2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
沖縄に知り合い0人で移住して、大規模なエンジニアカンファレンスを開催するまで(全1記事)
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鈴木孝之氏(以下、鈴木):それでは、発表を始めさせていただきます。よろしくお願いします。
(会場拍手)
今回は知り合いがまったくいない状態で沖縄に移住して、それから150人規模のエンジニア向けのカンファレンスを沖縄で主催するところまで至った話をしたいと思います。主にエンジニアコミュニティの形成を。地元や地方でやりたい方向けのお話だと思っていただければと思います。
まず、自分がなんで沖縄に移住したのか。そこから徐々に小規模の勉強から始めて、最終的には150人規模のカンファレンスを実施するようになるまでの流れや理由をお話しできればと思います。
まずは自己紹介です。
沖縄から来たのでよくこの写真を載せているのですが、ビーチ駆動開発というのを流行らせようと思っておりまして、よかったら「BDD開発」でつぶいてください。
この写真は、沖縄の本島の古宇利島という本島の中でも一番きれいと言われている海で開発合宿をやったときの写真です。実際は潮風でパソコンが壊れたりするので、あまりおすすめはできません。
(会場笑)
経歴としましては、神奈川生まれで、そこから4年ほど東京でエンジニアとして働いていました。そこでいったんフリーランスとして独立して、1年弱フリーランスをやったあとに沖縄に移住して起業したという流れです。会社としてはちょうど今月で2年が経過します。
主にスキルとしては、PHPとかJavaScriptが得意です。
Twitterはこの「カンボ沖縄」でやっています。
沖縄の情報や沖縄のグルメ情報の他にも、IT系の話もいろいろ幅広くつぶやいていますので、よかったらフォローしてください。
自分の仕事としてはエンジニア教育をやっています。
沖縄に株式会社プロトソリューションという会社様がいらっしゃいまして、この会社さんと提携してプログラミングスクールの講師もやっています。
スクールとして2年ぐらいになりまして、卒業生も合計で150人ほどになっています。東京や大阪の大手企業に内定が出る方もけっこう増えていまして、徐々に軌道に乗ってきたところです。
その他に個人でやっているところとしては、こういったイベントを開催したり、カンファレンスにも自分自身も登壇しています。今年は北海道や秋田、大阪、福岡などで幅広く登壇しています。あと、7月には海外で「LaravelConf Taiwan」という、PHPのフレームワークLaravelの台湾のカンファレンスでも登壇してきました。
経歴のまとめとしましては、けっこう幅広くやってきました。SIerやWeb系の自社開発、あとは会社としては、スタートアップの形態で会社経営をしていたり、幅広くやっています。
会社の紹介をさせていただきます。
現在は自社開発と受託開発の主に2つをやっておりまして、会社全体で7名が在籍しています。
自分自身も今までフリーランスでリモートワークをやっていたこともあり、会社自体もリモートワークで働くような仕組みにしていまして、そのあたりは臨機応変にやっています。なので、今月も会社のメンバーが1週間だけ台湾で仕事していたり、そういった取り組みも柔軟にやってたりします。
ここからが本題になります。なぜ沖縄に移住したかについてお話していきます。
自分自身、本当は最初に沖縄に行くことを決めていたわけではありません。まずは地方でなにかやりたいとか、地方で起業したいということだけがぼんやりと決まっていて、そのなかでどこに移住するかは自分の目で見た上で検討しようと考えていました。
移住する際の基準としましては、エンジニア中心の会社で起業したりIT系の会社を作ろうということは決まっていたので、エンジニアのコミュニティがその地域にあるのかであったり、気候が自分に合うのか、食べ物が自分に合うのかといったこと点を考えていました。
この、気候や食べ物は移住においては意外と重要です。例えば、学生のときは海外で働くことにすごく興味あったのですが、ベトナムに2週間インターンに行ったところ、そもそもが食べ物が合わないという事がありました。ベトナム自体は好きなんですが、住む分にはちょっとつらいという思いがありまして、そういったところも重要だと感じていました。
