2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
UI/UXが無意識に検索行動に与える影響(全1記事)
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森山大朗氏(以下、森山):みなさんお疲れさまです。今日はメルカリにお越しいただきありがとうございます。お酒も冷蔵庫の中にいっぱい入っていますので、飲まれたい方は、とくにハイボールがたくさんありますのでどうぞお飲みください。僕の大好きなハイボールが……。
ただ、気づいたんですけど、サントリーの普通の角ハイボールは糖質が入っているんですよね。今ダイエット中なので、「なんでハイボールに糖質入れるねん」と。さっき気づいて、理不尽さに腹立たしいところがあるんですけれども(笑)。
先ほど内田さんが、検索改善のいわゆる一般的な手法というか、ジェネラルなやり方というか、一般解についてガイドラインを示してくださったと思います。僕もまさに、ああいった考え方のフレームワークを使っています。
メルカリに入社したのが2016年11月くらいですかね。そのときは、検索改善する人が僕1人だったんですけど、いろいろチャレンジしてきた結果、いかにしくじってきたかという話をします。「しくじり先生」みたいな感じですね(笑)。でも、だんだん仲間が増えてきて落ち込んでいる僕を助けてくれ始めたよ、という話です。
ちなみにメルカリを使ったことが……ない人はいますか? 意地悪な聞き方(笑)。
(会場挙手)
あ! わりといるじゃないですか! まだまだですね、うちも(笑)。みなさん、ぜひ1度使ってみていただいて。もし不便があったら僕のツイッターにご意見いただければと思います。検索にかかわらず、必ず改善しますのでご意見よろしくお願いします。
一応、この前上場しまして、業績が開示されています。
直近だとYear on Year(前年比)で49.9パーセント伸びていて、まだまだ伸び続けている元気のあるサービスです。
最近、メルペイというペイメント機能をメルカリの中にインテグレートしました。
むちゃくちゃ大変だったんですけれども、なんとかコア機能を出したました。
QRコード決済はまだあまり一般的じゃなくて、ID決済で普通に「ピローン」と、非接触でメルカリで貯まった売上金をポイントに変えていただいて、それで例えば、コンビニとかいろんなところで使えるようになり始めています。ぜひ使ってみてください。
軽く自己紹介をすると、メルカリの検索チームの責任者をやってます、森山大朗と言います。
前職では求人検索アプリを立ち上げて、検索エンジニアとして検索精度の改善などに熱中していました。主に自然言語処理とか機械学習とかを使って新機能を考えたり、作ったりが得意です。
僕がおもしろいなと思うのは、データの力を使って、主に集合知の力を使うと思うんですけど、それでお客様に喜んでもらえるというのが数字で見えたとき。「やったった! 快感!」というところです。やっぱりこれが、僕がこの仕事に就いて「幸せだなぁ」と思う理由です。
ちなみに、絶賛ダイエット中と言いましたが、去年10月に73.8キロまで増えた……あ、73.8パーセントって書いてある。
すみません、間違えました。今は64.3キロですね。でもまだ体脂肪が17パーセントありますね。14パーセントくらいまで落としたいんですけど。ちなみに結果にコミットはしてないです。
(会場笑)
実は、ライザップに行ったんですけど、いろいろ話を聞いていると理論的に整合性がないことがわかったのでやめました。
(会場笑)
部分的にちょっとおかしいんですよ。常に食べているほうがいいと言うんですけど、あれは絶対に違うんですよね。すみません、ぜんぜん違う話をしています。
今日お伝えしたいことは大きく3つ。
まず、1つ目は、メルカリの検索チームがおもしろくなってきていますという話。そして、2つ目は、よく怒られるんですけど、メルカリの検索結果は、Sold商品、もう売れちゃった商品が出ているんですよ。アメリカ出張しても、日本でお客さまにインタビューしても、「邪魔だ邪魔だ」と言われます。常に怒られる。ただ、わざと出しているんですね(笑)。その理由をお話ししようと思います。
