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TOKYO100スポDAY(全3記事)

「Zwift」はルームランナーを超えられるか? ゲーム性と健康促進を両立する、eスポーツへの期待

2018年7月24日、産経新聞社、Cyclist、IGN Japanが主催する「TOKYO100スポDAY」が開催されました。本イベントは、「“100歳時代”をより良きものにすることを目的とした『100歳時代プロジェクト』」の一環として、トークセッションのほかにも、ローラー台を使ってロードバイクに乗り、画面内の仮想空間を走れるゲーム「Zwift」の試遊展示も実施。本パートでは、為末大氏、石川善樹氏、『Cyclist』編集長の澤野健太氏、『IGN Japan』副編集長の今井晋氏らが、人生100年時代とeスポーツのこれからについて意見を交わしました。

82歳から自転車を始めたサイクリスト

澤野健太氏(以下、澤野):去年ツールド東北というロングライドをやったんですけれど、そのときに一緒に走った方が86歳の方だったんですよ。そして、その方が(自転車を)始めたのが82歳なんです。

司会者:へ~。

澤野:「なんで自転車始めたんですか?」と聞いたら、もともとは駅伝をしていたんですけれど、そこで怪我をして、自転車やってみようかなと思ったらしいんですね。やっぱり自転車は脚に負担がかからないということで、それくらいの年齢からでも始められる。

司会者:駅伝は何歳で脚を怪我したのかがものすごく気になって、話が入ってこなくなりました(笑)。すごいですね! それまでずっと駅伝をなさっていたんですね。やっぱり負担が少ないということですが、その歳から始めるというのはすごいことだと思います。

100歳からしたら82歳はまだまだ若いですもんね。ひよっこですもんね。すごいですね。やっぱりそれを見て日常も走っていかなきゃなと思われたんですか?

澤野:はい。まだまだだなと思いました。為末さんも陸上のご出身から自転車に乗られているということですが、どうでしょうか。

為末大氏(以下、為末):そうですね。陸上は多いですね。怪我をして。(Zwiftをやった後で息があがっているため)ちょっと僕も今……(笑)。

石川善樹氏(以下、石川):休憩させてもらっていいですか(笑)。

(会場笑)

司会者:今井さんはいかがですか? eスポーツとかそっちの関わりが多いと思うんですけれど、実際に走っているのを見て、そしてご自身でも体感されて「あぁ、疲れた」とおっしゃっていましたが、ふだん取材をされている観点から、今回Zwiftを体験してみて感じたことはありますか?

今井晋氏(以下、今井):先ほど石川さんが言っていたことで、eスポーツと幅広く捉えた場合、何が必要かというと、ゲームにはけっこう歴史があるんですけれど、みんな昔は1人でやっているか、あとは周りの友達とやっていたんですよね。それこそ日本ではインベーダーファーストみたいな感じでインベーダーゲームがあった。あのときも一応みんな得点を競っていたので、ある意味競技性はあったんです。

今これがすごく話題になっている理由は、やっぱりオンラインで世界中の人とプレーできるという意味ではZwiftもeスポーツらしいと思います。別に競わなくてもいいわけじゃないですか。みんなで集まってちょっとやろう、それも本当にMMORPGみたいなノリでやってもいい。あとはバーチャル空間を楽しむというのもありますね。

昔、『Second Life』とかもありました。ああいったかたちで楽しめるというのは、ゲーム好きにとっても非常にアピールできるところですね。

司会者:これから、今井さん自身はどうですか?

eスポーツはゲームユーザーにどうアプローチすべき?

今井:僕自身はそれなりにスポーツもやってきましたが、今、公道を走るとなると暑いのもあるし、日本の道路はそんなによくないとか、いろいろあるじゃないですか。そういった意味では比較的、家でやるのはすごいですよね。

司会者:実際にロールプレイングとか、私もロールプレイング大好きなんですけれど、石川先生もおっしゃってましたけれど、ゲームユーザーは疲れないんですよね。見ていたり、自分でプレーするところから実際に体感してやっていく。

それを健康とかフィットネスに持っていくためには、どんな切り口でアニメ好きやゲーム好きの方にアプローチしていけばいいでしょうか?

