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クックパッドマートが目指すもの(全1記事)

生鮮食品ECサービス「クックパッドマート」は何が新しいのか? 事業責任者が語る、開発秘話

2018年9月26日、クックパッド株式会社が主催するイベント「Cookpad Tech Kitchen」が開催されました。第18回となる今回のテーマは「生鮮食品EC クックパッドマートの開発秘話」。7月に発表したクックパッドの新規事業、生鮮食品ネットスーパー「クックパッドマート」の開発の裏側について、事業責任者、エンジニア、デザイナーたちが語り尽くします。「クックパッドマートが目指すもの」に登場したのは、クックパッドマート事業責任者の福崎康平氏。サービスにかける思いを語ります。

IT系出身者の多い福岡で生まれ育った

福崎康平氏(以下、福崎):みなさんこんばんは。今日は夜遅いなか、しかも雨降ってますかね。お足元の悪いなか来ていただいて、誠にありがとうございます。

今日は僕を含めて4人から、サービスをこんな思いで作っていたとか、こういうことを目指していたとか、いろいろなお話ができればと思っております。

ぜひ、僕がしゃべっている間はご飯をガンガンとりに行っていただいてかまわないので。ご飯が主役で話を聞くのは半分ぐらいの気持ちで今日は聞いていただければと思うので、BGM気分で楽しんでいただければと思います。

ということで、今日お話しさせていただきます福崎康平と申します。事業責任者をやっています。今は10人ぐらいのチームでサービスの開発をしているんですが、今後どういったサービスにしていきたいとか、コンテナはどういう資材を使うかとか、温度管理はいかにしてやるかとか、本当に細かいところから大きなところまで、いろいろと見ております。

最後に簡単な歓談の時間があるので、もし共通項とかがあれば声をかけていただければと思います。出身は福岡です。海から歩いて10分ぐらいのところに住んでいて、天気がいい日とか波の強い日は波の音も聞こえるというところに住んでいました。一応福岡市内です。

中高時代は、久留米の学校に通っていました。久留米はいろいろIT系出身者が多くて、堀江貴文さんも八女(やめ)のほうですけれども、久留米出身だったり。あと孫正義さんとか、孫泰蔵さんも久留米のご出身です。

今は横浜に住んでいます。僕はとても引っ越しが大好きで、横浜だけで5回引っ越しました。この期間なんと6年ぐらいです。横浜のみなとみらいとかあのあたりがすごい好きなので、横浜駅から元町・中華街駅まで、全駅制覇しました。

なので横浜方面の方も、いらっしゃったら声をかけてもらえればと思います。

農家の父、漁師出身の母から食育を受けて育った幼い頃

福崎:父親は福岡の農家をやっていて、お米やお野菜をつくったりしてます。すごい広い農地が余っていて、貸して実際にお米をつくっていただいているんですけれども、もう土地代はいらないからお米をくれという、謎の契約をうちの父親が結んでいて、未だに我が家では年貢という制度が成立しているという、そんなところ出身です。

母親は横須賀の漁師で、横須賀に長井漁港という小さな漁港があるんですけれども、そこで漁師をしていました。

今うちの母親が60代なのですが、どういう思い出があるのと聞いたら、うちに初めてテレビが導入された時はマグロが釣れたからだと(笑)。マグロが釣れてテレビと交換するみたいな、そんな時代ですね。

いろいろ話を聞いているとおもしろいんですけれども、農家はすごいコツコツ型らしいんです。とにかく細かくコツコツ生活しているけど、漁師はもうばくち打ちみたいな生活で、我が家も父親は意外とこまごましているんですけれども、母親はイケイケみたいな、そんな家庭環境で育ちましたので、僕はいろいろばくちを打つシーンもあれば、細かくやるシーンもある。

そんなこんなで事業責任者をやらせていただいております。

食べ物がすごい好きで、こんな家庭で生まれたというのもあるのかもしれないんですけれども、小さい頃からいろいろなものを食べさせてもらって生活していました。

中高時代は久留米に通っていたんですけれども、文化祭があったので、文化祭でご飯をつくって露店みたいな感じでやっていたんですけれど、すごい楽しくて。

焼きそば焼いたりとか、なんか初めて学校に来てインプットじゃなくてアウトプットをした瞬間で、独特な体験を感じて、アウトプットをする人になりたいし、人をもてなす人になりたいと思ったことがきっかけで、大学時代は「こっぺ食堂」というのをやっていました。

