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「トレタ」の目指す、飲食店の生産性革命(全2記事)

飲食店の予約情報は、9割の確率で当たる未来のデータ 他産業にも活用可能な“需要予測データ”の価値

2018年10月5日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて「MFクラウド Expo 2018」が開催されました。これは、最新のクラウドサービスの紹介を通じて、経営課題を解決したいリーダー層へのヒントを提供することをテーマとした、株式会社マネーフォワードの主催による大型イベントです。本記事では、株式会社トレタ 代表取締役の中村仁氏によるプレゼンテーション「『トレタ』の目指す、飲食店の生産性革命」の前半の模様をお送りします。

「食の仕事を、おもしろく」に全力を注ぐ

中村仁氏:こんにちは。ご紹介いただきました、株式会社トレタの代表を務めております中村と申します。ただいまから、お時間を40分ほど頂戴して、「トレタが目指す飲食店の生産性革命」というタイトルで弊社の取り組みについてご紹介させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

最初にお聞きしたいのですが、この中で飲食関連に従事されている方はどのくらいいらっしゃいますか? いらっしゃったら、手を挙げていただけますか。

(会場挙手)

ありがとうございます。あまりいらっしゃらないようなので、業界の外のかたにもおわかりいただけるような説明を心がけたいと思います。よろしくお願いします。

では、弊社の紹介から。弊社は「食の仕事を、おもしろく」というミッションを掲げて事業を展開しています。この「食の仕事を」というところが肝でして、「飲食店で働くかたがたの仕事を、いかにより良いものにしていくか」というところに、とにかくすべてのリソースを注いできました。

具体的になにをやっているのかと言いますと、飲食店向けに「予約/顧客の管理をクラウドでやりませんか」とご提案をしています。創業は2013年7月、現在5年くらい経ったところです。従業員は約130名、これまで約31億円を外部から調達しております。

具体的に我々の取り組みをお話しさせていただく前に、業界外のかたがたくさんいらっしゃるようなので、まず外食産業の課題について、軽く共有をさせていただこうと思います。ここ数年、様々なメディアで取り上げられている、外食産業が抱える課題には大きく分けて2つあります。

(スライドを指しながら)それが、これです。まず「人材不足」。そして「労働環境の過酷さ」。言い換えれば労働環境の「ブラック化」ですね。この2つが、飲食店の課題として主に語られることです。実際、これを裏付けるような数字がいくつかありますので、ご紹介します。

飲食業界が抱える構造的な問題とは

まず、「欠員率」。これは、厚生労働省が出している調査の結果なんですけれども、この「欠員率」とは、「求人を出すけれどもその求人が流通しない、人が採れていない状態がどのぐらいか」を示すものです。全産業の平均が2.4パーセントなのに対し、外食・宿泊は5.4パーセントと、だいたい倍ぐらい。倍以上の水準で人が採用できていないということです。

2つ目のデータです。これは、「疲労の蓄積度」つまり「疲労が蓄積している従業員がどのくらいいるか」を示すデータです。これも出典は厚労省です。これを見ると、全産業の平均が8パーセント程度なのに対し、外食・宿泊は倍近い14.7パーセント。ほかの産業と比較して、「倍くらい疲れています」ということですね。

加えて、残業が多いことを示すデータもあります。これも出典は厚労省です。自営業と法人で別々に調査されていますが週60時間以上残業しているお店または法人は、全産業の平均に比べてそれぞれ倍、もしくは3倍も存在している。

さらに、休みも少ない。企業平均年間休日総数の全産業平均が108日に対し、外食・宿泊は約97日。つまり、月に1日分ぐらい「休みが少ない」という状況になっています。

続いて、株式会社シンクロ・フードが、飲食業界で働く方々の待遇面における満足度を調査した結果です。これを見ると満足度が「低い」と回答した方が過半数いる、とあり、勤務時間、休日数、休暇の取りやすさ、給与など、すべての項目で満足度が低いことがわかります。こういった様々なデータから見ても、労働環境に問題がありそうだぞ、ということは間違いなさそうです。では、これはそもそもなにが原因でこうなっているのかという話ですが、結局のところ、突き詰めていくと「生産性」という言葉に行き着くのですね。この、「人材が足りない」という話と「ブラック化している」という話の2つ。これらはあくまでも結果的に表面化している現象に過ぎなくて、対症療法的に直接この2つを解決しにいこうと思っても、できることには限界があります。