今井:どうなんでしょうか。ただ自転車が好きな人に、実際にいわゆるオタクの人はけっこういるので、意外とすんなりと自転車好き、ゲーム好き、PC好きという人は入ってこられると思います。

今回こういうゲーミングPCで並べていますけれど、ゲーミングPCはパーツ交換したりするので、そこがけっこう自転車のパーツ交換するのと似ているんです(笑)。パーツ交換するだけでパワーが上がったりするという、そういうカスタム性も普通に楽しめるんじゃないかなと思います。

自分のアバターがあるというのは非常にわかりやすいですよね。今出てきたアバターはどちらかと言うとリアルな感じの存在ですけれど、ぶっちゃけアニメのアバターとかにしてしまえば(笑)。現実でもいわゆる痛車とかいうアニメのキャラクターを……

司会者:そこにいったらバカ売れしますね!

今井:ぜんぜんアリだと思いますね(笑)。自分は女の子のアバターで走りたいというやつもいるかもしれないし、すごい髪型のやつにしたいというのもあるかもしれない。そういったかたちの可能性を考えれば、本当にゲームらしい、なおかつ体を使ったスポーツというかゲームというか。これは普通のゲーム好きにもアピールするんじゃないかと思います。

司会者:今日はお話を聞いていて、ぜんぜん違う人たちがこうやってここに集まっている。けれども結局言ってることは集約されていて、若い子からお年を召した方まで、100歳まで元気に長生きする。

うちの父も75歳になりますが、元気なんですけれどやっぱり動かない。動かないから足が弱ってきて、歩いてと言ってもなかなか億劫で歩いてくれないんです。もうちょっとまたがりやすい設定にすると、おじいちゃんおばあちゃんでももっと簡単にできるようになるんじゃないかなと思います。

そのあたりも、フィットネスのジャンルでどんどん取り込んでいけている時代ではあるんですね。澤野さんは、編集長としていろいろな記事を書いていたり、現場を見ていたりしていますが、フィットネスというところではどうですか? Zwiftもそうですし、eスポーツで体を動かしつつ健康でいるというところはありますか。

eスポーツはバリアフリーにも対応

澤野:今までロードバイクは若い人や、また40、50代がメインだったんです。でも転倒しないとか、先ほども言われた元気とか、そういったところでは、もっともっとご高齢の方におすすめしていけるかなと思います。例えば老人ホームとか養護施設とか、ああいうところも回ってみたらみなさん楽しんで、外とのつながりもできるのでいいんじゃないかなと思います。

司会者:確かに病院とかでも術後にサイクリングの機械がおいてあったりするじゃないですか。それをただ壁向いてこうやって漕いでいるよりは、病院や施設の中だからこそ、外の景色が見えたり、風がちょっと当たったりするのが体験できるといいですよね。そうすれば、たぶんもっと幸福感や元気になるバイタリティのところもどんどん出てきますよね。

今井:その点はeスポーツでいうと、もちろんZwiftみたいなものとか、コントローラーとかキーボードとかマウスでやるものもあります。非常に良いところとしては、いわゆる身体的な障害がある人でも、例えば手が動けば、そういった人が本当にプロのレベルにいけるというところがあるんですね。そういった意味では、ある種バリアフリーなところがあります。

最近そういったものが非常にゲーム産業でも注目されているんです。Xboxなんかはアダプティブコントローラーといって、どんな人でも使えるコントローラーみたいなのも作っています。いろんな障害を持った人や、あとは聴覚や視覚でもなんとかやれるシステムもあります。ゲームでは最近色覚障害の人が見やすいようなアイコンも普通にあるんですよ。ユーザーインターフェースをそれ用に変えています。

