2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
「氷河期の創業、今年の上場、そしてこれから——将棋AIのHEROZが語る“次の一手”」(全1記事)
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司会者:吉田さん。こちらのセッションの見どころを教えてください。
吉田博英氏(以下、吉田):はい、そうですね。昨日のデイ1で「今は2億円、3億円の資金調達はざらだよ」という話をしたんですが、(HEROZは)氷河期に起業して、今も生き残っていますし、さらに拡大しています。そのストーリーをぜひ聞いていただきたいと思います。
司会者:スピーカーをご紹介します。HEROZ株式会社、代表取締役CEO、林隆弘さんです。モデレーターはTechCrunch、木村が務めます。では、お願いします。
木村拓哉氏(以下、木村):HEROZに関しては、会場の皆さんの中に将棋好きの方がいらっしゃれば、「将棋ウォーズ」の名前でご存知の方も多いかと思います。スライドをご用意していただいているので、最初に林さんから事業の説明をしていただければと思います。お願いします。
林隆弘氏(以下、林):みなさん、こんにちは。(会場が)静かですね(笑)。HEROZの林と申します。簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。
私は大学を卒業して、ある大手の会社に技術開発職として就職しました。その後、2009年4月にHEROZという会社を創業いたしました。
ただ、ちょっと変わったところとしては、こちら(スライド)に写真が出ているとおり、僕自身、すごく将棋が趣味なんです。この写真は羽生(善治)永世七冠が、七冠だった時に、私と席上対局をしている写真です。(林氏が)2年連続で全国優勝をした時に、私がアマチュア代表としてこういう機会に恵まれましたが、将棋はやっぱり厳しいなと。なので、自分で会社をやろうという決意をした対局になりました。
木村:左の写真だと、右側が林さんですよね?
林:そうです。もう1枚は左側が私です。この頃からオレンジカラーが好きだったんですね、たぶん。
木村:あ、本当にそうですね(笑)。HEROZのカラーにもなってますし。
林:はい(笑)。これが後に、HEROZのAIに関わってきます。まず、頭脳系AIの歴史について簡単にご紹介したいと思います。
古くはチェスのAIです。IBMさんがディープ・ブルー(チェス専用のスーパーコンピュータ)を開発して、1997年にカスパロフ氏(当時の世界チャンピオン)に勝利したことがありました。
将棋AIでは、当社のエンジニア(が開発した人工知能)が、2013年にプロ棋士に勝利したことがございまして、「名人にエンジニアが勝った」と、話題になったりもしました。
もう1つは、囲碁AIというのがGoogleのDeepMind社さんから。
木村:これはたぶん、記憶に新しい方もいらっしゃると思うんですが。
林:記憶に新しい方も多いと思います。完全情報ゲームというのに、ここで1つ区切りがついて、人間を超えていくという歴史を変えていったと。そういうところが、1つの記録なのかなと思っています。
木村:今はAIエンジンなどの開発だとか、提供をされていると。
林:そうですね。もともと将棋のAIというのは、私自身が「将棋で強くなりたい」と思ったことがきっかけでした。将棋のAIを活用して、自分のトレーニングに活かせないかと昔から思っていました。それでAI関係のエンジニアとか、教授の方々と知り合うきっかけもできていって。当時から、活用する側でもあったということがあります。
では、どういうことをビジネスにしているかを話していきたいと思います。AIを語るときに、ABCを覚えておくといいかなと思います。料理みたいですけど(笑)。
AはAI、Bはビッグデータ、Cはクラウドです。(スライドを指して)まさにこの図がそうでございまして、一番上に将棋の棋譜データがあって、それをHEROZの「HEROZ Kishin」というAIに学習させます。それによって将棋AI、人間を超えるようなAIができる、というような流れがあります。
クラウド上のデータをAIに学習させる。この流れを覚えておいてもらうと、わかりやすいかなと思います。
木村:なるほど、ありがとうございます。創業時のことについて、いろいろとご質問させていただければと思います。最初にNECにいらっしゃって、起業されたのは入社してから10年後ぐらいですか?
林:そうです。10年弱ですかね。
木村:入社当初から、起業されるおつもりだったんですか?