「じゃあそもそもの原因ってなんなんだ?」と言うと、これがつまり「生産性の低さ」なんだと。これが我々の理解です。生産性が低いが故に、労働環境がどうしても過酷になってしまう。たくさんの人を雇って、長時間、安く働いてもらうみたいなことになって、職場環境のブラック化につながっていきます。そして労働環境がブラック化していけば、人が流出していく。新しい人も入ってこないという状況になる。人が足りなくなれば生産性の低下は加速し、労働環境はさらに過酷になっていく。飲食業界はこうした悪循環の中にあるわけですね。

飲食の業界が元気だった時代

この生産性については、総務省がデータを公開していますので、それを見てみましょう。(スライドを切り替えながら)これは総務省の「(統計)ダッシュボード」で、誰でもオンラインで参照可能です。

このグラフについて説明すると、まず横軸は「稼ぐ力」ですね。右にいけばいくほど、稼げている。縦軸は「雇用吸収力」です。上にいけばいくほど、雇用をたくさん生んでいる、ということになります。そしてこの2軸の上に、各産業が一つ一つ、黒い点でマッピングされています。つまりこれは、「それぞれの産業がどれぐらい雇用を生んでいて、どれぐらい稼げているか」ということを示すグラフなんです。

外食がどこにいるかというと、(スライドを指しながら)上のちょっと外れのところにポツンと赤い点が一つありますね、これが外食です。これを見ればおわかりのように、縦軸、つまり雇用吸収力ではダントツ上の方に位置しながら、一方で横軸、つまり収益性についてはほぼゼロの位置にあります。つまり外食というのは、すごくたくさんの雇用は生んでいる一方で、ほとんど稼げていない産業なんだと。これはまさに、「人海戦術でやっている」ということを如実に示しているグラフだと言えると思います。

では、「飲食って、昔からこうでしたっけ?」というと、実はそうではなかった。昔、飲食がすごく元気で、すごく成長していて、すごく儲かっていた時代がありました。それはいつかというと、この時代です。1970年から80年代半ばにかけての15年間。この15年間というのが、外食が1番元気で、1番成長していた時代です。

戦後から1970年に至るまで、外食とはパパママでやるような、いわゆる「家業」「生業」でした。それがこの1970年からの15年間で一気に産業化した。飲食業が外食産業に変わるという、そういう変化が起きたのがこの15年です。この15年で、外食産業の市場規模は7兆円から21兆円にまで急拡大します。

そして、マクドナルド、吉野家、すかいらーく、ロイヤルホスト、あとはワタミなどに代表されるような大規模な居酒屋チェーンが一気に出揃ったのもこの15年なんですね。この時代にに登場した企業は、今でもこの外食産業においても大手としてトップに君臨している。そういう企業が続々と登場した時期でもあります。

革命の15年と失われた30年

なぜこの時期に、7兆円だった市場規模が3倍の21兆円まで成長したのか。そしてなぜこの時期に、こういう企業が続々と登場したのか。この変化を遡っていくと、POSレジの登場にたどり着きます。1970年にアメリカでPOSレジが開発され、これが日本に持ち込まれました。ここから飲食店の経営がガラッと変わったわけですね。

POSによって、飲食店は商品の売上をデータで分析できるようになりました。オーダーのハンドリングも、非常に効率よくできるようになったので、大箱の運営ができるようになった。チェーンオペレーションも可能になった。つまり、「POSレジの登場」というものが外食の在り方を一変させてしまったわけです。

だから我々は、この15年の激変を「POS革命」と呼んでいます。このPOS革命で外食産業は一気に変わりました。ですが、問題はその後です。外食を大きく進化させたPOS革命のあとは、それと匹敵するような「ITツールによる業務革命」というものが、外食では30年間1回も起きていないんですね。POS革命が終わった80年代半ばから現在までの約30年。飲食店の現場オペレーションはほとんど変わっていません。