行った地域としてはざっとこんな感じです。フリーランスのときにリモートワークしていたので、自由にいろいろな場所に行っていました。
最終的に沖縄に決めた理由としては、2年半前ぐらいですでに沖縄のエンジニアのコミュニティや勉強会がある状態だったので、思ったよりコミュニティ活動が盛んな印象でした。ほかの地域としての違いとしては、あまり言語の縛りがないのがよかったなと思いました。
例えばあくまで主観ですが、自分はPHPをメインにやっているのですが、島根県はけっこうRuby推しでRubyの会社を支社として誘致していたり、勉強会もRubyのコミュニティが多かったりして、実際に行ってみたときにちょっと居づらさを感じました。
食べ物については、もとから沖縄料理が好きだったので、ぜんぜん問題なくて。
気候に関しては、自分は基本的に寒がりで、今の東京もそうなんですがだいぶつらいなという感覚がありました。沖縄では下手したら夜でもまだ半袖で歩けるぐらいです。さすがに雨の日はちょっと寒いんですが、気候的には問題ありませんでした。
いろいろ考えた上で、沖縄以外は寒すぎて日本では住めないという結論になりました。
ほかにもいろいろな理由はありましたが、住むという観点だと、自分が住みやすいのは重要かなと思います。
そこから移住後なんですが、まったく知り合いがいないところで始めたので、まずは知り合いを作らないとどうにも進まないなと思いました。
ちょうどクラウドファンディングで「Geek House Okinawa」というプロジェクトが出てきました。これはエンジニアのシェアハウスで、エンジニアの人が一緒に住んで技術の情報交換したりというスペースです。なので、まずはそこから自分の知り合いを増やしていって、徐々に現地のコミュニティに入っていくのがいいのかなと思いました。
これがオープニングパーティの様子です。住民の方も4〜5人入ってるんですが、けっこうこういったイベントも多くて、そういった意味でも一気にいろいろな人とつながれたなと思います。
このGeek Houseを経営しているオーナーの方も沖縄の経営者で、その方も自身もエンジニアで、エンジニアの方を紹介してくれたりしているので、出だしとしてすごく面白かったなと思っています。
あとは沖縄の話をするとコワーキングスペースや自分たちがやっているプログラミングスクールなど、いろいろなコミュニティがありました。そんな意味で入り込みやすいところはありました。
次に沖縄のエンジニアコミュニティについてお話したいと思います。まず自分が運営しているコミュニティなど、そういったところについてご紹介したいと思います。
僕は沖縄県内だけでも10個くらいのエンジニアコミュニティを運営しています。さすがに毎月全部やっているわけではありませんが、2ヶ月に1回スパンでやるようにはしています。
扱っている技術は幅広くて、PHPであったり、インフラ周りだとDockerやRancher。あとは、ほかの外部サービスで、認証システムのAuth0や、決済サービスのStripeなど、幅広くやっています。なるべくWeb系のモダンな勉強会を増やそうと思って取り組んでいます。
例えばAuth0に関しては、自分は東京とのコネクションもあるので、Auth0の社員の方をお呼びして実際に講演してもらったりもしていて、沖縄の方の刺激にもなっているかなと思います。
Stripeも同様で、東京のStripeの会社の方に来ていただいて発表してもらったり、現地の方を巻き込んで実際にStripeを使っている企業さんにLTしてもらったりなど、うまく融合するように考えてやっています。
そのほかの工夫点としては、自分も移住してから小規模な勉強会は繰り返していました。自分だけが発表し続ければ一応は開催できるのですが、登壇者がぜんぜん集まらないときがありました。
その時は沖縄だけで完結させようとするのではなく、秋山・山形・福岡など、複数の地域で連携して、各地域から1人ぐらいに発表してもらうという形式を採用して、とりあえず勉強会のネタを確保するという取り組みを行っていました。これは全部で同時中継でやった感じですね。
実際、ネタ切れ問題に関してはほかの地域も困っていたりしたので、そういった意味でも連携していくという選択はよかったかなと思っています。なので、もし本日地方から来られている方がいらっしゃるのであれば、勉強会などで連携できればと考えています。
そのほかの点なんですが自分以外の方も運営しているところを合わせると、意外と沖縄のコミュニティは多く存在しています。
例えばGoやGCP、Ruby、PythonやPerlもありますね。比較的幅広くさまざまなコミュニティが存在しています。