司会者:素晴らしいですね。

今井:そのへんは非常にテクノロジーによって、人々がどのレベルで競うかという問題じゃないですか。これ(Zwift)はもう純粋に体力勝負だったりするんですけど。

ある意味、体があまり動かないけれど、知的な部分がすごく優れている人だったら、ある種eスポーツは将棋とかチェスも延長線上として考えられるので、そういったところで競うこともできます。人間の得意不得意で勝負事ができるのは非常にいいことかなと思いますね。

司会者:それこそ先ほど言ってたみたいにミステリアスで、誰と戦っているかはわからない。向こう側にどんな人がいるかはわからない。ただ純粋に自分のレベル同士で、見えない状態での本当のレベル同士でぶつかり合うことができるというのはおもしろいところですよね。

これまでの健康づくりは「早死にしないための方法論」

今井:年齢の話は先ほど聞いていておもしろかったですね。結局eスポーツは若い人が強いというのはありまして(笑)。

為末:反射系でしょ?

今井:反射神経と、ゲームという環境に慣れていくところですね。ただおもしろいのが、石川さんが好きな格闘ゲームは、高年齢の方が活躍するジャンルなんですよ。非常に不思議といえば不思議です。FPSやPPS、あとはMOBAと言われるものはかなり若い人が中心です。

でも格闘ゲームは、比較的経験が有用となるところもあるんじゃないかということは言われていますね。30代の方が普通にプロのレベルでできるeスポーツのジャンルがそこなんです。ほかのeスポーツはだいたい20代前半から、後半はギリギリです。

司会者:そこをどんどん取っ払ってどんどんレベルアップできるツールとして変わっていくといいなぁと思うんです。健康というところもそうですし、今、反射神経という話があったんですが、やっぱり年をとると運動神経が鈍くなったりして、だんだん衰えていくじゃないですか。

でも、それを予防医学の観点から言うと、やっぱり予防していけるんでしょうか? もちろん退化はしていくと思います。ただ、そのスピードをいかに遅くするかという方法はありますか。

石川:まず、そもそも論からいくつかお話しすると、これは記事になるということだから、それっぽいことを言っておいたほうがいいかなと思って(笑)。

司会者:先生らしいことをお願いします(笑)。

石川:これまでの健康づくりとこれからの健康づくりで大きく違うことがあるんですね。何かと言うと、これまでの健康づくりは、一言で言うと早死にしないための方法論だったんですよ。

タバコを吸うな、バランスよく食べろ、運動しなさい、みたいなことは、なぜそう言い切れるかと言うと、早死にした人とそうでない人は何が違うのかという研究ばっかりだったからなんです。

これからの健康づくりで、僕らはどういう人たちかを調べると、平均寿命で終わった人と90、100まで元気にいく人との違いを見るんですよ。これまではそんなこと研究しようにも90、100まで生きる人がいなかったからできなかったんです。

この20年くらいですかね、ようやくいっぱい出てきて、いろんな知見がわかってきたんです。一言で言うと、心の持ちようが大事ということなんです。90、100まで元気にいこうと思うと心の持ちようがすごく大事。

為末:なるほど。

石川:心の持ちようとは何かと言うと、自分は何歳まで生きるかなというところの自信なんですよね。

司会者:は~!

高齢でも元気で生きるには「心の持ちよう」が大切

石川:人生100年時代とさっきから言っていますけれど、たぶん100まで生きると思っている人はいないと思うんですよ。あんまり(笑)。だいたい80くらいかなと思う人が日本人には多いです。

ちょっと想像してみてほしいんですけれど、こういう研究があるんですよ。「自分の年齢に10足してみてください」。「10年後の自分と今の自分を比べるときに、10年後の自分は退化していますか? それとも進化していますか?」という問いなんです。

司会者:進化している。

石川:より生き生きしていますか? これで、「10年後の自分は今よりダメだな」というネガティブな人もいれば、「10年後の自分はもっと輝いてるよ」というポジティブな人もいるんですね。先の自分のイメージがネガティブかポジティブかで寿命が7年違うという研究があるんです。これはすごいですね。

90、100まで元気にいこうと思うと、心の持ちようはすっごく大事なんです。80くらいかなと思っている人はやっぱり80くらいになっちゃうんですよ。

(会場笑)

司会者:病は気からと言いますからね。

石川:根拠なく90、100までと思っている人はそういう気になるんですね。

為末:それはどうやって信じたらいいんですか?

