2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
Bリーグにおける勝敗とアリーナ集客分析(全1記事)
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高橋光氏(以下、高橋):私からは「Bリーグにおける勝敗とアリーナ集客分析」のテーマでお話ししたいと思います。
さっそく自己紹介からです。高橋光と申します。2011年にヤフージャパンに新卒で入社して、Webエンジニアとしても働いていました。2016年に株式会社イーブックイニシアティブジャパンの電子書籍サービスを扱っているヤフーの子会社に出向。現在は同社のデータサイエンスグループのグループマネージャーをやっています。
今回のテーマでもあるスポーツ分析との関わり方は、2020年4月からプロバスケットボールBリーグの茨城ロボッツのデータ分析の仕事をお手伝いを始めたのがきっかけです。こちらは複業で関わらせていただいています。しかしコロナの影響を受けてしまって、稼働はほとんどできていないのが現状です。
「スポーツ分析」の経験はまだ浅く未熟なところもありますが、本日はご容赦いただければなと思っております。Twitterもやっておりますので、ぜひフォローいただけるとうれしいです。本日の資料もTwitterで公開しておりますので、そちらをお手元で見ながら聞いていただければと思います。
ご存知の方も多いかなと思いますが、まずはBリーグの簡単な紹介をさせてください。Bリーグはまだ歴史が非常に浅いリーグです。もともとNBLとbjリーグの2リーグ制だったものが、2016年にB.LEAGUEという1つのリーグに統一されたものになっています。
営業収入や入場者数面は、Jリーグやプロ野球に比べるとまだまだ規模が小さいです。バスケットをやっている人も非常に多いと思うので、これから非常に伸びていくリーグの1つではないでしょうか。
今回、「スポーツビジネスにおいて勝敗と集客の関連性はあるのか?」というテーマでお話ししたいと思います。
最近だとコロナの影響とかで、自分のアリーナにお客さんを呼ぶのが難しい状態です。最近だと無観客試合……リモートマッチと呼ばれています。アリーナにお客さんを呼ぶこと自体の概念が変わってきているかもしれません。改めてこのスポーツの勝敗と集客の関連性を分析してみようかと思っております。
やっぱりスポーツなので、勝ってこそのビジネスという考え方。勝敗に影響されずお客さんをしっかりと呼んであげたほうが、ビジネスとしては成り立つんじゃないかなど、いろいろな考え方があるかなと思っています。
どちらがいいとか、悪いかの話ではないのですが、改めてこういったテーマでデータを見ながら自分なりの考えをまとめてみたのが今回の話になっております。
まず自分なりの仮説を立ててみました。やっぱり勝てるチーム=強いチームなので、お客さんもいっぱい来てくれるんじゃないかと思っています。ただ負けているチーム、そんなに強くないチームでもお客さんをいっぱい呼べているのであれば、今後の集客の参考にできるかなと思い分析してみました。
このデータは横軸がシーズンの勝ち数で、縦軸が1試合のアリーナの平均集客数です。それぞれB1とB2のデータになっております。回帰分析を軽く実施すると、傾向としては勝ち数が多い方が集客数が多い。そういった傾向が見えてきます。
ただし決定係数の値もそんなに大きくないことから、大きな相関もあまり関係ないのではないでしょうか。
ここからは、いくつか具体的なチームを例にして見ていこうと思います。まずは、勝ち数が多くて集客が少ないチームにアルバルク東京をピックアップしてみました。野球だと巨人みたいなチームで、Bリーグの中では非常に強いことで有名です。2019年シーズンだと32勝。8割近い勝率で、シーズン最高勝率を叩き出しました。
2017、18シーズンで2連覇しているぐらい、非常に強いチームです。ただアルバルク東京は、集客数がそれほど多くないところが特徴だと思っています。
日別の集客数を見ると、特徴としてはだいたい1試合の平均集客数が2,700人ぐらいです。アルバルク東京は立川のアリーナを使っていますが、収容人数が最大3,000人ぐらい。3,000人中の2,700人ぐらいで、平均集客率は90パーセントぐらいかなというところです。
ただ100パーセント集客できるのがベストだと思うので、まだ課題が大きいのではないでしょうか。
1つ特徴なところとして、1月4日、5日の試合は、集客数が少し伸びています。こちらはアリーナの場所が駒沢だったところが起因ではないでしょうか。先ほど少しお話ししましたが、もともとアルバルク東京は代々木がホームでしたが、体育館の工事の関係でここ数年は立川を本拠地として活動している状態です。