林:そうですね。自分にはあまり(技術が)なかったんですが、入社した時からIT技術にすごく興味があって。「自分の人生を張るならここの分野かな」と思っていました。
木村:共同創業者の高橋さんとは、その時の同期だったと。
林:そうですね。大学も一緒でした。
木村:大学も一緒だったんですか。林さんと高橋さんの仲の良さは、僕もいろいろなところからお聞きするんですけど(笑)。
林:ええ(笑)。
木村:お聞きしたところによると、NEC時代に林さんが高橋さんの家に夜な夜な遊びに行って、人がいてもなりふり構わず、ずっとサービスの開発をしてたと聞いたんですが、それは本当ですか?
林:それはよく言われるんですけど、本当なんですよ。
木村:(笑)。
林:仕事以外で他の人が飲みに行ってる間とか、充実した休日を送ってる間は、だいたい開発をしていて。とにかく新しいサービスを作ろうみたいな感じで、ずっとやっていました。
高橋くんの家に誰かいるのは、だいたい想像がついているんですけど、空気を読まずに僕が(家に)突っ込んでいくっていう。
木村:本当に人がいても、ずかずか入っていって開発してたんですか?(笑)。
林:はい。まあ、彼も僕の家によく来てましたけど(笑)。
木村:まだNECにいらっしゃった時に作っていたサービスは、iモードのサービスですよね。
林:そうですね。まだガラケーとかだったので、モバイルサービスですね。
木村:当時、VCからそのサービスに出資したいというお話もあったと聞いたんですが、どんなサービスですか?
林:診断系のサービスなどです。(診断の)結果を見て、ソーシャルメディアに投稿するみたいな。そういうバズるようなものを作る、量産するようなかたちでやっていました。仕組みを作っていた感じです。
木村:いろいろなサービスをガーっと作られてた?
林:はい、そうです。
木村:その後、2009年の4月にHEROZを創業されますが、2009年といえばリーマンショックの真っただ中でしたよね。日本のスタートアップ業界も、今とは景色がまったく違ったと思うんですが、振り返ってみるとどうでしょうか?
とくに資金調達が難しくなるのかなと。融資も受けにくいし、VCマネーも少ない。そのあたりも、ぜんぜん違いました?
林:それは本当に、ぜんぜん違う感じでした。2009年って本当に氷河期だったんです。私どもも出資を受けるときに、何社か声をかけさせてもらって。結果的には、ほとんどストレートに(出資の依頼を)受けてくださったんですが、各社で予算を凍結したりしてたんです。
私も、所属してたNECから出資を受けようかなと思ったんですが、本体がそれどころではない状況でした。それは各社がそういう状況にありました。リーマンショック後、設備投資などもされなくなっていたので、苦しい状況だったと。
当然、VCもそういう時期だったので、非常に資金調達も大変だったと思います。
木村:ただ、そのなかでも創業からわずか2ヶ月後に、ジャフコさんなどから1億円の資金調達を発表されています。ちょうど先ほど、モデレーターをしていた岩本(有平氏)が、当時CNET(Japan)というメディアにいて、HEROZの資金調達を伝えていました。
今でこそ、億単位の資金調達のニュースはよく耳にしますし、TechCrunchでも記事にしたりしますが、その時のCNETでは、「1億円という大型の第三者割当増資を発表」と紹介されていました。なので、当時からすると、創業2ヶ月で1億円を超える資金調達はすごく珍しかったと思います。
振り返ってみて、投資家のみなさんとお話しする中で、投資家はどういったところを評価して、資金調達を決めたと思いますか?
林:その時に言われたのは2つです。1つ目は、いろいろなサービスを作っていたので、トラックレコード(実績)があったということです。できて間もない会社ではありましたが、サービスは作っていて、1億PVを上げられていたりはしました。なので、(VCが)ある程度の見立てを立てることができたのかと。
もう一点は、後々になって言われたんですが、創業者の成り立ちというところです。僕はプレゼンテーション資料を作るのも好きだったので、120枚ぐらい作ったりしました。
今にしてみると無駄な資料ばっかりなんですけど(笑)。VCの方も「なんでこんなに作ってるの」という雰囲気があって、「10枚あれば十分ですよ」みたいな。読む方も疲れるし、今にして思えばそうなんですけど(笑)。
木村:(笑)。
林:でも、後で言われたのは、「事業計画おもしろいですね」ということでした。インテルの元会長で、モバイル・インターネットキャピタルの西岡(郁夫)さんには、「林さん、将棋で世界とか日本で優勝してるし、なんとかなると思ったから出資した」と言われました。
木村:あー、なるほど。
林:たしかに(自分の)話をあんまり聞いていなかったのは覚えてるんですよ(笑)。
木村:その資金調達をされた時って、もうすでに将棋AIという分野で勝負していこうと決められていたんですか?
