2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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孫正義氏(以下、孫):次のインダストリーを見てみましょう。
例えば金融。金融はあらゆるものを記号でトランザクションしているわけです。だとすると、AIにはより適しているはずだということです。物を動かさなくても、記号でお金をトランスファーし、データでその人の信用を判断することができる。
従来の金融では審査が遅い、リスクが高い、確率的な商品しか出せない、だから儲からない、だから金利も高く取らなきゃいけないという状況がある。これに対して、即時審査でリスクがより減って、かつ確率的なものではなくカスタマイズされた状況で商品が提供できるとすれば、今よりも安く、今よりも便利に、今よりも素早く金融サービスを提供することができるようになります。
鍵はデータです。インドのPaytmは、中国のアントファイナンスのAlipayと連携し、Alibabaグループの資本、ソフトバンクグループの資本、そしてノウハウ、いろんなものが融合して、今インドで一気に爆発的に、支払い・決済の手段を提供し、ユーザーが伸び、革命を起こしつつあると。
今日は創業者、起業家のVijayが来てくれていますので、直接話を聞きましょう。Welcome。
(会場拍手)
Vijay Shekhar Sharma氏:ありがとうございます。
時折、若い人のチームが既存に対して反対をして、このようなことは許さないと。例えば決済とか、今お話しがあったような自動運転の分野で新しいプラットフォーム、新しいアイデア、新しいパラダイムを起こすことが必要になります。Paytmは技術、ビッグデータ、AIを融合させることで、支払い決済を、例えば第三世界の国インドなどでできるということです。
支払い決済は、みなさんが店舗に行って、そして通貨で払うというものでした。一方、カードやなにか別の方法といった新しい支払方法の場合、有料で手数料がかかるという世界でした。インドでは、1ルピーの節約が企業や消費者にとって重要な節約になります。
支払い決済の基本的なものをまず作らないと、その上に新たなサービスを取ることができなかった。ところが、AIと決済がそれを可能にしたわけです。PaytmはAIによって世界のビジネスモデルを変えるという1つの例です。銀行は加盟店に対して手数料を請求します。つまり、支払い決済を可能にするために手数料を支払わせるわけです。
ところが、例えば野菜を屋台で売っているような商店の場合、数ドルくらいしか毎日稼げない。手数料を払うことでさえ、生き残りの問題になってしまうわけです。それがテクノロジーとしてのAIの美しいところです。我々がサービスを提供できる、あるいは構築できる。サービスの規模があるからこそ、新しいビジネスモデルがデータと、そして新たな技術によって生まれるわけです。これが世界の支払いの進化です。
先ほど孫さんが為替の時代という話をしましたが、我々はまだある中央銀行の銀行総裁がサインをして、発行している通貨を使っています。これ(発行された通貨)を誰かに与えて、れを通貨として信頼してもらって、使っているわけですが、データが残らないという意味で、使っている人、通貨、それから銀行自体がまったくダメです。つまり、インテリジェントではないわけです。
一方、片方がデジタル化してカードが発行されました。カード自体はインテリジェンスではないんですが、店舗側で小さなコンピューターの端末が導入された。でもこれはなんの魔法でもありません。例えばインドや日本などですと、実際カードで支払いをする人は非常に少なく、もしかしたら世界の5パーセントから7パーセントぐらいでしかないのです。
モバイルフォン、つまり携帯によって技術は発展しました。つまり、クラウドと接続しているエッジデバイスの導入です。それによってみなさまのトークンがスマホの中に入っているわけです。そして、店舗側のQRコードが店舗に設置されていますが、その組み合わせによって決済が可能になりました。
つまり決済は、通貨からカード、そしてモバイル決済へと移っている。モバイル決済は、みなさんのデバイスが何であるか、この場所がどこにあるか、どういう店舗で支払いをしているか、どういう支払いか、どういう取引かということを知っている。結果として、その店舗に対してよりスケーラブルなサービスを提供することができる。そして今まで不可能であったリスクなどをすべて解消することができるわけです。
この新たな通貨のトラッカビリティにより、もしかしたら世界の汚職がなくなるかもしれない。つまり、今のビジネスモデルの付加価値として、過去は支払手数料、パーセンテージに基づいていましたが、新しいビジネスモデルが可能になりました。
店舗は、例えばローンなどを出すことができるようになった。それ(ローン)を使ってショッピングをしている消費者は、クレジットカードだけでなく、電話を使ってクレジット、つまり信用を得ることができるようになったわけです。
例えば、病院や薬局に行って支払いをする時に、ポケットからお金を出す、あるいはクレジットで払うのではなく、保険で払う、医療保険です。つまりその場で医療保険から瞬時にお金が下りるといったことが可能になります。そうすると、支払い決済を超えたサービスが可能になってくると思います。
ある技術の一番重要な役割は問題を解決すること。そして大規模なかたちで社会にインパクトを与えることです。テクノロジーにはまさにそれが可能です。
