2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
サッカーxポーカー(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
gshirato氏(以下、gshirato):spoana(Sports Analyst Meetup)ライトニングトークのトップバッターを務めさせていただくgshirato(GO)と申します。
9月からドイツでサッカー関係の仕事をする予定です。最近だと浦和レッズのクラウドファンディングをアラビア語圏の人たちに向けて宣伝するツイートを出しました。
そんな僕が今回、「サッカーがポーカーから学べるかもしれないNのコト」についてお話しします。ちなみに今回のトークでは、サッカーデータの話は少なめです。
今回のトークでのポーカーとは、テキサスホールデムのことを指します。テキサスホールデムでは、手持ちのカード2枚に共有カード5枚の計7枚を使い、その中からもっとも強い5枚を選び出して相手と競う。ドローポーカーと大きな違いは、手札が配られる場面。共有カードが3枚目、4枚目、5枚目が開かれる場面で、勝負を続けるか降りるかの意思決定が必要になる部分です。
5枚目が開かれたあとに、お互いに勝負の意思があれば、そこで初めてお互いの手札を見せ合いカードの強さを競い合います。ここではKを2枚持っているプレイヤーは最初の3枚の時点では勝っていましたが、相手に5枚目のダイヤを引かれてしまったことで、結果勝負に負けてしまいました。ポーカーでは場面場面での意思決定が重要です。
まず始めは意思決定の話から。最初に伝えたように、ポーカーでは1回のプレイで複数回の意思決定をすることがあります。まず自分の手札が配られる最初の場面。ここでは主に賭け金を増やしていくベットと他のプレイヤーと金額コール、勝負を降りるフォールドの選択。この時点で勝負を選ぶと、次にカードが3枚配られ、同じように意思決定を行います。同じことを4枚目、5枚目でも続けていく流れです。
サッカーとポーカーのどちらにも不確実性がありますが、その理由は異なります。サッカーは主にボールを足で扱うこと、選手の振る舞いが不明なことが不確実性の要因です。例えばチェスなら、ナイトの動きはいつも同じですが、サッカーではサイドバックは毎回同じ動きをするわけではありません。
ポーカーには不完全情報ゲームの側面があります。ポーカーはチェスとは違い、相手のカードの強さがわかりません。これがポーカーの不確実性を高めています。それではそんな不確実性の高いポーカーにおいて、正しい選択とはどのようにして決めるのでしょうか。
最初のキーは数学です。既に10,000のポット、つまりプレイヤーが出した賭け金があるとします。そこに対して相手が5,000のベットをしてきました。これに対してどのようなアクションを取ればいいでしょうか。アクションとは賭け金を上げる、そのまま、降りるのいずれかです。アクションを決めるには自分の持っているカードの強さを知る必要があります。
もともとある分と相手のベットを合わせて、15,000ポイント。そしてコールするには5,000必要です。15,000を取るために5,000を投資することになり、ポットとコールの比が3:1になり、これをポットオッズと呼びます。この時点で、最低でも4回に1回は勝つ必要があり、25パーセントの勝率が必要です。
このカードの勝率は約20パーセント。下のカード場合は約9パーセントで、どちらも勝率が足りません。このようにポットオッズと勝率を比べながら意思決定をしていきます。ポーカーでは期待値を計算し、期待値の高いプレイを選択し続けることが長期的な利益につながるでしょう。
サッカーで同様のことをする場合、既存の手法としてはゴール期待値がありますが、ゴールが起きる頻度はかなり小さく、確率も数学的評価が難しいため期待値の計算には工夫が必要となります。
次に共有カード......別名ボードについて考えてみましょう。ボードにはドライとウェットの2種類があります。ドライなボードは自分がいいカードを持っていれば、そのカードが最強の手であることがほとんどです。一方ウェットなボードでは、現時点でベストなカードを持っていても、逆転される可能性もあります。
