2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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石田真康氏(以下、石田):冒頭で岡田さんが言っていた宇宙空間のGDPということについて、もうすこし聞いてみたいのですが。
今は基本的に、どちらかと言うと、衛星と衛星から返ってくる地上で起きる経済圏という話だったと思います。岡田さんはかなりいろいろな国へ行って、いろいろな宇宙関係者と話していると思いますが、これから世の中的にはもっと宇宙に行く人が増える。
宇宙旅行がもっと増える、宇宙ホテルができるといったように。さっきのトランプさんの話では、月に1回人類が戻っていくという、どちらかと言うと人類が宇宙に出ていくほうの経済での議論が多いと思っています。ここについては、岡田さんはどのように見ていますか?
岡田光信氏(以下、岡田):人類が宇宙に出ていくことについて、SFであると捉えるのか、現実であると捉えるのかで言うと、たぶん我々は今どの企業が何をしているかということをだいぶ知っているわけですね。それがリアルであることは、たぶんわかっていると思います。
あとは、やはり技術的な困難がたくさんあります。有人と無人では安全率がぜんぜん(違う)、10の何乗倍違うんですね。そこをどう越えていくかということです。
ちなみに、宇宙飛行士は今まで何人いるかご存知ですか? 550人なんです。その過程で、宇宙で何人が亡くなったかご存知でしょうか? 想像できますか? 実は、17人が亡くなっています。つまり、3パーセントが死ぬような交通機関はダメなわけですね。それが今までの限界です。
では、これから1万人10万人を宇宙に送っていこうということを考えたときに、その安全率じゃダメなわけです。ただ、それに果敢に挑戦している方々はたくさんいます。
先ほどSpaceXはご存知だとおっしゃいましたが、Amazonのジェフ・ベゾスが作ったBlue Originという会社は、たぶん今、最も注目すべき宇宙の会社の1つだと思います。
ハーバードビジネススクールで宇宙に関するケーススタディが2つ出たのですが、1つがBlue Originで、もう1つはうちの会社です。今のはちょっとした自慢ですが(笑)。
(会場笑)
岡田:Blue Originの工場へ行くと、見たことがないくらいでかいロケットがあります! フェアリングと言いまして、またちょっと専門用語ですが、宇宙のロケットの頭のところに帽子みたいなものがあるでしょ?
あそこの中に衛星などが匿われているのですが、たぶん私が今まで見たもので一番大きかったのは、直径5.5メートル。たぶんArianespaceのロケットが一番大きかったんですよね。5.5メートルの中にはかなり大きいものが入るのですが、大型衛星2つぐらい入ります。
Blue Originのものは直径7メートルはあったんですね。これは単純に1.34倍だと思いますが、体積でいうとその3乗倍ですから。やばいです。月面に10何トンいっぺんに持って行けます! というような。
工場持って行けますね!? という感じになってきます。もうそういう時代が来るんですね。だから、かなり大きくインフラの整備が変わるんじゃないかと思います。
石田:なるほど。ありがとうございます。
石田:せっかくなので、もうここから質疑応答に広げちゃって、もうちょっとインタラクティブにできればと思いますが。なにか質問がある方はいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
石田:では、2周くらいはいけると思うので、まず順番に1、2……。最初の2列の4名の方バーっと質問をお1人ずつ教えていただいてもいいですか?
質問者1:別の会社に勤めてAIをやっています。みなさんは、宇宙旅行と宇宙ホテルについて、5年後10年後に、だいたいいくらぐらいで行けると思われますか?
