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トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社(全1記事)

世界5億人の尿失禁問題と戦う排尿予測デバイス「DFree」の仕組み

2019年7月24日、AWS Loft Tokyoにて「注目ヘルステック・スタートアップとのエンジニア向けミートアップ」が開催されました。医療・ヘルスケア領域に積極的にテクノロジーが用いられる様になって久しい昨今、日本のスタートアップの世界においても、さまざまな企業が注目を集め始めている。今回は、CureApp、ジェネシスヘルスケア、トリプル・ダブリュー・ジャパン、MICINの4社が一堂に会し、最新の技術動向やキャリアについて語りました。プレゼンテーションに登場したのは、トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 取締役CTOの村木洋介氏。

CTO村木氏の経歴

村木洋介氏(以下、村木):はじめまして。トリプル・ダブリュー・ジャパンの村木と申します。さっそく始めさせていただきます。簡単な流れとしては私の自己紹介・会社概要・DFreeについてですね。その3つを説明させていただきます。

まず自己紹介ですね。

私は2000年から14年間ソニーにおりまして、キャリアの大半はソニーになります。テレビ会議システムってもうあんまり今は見ないですけどね、と言うとちょっと失礼なんですけど。

それからPlayStation3で、私は半導体のCell Processorの量産立ち上げとかをやりました。今日の話とはズレてしまいますが、このCell Processorというプレステ3のゲーム系のプロセッサーって何が大変かというと、ほかのパソコンに使われるCPUなんかと違って最初からすごく高速で。

このスピードで走らせるぞってなったら、絶対それでやらなくちゃいけない。ゲーム機というのはあとから周波数を上げることができないので、最初に量産するときにものすごく大変なプロジェクトなんですね。

あとから出されるコンテンツとか、最初から出されるコンテンツが全部動かなくちゃいけないという。そういうので、月産100万台のプロジェクトをやるのは、ソニーでも大変なプロジェクトでしたね。

当時、久夛良木(健)さんが「3.2GHzで動かすぞ」という声をあげてですね。みんなで「はい!」っていう感じで。3.2GHzといっても普通の常温で3.2GHzじゃなくて、90度くらいに熱したときに3.2GHzで動かさなくてはいけないので。「動いてるのをどうやって確かめるんだ!?」とか、けっこういろいろやったプロジェクトでした。

その次にフローサイトメーターという、これは地味にソニーでまだやってるんですけどね。地味と言うとまた失礼なんですが。これは何をやる機械かというと、細胞を選り分けるんです。

今、再生医療というのが、世の中で人気のある事業になっていますよね。それこそ山中教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞されていたりとかですね。ちょうどその年に出たんですけど、ほしい細胞を採るという変わった機械で。私はそこのシステムとアーキテクトをやっていました。

実際どうやってその細胞を採るのかというと、それはまた別途個別に説明します(笑)。ものすごい高電圧をかけて、急激に減退した細胞を採る感じなんです。

最後にJAIというデンマークの会社ですね。ファクトリーオートメーション用のカメラを作っているところで、CTOをやっていました。

それで今回トリプル・ダブリューに参入しました。ジョインした理由の1つとしては、私の経歴的にウェアラブルってやったことないなとか、小物をやったことないからちょっとやってみたいな、という軽いノリで入ってしまったというのがあります。

世界各国で数々の賞を受賞

トリプル・ダブリュー・ジャパンは、日比谷駅に直結したところにありまして、ゴジラの広場がすぐそばにあります。2015年から始まって、ちょうど今5年目になります。

いろんな賞を取らせていただいて、2017年にはフランスとか海外にも支店を立ち上げて、2018年から本格的に売り始めているところですね。

今年のはじめに、ラスベガスのConsumer Electronics Show(CES)で受賞しまして。そこからオーストラリアや韓国などの海外でもいろいろ引き合いをもらって、世界展開しているところです。

DFreeで排尿タイミングを予測する仕組み

では、DFreeとは何かという説明になりますと、ちっちゃいものなので、私今日こうやって持ってきたんですけどね(ポケットから商品を取り出して見せる)。

こんな感じです。パーソナル向けだとスマホを使ってやるんですけど、こちらの本体を服につけたりとか、ポケットにつけたりとかですね。ポケットの中に入れちゃってもいいです。