3つ目が、いろいろがんばってきているんですけど、いわゆるGoogleとかヤフーを代表する情報検索とメルカリの検索……Eコマースまでは拡張しないですけど、CtoCのメルカリ検索というのは、検索改善の考え方が違うのかなと最近思い始めていて、それがなぜなのかという話をします。これがまさに、UI/UXに関わってくる部分です。
今は、Google、ヤフー、楽天、リクルートなどで検索基盤を作ったり、アルゴリズム開発をしていたようなメンバーがメルカリに集結していまして、『Apache Solr入門』の著者6名のうち、半数がメルカリにジョインしました(笑)。
ジョインしていただいて、大変ありがとうございます。
メンバーはこんな感じですかね。けっこうグローバルになってきています。インドの新卒のメンバーとかも入ってきたり、English Speakerの方とかもいて、みんなでがんばろうとしております。
昨年7月にミシガンの「SIGIR」(シグアイアール)という世界最大級の情報検索学会に行ってきました。すごくよかったですね。日本だと、検索改善に興味があったり、それに携わっている人と会えるとすごく嬉しいんですよ。なんでかと言うと、レアキャラだからですね。
でも海外の人はわりとそういう人がいて、みんなで機械学習を作って、「検索でこれをするんだ」とか「なんでうまくいかないんだ」みたいなことばっかり言っています。なんか微笑ましいですね。(同じ考えの)民族がいたんだみたいな感じです。
2019年、今度はフランスであるらしいので行ってみようと思います。メンバーのうち何人かは論文も出したりしているので、通るといいなぁなんて思っている次第です。
では、2番目ですね。先ほど言った「Sold商品がなんでメルカリに出てんの? 邪魔なんだけど」という話の理由をお話ししようと思います。
(スライドを指して)これですね。Nintendo Switchで検索した結果の中に、もう売れちゃっているものがある。
邪魔だから消してみると何が起きるかと言うと、全KPIがすべて下がります。並みの勢いじゃないですよ。出品転換率、つまり1人のお客様が出品行動を取ったという行動も減るし、買ったという行動も減ります。
その結果、結局取引総数も取引総額もすべて下がって、負のスパイラルに入る。それで慌てて元に戻すというのを、実はUSとJPを合わせて、4~5回は繰り返しているんじゃないかと思います(笑)。
いったい、なぜなのか? 長らく謎でした。ちなみに創業者の山田進太郎は「ユーザーインタビューとかで、邪魔だからと言われているので消してもいいですよね?」と言われたとき、「いや、俺はあったほうがいいと思うけどね」と言ったそうです。
「なんか知らないけど、あったほうがいいと思う」と言ったと。3年前くらいですね。直感的にわかっている感じでした、あの人は(笑)。予言していたんです。
僕は「こういうことなんだろうな」という仮説があるんです。検索改善をしていて、僕がうまくいったときというのは、必ずさっきの購買転換率が上がるんです。
「やった! 検索結果がよくなって統計上有意に買う人が増えた! 買う数が増えた!」と思うと同時に、出品する人も増えるんですね。「なんで検索改善しているのに出品する人が増えるんだ? 俺は出品を増やそうとはしていないんだけど」と思っていました。
結局、行き着いた答えが「出品しようとしたときに検索してるんだ」ということです。つまり、買おうとする人もいるし、売ろうとする人もいる。Nintendo Switchを持っている人が売ろうとしたときに、「Nintendo Switch」と検索して何を見ているかという話ですね。
そのときに見ているのが、実はSoldアイテムなんです。なぜかわかりますか? 検索結果に飛んで、どういう本文の書き方をしているのかとか、どういう写真を撮ってるのかみたいなところを参考にしていると思います。
ただ、一番大事なのは値付けですね。「いったい今、いくらでNintendo Switchを売ることができるのか?」が知りたいんですよね。そのときSoldアイテムが検索結果になかったら、「あれ、売れないのか?」と思うかもしれないですね。いっぱい出ているけど、売れてないなあみたいなことです。
なので、買いたいと思っている人の目線と売りたいと思っている人の目線は、光と影の関係みたいな感じです。同じ検索結果、UIの中に同居しています。なので片方だけを見て部分最適を施すと、それで幸せになる人もいるんですけど、不幸になる人もいるという副作用が必ず起きる。
