワークを緊急でやらなきゃいけないかということを考えると、それは外出を抑止する手段として利用しているにすぎないですよね。

それに対して、本来のテレワークの働き方改革というのは外出を抑制する手段ではありません。やっぱり通勤時間を短縮するとか、場所を問わず働くとか、要はワークスタイルを変えるとか、そういうことで生産性向上を目指していこうというのが、働き方改革ですよね。

だから、結果的に働き方改革というところに対して、下に主眼を置くのであれば、要はコロナという機会に応じて働き方改革として必要な1つの要素をみんながよく知る機会になったということだと僕は思うんですよ。

その働き方改革を実現するために実際に何がいるかという整理をしてみたんですけど、それはけっこういろいろなことがあります。それは今回、例えばデバイスとかコミュニケーション手段ってこういうものがあって、意外と実現できるなということは、気づいたと思うんですよね。

だけど、昨今Zoomで不具合とかセキュリティホールが出てきて、急激に寺田さんがウェビナーとかやる必要性が出てきたわけですよね。こういうことが起きるまでは、そこまでたぶん最初はみんな考えていないわけですよ。

でもそれだけじゃなくていろいろ考えなきゃいけないことがあって、それで初めてトータルで物事、仕組みを作り上げて、働き方改革というところに対して向かっていくということだと思うので、その方向に目を向けるきっかけにはなったと思います。そのままこの流れで経営者の立場で、テレワークや働き方改革が進んでいくかと考えると、それは甘いと思うんですね。別にコロナが終わったら、その考え方が立ち消えてもとに戻ると思っています。

じゃあ逆に、今回を機会に恒久的なテレワークに移行するのであれば、どういうことを考えればいいのかなということを、みんなそれぞれ考えていかないといけないと思っています。みんなそれを狙っているんですよね。そういう方々が評価されていると思います。

そもそもじゃあ働き改革の最大の阻害要因はペーパーレス(化できていないこと)だったりします。お客さんがどうしても、契約書を紙で求めるから出社せざるを得なくて出ているうちの社員もいたりするわけですよ。そういうものを徹底的に排除していくことが根本として必要です。

加えて、勤怠管理は非常にサボってもわかりづらい環境でどう管理するかということを考えていくことだったりします。例えば寺田さんがウェビナーされるだけでは、足りないわけですよね。知っている人しか受けられないですね。だから、会社の中でどんなツールを使っていいのか、使えないのかということをサポートする体制が必要になってきます。あと、このまま長く続いたら、光熱費や印刷費を家庭で負担するのかって話も出てきます。

ビジネスの評価をするのに、始業/終業の考え方が現実的なのかというものもあります。では、評価をどうしていくのかということを、いろいろと考えていくってことがなければ、そんな今回のコロナごときの機会で、働き方改革が進んでいくとは私は思いません。

コロナによるリモートワークは1つのきっかけになるかもしれないですけど、働き方改革は働き方改革、コロナ対策はコロナ対策で考えていかないといけないんじゃないかなと思います。

寺田:いったん収束したあとに、その本質をちゃんと理解してきちんと働き方改革に突き進む会社と、もう感染を防ぐという理由だけでテレワークをやっていたので戻す会社に分かれるという感じですかね。

山本:私はそう思います。元に戻るのが多いと思いますけどね(笑)。だって基本的にコロナと働き方改革って関係ないですもん。

寺田:まぁ、そうですけど。でも、テレワークのまさにこういったメリットに気づいた人も多いんじゃないですか。

山本:たぶんメリットに気づいたんじゃなくて、意外とこの(テレワークの)環境でもある程度仕事は回るなっていうことに気づいたんですよ。マイナスの状態からゼロに戻ったんです。だけど、はたしてじゃあコロナなくなったときにじゃあこの進め方がいいなと思って、選んでいくかというと、足りないと思いますね。

寺田:なるほど。ありがとうございます。田辺さん、なにかコメントあります?

田辺:そうですね。ただこういう打ち合わせだとか、テレビ会議をみんな今ガンガン使い始めていて、ネットワークトラックが4割増しになっているという状況で、ここで一気にみんな「あっ、これ便利だな」というのがわかってきていると思います。この1〜2週間ですね。これは定着するんじゃないかと私は思っています。

これはやっぱりクラウドだったりこういうZoomみたいなところもそうですけれども、うまく使っていく会社というのは定着して、それを伸ばしてうまくやっていきそうな気がします。そこで優位性が出ちゃうかな。

寺田:そうですね。ありがとうございます。じゃあちょっともう時間申し訳ないですけど過ぎているので、いただいているコメントだけみなさんに共有して終わりにしたいと思います。

ちょっと話は戻るんですけど、50代の話ですね。「50代の不活性層が大量にいることは事実です。まさしく老害です。田辺さんがおっしゃっているとおり」というコメントをいただいています。「価値観やマインドセットを変えてもらう手段はやっぱり教育しかないんですかね」というコメントもいただいています。

「アフターコロナという空前のチャンスの下でSIerが変われないのであれば、20年後には、もしかしたら10年後、SIerは大きく衰退しているのではないかと思います」。つまりチャンスと捉えて、変わっていかなきゃいけないってことですね。

「IT業界のビジネスモデルが変わるのではなく、働き方が変わるのではないかと気づきました。これまでとかく東京一極集中で進んでいたのが多少なりとも(地方分散に)風向きが変わるのではないかなと思います」というご意見をいただきました。

「そもそもSIerがアフターコロナ以降、SIerの業績結果も含めて優劣が出てくるのではないでしょうか」と。「経営サイドは、従業員に対する将来の人材投資も含めて、コア事業の集中化が進むように感じます。投資分野がより明確になってくるのではないか」と。

また「ユーザー企業のシステム化もより専門分野、AIやIoTが進んでいくと、SIerへの依頼事項も少なくなるのではないか」と。ほかのところに専門の会社に頼むってことですかね。「働き方改革を含めて、クラウド化の加速やビジネスアプリケーションの変化が発生することで、市場全体のプレイヤーの変化が起こるように感じています」ということですね。

「もちろん外出を抑制するためでしょうが……」、これはテレワークですね、「……これで生産性が上がることがわかれば『これでいけるんじゃん』と思うんじゃないでしょうか」と。田辺さんおっしゃっていたことですね。「そういうことをみんなが期待していると思います」ということですね。

では、今日はこれで以上となります。パネリストのみなさま、山本さん、どうもありがとうございました。

山本・佐藤・田辺:ありがとうございました。

寺田:参加者のみなさん、どうもありがとうございます。

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