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パネルディスカッション「Withコロナ時代を生き抜くエンジニア組織について語る」(全3記事)

情報格差をどう解消するか メルペイ・グリー・ラクスル・元クックパッドのCTO(VPoE)が考えるリモートワークの働き方

組織づくりに携わるエンジニアたちが集まり、知見を共有しあうことを目的とした勉強会「EM Talk」。今回、新型コロナウイルスの影響で、強制的に始まったリモートワークに、どう向き合うべきかについて、メルペイの木村秀夫氏、グリーの藤本真樹氏、ラクスルの泉雄介氏、元クックパッドでこの日にLaunchable社に転職した庄司嘉織氏がディスカッションを行ないました。 今回は、リモートワークで使っているツールや今までの振り返りについて。ディスカッションの中で、リモートワークで直面している問題も浮き彫りになってきます。

コミュニケーションはどんなツールを使っている?

木村秀夫氏(以下、木村):リモートでの仕事は、コミュニケーションというところが課題になってくると思います。それを解消するためのツールみたいなものは、みなさん何を使っていますか? メルカリの場合は普通にチャットはslackです。いわゆるオンラインミーティング、ビデオチャットはGoogle Meetを社内ではメインで使っているんですけど、各社どうなんですかね? 泉さんところって何使っているんですか?

泉雄介氏(以下、泉):基本は同じくGoogle Meetを利用したり、社外で話すときはZoomだったり。あとチームで試しに使ってみようとRemoやDiscordを使ったりしています。

木村:Discordなんか評判いいですね。

:なんかいいらしいですね(笑)。

木村:僕は使っていないからわかんないけど(笑)。

:俺もちょっとおっさんなんで感性がちょっとついていかなかったんですけど(笑)。

木村:あれもともとオンラインゲームのコミュニケーションツールでしょ?

:そうですね。

木村:なので同時接続みたいなもので、なんて言うの? 同時会話? 同時通話? そこがポイントになっているんですね。僕はそれ試していないんですけど。グリーは?

藤本真樹氏(以下、藤本)::木村さんの今の発言、おっさんぽい。

木村:いやいやいや(笑)。だって藤本さん使っている?

藤本:僕はゲームでずっと昔から使っています。ゲームで普通にVCやろうと思っていましたから。

庄司嘉織氏(以下、庄司):ゲームやっている人間はDiscordずっと使っているので(笑)。

木村:そうなんだ。

藤本:MMOとかだとプレイしていなくても、なんとなくつないでいる人たちもたくさんいるみたいだし。

木村:へー。

:ちょっとクラスターが違うのかな(笑)。

藤本:今どきの若い人はわりと作業中……。これまた微妙なあれだけど、昔Skypeつなぎながら作業しているぜっていう「さぎょイプ」的なやつあったじゃないですか。

木村:はいはいはい。

藤本:あれと似たノリで、最近の子はとりあえず別になにもなくてもつないでおくのががナウいらしいですよ。

庄司:俺前職のクックパッドのとき、ずっとさぎょイプやっていましたよ。

木村:それゲームの人とつながっているんですか?

庄司:じゃなくて、会社の人と社内でZoomずっとつないでいました。たまにそこで技術的な質問とか雑談したりとかもやっていました。さっき出ていた雑なコミュニケーションが減るのが嫌だったので。

木村:なるほど。この前slack落ちたじゃないですか。けっこうやばいなと思ったんですけど、あれ。あのときってどうやって対応しました? 

:過去にも何回かありましたよね。

藤本:ありましたね。

:なのでトラブルがあったときのために、バックアップのツールを用意するとかを各社やっているんじゃないかなと思ったんですけど。どうなんですか?

藤本:全員Work From Homeのときにっていうのは、なかなかインパクトありますよね。

木村:そう。エグかったなっていう。

藤本:うちは一気にGoogle Chatに部屋が立ちまくりましたね。

:あーそうなりますね(笑)。

木村:コミュニケーションツールを使っていて、簡単に解決できる一方で、そういうのに依存すると、落ちたときにけっこうひどい目に遭うのを痛感しましたね(笑)。ちゃんとバックアッププランをもっておかないと厳しいなって思いました。

藤本:そういう意味では、オンラインのGoogle MeetやZoomとかは、いわゆるアカウントのインテグレーションがそこまで強くないですよね。だがら、ダメだったら別のものを使ったりとかもやりやすいし。

木村:確かに。昔、IRCとか使っていましたね。

藤本:ははは(笑)。まあね、笑ったけど、うちのバックアップもIRCでした。

木村:IRCはサーバー立てるのが大変だから(笑)

リモートワークを振り返って

木村:実際にフルリモートワークというコンテキストだと思うんですけど、途中経過の振り返りとして、なにかよかったことってあります?

メルカリだと、やっぱり通勤時間が少なくなりましたとか。僕はマネージャーという立場なんですけど、体感的に会議が減った気がしているんですけど(笑)。

藤本:あーそれ、なんか2派いますね。減った派と、逆にコミュニケーション量を保つためにすごく増えた派がいますよね。僕は変わらない派ですけど。

木村:僕は、もともと1on1を隔週とかでエンジニアのマネージャーとかとやっていました。そこは定期的なものなのであまり変わらないんですが、カジュアルな相談は全部slackに移行しました。それこそ、可処分時間が増えて非常にハッピーだなっていうのはありますね。

こういうのがよかったっていうのはあります? 藤本さんとか。

藤本:メリットデメリットとか、僕なんかより知見がある人の意見がたくさんでているので。基本的にはそれ以上でもそれ以下でもないかなっていうのはすごく肌で感じています。

ただ僕の観点で言えば、広義でのリモートに対して、みんなの習熟度が一気に上がったなと。これ本当にちょっとずつや一部だけとかでやっているとけっこう時間食うけど。一斉にやると良くも悪くも一時はいろいろあるけど。そこはまあ個人的にはよかった……結果的にはプラスになったと今の時点では思っています。

木村:世界全体で起こっていることなので、捺印とか今まで変わらなかった仕組みが変わるパラダイムシフトが起こっているのかなと思って。

藤本:まあね。それは間違いなくあると思います。

木村:泉さんところってなにかあります?