石田:金額ですか。わかりました。1つ目。
質問者2:SPACETIDEも5月に行かせていただきまして、すごく楽しませていただきました。
石田:ありがとうございます。
質問者2:私も将来、宇宙ビジネスに関わりたいと考えておりまして。宇宙ビジネスのテクノロジーとは関係がないかもしれませんが、今後宇宙ビジネスに携わりたいと思っている者として、今日の御三方が「こういう人と働きたい」という人材がいれば、ぜひ教えていただきたいと思います。
石田:ありがとうございます。どういう人と働きたいかですね。あとちょっと待ってくださいね。あれ? 誰が(手を)挙げたかわかんなくなっちゃった(笑)。じゃあ2列目の方。
質問者3:よろしくお願いします。あすか会議の前回か前々回ぐらいですかね。宇宙ビジネスはハイリスクローリターンだということを誰かが言われたかと思いますが、それは今も変わらないのか。どんどん変わってきているよということがあれば教えてください。
石田:ありがとうございます。ひとまず質問だけダーっと受けちゃおうと思いますので。
質問者4:大変興味深いお話をありがとうございました。いろいろな業界からコラボレーションのお話が来ていると思います。どのような観点で組む企業を選ばれているのか、どういった会社と組みたいかなど、なにか思いがあれば教えてください。
石田:どういう企業アライアンスがしたいか、どういった基準で考えているのか。はい、どうぞ。
これ、質問を受け付けているだけで時間が終わっちゃうけど、大丈夫かな(笑)。
質問者5:今日はありがとうございました。私は素材メーカーで働いていまして、地上の技術について聞きたいのですが。
石田:地上の技術ですね(笑)。わかりました。
質問者5:ロケット、宇宙、衛星といったところで、これからこんな素材があればいいなという夢のような話があれば聞かせてください。
石田:はい、了解しました。
石田:では、1回ここでみなさんに答えていただこうと思います。質問は5つですね。宇宙旅行、ホテル。どういう人たちと働きたいか。ハイリスクローリターンは変わらないか。どういった観点で企業とアライアンスを組んでいるか。どんな素材が必要か。
1個ずつ聞いていきたいと思うのですが。まず宇宙旅行、ホテル。5年後の金額はこれくらいになるんじゃないか? 誰が答えますか?
岡田:いいですか? 金額で答えるよりも、トレンドを言ったほうがたぶんいいと思います。宇宙業界は、航空業界の50~60年後をずっと追っています。
航空業界は、ライト兄弟が1902年に飛んで、軍事技術として第1次世界対戦、第2次世界大戦があったことから伸びて、45年に終戦を迎えるときにはもう複数の国が航空技術を持っていました。そのあと政府と民間が(力を)合わせて旅客機を作りだして、1953年ぐらいから旅客機で飛ぶということが始まっていったわけです。今現在、のべ20億人が飛んでいると。
宇宙は1957年にスプートニクという初めての人工衛星が生まれて、そのあと軍事技術、米ソ月競争。それからデカダンを挟んで米ソ冷戦。軍事技術として宇宙技術が伸びました。
89年の冷戦が終わったときには、複数の国が衛星技術を持っていて、そのあと官と民で必要な人工衛星、例えば放送衛星、GPSや通信衛星、気象衛星などを作っていきましょうという時代があって。ようやく今、宇宙旅行がパラパラ始まっている。
もうね、本当に同じパスなんですよ。ですから、最初は高いと思います、海外旅行に初めて飛行機で行った人のように。それは俄然下がっていくと思います。いくらかというのはわかりませんが。
石田:(この回答で)満足ですか?
石田:では中村さん、せっかくなのであと4つの質問をそれぞれ中村さんの視点で。どんな人と働きたいか……。
中村友哉氏(以下、中村):あ、全部答えるのね(笑)。
石田:白坂先生にも聞きますから(笑)。どんな企業とアライアンスを組みたいか。あと、衛星が作られる中で、どういった素材などに着目しているか。この3つぐらいがいいかと思いました。
中村:はい。予想外の振りでしたが(笑)。 まずこういう人と働きたい。かなりの宇宙好きが集まってくるということがあったりしますが、我々「宇宙好きです!」と主張されると、逆にちょっと引くという(笑)。
やっぱり、我々は趣味でやっているわけではなくて、ビジネスでやっているので。要は、ちゃんと冷静に判断できないとダメだと思っています。もちろん、好きなのはぜんぜんかまわないのですが、やっぱりそれをやるためには、宇宙って本当にいいんだろうか? ということをちゃんと疑える人がいいと思いますね。
ただし、宇宙の可能性、ビジネスの可能性をすごく信じていて、そこにパッションがないと、宇宙はなんだかんだいってやはりリスクが高いですから。それを許容してでも「でも自分はこれをやりたいんだ!」というパッションを持っている人が一番だと思っています。
