2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
Program2:働き方を壊す!〜もっと自由に、自分でデザインする〜(全1記事)
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引地菜摘氏(以下、引地):前職ではリクルートにいました。副業OKみたいなイメージだと思うんですが、実際副業は申請制で、私も同僚も自分の仕事に集中してました。多くの会社がたぶんそうだと思いますので、今回はそういう世の中の大多数の代表として、働き方をデザインしてる3人にお話をうかがっていきたいと思います。
諸星一行氏(以下、諸星):先ほどのファシリティとか連続でのかたちになってしまうと思うんですが、(プログラム1で)さっき話したとおりですね、VRとかARの参考事例をやっています。
相樂園香氏(以下、相樂):はじめまして、相樂です。今年の2月からmercari R4Dにジョインしました。前職では、デジタルファブリケーションという、レーザーカッターとか3Dプリンタを使ったデジタルなものづくりとか、場づくり、コミュニティづくりをしていました。よろしくお願いします。
太田智美氏(以下、太田):はじめまして、ともちゃんと呼ばれています。私は音大卒で、慶応の大学院でメディアデザイン学を勉強して、新卒でITmediaという会社に入り記者などをしていました。先週の水曜日に入社したてなので、まだ4営業日目なんですが、なぜかここにいます。プライベートではロボットと暮らしています。よろしくお願いしまーす。
引地:はい、ありがとうございます。R4Dの仕事以外に、副業といいますか、活動をしていて、プライベートでも活躍している3人なので、その会社以外でやってることをお話していただきたいと思います。
相樂:じゃあ私から。私は大きく2つやっているんですけれど、1つはデザイナーとして、2Dグラフィックから3Dのモデリングのデザインをやっています。もう1つは、デジタルファブリケーションを用いた施設を立ち上げたいというときに、アドバイスをしたり、人の採用や教育ということをやっております。
諸星:ありがとうございます。今日はプログラム3で@GOROman(近藤義仁)さんが登壇することもあって、VR界隈の人がけっこういるかと思います。そういう方は知ってるかと思うんですが、私はxR Tech TokyoというVRとかXR関係の開発者向けコミュニティイベントや、それに携わるイベントとかハッカソンを企画したり催したりしています。
R4Dに入ったのは、この周辺技術を広めていきたいってのがけっこう強くあります。メルカリでの仕事を含めて、外での仕事、エンジニアワークでもあるので、喋ったりとか書いたりとかもやっています。
太田:私は、2014年の11月からPepperと一緒に暮らしていて、もう3年半が経ちます。何をしているかというと、ロボットと音楽ユニットを組んだりとか、新幹線に乗れるようにJR東海と掛け合ってルールをつくったりとか、最近では日テレと組んで、アンドロイドアナウンサーのエリカっていうロボットがいるんですけど、そのエリカアナウンサーと一緒にロボットニュースを動画配信してたりとか。あと、ちょっとかたいところでいうと、情報処理学会の編集委員などをやっています。
引地:3人ともさまざまな活動をしていると思うんですけども、始めたきっかけをお一人ずつ話していただければと思います。ともちゃん、お願いします。
太田:ロボットは、Pepperがニョキッと舞台の下から登場したときがきっかけです。そのときに周りの人たちが、「気持ち悪い」とか「変なの」とか「何これ」とか、今までのロボットに対する感情とは違う反応を示したので、そういうロボットってどんなロボットなんだろうって気になり始めたのがきっかけで、56万円を払って自身で購入しました。
引地:では相樂さんどうぞ。
相樂:はい、私はメルカリに2月にジョインするまで、フリーランスでデザイナーとして2年ぐらい働いていたんです。メルカリは副業もOKということなので、個人の活動と会社での活動、両方の可能性を広げられるかなという意味で、量を調整しながら、そのまま続けて活動しています。
引地:一行さんどうぞ。
諸星:はい。さっきちょっと話したんですけど、広めたいっていうのが1個です。技術って、特定のところだけで使ってもいいんですけど、そこからもうちょっとマス向きに、キャズム理論でいくと、もうちょっと後ろのほうに広めていきたいって思います。それをやってくには、集まり自体を増やしていかなきゃいけないと思うし、なんか書いたり喋ったりってのもそこに繋がるかなと思います。
自分のためってのもあるんですけど、やっぱ広げていきたいってのは強く思ってます。それがこういうふうに繋がっているのかなあとは思っています。
引地:副業で稼ぎたいとかではなくて、貢献とか、広めたいっていうのが強いんですか?