実際、今でも飲食店の現場を見に行くと、80年代半ばとあんまり変わらないんです。確かにPOSはあるんですけど、例えば食材を発注するのにどうしているかというと、いまだにファックスのところが多いんですよ。

もちろん、「予約の管理」とか「顧客の管理」も紙のノートですし、シフトも紙に書いていたりするわけですね。飲食業界には、そんな80年代とあまり変わらないやり方をしているお店が、まだけっこう残っています。我々はこれを「外食の失われた30年」と言っています。

「この30年の遅れを取り戻して、外食産業を一気にアップデートしようじゃないか」ということに取り組んでいるのが、我々です。中でも我々は、飲食店の経営において最も重要な「顧客」と「予約」のデータに着目し、これを管理するツールとして「トレタ」を開発しました。

我々は、テクノロジーの力を使って、「POSが起こした革命に匹敵するような、次の大きな変革を実現しよう」という目標に向かって様々な取り組みを行っている会社です。

紙台帳の非効率さを知る

では実際に、「予約の管理」はこれまでどんな状況だったかというと、(スライドに掲載した紙台帳の画像を指しながら)紙の台帳で管理していました。ちなみに私も10数年間、飲食店をいくつか経営しており、トレタを作るまでは紙で予約を管理していました。いまスライドでご覧いただいている紙台帳は、私の店で実際に使っていたものです。

ご覧いただいたらわかるように、非常に非効率で、この紙の台帳を使い続けている限り、ここからイノベーションは起きませんよね。本来、ここに書かれている情報はお店にとっては極めて貴重なデータであり、予約台帳は「宝の山」のはずなのですが、紙に書かれて捨てられているためまったく利活用できないという状況になっている。なので我々は、まず「紙からの卒業を実現しないといけないんだ」ということで、こういったアプリを開発・提供して、今までずっと普及させてきました。

飲食店がなぜ紙からの卒業が進まなかったかというと、それは機能の問題ではないはずなんです。そうではなく、ITツールが紙を超える使い勝手を実現できないから、機能は劣っていてもお店は紙を使い続けるんですね。飲食店の現場には、本当に多種多様な人がいます。学生が「なんの経験もないけど、アルバイトでもしてみようかな」と考えたとき、最初に思いつくのは飲食店です。そのくらい、誰でも気楽に入ってくることのできる産業になっているというのは、外食の素晴らしい点である一方で、ITリテラシーの低い人たちもそれなりに働いている業界だということでもあります。だから、そういう人たちでも使えるツールでなければ、現場には定着しません。離職率も高く、人の出入りも多いので、何時間も教育しなければ使えないような業務ツールでは、普及しないのです。

ですから我々は創業当初から「誰が使っても間違えない」「トレーニング不要で、誰でも直感的に使える」というような、「使い勝手」のところを徹底的に磨き込んできました。紙に勝てる「簡単さ」を実現できれば、おそらく外食のIT化は一気に進むはずだという仮説を持っていました。

なので、我々としてはとにかく「銀行のATMでお金をおろすことができる人であれば、誰でも使える予約台帳」というコンセプトで「予約台帳」を開発。UI、UXに相当の投資をしてきました。

おかげさまで、結果として紙台帳からの卒業はけっこう成功してきています。紙台帳を捨てるとどうなるかというと、予約の情報とか顧客の情報がすべてクラウド上にデータとして蓄積していくわけですよね。これがやがて、飲食店の経営を劇的に変える資産になっていく。そういうことを、少しずつ少しずつ、1店舗1店舗、紙からの卒業のお手伝いをしている、というところです。

予約台帳の電子化とクラウドへのデータ集積のはじまり

では、我々の仕組みはどんな感じになっているのかということを、簡単にご紹介しておきます。まず我々が最初にスタートしたのは「予約台帳」を提供するというところからです。この「予約台帳」の本体はクラウドのデータベースです。このデータベースに、予約情報をどんどん蓄積していくというところからスタートします。

それで、ここにデータを入力していくための、店舗向けの使いやすいインターフェースとして、iPadアプリを「予約台帳」として出したわけです。まずここをしっかり運用に乗せていく。弊社には「カスタマーサクセス」というチームがいて、営業が契約した後に彼らがお店に行くんですが、まず最初になにを目指すかと言うと、最初のKPIで「紙の台帳を捨ててもらう」というところを目標にしています。

