CLOSE

ZOZOのデザイン(全1記事)

デザイナーの1/3はスキル不問の社内公募 ZOZOデザインチームが大切にしていること

2018年8月30日、3331アーツ千代田にて、株式会社rootが主催するイベント「Service Design Night Vol.7」が開催されました。今回のテーマは「実践者から学ぶデザイン組織の作り方 」。IT業界で活躍する現役のCTOやデザイナーたちをゲストに迎え、「デザイン組織」をいかにして作り上げたのか、その軌跡を語っていただきます。プレゼンテーション「ZOZOのデザイン 」に登壇したのは、株式会社ZOZOテクノロジーズデザイン部、企画・会社デザインチーム チームリーダー兼プロダクトオーナーの田口貴士氏。ZOZOのデザイナー組織の特徴とユニークな取組を語ります。講演資料はこちら

ZOZOテクノロジーズとは何か?

田口貴士氏:みなさんこんばんは。

ZOZOのデザインということで簡単な自己紹介をします。ZOZOテクノロジーズ(旧スタートトゥデイテクノロジーズ) デザイン部、企画・会社デザインチーム、チームリーダー兼プロダクトオーナーの田口と申します。

僕は2012年に新卒採用でZOZO(旧スタートトゥデイ)に入って、現在7年目です。1年目からデザイン部に配属されて、主にZOZOTOWNのUI/UX、企画やテレビCM、コーポレート・ブランディングのデザインをやってきました。

ZOZOグループについてですが、まず、私たちの親会社であるZOZOがあって、そこはブランド営業部やマーケティング、カスタマーサポート、物流業務などを統括してるところです。僕が所属するZOZOテクノロジーズは、エンジニアやデザイナー、アナリストなど、技術者が集結した会社です。

他にも、ZOZOUSEDというブランド古着を中心とした通販・買取サービスを運営している会社や、アラタナというECサイトの構築やWebマーケティングなどのBtoB事業をやっている会社があり、これらも含めてZOZOグループというかたちになっています。

ZOZOは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」やファッションコーディネートアプリ「WEAR」、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」で計測した体型データをもとに、一人ひとりの体型に合ったアイテムをお届けするプライベートブランド「ZOZO」を展開しています。

最近僕がやっている仕事を簡単に説明します。

一番左上は、STAR WARSとコラボした「かぶれる配送ボックス」です。会社のロゴを作ったりもしています。

その他、ZOZOTOWNの「服祭り」というセールのビジュアルや、しまむら様の初EC出店として、企画を作ってみたり。ファイナルファンタジーと「ゾゾの町」というコラボをしてみたり。あとはコーポレートデザインとして「7人の天才と50人の逸材を求む」という採用キャンペーンを作ってみたりもしています。

ちなみに、このかわいらしい愛くるしいネコはZOZOTOWN公式キャラクターの「箱猫マックス」です。知る人ぞ知るキモかわいいキャラクターです。LINEスタンプで売っているんですがぜんぜん売れていないので、帰り道買っていただければと思います。お願いします(笑)。

ZOZOにおけるデザイン組織

本題に入ります。デザイン組織についてということで、事前に質問をいただいた内容に対し答えるかたちで話したいと思います。

まず1つ目は、新しい戦略が展開されるなかでデザイン組織がどう変わっているか。2つ目は、チームづくりについて工夫している点。3つ目は、メンバー個人個人が経営者の言葉を聞き、同じ方向を向くにはどういうことに取り組んだらいいか。こちらについて答えていきます。

デザイン組織がどう変わっているかということに関してですが、僕が入社した頃、デザイナーはWebもやるし、アプリもやるし、紙媒体もやるし、CMもやるし、なんでもやっていました。

ただ、サービスが多くなってきたため、最近は縦割りになってきています。Web専門のデザイナー、アプリ専門のデザイナー、企画・会社系のデザイナー。僕が所属するのは企画・会社チームですが、このようにより専門性を高め合うということで、デザインも縦割りの組織になってきました。