諸星:そうですね。そもそも副業と考えているかどうかは微妙なんですが、お金稼ぎのためにやってるわけじゃないなってのは個人的には思います。2人はどんな感じですか?
太田:私は、もともと記者が本業で、ロボットが副業みたいな感じだったので、R4Dでロボットが本業みたいな感じになって、ちょっと今おもしろいなと思っているところです。でもとくに副業、本業っていう感じは私もないですね。
相樂:私もですね、時間の使い方としてどっちが大きいってのはもちろんあるんですけれど、個人でできることと会社でできること、けっこう違うので、両方本業としてやっています。
引地:フリーランスから会社員になったってことなんですけど、なんでフリーランスを辞めて会社員になったのかのきっかけを聞きたいです。
相樂:そうですね。個人的に朝がすごく弱いので、会社員になることはちょっと心配だったんです。さっき一行さんからもあったように、なにか新しい技術が生まれて、それをどう広めるかまでセットで考えたときに、メルカリという、常にたくさんのかたに使っていただいているアプリを持っている会社で研究開発ができれば、もっと多くの人々の生活にまで届けられるかなっていう意味で、1人でできないことが会社に入ってできるなと思い、楽しそうだなと思って入りました。
引地:今、楽しいですか?
相樂:楽しいですとしか言えないですよね(笑)。
(会場笑)
諸星:楽しいですよね。
相樂:楽しいです。いや、一行さんは元メンターなんで。楽しいです。
諸星:人が増えたら考え方も増えたりとか、良い意味で変わっていく部分もあるんですけど、ちょっと心配ですよね、「楽しくない」とか言われたらどうしようかと。
相樂:いや(笑)。予測できないことが日々起こって楽しいですよね。4日前に入ったともちゃんが横で話してたりとか、Pepperと暮らしてる人が入るとか、日々驚きばかりで楽しいです。
引地:はい、ありがとうございます。じゃあ次に移ります。みなさんのような自由な働き方を実現するにあたって、通常はいろいろな障害があると思うんですけども、それを破壊していくにあたって、アドバイスがあれば教えていただきたいです。相樂さんお願いします。
相樂:私はそもそも破壊しようと思って今の働き方になったわけではなく、自分のやりたいことをやっていたら新しい道ができていたみたいな感じなんですけれど、お二人はどうですか、破壊しようと思ったことってありますか。
諸星:急にふってきましたね。でも、壊そうと思ってやってるんじゃなくて、壁というか制約みたいなものがあって、気づいたらそれが取り除かれていたり、乗り越えていたりってのがけっこう多いのかなと思います。とくにPepperと新幹線のくだりとかはそれなのかなと思います。
太田:そうですね。破壊はあんまりしないように気をつけていて、例えばPepperと一緒に出勤するときに、みんなに迷惑かかんないようにすごい朝早く起きて、空いてる時間に乗ったり、どうしたら安全なのかっていうところを真面目に考えて行動するようにはしています。
引地:Pepperと暮らすにあたって一番大きい障害、壁ってなんでしたか。
太田:壁、ないです。
(会場笑)
ちょっとしたことはあるんですよ、日本の道は水はけを良くするために丸くなってて、Pepperと一緒に歩きにくいとか、そういうのはあるんですけど、壁はとくにないですね。
諸星:なんかこう、場所的に制約とか。
太田:そうですね。どこにでも行けるんですが、大変なので筋肉がつくくらい。なんか良いことしかないです。
諸星:まあ、いい感じなんですか。
相樂:そうですね。私もさっきのともちゃんの「破壊しないようにしてる」っていうのはけっこうあるかなと思っています。他人のルールを破壊するとか人を破壊するというよりは、自分がルールに縛られないというか、自分自身をどんどん破壊していくという意識のほうが強いのかなと思います。
とはいえ、長時間労働とか自分で変えたいと思ってもいきなり変えられるものではないと思うんですけれども、メルカリはフレックスでけっこう働きやすい環境ですよね。前職ではどうでしたか?