林:ぜんぜん、そんなことないです。そこまでは考えてなかったですね。
木村:「将棋と起業には通ずるものがあるから大丈夫だよね」という意味だったんでしょうか?
林:たぶん、それぐらいの感覚だったんじゃないかなと。ジャフコさんにも「人にベットする、事業はピボットするから」ぐらいのことを言われたことは、すごく覚えています。
木村:その後、ご自身も大好きな将棋AIに分野を決められて、事業を展開されているんですが、AIのアルゴリズムには数多くあると思います。そういう意味で、将棋AIならではのおもしろさって、どんなところだと思いますか?
林:おもしろさですか?
木村:アルゴリズムを、いろいろな法人向けに展開されたりしていると思うんですが、将棋AIに得意なところ、不得意なところはあったりするんですか?
林:我々のサービスで、HEROZ Kishinというものがあります。Kishinは、将棋の棋に神を付けたという由来もあります。将棋AIはどちらかというと、基本的には機械学習なので、そこの考え方だとかやり方は、どこにでも、いろいろなところに(応用できる)という感じです。
もちろん、得意、不得意はあります。不得意というか、我々で言うと、「バーティカルにどの領域に特化するか」というのは当然あります。
木村:なるほど。盤上ゲームの分野で言うと、チェス・囲碁・将棋に関しては、「AIが人間に優る」と言われています。次はどんなゲームで、AIが人間に優ると思われてますか?
林:盤上や手駒がすべて見えるゲームを、完全情報ゲームと言うんですが、それに関しましては、もうすでに人間を超えています。さらに、その差は広がっています。
たとえば、翌年に最新の将棋AIができたとします。そうすると、今すでに人間を超えているAIに、9割以上は勝てるくらい強くなるんです。レーティングで言うと、果てしなく上がっていってる状況です。
ただ、これから注目なのは不完全情報ゲームと言われる、たとえばポーカーとか、麻雀などのゲームです。そういったところは人間と並び、超えていくと言われているところだと思います。
木村:今、ちょうど競っているという感じでしょうか。
林:まあ、おもしろいところですよね。弊社でも、そういう麻雀AIのトップエンジニアは数名いて、非常に日々進化していると感じています。
木村:AlphaGoが、囲碁で人間に勝ったのが2015年だったと思うんですが、ちょうどその頃は、Googleフォトで顔を自動認識して、この人が誰だという機能も備わってきていました。僕らのふだんの生活の中でも、「AIってこんなに普及してきてるんだ」とか、「こんなに進化してきてるんだ」という実感があった覚えがあります。
例えば、不完全情報のゲームでもAIが人間に勝つような時代になった時って、僕らの生活はどんなかたちに変わっていくのか。どんなAIのすごいサービスが現れるんですかね?(笑)。想像の話になっちゃうかもしれませんが。
不完全情報ゲームでも(人間に)AIが勝てるぐらいの技術力になると、その頃には自動運転とかも実現してるんじゃないか、とか。
林:ただ、「どこまでを不完全情報ゲームと呼ぶか」というのもあります。例えば、麻雀やポーカーであれば、私は近日中に、それこそ1年とか、そういうスパンで超えていくのではないかと思います。
木村:この1年ですか。遠くない未来ですね。
林:やっぱり進化のスピードが速いので。もちろん不完全情報ゲームというのは、運の要素も非常に強いので、完全情報ゲームのように人間に99パーセント勝つことは無理ですし、「相対的に勝つ」という世界観では(ビジネス的に)なかなか難しくなるのかなと思います。
わかりやすい事例で言いますと、オンラインポーカーみたいなものは、すごく危なくなると思います。ビジネスとして成立しなくなる可能性もあるかと。
木村:オンラインだと見えないからと言って、プレイヤーが裏でアルゴリズムを回してたり。そうなると、ビジネスとして成立しなくなりますね。