スマホの能力、スマホからクラウドに送られるデータ、そしてその周辺のシステムによってまさに世界中の金融サービスの民主化が可能になると思います。2014年から2018年までのたった4年間に、何千パーセントもユーザー数・加盟店の数が増えています。
また、Paytmの加盟店ベース、つまりPaytmの支払い決済を受け付けている店舗は、カード会社ネットワーク全体の5倍になっています。なぜこれが可能か。それは非常に理論的にスケーラビリティがあるからです。また、加盟店・消費者がそれを受け入れて、従来の銀行などができなかったようなリスクの評価が正確にできるようになったからなんです。
私どもは、この旅路は始まったばかりだと思っています。今後はその次のレベルにステップアップすることが必要です。つまり、残りの銀行サービスをここに乗せるということです。銀行は非常に限られたスペースで運営しています。信用、セキュリティ、ガードがいてATMの機械があって、そして窓口のテラーがあって、本当に限られたスペースです。そこにお客さまが行って、そして銀行業が行われるわけです。信頼が必要です。
ところが、銀行ネットワークの支店網は非常にお金がかかります。小売店舗と同じです。さらに消費者は支店に行きたくなくなっているわけです。イーバンキング、あるいはATMのネットワークでも現金の入金、出金が非常に楽にできます。そして、一般的な店舗のオーナーが単なる支払いではなく、銀行サービスを大量に行うことができます。
去年これがローンチされた時、たった1年しか経っていないですが、私どもは実はインド内の最大銀行の最大の支店網よりも多い支店網をつくることができました。PaytmのATM網は、たった1年間で国で一番大きくなりました。
5億人のインド人を経済の主流に引き上げる。そして新興国のエコシステムをさらに拡大させて、それを世界50億人のユーザーに拡大したいと考えています。
データ、デバイスの能力、それからクラウドのオポチュニティにより、金融産業がまさに破壊されます。破壊ではなく、進化という言葉を使いたいと思います。今までなかったような進化を遂げるでしょう。
金融市場のコストがあまりにも大きいがために、我々は、例えば数千ドルぐらいの年収しかないような人たちにはサービスを提供することができなかった。それが世界の貧困層であります。
しかし、テクノロジーは、こういった世界の貧困、そして汚職を、例えばブロックチェーンやトレーサビリティの導入、そしてすべての人々に対する金融のディストリビューションによって、解決することができます。
Paytmの狙いは大きいです。「Go Big or Go Home」、「高みを目指せ、できないならやめろ」。これが私どもの創業者、CEO、つまり私の格言です。ありがとうございます。
(会場拍手)
孫:今彼が言ったようにPaytmは、もうすでに3億5,000万人ものユーザーがいて、店舗数が800万店舗を超えるという、クレジットカードをはるかに超える店の数、あるいはトランザクションのボリュームになっている、インドでナンバーワンのペイメントの会社です。
ペイメントは、これから行われるいろんなコマースの基本になります。ペイメントを押さえたところがあらゆるサービスのハブになっていくということで、大変重要な部分だと思います。
日本ではおサイフケータイとかいろんなものが、世界よりも先に開発されましたが、今やモバイルペイメントでは、中国には100倍ぐらい抜かれて、そしてインドにも完全に抜かれたという状況です。そういう意味では、このペイメントの分野でもAIの力があらゆるもののコストダウンと利便性を提供し、生産性を上げると。
インドの経済規模は今から10~15年ぐらいで現在の中国の規模になると思いますが、その中でもナンバーワンのPaytmのVijayが今プレゼンをしてくれたわけです。
事程左様に、日本はAIを使った自動運転の世界、ライドシェアの世界、ペイメントの世界でも完全に抜かれてしまって、僕は大変な危機感を覚えています。AIを先に取り入れて、それを最大限に使った会社がますます大きくなっていく(ということです)。
Daniel Ammann(ダニエル・アマン)
General Motors Company President
Eric Xing(エリック・シン)
Petuum CEO/カーネギーメロン大学 教授
Jean Qing Liu(ジーン・リウ)
Didi Chuxing President
Oliver Wang
Ping An Good Doctor Chairman and CEO
Vijay Shekhar Sharma
Paytm/One97 Mobility Fund/One97 Communications Limited Founder
Wayne Xu
ZhongAn International / ZhongAn Insurance COO
孫正義
ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長
孫正義「AIの価値をわかっているのに、なぜ真剣に取り組まないのか」ソフトバンク2018基調講演
“AIを誰もが使えるものにしたい” 孫正義氏も支援するAIスタートアップCEOが、そのヴィジョンを語る
"信号の変わるタイミングをAIで最適化すれば、渋滞はなくせる" Didiが掲げる「交通プラットフォーム」思想とは
自動運転技術のビジネスチャンスはダウンタウンにある ソフトバンクと手を組んだGMが目指す信号機のない世界
病院の支払いを、医療保険からダイレクトに行えるように 1年でインド最大の金融網をつくったPaytmの展望
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