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ユルい設計をしよう(全1記事)

UI/UXデザイナーが提案する『ユルい設計』 想定よりも少し広い範囲でフワッと準備しよう

UX JAM OnlineはUX MILK主催の、UXデザインを題材にしたオンラインLTイベントです。株式会社ヤプリのUI/UXデザイナーの城由美氏が、サービス作りの方法論のひとつとして、ユルい設計について話をしました。関連資料はこちら

サービス作りにおけるひとつの方法論として

城由美氏:株式会社ヤプリの城由美と申します。ヤプリという会社で自社アプリ制作プラットフォームYappliの管理画面のUIデザインとかアプリの機能とか、UIデザインに携わっています。今日は『ユルい設計をしよう』っていうテーマでお話しいたします。

サービス作りにおけるひとつの方法論としてお話できればなと思っています。これが正しいかどうかはちょっとわからないんですけど、誰かのヒントになればいいかなと思っています。

ユルい設計とは、想定よりも少し広い範囲まで考えてフワッと準備しておく設計

ユルい設計が役立つのは、長期的な運用を前提とする開発の場合だとか、社内の事情とかでPDCAをすばやく回せない場合だったり、ターゲットの市場が広い場合かなと思っています。

サービス開発あるあるかなと思うんですけど、当初予定していたコンセプトとか要件が市場の変化に伴って対応できなくなることがあると思うんですね。「ちょっと仕様追加するだけなのにそんなに時間かかるの?」とか「残念な仕様だ」とか言われたりして。開発部としては想定していなかったよっていうことがけっこうあったりしますよね。

そういうときにユルい設計が役立つかなと思っています。ユルい設計って何かと言うと、想定よりも少し広い範囲まで考えてフワッと準備しておく設計というふうに定義させてもらいました。

この図の真ん中の青い丸が解決すべき課題や要件だと思ってください。それプラスちょっと未来のことを考えて、薄い水色のところは、来るかもしれないニーズとか、来るかもしれないけど来ないかもしれない、だけどそれがカバーできるように準備しておくっていうところがユルい設計として考えています。

なんでこんな設計が必要なのかというと、サービス開発していると既存のお客さんを大事にしつつも、市場の変化についていきながら、時間やお金がなくても社内の優先度が下がっても改善しないといけないっていう状況があると思うんですね。そういうときにユルい設計が役立つと思っています。

1つの業界の中でもユースケースが異なるため、ユルい設計が必要になる

ユルい設計の具体例を紹介させてください。ヤプリが提供しているアプリの機能としてポイントカード機能があります。これは企業のポイントシステムと連携してアプリにポイントとか読み取りバーコードを表示する機能です。

ポイントカードをヤプリでリリースしてからだいぶ時間が経つので、それを今リリース刷新中のため、出せる画像だけお見せしています。

このポイントカードは1つの機能なんですけど、こんなにいろんなUIの見た目を適用できるように設計しています。1つの機能なのにそんなにUIいる? っていうふうに思っている人も多いと思うんですけど。

ヤプリは企業のモバイルビジネスを支援するという会社で、いろんな業界のお客さんに向けてこのアプリ制作プラットフォームを提供しています。いろんな業界だとかいろんなお客さんがあって、1つの業界の中でもユースケースが異なっています。そのため、UIもいろんな想定をしておかないといけないっていう事情があったりします。

ただ先ほど見せたようなバリエーションごとにUI開発するっていうのはすごく大変だと思うので、構造はシンプルだけれどもちゃんと広くカバーできるような仕掛けとして設計をしています。もちろんUIだけでなく中の作りもエンジニアと認識を合わせながら設計しています。

できないことも含めてチームでちゃんと認識することが重要

とはいえ、いろいろ想定していてもできないこともあります。なので、できないことも含めて考えられる可能性を洗い出して、できること・できないこと・カバーするべきことを整理してマッピングしています。

やるべきことだとかカバーできることに関してはよく想定しておくんですけど、できないことに関してはどういうふうに扱うのか。そもそも捨てるのか別アプローチで考えるのかというところをちゃんとチームで認識しています。

機能としての方向性を決めて、カバーするしないの線引きをして、それをチームで握るところがユルい設計の重要なところかなと思っています。そのユルい設計の結果、新しい要望だとかニーズがお客さんから出たとしても「そんなこともあろうかと、それが可能な仕組みにしておいたよ。ドヤっ」みたいなことができるかなと思っています。

方法のひとつとしてユルい設計を開発にうまく取り入れる

ただこのユルい設計には限界があると思っています。新しいマーケットを開拓するようなイノベーティブなサービス作りにはあんまり向かないかなと思います。

方法のひとつとしてユルい設計が開発にうまく取り入れられると、最高の体験を最速でユーザーに届けられるかも。というところで、ユルい設計をしようというお話でした。

ありがとうございました。以上です。

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