「メルカリってどういうアプリなのか?」という、そもそもの存在意義ですね。なんのアプリかと言うと、マーケットプレイスなので、お得な値段で欲しいものが買えたりします。
でも、もっと言うと、メルカリの存在意義は、売ったらすぐ売れるアプリなんですね。だから、USでも「Mercari Selling App」と言っています。これは売るアプリだ、売るアプリだと、すごく研ぎ澄ましたメッセージでマーケティングをしています。
なので、まずは売っていただいて、たくさんお得な商品……自分にとっては必要なくなったけれど、誰かにとっては価値のあるものがたくさん増えてくると、それを買おうかなと思っている人たちの選択肢が増えてくるわけです。
そうすると、売った人が売れるので売上金が入って、その人もポイントがあるから買ってみようかなというふうに、今度は買い手に回る。こういう循環がメルカリのいいスパイラルなのかなと思っています。
僕とかほかのプロダクトのメンバーが、過去にSoldアイテムを検索結果から消したことで、よかれと思ってやったことが裏目に出て。すべてのKPIが下がり続けたという負のスパイラルに入ったのは、たぶんそういう背景があるのではないのかなというのが、今の僕の見立てです。
結局どういうふうに折り合いを付けたのかと言うと、去年の10月に、(スライドを指して)この「販売中のみ表示」というチェックボックスをこのあたりにピコっと付けました。
Twitterで話題になって「探しやすくなったな」「メルカリ恐ろしい子……」「だから最初から俺をコンサルにしておけば」みたいな(笑)。そうは言っても喜ばれましたね。
こういう背景があるというお話でした。検索結果のUIひとつとっても、サービスによって固有の問題がそこに必ずあって、それをちゃんと解かなければならないのだというお話でした。
最後に情報検索とメルカリ検索は検索改善の考え方がちょっと違うかもしれません、という話をします。先ほど言ったように、個別の課題がそこにある限り、何をもってこの検索結果がいいとか悪いとかを評価するのか、という考え方も工夫しないといけないですね。
(スライドを指して)これはすごく昔、僕が入社した直後のメルカリのMacBookの検索結果です。こんな感じだったんですよ。やばくないですか?
(会場笑)
これはさすがにやばい。具体的には言いませんけど、力強い方々がたくさん出品した結果ですね(笑)。すごくフェアじゃない検索結果になってしまって、荒れ放題。このときはたぶん、検索改善している人がいなかったので荒れ放題でした。
僕は当然のように、関連性、レリバンシーを高めることで、MacBookの検索結果のCTRを4.5倍にしました。当たり前ですよね。かなり改善して「やったぁ!」みたいな。当たり前ですね。すごく簡単な改善です。
でも、荒れていない検索結果もけっこうあるんですね。当時で言えば「シャネル 香水」とかで、関連性を高めたらこうなるんですけど、おなじアルゴリズムなのに、こっちはCTRが10分の1になったんですよ。なぜかわかりますか? わかる人、います?
(会場を指差して)僕の元後輩がいるので聞いてみます。わかります? 想像つきます?
回答者1:わからないです。
森山:わからないですよね。あ、どうぞ。
回答者2:同じアイテムがたくさん入っているから。
森山:スライドの右のほうは、同じアイテムがたくさん入っていると。左のほうがもっと多様性があるということですね。その要因もあるかもしれないですね。
回答者3:単価が高いから。
森山:単価が高いと。高いですか? 正確にはわからないですけどね。
回答者4:右側だと意思決定がすぐにできて、左側のほうは多様性があったりして、中を見てみないとわからない状態だったのかなと。右だとシャネルの香水がちゃんと出ていますし。その画面だけで次へ行く必要がなくなった感があるなと思いました。
森山:なるほど。ありがとうございます。
回答者5:たぶん、左のほうが「自分はこれを探していたんだけど、実はこっちもちょっとよさそう」みたいに目移りして、それを買いに行けるというか……右だと、みんな揃っているので、そのものを買ったら離脱しちゃう、ということがあったのかなと思いました。
森山:ありがとうございます。ほかに、なにか仮説をお持ちの方はいらっしゃいますか?