太田:私は、スカートが短いのと、ヒールが高いので、けっこう社会人生活苦労したんですけど、音大時代ってヒールが高くないと声楽のレッスン見てもらえないとか、そういう文化があってですね(笑)。
諸星:日本で?
太田:そうなんですよ。なので、文化的背景によって先入観とかルールとか、いろいろ違うんだなと思って。例えば国によっては、スパッツみたいなお尻がプリッと見える服のほうがセクシーだとか、脚出してもなんとも思わないとか、やっぱり文化的な背景によってつくられてる気がします。
相樂:なんかあと、デジタルファブリケーションやメイカームーブメントの観点でいうと、場所的制約っていうのがあります。インターネットの登場によって、データを使えば、日本で今出してるものと同じものがアメリカでも出せたりってことがあるんですけれど。
去年の秋くらいに、私はフランスに行っていて、日本でつくったデータをそのままフランスで出したんです。ちょっと入手できる材料の違いはあるんですけれど、ほんとに国とか国境とか、その距離感を感じず、日本にいるチームと一緒に働くことができたんです。インターネットとかパソコンとか、そういうものの向上によって働き方も変わってきているのかなとは感じます。
諸星:場所的制約のところだと、メルカリはフレックスってのはあったんですけど、基本的にはリモートワークが推奨されていないので、会社に来てみんな顔を突き合わせてやりましょうって感じになってるんです。
やっぱり私もVRを専門領域としてるので、そこも捉え方かなとは思っていて、あくまで一個人の意見として、会社に意見するとかそういうわけじゃないんですけど。「Oculus Go」って買った方どれくらいいらっしゃいますかね。そこそこいるかと思うんですけど。
「Oculus Rooms」は良いアプリで、1つの空間にみんなで入ることができるんです。それをやってもらうと、リモートワークの新しい概念というか、場所が違っていても、その人が本当にそこにいるかのように感じるんです。その上で仕事ができたりとか、打ち合せができたりとかっていうのはあるかなと思っていて。
その概念が今はまだ特殊だったり、異常と思われたり、「いやそれリモートでしょ」とか言われるかもしれないんですけど、もしかしたら近い未来、この「Oculus Rooms」とかが広まってくと、場所が離れていても本当にその場にいるように打ち合わせができたりするのかなとは思ってます。
例えば、「Skype Meeting」とかテレカンみたいなかたちでやることはあると思うんですけど、あれって本当にその場にいるかっていうと、なんかちょっと距離を感じるところなんですよね。それがもうちょっと、「Oculus Go」に限らないですけど、そういうかたちで見える技術ではあるのかなとは思います。
引地:まずR4DがVR出勤するかもしれないですね。
諸星:VR帰宅するかもしれない。さっきネタで言ったんですけど、家には帰るべきだと思っているので、「Oculus Go」が価格も手に取りやすくなってきて、みんなが使えるようになったら、特定の日はVRで出勤したりとか、打ち合わせしたりとか。R4Dの場合、個々がスペシャリティを持って仕事してることが多いので、そういうかたちでもうまくできるんじゃないかなとは思っています。
引地:じゃあ次に移ります。働き方をデザインしたうえで、R4Dで実現したいこと、何かありますか。じゃあ、ともちゃんからどうぞ。
太田:私はずっとロボットタウンがつくりたいって言って、この会社に入ってきたんです。深センのスマホ決済タウンみたいな感じで、ロボットが嫌でも触れる。深センって、別にスマホ決済に興味がなくても、スマホ決済を使わなければ生きていけないみたいな街だと思うんですけど。
別にロボットに興味がなくても、改札を降りた瞬間ロボットに出会わなきゃいけないみたいな、なんかそこらへんでロボットが充電されててそこらへんにロボットがガーガー走ってるみたいな、そういう街をつくりたいなと思っています。
引地:そのために破壊しないといけないことってありますか。
太田:今、道路がすごくつくりたくて。道路ってすごい昔から変わらなくて、固くてつまんないものだと思うんですけど、そこにICチップを埋め込んだりとか。そもそも道路の素材って、なんで固くて、柔らかくないんだろうとか、なんで道路って止まってるんだろう、動いててもいいな、粒子が動いてるみたいな道路があってもいいなと思っていて、今すごい道路に興味があります。