ここからBLEでスマホ向けに信号を飛ばします。こっちは中に超音波が入ってまして、このように膀胱のあたりにつけて、その信号を見て、実際に膀胱に溜まったおしっこの量を見て。おしっこが膀胱に十分溜まったら、「そろそろトイレに行く時間ですよ」というのをスマホでお知らせすると。そういうシステムになっています。

もう少し詳しく説明しますと、右にあるのはエコーの画像なので、超音波といっても本当にたくさんの超音波振動子があって、それが100個200個ついた……人間ドックに行かれたことがある方はわかると思うんですけど、ぐりぐりぐりぐりお腹にやって内臓を見るあれですね。あの超音波のエコーの画像で見たのがこっちです。

これは膀胱の画像で、おしっこが溜まっていると、超音波というのは液体はスーっと通るので真っ暗に見えます。ここが壁になってるわけですね。要は内臓だったり膀胱の壁があったりします。

おしっこをすると、ちょうど水風船のような感じで縮んで、ほとんどなくなっているような感じになるんですね。逆に排尿したあとから、おしっこがどんどんどんどん溜まっていくとこんな感じになると。その量の違いを我々のこのセンサーで見ます。

ものすごく簡単に言うと、エコーの機械というのは、ものすごく高価な機械なんですけど、我々はそれを非常に簡素化したデバイスにして、安価に作って、デバイスを使う側の裾野を広げているという。そういう感じになります。

ウェアラブル機器からAWSにデータをアップロード

サービスのラインナップは、パーソナルと施設向けのプロフェッショナルの2つに分けています。

ハードウェア的には一緒なんですけど、サービスがちょっと違います。

個人向けはどういうものかというと、在宅医療やアクティブシニアなどをターゲットにしていて、1台税抜49,800円で販売させていただいてます。施設向けには右下にあるような介護施設があって、その施設で働かれている人が、介護している人のおしっこの溜まり具合をチェックして、必要なときにおトイレに誘導すると。

そんな感じでパーソナル向けはスマートフォンとペアリングして、法人向けは複数のデバイスが中継器といわれるものを通してWi-FiでAWSに飛ばしています。先ほどの個人向けのものも一応AWSを使っていますが、もっとわかりやすいのはこちらの法人向けで、AWSクラウドに飛ばしています。

そこでポピュラーな関数、AWS LambdaやAmazon EC2、Amazon Kinesis、Amazon DynamoDBとか、ひと通りのAWSさんのサービスを使って、膀胱のおしっこの溜まり具合を計算して、それをもってお知らせするというような仕組みになっています。

ここで重要なのはおしっこが溜まっていって、排尿したという周期は個人個人で違うので、それをを日々取っていくことによって、適切なトイレに誘導する時間がわかる用になっています。

ほかにも実はスポットで、見たいときにおしっこの量を調べる機械も存在しています。うちと他社との違いというのは、まず一番はウェアラブルであること。ウェアラブルと一言で言っても、それを作るのはなかなか難しくてですね。

普通の家電と違って、体への装着性とか、いろいろと考えて作らなければいけません。そこが他社にはない強みです。あとは値段ですね。そこらへんが裾野を広げているというところで、うちの強みかなと考えています。

あと、おしっこがどんどん溜まっていく様子を、エコー画像で見てもちゃんと相関は取れていますというのを調べております。

失禁の問題を抱えているのは全世界5億人以上

最後に、マーケット的には尿失禁の問題を抱えているのは、全世界で5億人以上いると言われているんですね。

非常にポテンシャルの大きいマーケットでして。日本だけでも単純な排尿の悩みで、「大丈夫かな?」みたいな感じで悩んでる方だけでも、非常に多い数なんですね。40代からすでに30パーセントいると。

我々のターゲットとしてはアクティブシニアとか、夜尿症の子供とか、言わずもがな高齢者とか、障がい者も含めて、そういう方たちをターゲットにして、日々精進しております。そんな感じでよろしいでしょうか。

司会者:ありがとうございました。

村木:ありがとうございます。

(会場拍手)

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