きちんと現場のみなさんと伴走し、「紙の台帳を捨てて、予約の管理はすべてこのアプリの中でやりましょう」というところまで持っていきます。これが運用に乗ると、すべての予約情報がリアルタイムにクラウドで管理されている状態が実現できます。ここまでくれば、飲食店の経営革新は次の段階に進むことができるようになります。

紙を捨てることに成功すると、「クラウドにある空席情報は100パーセント信用して大丈夫です」という状態を作れるので、この空席情報を使って、飲食店様のオウンドメディア、つまりお店の公式ホームページに予約のインターフェイスを置き、そこからオンライン予約を受けることが可能になります。

「電話予約よりもっと楽になりますよ」「間違いも減りますよ」「お店が閉店している時でも予約を受けられるようになりますよ」と、オウンドメディア強化のご支援をさせていただいたりもしています。

予約データが顧客データに化ける

次にグルメサイトです。様々なグルメサイトのみなさんも「オンライン予約」を普及させようと尽力なさっているのですが、やはりグルメサイトの最大の悩みは「空席情報がないこと」なんです。どのお店でどのぐらい席が空いているのか、リアルタイムでわからない。なぜなら、オンライン上にある予約情報の裏側は紙で管理されているため、それを見ようにも、見れないわけなんです。そこで「僕らが持っている空席情報は非常に信頼できるものなので、これをフィードしますよ」と、裏側で様々なグルメサイトに空席情報を提供して、リアルタイムで予約を取れるようにするなど、オンライン予約をもっと魅力的なサービスにするためのお手伝いも行なっています。

さらに、飲食店がトレタに入れる予約情報がどんどん蓄積されていくと「予約のデータベース」となるわけですが、これはニアリーイコールで「顧客のデータベース」となります。つまり、予約の情報の名寄せをしていくと、これは「顧客のデータベース」になるんですね。それで、この「顧客のデータベース」を使ってなにをするかというと、まさに「顧客接点をより豊かにするために」ご活用いただきます。サービス業で1番重要なのはお客様との関係性作りです。この関係性作りをする上で、「このお客様は、どんなお客様か」という情報があるかないかでは、できることに非常に大きな差がでるんですね。

飲食店のみなさんのサービスレベルを上げていくためには、顧客ナレッジを属人化させず、顧客一人一人の情報をきちんとデータベースに蓄積し、現場で共有していくことが必須です。現場の接客の質を上げ、より顧客満足度を高めていくためにこの「顧客のデータベース」をご活用いただいています。

また、蓄積された顧客情報を活用し、お客様に対してメッセージを送ったり、アンケートを取れるサービスも提供しています。これは、飲食店におけるCRMの取り組みです。

その一環としてPOSレジとの連携も積極的に行なっています。POSレジは顧客が来店した際の注文内容・支払い金額などのデータを持っているので、これと繋ぐことにより「いつ、誰が来店したか」「この人は何回目のご来店なのか」に加えて、「なにを注文したか」「いくら使ったか」などの情報が自動的にトレタにデータとして蓄積していきます。

「9割の確率で当たる未来」を手にする優位性

このように飲食店の「予約情報」「顧客情報」がどんどん蓄積されていくと、大量なデータになります。これがまた、マーケティングデータとしても非常におもしろいデータになっています。

例えば、弊社は飲食店の「予約情報」を持っています。「予約情報」というのはなにかというと、顧客の注文内容など「過去の情報」を持つPOSとは異なり、「いつ、誰が来店するか」という「未来の情報」を持っているということなんですね。弊社のデータからわかっている予約のキャンセル発生率の約1割を差し引いても、弊社の持っている「未来の予約データ」は、「9割の確率で当たる未来」と言えるわけです。

いつ、どの地域で、どのぐらいの人がどう動くかが予約データからわかるようになると「需要予測」ができるようになるんですね。例えばその需要予測データをタクシー会社が活用すると、「今週の金曜日は、銀座のこの辺りでかなりの人が動くから、厚めに配車しておこう」という精度の高い配車ができるようになります。このように、弊社の持つデータを外部の産業にマーケティングデータとして提供することにより、新たな価値を生むということにも取り組んでいます。これが我々のサービスの全体像です。