林:そうですね。ポーカーなどは、国によってはリアルのマネーを賭けてやっているので、難しいところが出てくるかもしれません。
木村:AIがどんどん普及していくにつれて、「AIが人間の職業を奪う」とか、そういう議論が盛んに出てきていると思います。それに関して、林さんはどのように考えていますか? 例えば、「職はそんなに減らない」とか、もしあればお願いします。
林:これはですね、産業革命の時にラッダイト運動という、車の打ち壊し運動がありましたよね。「(機械に)めちゃくちゃにされたら仕事がなくなっちゃう」とか言って機械を壊すような運動があって。
そういう議論が、僕の感覚だと2015年とか、2016年の頭ぐらいまではテレビ局で特集されていて、弊社もちょっと出させていただいたりすることがありました。「AIは敵か味方か」「人間の仕事を奪うのか」というような議論がありました。
でも、今は本当にまったくないですね。というのも、そもそも人手不足で、業種によっては有効求人倍率が9倍、10倍になるぐらい人がいない。そういう時代がやってきているので、もうそういう議論よりかは、初心に帰ってうまく活用して、足りないところはやってもらえばいい。
今は働き方革命みたいなことで、ワークライフバランスということも言われているので、足りているところも、もっと(AIに)がんばってもらって、良きパートナーとして上手く活用していく。そういうことを僕たちは提唱しております。
そういうことが「AI革命で未来を創る」という、僕たちのビジョンに繋がっています。
木村:AIに限らず言えば、車が出てきた時は、馬車の運転手さんも職はなくなっただろうし、そうやって新しい技術が生まれてくると職はなくなるけども、徐々に適応していったりしますよね。人手不足のところはAIで補っていくようなかたちで、順応していくということでしょうか。
林:歴史的に見ても、AIが大きなディスラプト(破壊)を起こしていくのも間違いない事実だと思います。2年ぐらい前だと、AIのIQが55とか60近くで、人間が平均100くらいですよね。そういう次元の時もありましたが、これも日々進化しています。
2045年ぐらいには、おそらくIQが1万突破しちゃうんじゃないか、というように進化の速度を高めていくのは、もう間違いないと思います。そういう面では、争ってもしょうがない部分だと考えてます。
木村:今、AIのIQが1万ぐらいになっちゃうというお話があったんですが、そのぐらいになると、例えば将棋で機械がなんらかの手を指した時に、「なんでその手になったのか」というのは(人間には)わからないですよね。
林:そこがホワイトボックスかブラックボックスかが、わからないんですよ。「なぜその手に至ったか」がわからない。
でもそれって、考えてみたら、野球の一流選手とか、サッカーの一流選手に聞いてもわからない回答がくると思うんですよ。パッとボールが来て、パッと行って、パッと打つとか。
木村:感覚的な。
林:感覚的なものがあると思います。たぶん、(AIも)そういう感じになってくるんですよ。これまで人間は「知が自分の砦だ」と思ってきたんです。だから、「どうしても自分が理解できないものは正じゃない」という考え方になるんだと思うんです。あくまでこれは私見ですけど。
IQで言うと、人間を超えていくのは間違いないと思ってます。理解できないのも、わりと常識になってくるんじゃないですかね。
将棋の場合だと、理解できないながらも、「なんとなくこの手を指すと勝率が高い、だからこれは正である」みたいな感じの考え方に、柔軟性が増してくるんじゃないかなと思ってます。
木村:AI素人としての素朴な疑問なんですけど、例えば、本当にブラックボックス化しちゃって、なんでAIがそう考えたのかわからないという時に、自動運転が実現していたとするなら、「なんで右に曲がったかわかんないけど、右に曲がったら事故を起こしてしまいました」とか、そういう世界になった時に、誰が責任を取るんでしょうか?