まずドライなボードの例から。フラッシュやストレートの可能性もなく、逆転されることはほぼありません。このカードでプレイする際の目標は利益の最大化。つまりできるだけ多くのチップを相手から引き出すことです。サッカーの場合は、例えばゴールの前で圧倒的な数的有利を作れている場合や、カウンターを抜け出してゴールキーパーと1:1になった状況が当てはまると思います。この場合はとにかくゴールをすることが目標です。
ウェットなボードについて見ていきましょう。現時点ではKのスリーカードを持っており、かなり強いことがわかります。ダイヤでのフラッシュやK、Q周りのストレートに逆転されそうです。よってここでの目標はリスク管理をすることです。サッカーの場合は、相手のゴール前でボールを保持している状態で、現時点ではこちらがゴールに近いので、相手のカウンターに気をつける必要があります。
次は、意思決定に関連して思考の自動化について考えてみましょう。サッカーはそのプレースピードの速さから状況に応じて反射的にプレーができる思考の自動化が必要です。ポーカーでも多面打ちをする場合や、長いトーナメントを勝ち抜く場合は思考の自動化が重要になってきます。
サッカーがポーカーから学べるかもしれないことの3つ目は情報戦の戦い方です。ポーカーは相手カードの情報がない状態で戦います。よって相手のカードについて情報を少しでも引き出すことが重要です。ここでキーワードとなるのが位置的優位性で、ポーカーにも位置的優位性は存在します。
この数字の順番にアクションするとして、1から6のプレイヤーの誰が情報的に有利でしょうか。正解は最後にプレイする6のプレイヤーです。最後のプレイヤーは前のプレイヤーがどのようなアクションを取るかによって、自分の行動を変えることができます。
最初のプレイヤーは自分のあとのプレイヤーがどのようなアクションをするかがわからないため、強い手でないとプレイすることが難しいです。なので最初のプレイヤーがベットをしてきた場合、そのプレイヤーはかなり強い手を持っていることが推測できます。このように、ポーカーはプレイする順番だけで相手からの情報を取ることができるゲームです。
サッカーでも位置的優位を取り、時間に余裕が生まれたときも同じようなことが言えるでしょう。例えば右サイドのスペースでボールを持った選手がいる場合。このときボールを持った選手のディフェンス対応を見て、このチームの守りたい場所を知ることができます。ボールを持っている選手に対してアプローチに行くのか、それともとにかく真ん中を固めるのかと言ったことです。このように位置的優位性をもつことで、相手からの情報を引き出すことが可能になります。
最後にデータについて少し話します。その前にポーカーのプレイスタイルを少し見てみましょう。ポーカーのプレイスタイルにはタイトとルースの2種類があります。タイトなプレイヤーが参加してくるのは強いハンドを持っているときだけです。一方で、ルースなプレイヤーはそこまで強くないカードでも参加してきます。
ポーカーで使われるとても簡単なレートとして、ハンド参加率があります。これはプレイスタイルと関連しているので、タイトなプレイヤーは強いハンドが来たときのみ参加するので参加率は低いです。そのため、獲得チップの分散は小さくなります。
一方で、ルースなプレイヤーは比較的どのカードでも参加するため、参加率は高くなるでしょう。しかしそのようなカードが最強である確率は低いので、あたかも強いカードを持っているかのようにプレイするブラフを使わないと、勝負に勝つことが困難です。ブラフは相手を勝負から降ろすことができれば勝ちですが、ついてこられれば負ける可能性も高く、獲得チップの分散は大きくなります。
僕はサッカーにおいては、どれだけ積極的にボールを前に入れるかが参加率と関わっていると考えていて。具体的には、相手の守備がどれだけ崩れたら攻めに行くかを見るのが有効だと思われます。後ろからつなぐサッカーは、分散が小さく、ロングボール主体のサッカーは分散が大きくなるでしょう。どの選択が正しいかは、残り時間や対戦相手、プレイヤーの特徴を見なければいけません。少なくとも、相手がどれだけ崩れているかの指標は必要に思われます。
