CLOSE

オタクな私の拡がる世界〜BL同人作家から IT エンジニア、Microsoft のインターナショナルチームに〜(全3記事)

エンジニア×漫画家×腐女子 好きなことを未来につなげた、ちょまどの人生訓

2019月10月14日、テクノロジーカンファレンス「DevFest Women Tokyo 2019」が開催されました。Diversity(多様性)とInclusion(認知と尊重)をテーマとしたカンファレンスで、IT業界で活躍しているLGBTQの人たちが自らのキャリアを通して得た知見を共有します。「オタクな私の拡がる世界~BL同人作家からITエンジニア、Microsoftのインターナショナルチームに~ 」に登壇したのはMicrosoft Cloud Developer Advocateの千代田まどか(ちょまど)氏。講演資料はこちら

大学卒業後はSIerへ

千代田まどか(ちょまど)氏:目次が進みまして。一生懸命になれるものとの出会いが終わって、分岐点の話をします。

大学は文系だったんですけど、就活して新卒でSIerに入社しました。プログラミング学びたいからエンジニアとして雇ってもらうぞって言って、文系大歓迎って謳っているところに行って。けっこう大変だったんですけど、こんな感じでリクルートスーツを着て、ちょっとだけ就活をしました。

ちなみに今まで男女比が0:10だったのが、突然9:1になって最初は戸惑ったんですね。さっきの(ハヤカワ)五味ちゃんの話から、私本当ずっと女子高だったんですよね。だからずっと女子高会話プロトコルしか知らなくて。

例えば女子高だと、この話するのもダメなのかもしれないけど本当にわかんなかったことが、女子校だと教室で「あ、生理になっちゃった。ナプキン誰か持ってる?」とか普通に女子高だと言うの。それを普通に社会人になって言ったら、男性が「え……」みたいな。「え!?」 ってなって。あ、ダメなんだ。こういうのみたいな。けっこう最初はそういうのが戸惑ったの。

次。1ヶ月半の新卒研修後、本業務に。ちなみに新卒研修は超楽しかった。プログラミング。新卒研修は年の近い子たちとプログラミング。今までずっと孤独だったんですね。

だって文系の女子大で1人でプログラミングにハマってしまったので、誰も話の合う人がいなかったんですよ。でも新卒研修だとみんなプログラミングやってる子たちだから話が合って超楽しかった。初めて同じ言語で会話できるみたいな。

単純作業ができず適応障害に

「ついにエンジニアとしてのお仕事が始まるぞ。ワクワク」ってなったんですけど。

業務開始、延々と単調な作業が続いた。プログラミングは? 技術的な仕事は? みたいな。みんなできることなのに私にはできない。

具体的に言うとテストだったんですね。開発してるアプリケーションのテストで。テスト項目がすでに用意されたのがあって、それの指示通りに、例えば誕生日のボックスにあいうえおとか文字列を入れたらエラーが出ますよね。バリデーションが走って。

そのエラーがちゃんと出てるやつをスクショを撮って、エクセルに貼ってくださいっていうのを手動で1日200枚くらいやってた。しかも納品物だから1ピクセルのズレも許されない。でも自動化はダメっていうのをやってました。実際これは「ちゃんとアプリケーションが動きます」というエビデンスになり、とても大切な納品物であり立派なビジネスになる、というのはわかるのですが、どうしても私には向かなかった。

けっこう発狂しまして。そもそも、その前に私社会人としてちょっとヤバくて。じっと席に座るっていうのがけっこう難しくて。あと楽しくなくても我慢して遂行っていうのがなかなか難しくて。業務時間中の私語は禁止っていうのもなかなか厳しくて。めちゃ早起き……9時ね。つらくて。

休み時間が昼だけっていうのがつらすぎて。ダメなんですよ。昼だけですよ、休み時間? どうすんだみたいな。本当に集中できるんですか? 何時間も集中して淡々と作業がダメで。与えられたタスクの意味を問わずに延々とやり続ける忍耐力とか。あとスペースに入らなくてダメだったけど、クルクル回る椅子で回らないでいるっていうこともできなくて(笑)。

(会場笑)

いろいろできなくてウワ~ってなって呼吸困難になった。これから出勤と思うと息ができなくなるよ~。持病の喘息かなとか思ったら、先生が「適応障害です」って言って診断書が出たので辞めることになったけど。

「仕事辞めたい」って言ったとき全員が大反対したんですね。「ばかたれ!」って。うちの方言では、「でれすけ」って言うんですけど。

「仕事がつらいのはお金もらってるんだから当たり前だろ」「せっかく大手に入ったのに」「どうしてみんなができることができないの」。……私も知りたい! 