回答者6:一番アホみたいなことを言っちゃうんですけど、たまたまではないですか? 分母・分子がわからないのでなんとも言えないんですけど、このシャネルの香水というのも、何回検索された結果のうちのCTRなのかもよくわからないですし。
あと、荒れていない検索結果といっても、どのくらい集めてきて、その全体傾向としてCTRがすごく下がっているのかも、まだスライドを見ていないのでわからないですけれども、これだけ見ると、もしかしたらたまたまだったりするのかなと、ちょっと思っています。
森山:鋭いご指摘、ありがとうございます。数字の測り方がおかしかったんじゃね? みたいなところもあるかもしれません。
回答者7:たぶん、左側が「並べ替え」というのが一番上に出ていて、右が「おすすめ順」になってて、その並べ替えというのを見ると押したくなって、それを押してあげることでいろいろと見方を変えて、自分で選択した気になって実際に押す。そして、商品のほうもクリックするようになったんじゃないかなという気がしています。
森山:なるほど。以前は「並べ替え」というのがデフォルトで出ていて、今は「新着順」です。表示するラベルによって、ちょっと行動が変わるんじゃないかというところもあるかもしれないです。
回答者8:左が、サンプルがわりと多くて、右は本物の商品ですよね。サンプルだと購入しやすくて、まず試してという人が多かったんじゃないのかな。
森山:着眼点として鋭いですね。確かにサンプルは、わりと出品されているんですよね。試供品を使ってみたけど、いりませんみたいなことですね。
回答者9:シャネルを検索した人は、必ずしもシャネルを欲しいわけじゃないとか?
森山:お! なるほど。
回答者9:左側は、シャネルで検索した人が欲しくなるものが出ていて、右側は本当にシャネルが欲しいという違いなのかなと思いました。
森山:「シャネル 香水」というキーワードの意図には、もっといろいろあるんだよということですね。香水だけどシャネルじゃない、みたいなものもあっていいじゃないかみたいなことですかね。
回答者10:もし左が新着順で出ているなら、「シャネル 香水」というキーワードでずっと検索していて、新しいものだけを見るとCTRが10分の1くらいになる。右はもうすでに全部見ているみたいなことでしょうか?
森山:かなり近づいてきました! じゃあ、このあたりで締め切ろうと思います。ぜんぜんヒントを与えていないので、当てるのはなかなか難しいと思います。
森山:なぜかと言うと、CMで草彅くんが「メルカリでは、冬物のコートが3秒に1着出品されているんです」と言っていたんですね。3秒に1着出品されているって、頭おかしくないですか? さすがにシャネルの香水は、3秒に1つとは言いませんが。
これ、静止画で見ているとどっちも「シャネル 香水」というクエリに関して、そこそこ関連性が高い検索結果なんです。ただ、左側のほうが関連性を多少犠牲にしてでも新着性を保っている検索結果なんです。関連性をある程度保ったうえで、破壊してはいない状態。
一方で右側は、もっと関連性にこだわっているんです。ぴったりのものをなんとしても検索の上位に出さなければいけないんだ! というモチベーションで作ったアルゴリズムです。その代わり、新しいんだけど関連性的にはスコアが低いものは、上にはアップデートして出てこない。
つまり、左側は何回も何回も更新すると、その都度上から新しいものが出てきます。でも右側は時が止まっているというか(笑)。実は更新性が低いんですね。なので、それが理由です。メルカリにおいては新着性が超重要なんですね。
また、非常に特徴的なことをお話しします。
イメージしてほしいんですけど、スマホだろうがPCだろうが、Googleやヤフーの検索結果は、上位……ちょっと足りないな……10個のうち、まあ1位から3位くらいのところに関連性の高いものがあって、それをクリックして外側に飛んで、それでぴったりだったら終わりじゃないですか。
プログラミングしていて、バグでハマって、「なんだよ、これ?」と言って、そのバグを検索して、Stack OverflowとかQiitaをクリックして、それで解決できそうだったら、それで終わりじゃないですか。
インターフェースからして、最初は上10個しか出ないし、10個目は見てもらえない。だから、Googleやヤフーは、上から3つくらいになんとしても関連性のあるものを上げなきゃいけないんだというモチベーションに溢れているんですね。
でも、Qiitaとかにランディングしてみると「2016年の記事です」とか書いてあったりするじゃないですか。古かったりして、使えないじゃんみたいな場合もあるんですけど、そこはそこまで重要じゃないということですね。
しかし、メルカリは違います。メルカリはそもそも、上から10個が縦に一列に並んでいるわけではないんです。今で言うとファーストビューで3×4個で、12個の写真と値段が目に入ってくる。
しかも、お客さんは速攻でスクロールするんですね。下までバーッといくんですよ。文字じゃないので、読んでいるというより、眺めているんですね。
それで、なんとなく目についたものをタップしたり、また戻ったりを繰り返しています。これが無意識の領域でも大きく違うと。