そしてそのためにはトラッキングデータを使った解析が必要です。
ポーカーとサッカーは不確実性のスポーツと言えるでしょう。いいプレイとは長期的な利益を出すプレイであり、長期的な利益があるかを知るには、いい評価軸が必要です。位置的優位性は相手から情報を引き出すことができることもわかりました。最後にトラッキングデータを使った解析も含め、「いい評価軸とは何か」をこれからみんなで考えていきましょう。
締めくくりとして僕が大切にしている概念の、学際性について少し話させてください。ポーカーとサッカーは一見すると、まったく別のスポーツが、今回話したような共通点を見つけて学ぶことができます。既に紹介した以外にも、ポーカーには「最初の2枚の意思決定を練習しろ」という言葉もあります。最初の2枚に対する意思決定がポーカーでもっとも大きなアクションだからです。
サッカーに関しては「ゴールキックとスローインを練習しろ」ということになります。もっと言えば「ゴールキックとスローインまわりの意思決定を練習しろ」ということです。学際性のすばらしいところは、サッカーではなんとなくわかっていたことが、ポーカーではしっかりと言語化されています。言葉にできているので、それをサッカーにも適用できる点です。
今回はポーカーを始めて数ヶ月の初心者から見たサッカーについてお話をしました。ポーカープレイヤーであればもっと深い洞察を得ることができるでしょう。僕が今日話したことの一部は間違っているかもしれませんが、どれだけ詳しいかは重要ではありません。学際性で重要なのは「2つの分野を結びつけてやろうという心意気」だと思います。その結びつきをおもしろいと感じる人がいれば、その人たちが正しく奥深い解説を加えてくれるはずです。
サッカーとポーカーに限らず、他分野に跨ったスポーツの見方が増えることを願いながらこの動画を終わりにします。最後までありがとうございました。
2024.12.20
日本の約10倍がん患者が殺到し、病院はキャパオーバー ジャパンハートが描く医療の未来と、カンボジアに新病院を作る理由
2024.12.19
12万通りの「資格の組み合わせ」の中で厳選された60の項目 532の資格を持つ林雄次氏の新刊『資格のかけ算』の見所
2024.12.16
32歳で成績最下位から1年でトップ営業になれた理由 売るテクニックよりも大事な「あり方」
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
PR | 2024.12.20
モンスター化したExcelが、ある日突然崩壊 昭和のガス工事会社を生まれ変わらせた、起死回生のノーコード活用術
2024.12.12
会議で発言しやすくなる「心理的安全性」を高めるには ファシリテーションがうまい人の3つの条件
2024.12.18
「社長以外みんな儲かる給与設計」にした理由 経営者たちが語る、優秀な人材集め・会社を発展させるためのヒント
2024.12.17
面接で「後輩を指導できなさそう」と思われる人の伝え方 歳を重ねるほど重視される経験の「ノウハウ化」
2024.12.13
ファシリテーターは「しゃべらないほうがいい」理由 入山章栄氏が語る、心理的安全性の高い場を作るポイント
2024.12.10
メールのラリー回数でわかる「評価されない人」の特徴 職場での評価を下げる行動5選
Climbers Startup JAPAN EXPO 2024 - 秋 -
2024.11.20 - 2024.11.21
『主体的なキャリア形成』を考える~資格のかけ算について〜
2024.12.07 - 2024.12.07
Startup CTO of the year 2024
2024.11.19 - 2024.11.19
社員の力を引き出す経営戦略〜ひとり一人が自ら成長する組織づくり〜
2024.11.20 - 2024.11.20
「確率思考」で未来を見通す 事業を成功に導く意思決定 ~エビデンス・ベースド・マーケティング思考の調査分析で事業に有効な予測手法とは~
2024.11.05 - 2024.11.05