こっちは怒ってるだけだけど、おばあちゃんはけっこう感情で攻めてくるタイプ。「どうか安定した人生を送って安心されておくれ」「あと3年は我慢して」「泣いちゃいそう」とか言ってけっこうグイグイくるタイプで。2パターンで攻めてくるんですね。

とあるLTをきっかけに日本マイクロソフトへ

私の分岐点。けっこう悩んだ。まあ3分くらい悩んだ。

(会場笑)

会社辞めないルートがこうあった。レールに乗ったら安全な人生。安全っていうかすでに適応障害になっちゃってるけど。まあ。みんなと同じ安心がある。一方はレースから外れたルート、会社を辞めるルートで。レールから外れる。自分の道を歩く。

本当にけっこう3分間悩んだんですよ。辞めようって思って。実務2週間で退職届を提出しました。受理までに1ヶ月かかったから、あとプラス1ヶ月半の新卒研修でトータルで3ヶ月なんですけど。

「お前みたいな社会不適合者を雇ってくれる会社なんてどこにもない」とか言われたけど、「はいはーい」って言って。翌週社員数20人のスタートアップに転職しまして、超楽しかった。「楽しい!」「毎日たくさんプログラミング学べて楽しい!」「お仕事楽しい!」って、めっちゃプログラミング楽しくて。めっちゃ楽しく過ごしてました。

副業として漫画家を始めました。プログラミング言語擬人化の漫画の『コード学園』をやりました。そこの掲載先Webメディアさんが運営しているITイベントの忘年会イベントに呼ばれたんですね。連載してるやつの中で、さっきの漫画がPV1位だったんですね。だから「ぜひそこでしゃべってよ」って。5分間LTで、漫画紹介して。

「千代田まどかです~」「本業はプログラマで。ふだんはMicrosoft AzureっていうクラウドとVisual Studio使ってC#で開発してて」「Xamarin使ってて~」とか。「技術的な知識を生かした漫画を描いて、それを通して人にプログラミングの楽しさを広めたいで〜す」って言ったら、その場にたまたまMicrosoftの人がいて。「おもしろい子がいるな」って採用試験を勧められて。

英語面接などを経て日本マイクロソフトに入社しました。技術をわかりやすく人に教える職業のテクニカルエバンジェリストとして日本マイクロソフトに入社しました。

2年後にアメリカの本社に異動になって、今はCloud Developer Advocateという技術を広める職としてグローバルに働いています。

残り5分らしいです。はい! スライド残り20枚。大丈夫です。

“点を繋げて”未来をつくる

オタクとは? 私は推しに対していつも全力だったっていう話をしました。何に対しても好きなことには全力。今回の登壇依頼だった最初の話は終わりましたね。次、私らしく生きる、キャリアとかがテーマだから。出会ったいろんなことを活かしたキャリア形成の話をしてくださいって言ってたので、その話を5分でします。

私の超尊敬している人にスティーブ・ジョブズって人がいるんですよ。スティーブ・ジョブズ。超尊敬してます。「Connecting the Dots」って彼は言ってるんですね。そのときに好きで夢中になれるものを探しなさいとか、好きなことに打ち込むことが大事で、それが将来振り返ると今に必ずつながっています。

例えば、ジョブズは大学を辞めてタイポグラフィーの授業に潜り込んで魅了されて打ち込んだ経験が、Macを作るときに美しいタイポグラフィーを備えたすばらしいOSを作ることに役立ったって。Macはフォントきれいですよね。

あのときのことは当時はわからなかったけど、「振り返って初めてつながってるってわかるんだ」って言ってる。点と点がつながって将来を作っていくと信じて打ち込むのは大事である。