石川:そう、それなんです! じゃあどうやって自分は90、100まで元気に生きられるという自信が出てくるかと言うと、実際に見ることなんです。90、100で元気な人を見ること。86で元気な人を見ると、「あ、なんかいけるかな」と思うじゃないですか(笑)。

スポーツの場はそれが良くて、行くと自分より年上で元気なやつがいるんですよ! だからスポーツというものの本質で、僕が1つ思っているのは、自分より元気な年寄りに会いに行くというのがあると思うんですよ(笑)。

(会場笑)

司会者:なるほど。

石川:自分より強い人に会いに行く(笑)。

今井:向上心ですね。

石川:人生100年時代と言えども、まだみんな信じきれてないんです。

司会者:結局、信じなきゃ始まらないですしね。為末さん、経験はもちろんですけど、そのへんはやっぱり勝てると信じないと難しいところですよね?

ダスキンのCMは「元気な100歳」の象徴

為末:それは昔からよく言われていることなんですけど、「ところでどうやって信じたらいいんでしょうか?」ということなんですね。僕の中では、日本人の寿命が上がったのは、たぶん金さん・銀さんのおかげじゃないかと思うんです。それをスポーツの現場で見ると、社会が100年時代を迎える。そういうイメージですね。

石川:おっしゃるとおりです。1980年代までは100歳超える人なんてほとんどいなかったんですよ。

司会者:そうですよね。109歳とかで日本で一番年長さんでしたよね。

石川:でも、90年代に入ってから100歳を超える人が急増したんですね。これは非常におかしな現象で、当時はバブル崩壊というのがありました。経済ショックがあるとだいたい平均寿命が下がるのが普通なんですよ。

日本はなぜか伸びている。それはたぶん為末さんがおっしゃったとおり、ダスキンが金さん銀さんを取り上げて……。

(会場笑)

司会者:ダスキンが。

石川:ダスキンですよ。あれは元気な100歳を国民全員が目撃したという事件だった! 

(会場笑)

司会者:確かに事件ですね。そうですね、あんなにハッピーな100歳。しかも双子!

石川:90、100まで元気に生きるという長寿の遺伝はあんまり関係ないんです。せいぜい2割くらい。

司会者:へ~!

石川:それよりもやっぱり自分のお母さんが元気に100まで生きたら、自分はいけると思うのが普通ですよね。だから金さん銀さんの子供たちも元気じゃないですか。

司会者:娘さんたちも100歳超えてますもんね!

石川:1990年代はダスキンがいました。2020年には何がいるかとなったときに、僕はこの産経に期待していますよ。

司会者:なんやそこかい!

(会場笑)

司会者:誰かいるのかなと思ったら(笑)。

石川:かつてはダスキン、今は産経(笑)。そういうふうになってほしいと思います。

長寿になって増えたのは、ぼーっとしている時間

今井:当たり前と言えば当たり前ですけど、eスポーツの選手も本当にそうですよね。今まではそんな商売はなかったんですよ。スポーツ選手に憧れるからスポーツ選手になるというのがほとんどでした。

今ようやく日本でもeスポーツの選手が現れているのは、完全にもうウメハラがいたり、一部の(プロゲーマーの)人がいたりするおかげなんです。イメージを湧かせる能力は完全に人々をコントロールしているとは思いますね。

為末:そう考えたら、初の60歳越えのプロアスリートみたいな方も出るとだいぶ変わりますよね。スポーツで言うと、たぶん(そういう方が出るのは)ゴルフの方くらいですよね。(他のスポーツで)60以上の方はいないんじゃないかと思うんです。

司会者:編集長、さっきからお話を聞いていてどうですか?