林:木村さんのお話は、すごく核心をついています。実は私たちも人工知能学会とか、ディープラーニング協会とかに、参加させていただいてるんですが、まさに「AIに関わる契約問題・責任問題」というのが、すごく大きなテーマだったりするんです。
私たちはこの事業は、まだ過渡期だと思いますので、弊社にもインハウスの弁護士がいたりしますが、世界的にずれることのない標準化したルール策定をするか、というのはけっこう大きな課題でもあります。
林:例えば、(解決すべき課題は)3つほどあります。1つ目はデータを学習した、学習済みのモデルを誰の所管にするか。2つ目は、まさに責任分担のあり方。自動運転のアルゴリズムにおいて、いろいろな要素で事故が起きたりする可能性があると。では、その責任の所在をどうするか。
3つ目は、倫理観や個人情報のあり方という点において、誰が責任を取るのか。後は、モラルも時代に応じて変わっていくものですから、モラルの育成をする必要があります。我々としてはそこのルール作りも含めて、業界を作っていく、変えていくことに非常に力を入れています。
木村:先ほどのお話にあったとおり、すごく速いスピードでAIが進歩しているので、ルール作りも急ぐ必要がある。ルール作りをするのは人間だと思うので、人間もそのスピードに負けないように(ルールを)作っていかないといけない。
最初にご紹介させていただいたんですが、「将棋ウォーズ」という、C向けのゲーム事業から始められて、最近は「HEROZ Kishin」のような法人向けのサービスも展開されています。
このB向けの事業は、いつ頃から「B向けもやっていこう」となったんですか?
林:2014年あたりから研究を始めて、2015年末ぐらいから実際に案件が動き始めたと思います。なので、2015年末ぐらいから、2016年の頭にかけてですね。
木村:上場されたのが今年の4月ですが、HEROZ Kishinも発表されて、B向けの事業も本格化してきたところでのタイミングでしたが、その上場のタイミングは、もちろん資金的な需要もあったかとは思うんですが、格と言ったらおかしいですけど、そういうレピュテーションみたいなものも、重要だという判断だったんでしょうか。それとも違う理由があったんでしょうか。
林:時間もないのでパパッといっちゃいます。今、お話にございましたBtoBだと、建設や金融、あとはエンターテインメントを主軸にしています。
建設だと竹中工務店さん、金融だとSMBCグループさん、SMBC日興証券さんやマネックス証券さんを、弊社のパートナーさんとして迎えております。
あと品質管理ですと、デジタルハーツさん。エンターテインメントは、バンダイナムコさんやポケモンさん、コーエーテクモゲームスさん、という状況です。
林:先ほどの質問に答えますと、BtoBのところは弊社の非常に成長している分野です。(スライドを指して)オレンジ色のところですね。とくにその中でも、上場の準備は2年ぐらい前から力を入れて始めていました。
上場している(時価総額が)1兆円を超えるような会社さんからも、「やっぱり信用という点もあるので上場してください」というお話もいただいていたりしました。なので、信用度や知名度の向上ということも含めて、上場した方がより成長できるんじゃないかということで、上場をしようと思いました。
木村:新規上場の時に調達された金額が、約8億9,000万円でした。その調達した資金の使い道も含めて、なにか今後の展開などがあれば、最後にうかがいたいです。
林:ちょうど最近ニュースになっていたかと思うんですが、GPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)についてです。マシンラーニングに特化したマシンを非常に多く、データセンターに揃えさせていただきました。これがAIベンチャーでは最大規模で、128基ぐらいのGPUを備えた高性能のものを構築しました。
11月1日に運用が開始された感じです。なので、マシンラーニング、エンジニアリングを加速させていくというところで、マシンに投資をしているのが1つの例です。
あとは引き続き、人への投資をしていきたいなと考えています。イメージとしては、私たちもAIベンダーの、専業というようなかたちでやっておりますので、将棋のAIで有名になったというのも、すごくありがたいことなんですが、「世の中には2種類のAI企業がある」となった時に、「HEROZかそれ以外か」と言われるような、バーティカルにHEROZという会社の特徴を掴めるように、引き続きやっていきたいなと思っています。
木村:従業員は何人ぐらいですか?
林:今は40数名ですね。
木村:なるほど。決算の数字を見る限り、すごく順調なのかなと思いますので、今後とも成長を祈っております。では、時間になりました。ありがとうございました。
林:はい、どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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