沖縄は特殊なんですが、女性のエンジニアも増えてきていて、女性限定のコミュニティも3つぐらいあったりします。PyLadiesというPythonのコミュニティや、Rails GirlsというRubyのコミュニティなど、いろいろなコミュニティが存在しています。
他に弊社が取り組んでいることとしましては、会社としてももっと県外の人と交流してもらいたいという考えがあるので、弊社と県外の方を5〜6人呼んで、だいたい半々ぐらいの構成で開発合宿をやったりしています。
これは2泊3日でやっていて、3日間でなにか開発をして、最後に発表するという流れですね。せっかくなので間に沖縄観光もはさみつつ、沖縄を楽しんでもらうという取り組みを行っています。
あとは、冒頭でもお話しましたが、Webエンジニアを目指すプログラミングスクールをやっています。Rubyを教えて、2ヶ月で初心者の人を企業でインターンできるぐらいのレベル感に持っていこうというコンセプトでやっています。
「実際にエンジニアになるためには1,000時間ぐらい勉強しようね」という話もしていて、卒業後にはRailsチュートリアルをやっていただいたり、自分たちが開催している勉強会に来てもらったりなど、そういったステップも考えて運営しています。
最後に、今回沖縄で150人の規模のカンファレンスを開催した理由をお話ししていきます。
今年PHPカンファレンス主催したのですが、自分が沖縄に住んで感じてた課題はここで挙げた4つです。
1つが、Web系のモダンな自社サービスの開発会社が少ないこと。現状、沖縄ではWordPressでWeb制作する案件やJavaやCの大規模な基幹システムの開発が多い印象です。主にSIerやWeb制作がメインだったので、なかなかモダンな技術を使えなかったりという事がありました。なので、そういった状況を変えたいという思いがありました。
あとはコミュニティ面でお話すると、沖縄だと島というのもあってなかなか県外の方と接する機会が多くありませんでした。大規模なカンファレンスも少なかったので、このカンファレンスを開催することでより接点を増やそうと考えていました。
そして最終的に、沖縄でモダンな開発環境で働けるところをどんどん増やして行きたいと考え、それらを踏まえた上で、今年、PHPカンファレンスを開催しました。
このPHPカンファレンスは東京・関西・福岡・北海道など、いろいろな開催されているのですが、一応手を挙げれば誰でも開催できるような仕組みになっています。もともと自分が東京のPHPカンファレンスのスタッフをやっていたこともあり、立候補させていただきました。
開催にあたっての背景としましては、主に3つあります。
1つ目としては、より多くの県外、海外のエンジニアさんと交流してほしいということ。2つ目は、現在スクールもやっていまして、卒業して東京や大阪など、県外に就職してしまう人が多くいました。、そういった方々に、年に一度カンファレンスに戻ってきて発表して、いずれはそこで接点を持ちつつ沖縄に戻ってきてくれるという流れをつくれたらと思っています。
最後は、沖縄のエンジニアのコミュニティが活発になってきているので、県外の方に「沖縄ってけっこう勢いありますよ」ということや、現地のスタートアップ企業の技術力も上がってきているので、そういったことのアピールの場になればいいなと思っていました。
実際セッションとしては、全部で34セッション集めることができました。登壇者としては、東京や岡山、福岡、台湾など、幅広い地域から登壇者を集めることができました。協賛が12社で、参加者は北海道から台湾までさまざまな地域から参加してもらいました。
これが実際の様子です。プロトソリューションさんの3階建てのビルを1棟お借りして、3つの部屋を使ってやりました。
当日、思ったより参加していただけたことはすごくありがたかったです。
これは台湾のエンジニアさんと写真を撮った様子ですね。こんな感じで仲良くやりました。
カンファレンスでは日本地図を掲載して、「どこから来ましたか?」とシールを貼ってもらったりしました。
最後の集合写真がこんな感じです。いい感じの笑顔で終わりました。
では、まとめに入りたいと思います。沖縄の今後の成長について自分が考えていることです。
スクールをやったり、勉強会やカンファレンスで県外の人とも接点を増やしてきたので、これで沖縄でエンジニアが成長しやすい環境の基盤は作れたのではないかと思っています。なので、来年以降はもっと仕事を作るところに注力して、経済の発展に活かせていければいいなと思っています。