現在、弊社のサービスは12,000店を超える店舗様にご利用いただいております。(スライドを指しながら)自社調べですが、マーケットシェアは現状35パーセント、ナンバーワンのポジションを頂戴しています。

先ほど「大量のデータ」とお伝えいたしましたが、予約件数にして5600万件、予約人数は延べ2億5000万人弱のデータがすでに蓄積しています。このデータを解析すると、先ほどのようなマーケティングデータとして、新たな価値が生まれてくるんですね。

トレタの導入で起こる3段階の生産性向上とは

今日は「生産性のお話」ということで、飲食業界の「生産性が低い」という現状に対し、弊社の「予約台帳」「顧客台帳」を活用すると「どのように生産性が向上していくのかをいくつか事例を通してご紹介いたします。大前提として、弊社のツールを入れると大きく3段階で飲食店の収益性が改善していきます。(スライドを指しながら)左から順番に見ていきます。

まず導入してすぐに、それまでアナログでやっていた作業が大幅に削減されることによりコストが下がります。「アナログ作業のコスト削減」です。

次に、「機会損失の低減」が実現できます。「機会損失」というのは、「本来であれば売上にできたものを、取りこぼすこと」ですが、この「機会損失」がなくなると、結果的に売上があがります。紙で管理をしていると、意識はしていなくとも様々な非効率が生じ、結果としてかなり予約を取りこぼしているんですね。つまり「売上を取りこぼしている」という状態です。弊社のツールを使うと、予約管理が効率化されることによって自然と機会損失の低減に繋がります。そして最後に、弊社のサービスに蓄積されていく顧客情報を元に顧客満足度を上げていく取り組みを行うとリピーターや常連が増えていきます。リピーターが増えると、売上もあがっていく、という効果があります。

この3段階で飲食店の収益性が上がっていくのですが、最初にこの「アナログ作業のコスト削減」について、事例をいくつか紹介します。

1日がかりの仕事が、わずか10分で完結

(スライドを指しながら)これは、みなさんも多分ご存じの大手寿司チェーン店さんの事例です。ここは大箱の店舗をいくつも運営しているんですね。旅行代理店がバスツアーを企画する際には、ランチの場所としてもよく利用されています。

この場合にどうやって予約が入るかというと、旅行代理店のツアーの企画担当者から、この寿司チェーンの本部に電話が入ります。例えば「10月10日、バス1台で50名。ランチです。どこか入れるお店はありますか?」と、本部に問い合わせが入るわけです。

トレタを入れる前は、各店舗が紙で空席情報を管理していたため、本部で空き状況の把握をしようがありませんでした。そのため、旅行代理店に「ありがとうございます。かしこまりました。では、どのお店が予約可能か整理して、明日までにご提案申し上げます」とお伝えして電話を切っていました。

切った後、本部から各店へ「各店舗、10月10日のお昼の空き状況を教えて欲しい」と電話やファックスで一斉に連絡をします。ところが、飲食店の現場は忙しく即答は難しい。そのため本部から「今日中に返事ください」と、全店に空席状況を問い合わせていました。

本部は、各店から戻ってきたファックスをその日中に集約し1つの表にする。翌日、旅行代理店に折り返して「こことここでしたら予約可能です。どこがいいでしょう?」というやりとりを何度か経てやっと予約が成立する状態でした。「予約確定に1日がかり」です。しかしトレタを入れると、リアルタイムの空席情報が手元にあるため、最初に旅行代理店から問い合わせがあった時点で予約を確定させてクローズさせることができるようになりました。

本部は問い合わせを受けた時点で「10月10日ですね?」と言ってトレタを見ます。トレタ1つで全店の予約状況を見ることができるため、どの店が空いているか、その場でぜんぶ確認できます。「今でしたらA店と、C店と、F店があります、どれがいいでしょう?」「じゃあC店でお願いします」「ではこのままC店でお受けして、予約を確定させますね。ありがとうございました」と、10分程度で予約のクロージングまでできるようになりました。

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