澤野:自転車で言うと、競輪には50代がいますよね。そこで60とかのプロの選手が出てくると、為末さんが言ったみたいにスポーツの世界も変わってくるのかなと思います。

司会者:駅伝をやっていたけれども82歳で自転車を始められた方もいらっしゃったり、そういうふうに自分が元気で、それをやることによって自分がもっともっと元気になる。

自分よりももっと年上で元気な方を見ていく。そしてなによりも自分の10年後の姿が幸せである、ハッピーである、元気で走り回っている。その姿をちゃんと見るということが大事ですよね。

10年後の自分は何をやっているんだろうか。どれだけ楽しいことができているんだろうか。どんなに走れているんだろうか。それを脳科学などで、自分の中で作り出していくことが大事なんですね。これは科学でも証明されているということですよね。

石川:もう1回言っていいですか?

司会者:どうぞ。ダスキンですか?(笑)。

石川:ダスキンじゃないです(笑)。人生100年時代の警鐘を鳴らしておこうかなと思いました。新聞だとバランスを取る必要があるのかな(笑)。

その警鐘を鳴らしておきたいんです。要は人生が長くなったわけですよね。明らかに長くなっている。その落とし穴は何かという話なんです。過去40年間で人類の時間の使い方がどう変わったのかという研究があるんですよ。それによると男も女も明らかに暇な時間が増えているんですね。

男性で言うと仕事をする時間がガクーンと減っているし、女性は仕事をする時間が増えてはいるんですが家事の時間が減って、トータル的に見ると男も女も暇な時間が増えている。その暇な時間に何をしていますか? ということを調べると、ぼーっとしてる時間が増えているんですよ。

司会者:いかんですね。

暇な時間をどう過ごすか

石川:寿命が長くなってぼーっとしてる人が増えているということなんですね。なんでかと言うと、本人たちに聞くと例えばジムに行ったりとか友達と会ったりとか、本当はそういうポジティブな活動をしたいんですね。

それをしたいんだけれども、人間には近視眼バイアスというものがあるんです。やれば楽しいのはわかっているんだけれども、やるまでの面倒くささという(笑)。これが近視眼バイアスです。ジムに行って体を動かせば楽しいのはわかっている。

司会者:行くまでが。

石川:そう。行くまでがあまりにも辛いんですね。

司会者:確かに。

石川:人生100年時代は、暇が増えるという話と近視眼バイアスという話、ここがこれからの大敵になってくるなというのは思うんですよね。

司会者:それは、この家でできるeスポーツだと、行くまでの準備も面倒くさくないじゃないですか。

石川:だからね、これがルームランナーを超えられるかという話なんですよ。

司会者:超えたいですね。

石川:ルームランナーですら、たぶんちょっと時が経つと洗濯物を……。

司会者:耳が痛いです。私も何個そうして捨てていったか。

(会場笑)

石川:そうそう(笑)。だからそこをなんとかして、このゲームという魅力で始める辛さを(やわらげたい)。

司会者:旦那にも小言を言われたんですよ。「これいつまで続くんかな」、「また物置きになるんじゃない?」と言われたんですよね。

石川:そう。

司会者:でもね、大丈夫! ならない! 痩せるから!