今、確実に沖縄のコミュニティは活発になってきています。県外や海外とのコネクションもできてきたので、外部とのハブというポジションで、自分が沖縄に住む価値を出していこうと思っています。
自分が移住してみての感想もありますが、自分自身、移住する時点でめちゃくちゃエンジニアとして能力が秀でてたわけではありませんでした。ですが東京で普通レベルのエンジニアが沖縄をはじめとしていろいろな地方に移住することで、現地でバリューを出せるところがあるのではないかと思います。
移住者だから現地でなにかやりづらいことがあるかというと、逆にそこは吹っ切れたほうがいいなと思っています。県外出身だからこそ県外とのハブになれるので、移住者こそより地域に思いを持って貢献していくとり良いのかなと思いました。
発表は以上になります。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:ありがとうございました。では、質疑応答の時間に移りたいと思います。鈴木さんに質問してみたいという方、挙手のほうをよろしくお願いいたします。
質問者1:どうもありがとうございました。沖縄の開発やエンジニアの必要度などそういったことを知りたいのですが、かんたんに教えていただけるとありがたいです。
鈴木:それは企業からの必要度ということでしょうか?
質問者1:そうですね。受託的なところでもいいですし、もしくはエンジニアの絶対数的でも構いませんので、なにか開発的な課題的なところあれば教えて下さい。
鈴木:わかりました。今回のスライドでは端折ってしまいましたが、沖縄でのエンジニアのニーズとしては主に2つあります。
1つが、最近東京やいろいろな都市圏の会社が沖縄に支社を出すパターンが増えてきています。ここ数年だとクラスメソッドさんやサイバーエージェントさんの子会社など、そういった有名どころの会社さんも沖縄に来ています。初心者だったり初学者レベルの人は増えてきましたが、まだ中堅どころが採用できていない印象です。
もう1点のニーズとしては、これは意外と知られていないのですが、沖縄ではスタートアップ企業が増えています。資金調達をして上場を目指すような企業ですね。そういった起業家支援のプログラムはけっこうありますが、起業してみたはいいもののなかなかベテランのエンジニアが雇えないという、ニーズもあったりします。
質問者1:ありがとうございます。他に、沖縄特有の課題はあったりしますか?
鈴木:エンジニアの課題ですか?
質問者1:地方的な課題でもいいのですが、ITでこういう解決できるのにそれが広がっていないといったことでも構いません。
鈴木:なるほど。それでいうと、勤怠管理などもそうですが、クラウドの導入が遅れていると思いますね。
現地で勤怠管理のクラウドサービスをやってる人もいるのですが、作ったはいいもののなかなか導入してくれないことがあると話していました。
質問者1:なるほど。紙媒体でだったりとか、判子を入れなきゃいけないだったりとか。
鈴木:そうですね。だから、マーケットはあるんですが、そこの入り込むのはまだまだ。どう営業していくのかというのは、まずはリテラシーを上げていくことからやっていかなければいけないんだろうなと思いました。
質問者1:なるほど。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございました。ほかにどなたかご質問ある方はいらっしゃいますか?
質問者2:あえて会社の所在地に沖縄市を選んだ理由はありますか? Geek Houseがあるからということなのか、それとも那覇より沖縄市のほうが優れているところがどこかにあったのでしょうか?
鈴木:それで言うと、おっしゃるとおりGeek Houseが沖縄市にあったので、そのままそこで登記しました。
ただ、会社はリモートワークでやっていることあってほとんど出社しておらず、ほとんどバーチャルオフィスという状態です。今は会社のメンバーがなんだかんだで那覇の人が多くて、わりと那覇で集まったりしています。創業当初は自分1人で始めたので沖縄市だったんですが、結局採用した人はみんな那覇にいるので、移転しようかと考えています。
質問者2:ありがとうございます。
司会者:ありがとうございました。拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
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