僕自身もBリーグをよく観戦するので、立川にもよく行きます。やっぱりアクセスという観点だと立川はそんなによくないのかなと思っていて、集客的な面だとアリーナの立地も影響しているのではないでしょうか。ただ立川は非常にいい場所なので、場所自体が悪いとかそういう話では一切ないのでそこはご理解ください。
今度は逆に、勝ち数が少なくて集客数が多いチームを見ていこうかと思います。愛知県の三遠ネオフェニックスというチームが非常に特徴的です。こちらのチームは、2019シーズンの勝ち数が全5勝で勝率は1割程度。成績としては非常に厳しいシーズンだったかなと思っております。
ただ集客という観点だと、先ほど紹介したアルバルク東京よりも1試合の平均の集客数が多いです。三遠の日別の集客数を見ると、だいたい1月26日以降に集客数が伸びているところが1つのポイントだと思っています。
「この理由はなんでだろうね」と考えて思い当たるのが、1月24日に当時現役高校生だった河村勇輝選手が三遠に特別指定選手として入団したところではないでしょうか。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、河村勇輝選手は入団当時は現役の高校生でした。当時のB1の史上最年少出場記録の更新や、入団後すぐに試合て活躍されていたこともあり、当時は非常に話題になっていたかなと思います。
僕も高校時代の試合や三遠に入ってからの河村選手のプレイを見たんですが、高校生らしからぬプレイが印象的でした。そういった人を魅了するようなプレイが、多くのお客さんを惹きつけて、三遠の集客につながったのではないかと思います。
最後にまとめをさせてください。今回のテーマである勝敗とアリーナ集客数に関しては、勝敗と集客に関しては大きな相関はないかなと考えております。逆に言うと、勝敗に関係なく集客はできるのではないでしょうか。
その辺りの集客のポイントは、アリーナの立地やスター選手の獲得の有無によって、大きく伸びたりするんだと考えています。スポーツにお客さんを呼ぶときは、こういったポイントを意識すべきではないでしょうか。
本日使ったデータとかは私のGitHubとかにも公開しておりますので、ご興味のある方はぜひ見ていただければなと思います。本日のお話は以上です。ご清聴どうもありがとうございました。
司会者:ありがとうございました。コメントもいろいろと盛り上がっていまして、質問が来ています。たぶん今回の説明変数の中で使っていないものとして、対戦相手のチームがあるのではないでしょうか。例えば野球だと「巨人との試合はめっちゃ人が来るイメージをされているところがあるかなと思います。そういった要素はどれくらいあるとお考えですか?」と言った質問です。
高橋:ありがとうございます。まさにおっしゃる通りかなと思っています。先ほどご紹介したアルバルク東京での集客が伸びているところで、僕は今回アリーナというところに注目しました。
例えば、アルバルク東京の1月4日、5日の対戦相手はBリーグの中でも非常に人気のある千葉ジェッツです。一番集客できるチームなので、ホームのアリーナでもお客さんの入り具合がけっこう変わってくるのかなと思っています。
今回の分析ではそこの視点はぜんぜん入れられていません。そういったところを考えると、分析の精度はそんなに高くはないかなと思います。
司会者:ありがとうございます。次に、私もすごく気になるんですが「複業というかたちでBリーグで働くことになったのは、どういう経緯なのか」という質問で来ていますね。
高橋:そうですね。僕はもともと中高バスケ部に所属していて、Bリーグもすごい好きで、将来的にお仕事ができたらいいなと日々思ってはいました。
そんなある日、茨城ロボッツが求人サイトに「複業でマーケティングのお手伝いをする方を募集しています」そんな案内を出していました。僕としても非常に興味があったので応募して面接とかを受けて、業務委託というかたちで採用してもらったのがきっかけです。
司会者:役割としては今回の集客というマーケティングの観点でご協力をするかたちになっているんですか?
高橋:そうですね。目的としてはお客さんをどれくらい呼べるかになります。僕の役割としては、単純にお客さんをどう集客するかというマーケティングの視点よりも、もうちょっとデータを活かして集客に使えないかです。そのため、データ分析よりのマーケティングの支援のかたちで関わらせてもらっています。
司会者:めちゃくちゃおもしろいですね。すごくいい話を聞きました。ありがとうございます。これは単純に感想ですが、サッカーでもイニエスタが入団したことで、神戸戦のチケットがバカ売れするようになった話も聞くので、これは要素として大きいと思いました。質問もだいたいで揃っているようなので、こちらで質問時間を終了したいと思います。高橋さんありがとうございました。
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