(会場笑)

「暇」と「退屈」にどう向き合うか

司会者:「はぁ、1ヶ月後聞こえるかな。この言葉」と言われましたけど、大丈夫です。結局自分自身ですからね。でも、そこでがんばってポイントが上がっていったらまたやる気が出てきますしね。

石川:結局健康なんてものはゴールじゃないんですよ。手段でしかないんです。健康になって寿命が延びて何をするのか。そこと本気で向き合わなきゃいけないんです。暇と退屈にどう向き合うのかということですね。

司会者:今回は100歳をどういうふうに楽しく生きていくかというトークショー、そしてZwiftの体験をみなさんにしていただくというかたちで、今日初めて産経新聞さんのイベントがあったわけです。

次はもっともっと体験してもらう。どう生きるかというのをポイントに、楽しいことを見つけて暇をどう自分で遊んでいくか。そういう遊び場みたいなのがもっとできるように、ちょこちょこイベントがあると楽しいかもしれないですね。

もしかしたら行くことが大変かもしれないですけれど、それこそZwiftの良いところで、バーチャルでいろんな会場があって一緒に遊べる。同時に遊べるというのがあると歳も関係なくなります。そんなイベントがあったら楽しいななんて思うんですけどね。

さあ、ではみなさんにそろそろ体験していただく準備に入りますので、最後に一言ずつみなさんからお話をちょうだいしたいと思います。今日の感想をお1人ずついただきたいのですが、今井さんからいいですか?

今井:Zwift自体は、先ほど体験して非常に楽しかったです。ゲーム全般で考えれば、今までのイメージだとちょっと不健康だったり、引きこもりだったりというイメージなんですが、今のゲームはけっこう社交的なものだと思っています。Zwiftもそうだし、eスポーツと呼ばれるようなものもだいたいそうですよね。

僕はゲーム会社の人間なので当然ながらですけど、ゲームは一生付き合っていける趣味だと思っていますので、みなさんも広い意味でゲームに興味を持っていただければと思っています。よろしくお願いします。

(会場拍手)

司会者:ありがとうございます。なんでもいいですよ。思ったことをお願いします。

姥捨て山に捨てられる年齢は50歳

澤野:自転車の営業としては、Zwiftは(本物の自転車に)雨の日は乗れないとか、そういうところから、入りたいと(みなさん)思ったと思うんです。ですが、これから自転車、ロードバイクに初めて乗りたいという人は、こちらのZwiftから始めて、モジュールを買って外に出るとかはどうでしょうか。

そういったところでどんどんスポーツ自転車を知らない方は始めていただきたいと思います。これを機会に親しんでいただけたらと思います。ありがとうございました。

司会者:日曜日とか、雨で外に行けないから家族で何しようかとなって、「じゃあZwiftでみんなで遊ぼう」とお家で1台で遊ぶ。「パパのほうが速いね」とか「あんた速いな!」とか言いながら家族みんなで遊べたりね。私はそれがアイデアの1つとしてすごく楽しいなと思うんです。

澤野:コミュニケーションツールとして。

司会者:ファミリーで楽しむ。家にいても、今はおじいちゃんおばあちゃんと孫が一緒に住むことは少ないじゃないですか。みんな個々の部屋にいたり、別のところに住んでいたりしますよね。でも、(Zwiftが)みんなで集まって家族の輪もあったかいものにできるツールになったらいいなと思います。ありがとうございます。さあ、先生。

石川:改めて、いい時代になったなと思うんです。例えばほんの70、80年前の戦後直後は、日本人の平均寿命が50歳だったんですよ。平均寿命が50歳で、姥捨山というのがあるじゃないですか。姥は何歳で山に捨てられたんだろうと調べたことがあるんです。

司会者:楽しいですねぇ(笑)。

石川:諸説あるんですけれど、50歳ですよ。世が世なら捨てられる人が今日はいっぱいいるわけですよ。

(会場笑)

司会者:私も42やからもう8年しかないじゃないですか!