在学中からCtoCプラットフォームづくりに打ち込んでいた

福崎:けっこう趣味的にやっていたんですけれども、あれよあれよといろいろな人に来ていただいて、ネット業界の方も来ていただいたりとか、雑誌に取り上げられたりとか、不思議な経験もあったりしました。

日本で間借りしてお店をやっていたんですけど、いろいろな国でご飯をつくるのが好きだったので、アジアに行ったりヨーロッパに行ったり、今だとノマドシェフみたいな人が海外にいたりしますが、そんな感じで学生時代はいろいろな国を旅して現地でお店を間借りして料理するというのをやっていました。

今でもライフワークとして家に人を呼んで料理を振る舞うことをやっているんですが、「今日は何が食べたい」とか「今日開いてる?」とか、うちの家を食堂だと誤解してる人がたくさんいます。おもてなしして楽しんでもらうのがすきなんです。

これまで、在学中から自分で会社をつくっていろいろサービスをつくってきたんですけれども、CtoCプラットフォームをずっとつくっていました。

東日本大震災の時には「roomdonor.jp」という、家を失った方と家を持っている方を結び付けるようなサービスを運営していたんですけれど、こういったサービスをきっかけに、習い事のプラットフォームや、場所のプラットフォームをやっていました。今は食と流通のプラットフォームということで、クックパッドマートというサービスをやっています。

今回、いろいろサービス、みなさんも見ていただいた方もいらっしゃるかと思うんですが、アプリをダウンロードしてくれた方はいますか?

(会場挙手)

すごい。すみません、学芸大学周辺でしか使えないんですけれども(笑)。どうしても使いたいという方は、引っ越していただくか、あとはオフィスでの受け取りができるので、入社していただくか、どちらかしかないんですが、どんどんエリアを展開していく予定です。

農家の野菜、ベーカリーの焼きたてパン、老舗の食材が集まるプラットフォーム

福崎:簡単に言うと「毎日が楽しみになる、食材店」ということで、ネットスーパーをやっております。

先週、正式リリースさせていただいて、おかげさまでメディアに多数取り上げていただき、いろいろ生鮮流通は海外ではたくさん事例が出てきているんですけれども、国内ではなかなか成功事例が出てきていなくて、社会的にすごく注目を浴びています。

当面は東京都23区の一部の地域で展開していく予定なんですが、こういったかたちでサービスを提供しています。

生鮮流通とか小売は、実はマーケットがめちゃめちゃ大きくて、市場規模だけで20兆円あります。ものすごい大きなマーケットです。そのなかの一部をとるだけでも難しいことなので、まず限られた地域から展開していく予定です。

簡単にサービス説明をすると、「アプリで食材を注文すると、街のお店に届いて、帰宅ついでに食材を受け取る」という感じです。ほかのサービスと違って、新しい置き配というかたちに取り組んでおりまして、あとで少しお話をさせていただきます。

もう1つ特徴としては、クックパッドマートというのは自社で流通センターを持ち在庫を抱える形ではなく、プラットフォームという形でやっています。例えば農家さんがつくる野菜だったり、ベーカリーがつくる焼きたてのパンだったりとか、あとは商店街にずっと古くからやっている老舗のお店だったり、たくさんの方々が販売に参加できるプラットフォームという形で、サービスを展開しています。

食材だけがインフラ化した駅前のスーパーに依存している

福崎:これまでいわゆるネットスーパーとか買い物代行とか食材宅配と呼ばれている分野では、お肉を頼んでも冷凍のものだったり、なかなか買いたいものが買えないというのがあったんですけれども、いろいろな人が参加できることによって、バラエティのそろった食材が購入できます。

例えば、シャキシャキの空芯菜が買えたり、骨付きのもも肉が買えたり、目が飛び出るほど高いんですけれども、A5等級雌牛仙台牛のサーロインが買えたり、本当に価格帯もいろいろ、100円台から買えるものだったり、何千円とする高級食材だったり、なんでも買えるようなサービスになっております。

もう1つの特徴は、クックパッドが運営するサービスということで、食材を売って終わりではなくて、買ったあとの体験、どうやって料理したらいいんだろうとか、あとは参考になるようなレシピはないかなとか、食材を買う時は必ず献立を考えている時だと思うので、そういったものも合わせて検討できるようなUIになっています。