:総論としては、先ほどのメルカリのアンケートとほぼ一緒じゃないかなと思っています。ちょっと哲学めいた話なのかもしれないですけど、今までも結局人に会いに行くっていうことってやっていたじゃないですか。

そのときも別にリモートの環境はあったし、ビデオチャットで済んだはずなのにわざわざ人に会いにいったりしていたじゃないですか。あれは、みんなそっちのほうが効率いいから実践していた部分もあると最近思っていて。

例えば、東京都内の目黒と五反田の両方にオフィスをもっていて、わざわざ五反田に行って説明したりしていました。それも別にビデオ通話でもオッケーなのに。わざわざやっていたっていうのは、そっちのほうがなんとなく効率がいいと言う考えが、自分の中にもあったのかなと思っていて。

さっき藤本さんが言ったとおりなんですけど、プロコンをプラマイすると結局どっちも変わらない話があるんじゃないかなと思ったりしています(笑)。

木村:移動時間がなくなったってけっこう大きいんですよ。

:木村さんってフロアをまたがってわざわざ行ったりとかってありました? 

木村:ありました。それがゼロになったのが本当にすばらしい。今まで何やっていたんでしょうっていうのはすごくありましたね。

庄司:完全にみんな同時だったからうまくいった面もあると思います。逐次とりあえずはエンジニアからとかやっていると、企画の人から「エンジニアたちは全員リモートで会議を……」みたいな話が絶対出てきたから(笑)。

木村:いや、大きいですね。

藤本:その側面で1個間違いなくあるのは、囚人のジレンマちっくな話でもありますが。リモートをやるのも、実際に会いに行くとかもそうだけど、自分ではなくどちらかと言うと相手がどうっていう側面がけっこう大きいと思います。リモートは慣れる慣れないの中にも、例えばオフィスとリモートの人がいたら、オフィス側の人のスキルとか慣れのほうがけっこう大きいんですよね。

会いに行くうんぬんも、相手もそれを前提としてくれているから成り立っている。これを機にお互いの認識が揃うっていうのが、強制的に発生したのが大きいと思います。

情報格差をどう解消するか

藤本:もう少し先の話かもしれないけど、緊急事態宣言が解除になったとします。家で効率落ちる人は出社しようとかなったときに、出社と在宅の割合が、3対1とか半々とかになったときのほうが僕は難しいと思います。

木村:わかります。混在環境になったときのほうが難いと思っていて。オフィスにいる人たちだけで会話が進んでしまって、こちらだけで決まってしまうタバコ部屋問題が起こる可能性もあります。リモートにいる人はなおざりになってしまって、結局その人たちも出社するようになっちゃうみたいな。情報格差? あれはすごく気をつける必要があると思います。

庄司:あと日本人はすぐ同調圧力的なの出るから(笑)。何人か出社していると、あー俺も出社しなきゃかなぁみたいなの絶対出てきますよね。

木村:確かに。でも庄司さんのところは、まさに場所だけじゃなくて時差があるから時間も違うでしょ? 

庄司:うん。

藤本:時間はねー。

木村:時間違うのってけっこう辛いなと思っていて。なにか工夫とかありますか? 

庄司:クックパッドもグローバルに展開していたから、前職でもあったんだけれども。まあ辛いは辛いですよね。ヘタするとコメントして、返事が戻ってくるのが次の日みたいな。1ホップに1日かかるみたいなのは、平気で起きるから辛いは辛いけれども。今新しいLaunchableでやっているのは、なるべくドキュメントに残そうという動きがあります。

おもしろいなと思ったのが、slackが2割くらいで、Confluenceにドキュメントを残すのは8割くらいの感覚、って言っている人もいて。

藤本:あーはいはい。

庄司:どういう思考をしたかとかも含めて、Confluenceにドキュメントとしてまとめて、みんながいつでも見られるようにしておくみたいな。そういうかたちで情報格差みたいなのはなくしていこうねと動いている人もいます。

木村:コミュニケーションを非同期にするっていうのはたぶんそうだと思いますが。ドキュメンテーションスキルってそれこそ今後けっこう求められるんじゃないかなと思って。

:それけっこう自分最近話題としては熱いというか、考え始めていることで。知人に言われてなるほどなと思ったのが、オープンソースコミュニティのやり方は参考になるんじゃないかなと思っています。

200人くらいが世界中から集って、そこでみんなキャッチアップしてやれている。オープンソースコミュニティが会社内にあっても、コミュニケーションの基礎としてフォローできればけっこうスケーラブルなやり方ができるのではないかなと。ドキュメントの仕方もオープンソースコミュニティに学ぶことが多いんじゃないかなと改めて思っています。

木村:確かに。そこってエンジニアは強みというか、入りやすいところではありますよね。

庄司:そういう意味では、うちのCo-CEOは大きなオープンソースのコミュニティやっていた人間ですから(笑)。Jenkinsの作者だし、そこは得意かもしれない。

木村:そうですね! 

藤本:オープンソースコミュニティはすごくいろいろなタイプがあって。有名なところではやさしい独裁者とか。僕が噛んでいたところでPHPとかで言えば、わりと合議制みたいなところがあるけど、これけっこう揉めたりしました。そこのノウハウもけっこういろいろあるぜっていうのは、おもしろいけど。

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