石川:そう! 平成でよかったという感じですね。

司会者:本当ですよ。8年後捨てられてた!? 嫌や~。

石川:人生50年という時代がたった数十年で今や人生100年です。(寿命が)倍ある時代になったんですね。これは本当にいい時代になったというか、先人たちが一生懸命日本という国を良くしてくれて、そのおかげで今があるんだなと思うんですよ。だから大事に生きていきたい。

今日は100年時代とスポーツというテーマなので、それに関連して言うと、さらに視点を上げて、僕らはどういう生き方を次世代に残せるのかを考えてみたいと思うんです。

受け継いで100年にしてもらっているんですね。100年という人生をどう生きるのかという、僕らの生き方を見て次世代は真似をするわけじゃないですか。そのときに、家でぼーっとテレビ見てるとか、スマホずっと見てるとか、そんな姿を次世代に残していいのだろうかというのはよく思うんですよね。

やっぱり僕らが楽しんで生き生きと、いくつになっても人生をエンジョイしている姿こそ後世に見せたいですよね。

死ぬまで引退がない時代が来る

司会者:うちのお母ちゃんがね、いつも相撲を見ていたんですよ。相撲のテレビをじーっとお家で見て、買い物に行くときだけちょろちょろ表に出るんです。やっぱりそれを見てたので、82まで生きたんですよ。やっぱり元気なおばあちゃん、アクティブなおばあちゃんを目指せたらいいなと思いますよね。

それをどんどん私たちが、今この会場に来てくださっているみなさまが、どれだけ若いお父さんお母さんでいられるか。運動会でいつまでも「じいちゃん走るから待っとけ!」みたいなおじいちゃんおばあちゃんでいられるか。孫が「おじいちゃん走ってる」と言ったら、「お父さんじゃないの!?」という。そこですよね。

石川:とはいえ、人は弱いんですよ。弱いから、自分が100まで生きるのは信じられないし、意識をして立ち上がってなにかをやろうと思わない。それが人間です。弱さを抱えたのが人間なんです。

スポーツの世界に行ったら、さっき言ったようにすごい人がいっぱいいるんですよ(笑)。世界にはすごい人がいっぱいる。だから、「何歳になってもけっこう元気でやっていけるんだな」という自信を得たければ、スポーツの世界にちょっと関わってみたらいかがでしょうか。というのが、僕から言えることですね。

司会者:会いに行く、見に行く。テレビで見るんじゃなくて実際に現場に足を運んで、「私も大丈夫。まだまだがんばれそう」というのを見るのも1つかもしれないですね。ありがとうございます。では最後、お願いいたします。

為末:たぶんみなさんも早く乗りたいという感じだと思うので、手短にいきますね(笑)。なんとなく60何歳で引退したあとに、暇な時間を健康でどうやって過ごしていけばいいかと思っているモデルが崩れて、そもそも死ぬまで引退がないという時代が来るんですね。そう考えたときに、あとは働く量となにかの量(プライベートなど)を増やしたり減らしたり調整することがこれからだと思うんです。

今日いろいろお話を聞きながら、スポーツも1つのツールでいいと思うんですが、社会とのつながりを絶たれたらおしまいだなという気がするんですよ。仕事も遊びも全部社会との接点が大事じゃないかと思うんです。

これから世界中でまだどの国も経験していない状況を日本が迎える中で、なんとなく社会の中でこういう立ち位置を取るとみんなハッピーに生きていけるかな、みたいなものが全体で見つかるといいなという意味で、100年時代というのは個人にフォーカスしている気がする。

100年時代を迎える国家はどんな在り様があるのか、みたいなものが見えるといいですよね。そういう意味で、僕はスポーツの人間なのでこういうツールはすごく役に立つんじゃないかなと思っています。

司会者:ありがとうございます。みんなでできるスポーツで、みんなで健康で楽しく100歳を楽しめるというところですね。為末さんがまとめてくださったところがいいなぁとすごく思います。

みなさまにいろんな視点からお話しいただいて、Zwiftに乗ること、eスポーツというところからいろんな発想、ぜんぜん違うポイントからのお話ですごく勉強になりました。今日は、こんな素敵なイベントで司会をさせていただけたことを本当に心から感謝しています。ありがとうございました。

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