このあたりの話は、今日いろいろアプリの開発の秘話だったり、どういったものを大事にしていたとか、いろいろな方からお話があると思うので、聞いていただければと思います。

僕からはどういったものを目指しているかということで、簡単に生鮮業界を取り巻く環境みたいなお話を、かたい話なのでゆるく聞いてもらえればと思います。

まず、だいたい住んでいる場所にスーパーは1、2ヶ所しかないですよね。今世の中はものすごく便利になっていて、スマホで決済できるようなQR決済が中国でどんどん発達していたり、配車アプリを使うとタクシーがすぐ来てくれる、そんなのが当たり前の時代なのに、食材は未だに駅前のスーパーにみんな通っている。

忙しい方も忙しくない方も、お金持ちな方もそうではない方も、あらゆる方が1つのスーパーというものに依存していて、インフラ化しているという現状があります。

昔は商店街があっていろいろなお店があったんですけれども、そういった買い物ができなくなってきていると。

食材宅配サービスが持つ課題

福崎:もう1つは、食材宅配のサービスとかいろいろ出てきています。ただ、最低注文金額5,000円とか7,000円とか、あとは週1回必ず注文してくださいとか、制約が大きいんです。

これは配達のコストがものすごく高くて、やっぱり配送員の方も疲弊しています。疲弊している方にやってくださいというと、どうしても高い値段でしかできないというかたちになってしまって、だいたい送料は1,000円とか1,500円とかかかってしまうので、そうすると5,000円とか7,000円頼んでくださいとなってしまいます。

そういったまとめ買いのサービスになってしまうと、結局いい食材を買っても冷蔵庫で、じゃあ明日食べようかとか、週末食べようかとなってしまって腐らせてしまったとか。冷凍庫につっこんじゃえとか、そういったことが起きてしまって、本質的においしいものが当たり前に届く仕組みにはなっていないのではないかと思います。

今はいろいろな人が増えてきています。共働きの人もすごく増えているし、今日も女性の方がたくさんいらっしゃると思いますが、実際に昔は専業主婦の人でお昼に買い物に行ってご飯をつくって、旦那さんを待ってみたいな時代だったのかもしれないですけれども、今はそういう時代ではないので、より難しくなってきていると思います。

そんな社会の問題に対して、僕らが提供していくサービスとしては、新しい置き配というかたちで、配送員の負担も低くて、利用者としてもパン1個からでも頼めたりとか、お肉1枚からでも頼めたりとか、そういったサービスを望んでいると思っていて、こういったラックを地域のお店にたくさん置かせていただいて、そこに配達します。

ドラえもんのとりよせバッグみたいな感じで使えるような仕組みを目指して、実際にこんなかたちでお店には置かれていて、このラックもどんどん今進化していまして、社内ではかっこいいスマートロックのプロトタイプがついている冷蔵庫があっちにあるので、もしお時間があったら見ていただきたいんですけれども、こういったものを置いています。

送料も手数料も無料にして回せるように

福崎:どんどん進化させていく予定ですが、ありがたいことにたくさんのチェーンストアに興味を持っていただけていて、リカーショップさんとかドラッグストアさんだったりとか、そういったところに置き始めています。

今後は駅とかマンションの共用部で受け取りができたりとか、そういったことができると便利かなと思っています。

うちのサービスは基本的には利用者からは手数料はいただきません。送料もいただきません。送料無料・手数料無料でやっています。

ただし、実際に売れたら販売者の方から販売手数料というかたちで一部を受け取って運営をするというかたちになっております。これでしっかり回っていくモデルをつくっていくというのが僕らの目標です。

僕たちは日々の買い物の選択肢になるようなサービスをつくりたいと思っていて開発を進めています。ただ限られた人に使ってもらうのではなくて、当たり前に使ってもらえるサービスになっていきたいと思っています。どんどん改善して色々良くしていく予定です。

今は10人ぐらいの少ないチームでやっています。年内には20人ぐらいのチームにしていきたいと思っているんですけれども、これから難しい問題に取り組んでいくので、そのためには強いチームでやっていかないといけないんです。

僕からあいさつと合わせて、サービスの概要についてお話しさせていただきました。以上です。

(会場拍手)

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