何が将来につながるかわからない

ちょっと今から走馬灯タイム。振り返ると、中学のときにハリポタを読むために英語に出会いました。高校のときに布教活動で人にものを薦めるみたいなやつをやりました。これ今も役立ってて。私で言うとMicrosoftのCloud製品がAzureって言うんですけど。「Azureはいいぞ~」みたいな感じでめっちゃ布教してます。

大学入学祝いでデジタル絵描き。絵に目覚めてパソコンに目覚めて。欲望のためにいろいろ技術を学びました。塾講のバイトもしました。

これを振り返って、私のConnecting the Dotsは絵描き、オタ布教活動、プログラミング、英語、塾講のバイト。これ全部学生時代のことです。5つが、まずプログラミングがエンジニアになって。絵描きとオタ活動が漫画家になります。

漫画家とエンジニアと英語と塾講バイトがMicrosoftでエバンジェリストにつながります。そののちインフルエンサー、Twitterでフォロワーが6万7,000人になって。その経験もあってインターナショナルチームでアドボケイトとして働くことになりました。

漫画家とアドボケイトのインターナショナルな体験が本の出版になり、『マンガでわかる外国人との働き方』。アドボケイトのインフルエンサーでラスベガスのAdobe Summitにインフルエンサーとして招待されました。ほか松屋公式インスタのモデルとかラジオとか取材とかいろいろやってます。

Adobeのお話をぜひって言われたので言うと、インフルエンサーとしてAdobe社の公式カンファレンスAdobe Summit 2019にインフルエンサーとして招待されたんですね。日本からは私含めて4人で、うち1人が五味ちゃんで。これ、五味ちゃんが作ったワンピースを私が着てるやつで。

そこではインタビューを受けたり。あと世界のツイ廃の認定をされたりしました。

(会場笑)

「トップ10インフルエンサーに日本のツイ廃の力を見せるぜ」とか言って。インフルエンサーかつMicrosoft社員としてAdobe社とMicrosoft社のパートナーシップについてラスベガス現地から日本語でよりわかりやすく発信することが求められた。ということで来たわけですね。だから何がつながるかわからないって話ですね。

3つの点が「面」となり、強みとなる

点と点の話でもう1つ。最低でも3つ点があると良いってことですね。1点だけだと点なんですね。2点だと線になります。3点あると面になる。具体的に言うとエンジニア、漫画家、腐女子っていうのがあって、こう面になった。

この範囲の人たちにリーチできる。もちろん1つの点を突き詰めるのもすばらしいんですけど。点と点がとにかく離れてるほどその中の人とガポッと囲い込めるわけですね。だから点を複数持つというのは本当にすばらしいことだと思います。

まとめ。これからの世界を創っていくあなたたちに伝えたいことは3つだけです。1つはオタ駆動開発、ODDです。好きで打ち込めることを探して。

あなたの人生です。例えば私のお母さんとかがやめなさいとか、20何歳過ぎたら子どもを産みなさいとか、仕事は辞めて適当な男の人を探して結婚して家庭に入りなさいとかって、たぶん彼女たちはすごく自分の価値観に従って良かれと思って勧めてきてる。すごくいい人たちなんですよ。

でも私の人生だから私が決める。「部長が~」「課長が~」とか「旦那が~」「妻が~」とかね。すごくわかるんですよ。すごくわかるけど、でも最終的にはあなたの人生ですってことが超重要。あなたの人生に責任を持つってことです。

あとは自分の心のコンパスに従うといいよっていう。これが私らしく生きるっていうことのすべてです。

ってことで、これで終わりかな。今回の登壇依頼はこんな感じでした。私らしく生きる、キャリアがテーマで。なんでもチャレンジし、そこで出会ったいろんなことを活かしてっていう話が聞きたい。『オタクな私の拡がる世界』っていうことで。

ってことで、私めっちゃいっぱい話したけど、これが最後です。ありがとうございました!

(会場拍手)

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 大変な現場作業も「動画を撮るだけ」で一瞬で完了 労働者不足のインフラ管理を変える、急成長スタートアップの挑戦 

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!