おそらくどちらが良いとか悪いということはありません。縦割りの組織であれば自分の専門のデザインに関してより深い探求ができると思いますし、なんでもやることになれば、Webで得た知識をアプリに活かしてみたり企画に活かしてみたり。またその逆もしかりで、新しい表現ができるんじゃないかなと思います。

チーム作りにおける工夫

次に、チームづくりで工夫しているところです。特別なことではありませんが、チームって結局人だなと個人的に思っています。小手先でいろいろ工夫しても、結局、どんな人がいるか、どんなチームになっているか。なにをするかではなく誰と働くかということをよく言いますが、デザイナーはどんな人がいるのかというのが大事になってくると思います。

では、どんなデザイナーを迎え入れたらいいのか。ZOZOの取り組みのうちの1つとして、社内公募という制度があります。今、デザイナーの約3人に1人が社内公募でデザイン部に入った人間です。

社内公募では、デザインスキルは問いません。

では、どのように募集してきたかというと、例えばこの「聖闘士デザイナー募集」。

これは実際に出した公募なんですが、応募資格はコスモだけです。このあたりはどんな効果あるのかあとで説明しますが、実際に聖闘士デザイナーがデザインチームに入ってきて、今は活躍しています。

もう1つ、つい最近「100円ショップで販売しているものでスケートボードを作って提出してください」という課題を出しました。

実際に作ってきた作品がこれです。

ここに並んでいる作品は、全員デザイン経験なしの、カスタマーサポートや営業をやっている、そういう人たちが作ってきたものです。

なんでこんなことをするのかというと、会社やプロダクトの持つ空気感やノリをデザインできる内面があるかを見るには、こういったことが1番よく見えると思っているからです。

Macがあれば誰でもそれっぽくかっこいいデザインができる今の世の中で、芯があるデザインを作るためには、どんな募集の仕方がいいんだろうと考えたときに、こういった募集の仕方をしました。

同じ方向を向くために必要なこと

最後の質問なんですが、個人個人が経営者の言葉を聞き、同じ方向を向くにはどうすればいいか? これは難しいんですが、僕が考えているのは、大きくなればなるほど、会社やサービス、経営者、仕事仲間を好きになることが大事なのかなと思っています。

好きじゃないとがんばれない。これが大前提です。会社でも、サービスでも、経営者でも、仕事仲間でも、どれか1つでも好きなものがあればがんばれるなと、個人的には思っています。

そのためにどんなことをするかというのは、いろいろあると思いますが、社割で自分のサービスをいっぱい使ってもらって好きになってもらうとか。おもしろい人をいっぱい採るからなんかおもしろくなる。「社内は恋愛推奨ですよ」とかって言ってみるとか。部活作ってみるとか、1年に1回はフレンドシップデーを開催するとか。

あとは、うちの社員がよく言うのは「夢を熱く語れる人がいる」。冒頭にも言いましたように、「この人についていったらなにか楽しいことが起こるんじゃないか」というような、そういう人がいるかどうかというのも大きいと思います。

また、個人的にはアートがたくさんあるとか、そういったこともプラスになるポイントなのかなと思います。なにげに座った椅子が2,000万の椅子だったりするんですが、そういった経験ってもちろん個人じゃできないし、会社ならではの好きになってもらう工夫の1つだと思うんですね。

このあたりにあげていることをやれ、というわけではなくて、なんでもいいと思うので、会社やサービスなど、代表や仕事仲間を好きになってもらえる工夫をしていけば、みんなが同じ方向を向いている組織になるんじゃないかなと思っています。

はい、まとめです。デザイナーはスキルよりノリ! 「好き」が一番のモチベーション! これだけは覚えて帰ってもらえるとうれしいです。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 孫正義氏が「知のゴールドラッシュ」到来と予測する背景 “24時間自分専用AIエージェント”も2〜3年以内に登場する?

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!