だとすると、先ほど内田さんが説明してくださった「Normalized Discounted Cumulative Gain」、つまり「クリックされそうなものをなるべく上に出している検索結果ほど、いい検索結果なんだ」という話だと、上の順位にいるほどスコアが高く、下に行くほど減衰していくというか、スコアを削っていくんですね。
ディスカウントしていくこの曲線は、Googleの場合です。CTRが1位と3位では3分の1以下と、激しい減衰ラインを描くんです。
いろいろ調べたんですけど、メルカリの場合はもっとこんな感じで、Googleよりも減衰ラインが緩やかです。なので、そこまで並び順に神経質になりすぎなくてもいいんだということが途中でわかってきました。
なので、一定の関連性を保ちつつ、新着性を確保する必要がある。適切なものを上に上げることにこだわりまくるよりも、絶対にダメなやつをふるい落としていくような考え方で、発想を転換したほうがメルカリはいいのかもなと思ったりしました。
なので僕の頭の中で検索結果を構成する要素と、その優先順位はこの順なんです。
「Freshness」「Recall」「Precision」の順ですかね。新着性は、アップデートがどんどん川の流れのように、新しいものがどんどん出品されていく状態。そのリズムを止めず、どんどんアップデートされている状態を確保します。
そうはいっても検索なので、再現率も重要です。クエリに対して必要かつ十分なドキュメントを、どれだけ多くお客様に表示することができているのか。
そのうえで、並び順ですね。なるべく上に来たほうがいいに決まっています。そうは言っても、さっきのひどかったMacBookの検索結果の話もあります。あれは、そもそも出品の時点でせき止めてしまうというか、処理をしてしまって、検索結果をきれいにするという考え方もあるんですけどね。
情報検索とメルカリでは、ちょっと違うねというところが各要素であります。あとは、何人かの方がおっしゃった多様性みたいなもの。Recallを考えるときに、メルカリやECだと、ついで買いみたいなものもありますからね。
なんて言ったらいいのかな……化粧品とかでは、欲しいと思っていたものをそのままダイレクトに買わずに、似ているものを買ったりということがよく起きるらしいです。そういったセレンディピティ的なものを、どれだけ意図的に仕込んでいくかですね。
あとは、同義語拡張、synonym拡張みたいなものを、どれだけ大規模に自動でやれるかもけっこう大事なんじゃないかなと思います。
ということで、以上です。最後に、メルカリの検索チームに興味のある方は、ぜひご応募ください。一緒に働きましょう。
Soldアイテムは本当にごめんなさい。わざと表示しております。なので、ご了承いただければと思います。メルカリらしい検索改善と評価手法を開発中ですので、ぜひみなさん、一緒に考えていただければと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:ありがとうございます。ちょっと押していますが、質問等がありましたらどうぞ。
(会場挙手)
質問者1:先ほどのシャネルの香水の件なんですが、あれは結局、関連性が高すぎて新着性が失われたからCTRが下がってしまったというのは、どういうアプローチで気が付いたのかなというのが知りたいです。
森山:香水で気がついたわけではなかったかもしれないですね。ファッション系の売上……総取引額でファッションの取引額が多いんですけど、ぜんぜんアップデートされなくなったというのに気づいたんでしたっけ……。
あ、わかった!思い出しました。
「ストライダー」って知っていますか? 子供が自転車に乗る前に、ペダルのないちっちゃい自転車みたいなのに乗るんですけど、それが流行っているんです。メルカリの中でもよく売れているんですよ。それなりに値段がするわりには、必ずいらなくなるものなので。
僕は娘が2人いるんですけど、「そろそろストライダーいいね」と言って、メルカリを見ながら「買っちゃおっか?」と。しかし嫁が「え~でも~」とか言うので、なかなか手間取っていたんです。
そうしたら、(出品されていたのが)売れちゃったんですよ。それで、ケンカしたんです、嫁さんと(笑)。「お前がごちゃごちゃ言ってるから、売れちゃったじゃないの!」と。
それから、もう1回見ていて、5分くらい経ったらまた出てきたんですよ。さっき見たようなお得感のあるものが。そのときに「あ!」と思った覚えがあります。「そういうことか!」と。
だって、例えばですよ。六本木の周りでおいしい焼肉屋を検索して、5分後にもう1回「六本木 焼肉屋」と検索したときに、検索結果が変わってることを期待しないですよね? そんなことになったらおかしくないですか(笑)。
でも、メルカリはそうなんです。無意識に、暗にそういうことを求めて検索している。なので、そういったところがおもしろいなと思います。ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。
(会場拍手)
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