中村:次に、ハイリスクローリターンのままか? という話だと思いますが。これは大きく変わってきていると思います。ハードウェアをいじるとどうしてもリスクが高いということになってしまいますが。
さっきも私、ちょっと話をしましたが、我々がデータを提供することによって、これがプラットフォームになっていく。それを活用したビジネスというのも、一種の宇宙ビジネスなわけですね。
最初にOrbital Insightという会社を知っていますか? という石田さんの振りがありましたが。Orbital Insightは一般的に宇宙ベンチャーだと見られているのですが、彼らは衛星を持っていないんですよ。
衛星の会社からデータを買ってきて、それに付加価値をつけて販売している会社なんですね。じゃあそこはハイリスクか? と言うと、まあそういうわけではありませんよね。あるデータを持ってくるだけだから。
そういったプレイヤーが、今後どんどん増えてくると思いますので、そういう観点からするとハイリスクではない。つまり、その宇宙のデータを使って、いいお客様を見つけることができれば、それはおいしいビジネスになるわけですから。
そういった意味では、ハードルは下がってきているというのは間違いありません。ここ数年で大きく変わってきていると思います。
どんな企業とアライアンスしたいかということに関しましては、別に我々は選り好みをする気はありませんので、どんな企業とでもいいのですが(笑)。やっぱり「宇宙使ったからこういうことができたよね!」という事例を一緒に作っていけるような会社を見つけていきたいなと。
そこと組むことによってそれが横展開していくということもやはり期待されますから、地上ではできなかった、宇宙を使って初めてできたという事例を一緒に作ってくれる会社とアライアンスしたいですね。
あと素材に関しては、宇宙というのは環境が非常に厳しいところがあるので、やはり軽くて丈夫で吸湿しないなどですね。細かいことを言い始めるといろいろあるのですが、伸び縮みしないといったように。
そのために妥協としてアルミを使っているというところもあるのですが。複合材みたいなもので、アルミに替わる軽量な素材が出てくれば、やっぱり欲しいと思います。
たぶん、そんなに簡単には出てこないとは思いますが、そういった新しい素材に関しては、実は期待しているところはありますね。
石田:白坂先生、今との差分でこの質問だけはぜひ補完しておきたいというものがあれば。
白坂成功氏(以下、白坂):ここから差分を取るのは難しいですが(笑)。やっぱり近いんですよ。宇宙ビジネスをビジネスと捉えてパッションを持っている人というような印象です。今、ベンチャーだとやっぱりありとあらゆる分野で足りません。本当に人が足りないです!
宇宙のベンチャーの人はみんな必ず言いますが、人手がぜんぜん足りなくて、エンジニアも足りないですし、データサイエンティストはまったく足りない。ビジネスを作る人たちもぜんぜん足りない。今、世界中から人を集めています。そんな感じです。
ハイリスクローリターンも、今中村さんがおっしゃったとおりですごく変わって来たと思います。とくにここ1、2年の変わり方は激しいじゃないですか?
みなさんご存知のとおり、国が1,000億(を宇宙ビジネスに出資する)など大々的にいろいろなものをやってくれています。ですから、リスクもかなり小さくなってきましたし、技術もマチュアになってきたものもたくさんあるのでかなり変わったと思います。
どんな企業と組みたいか? 我々もどこでもいいのですが、グローバルでないとやっぱり一緒にやっていけないので、まずはグローバル企業と、グローバルにやれる人たちと組みたいです。
人工衛星を持つとほうっておいても地球の周りを回っちゃうので、日本だけということはもうないんですよね。基本世界とやるので、世界と一緒にやってくれる企業さんでないとやっぱりきつい。
素材もやっぱり、今のように軽くて丈夫で帯電しない、熱に強いなどがあります。基本、地球で作るのを早くやめたいです。重力から抜けることが無駄すぎるので。
構造体を強くする理由は、基本的にはローンチャーで上げるために耐えるためだけですから。宇宙空間の無重力になればもういらないので。あ、アストロスケールさんは別ですが。自分で軌道を変えるので、そこでいろいろと加速度がかかるので別です。
基本的には、宇宙空間で我々がやっていることは、ほとんど重力がないところで飛ぶと、もう紙でもいいんです。位置さえちゃんと保ってもらえればいいので、本当は宇宙で作りたいのですが。
3Dプリンタもやっぱり、重力がないとうまくいかないものがあったりします。インクジェットも重力をベースにしているところもたくさんあるから意外と難しい。ですから、我々も早く宇宙で作って、宇宙で出せるようにしたいですね。そんなところです。
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