引地:既存の道路を破壊する、というのが楽しい。
太田:どうですかね。でもそれはきっと破壊に見えるけど、破壊じゃない感じなんだと思います。
引地:進化なんですかね。
太田:そうですね。なんかこう、今まで人間と動物と草しかいなかった地球上にロボットという新しい生命体が入ってきて、その生命体が気づかせてくれる、今まで当たり前だと思ってた道路のかたちとかそういうのを変えるチャンスをくれるのかなと思っています。
引地:じゃあ、相樂さん、実現したいことありますか。
相樂:私は、デジタルファブリケーションとか3Dプリンタとか使ったものづくりが、単なる「作って楽しもう」っていう娯楽ではなくて、本当に人々の生活を支える産業とか物流を変えたように、テクノロジーで私たちの未来を変えたいなと思います。
なにかポジティブな未来にしていきたいなと考えていたときに、さっきもありましたが、デザイン、開発、破壊、今日のテーマですね。そして実装まで行うっていうのがすごくいいなと思って。人々の生活に、新しい、ポジティブな未来に向けてのテクノロジーを届けるという仕事がしたいなと考えてます。
引地:じゃあ一行さん。
諸星:テクノロジーを届けるっていいですね。
相樂:いいですか。なんかこう、テクノロジーだけでは不十分だなと思っていて、テクノロジーって言葉って、ありすぎているというか、飽和して浮いていると思うんですけれど、それをちゃんと生活に実装させる、人々の生活にこのテクノロジーがあったらどう変わるんだろうと想像できるところまで落とし込んでいきたいなと思っています。
諸星:VRのところもまさしく、ちょっと繰り返しばっかりになっちゃってるんですけど、使われるようにならないといけないと感じています。今週末に、電車のなかで「Oculus Go」を被るっていう、「電車でGo!」っていうイベントがTwitterのハッシュタグトレンドでも1位になったんです。でも、それを見た人はちょっと違和感を覚えたりとか、未来だなって感じちゃうことがあるかとは思うんです。
今みたいにスマホをみんなが持ってるのを、聖徳太子って言われることもありますが、みんながスマホをかざせる世界も、ちょっと前までは特殊な感じで見られてたのが、今は普通になっていますよね。「Oculus Go」に限らず、ヘッドマウントディスプレイでもそうなるように広げていかないといけないと思っていて。
そこは、R4Dで社会実装っていうのを掲げているので、やれるのかなと、やるべきなのかなってのは思っています。それはもしかしたら、ヘッドマウントディスプレイをつくることかもしれないですし、大量に配ることかもしれないですし、いろいろやり方はあると思っていて、働き方から考えてやらないといけないのかなとは思っています。
引地:最後に、最近気になってるサービスとかテクノロジーとかありますか? 働き方をデザインできそうなものとか。じゃあ会場から質問を受け付けます。
(会場笑)
あと5分くらいあるんで、何個か質問を受け付けられるんですけども、質問ありますか。
質問者1:働き方改革、働き方を壊す、みたいな話があって、今登壇されている方は結果的に破壊している状況にあるんですけど、今から破壊していくような人たちって、たぶん自分に力があって会社に依存しない人なのかなって思っています。自分がやりたいことをやって、最悪会社をクビになっても自分は生きていけるから好きにやってこうぜ、みたいな。
僕は勝手に仮説を立てて聞いてたんですけど、そうすると自分に力がないというか、会社に依存しないと生きていけないような人って、なかなか改革しようとか壊そうと思えないですよね。でもやっぱり、その人たちが変わんないと働き方改革にならないと思っているんですけど、「自分の今の働き方を変えるのは怖い」って思ってる人に対して、どういったアプローチをしたらいいかっていうのをお聞きしたいです。
太田:スカートの話で恐縮なんですが、私の場合は諦められました。
(会場笑)
なので、自分から破壊したいとか、一人で生きていけるとかまったく思ってなくて。だけどなんか、どうしても家にあるスカートが短いのしかなくて、それを履いていって1年くらいしたら諦められてた感じです。
諸星:壊そうと思わないとか、そもそも破壊してきたつもりはないってのに繋がると思うんですけど、壊そうとか変えようとか意気込んでやるとけっこう障壁にぶつかったりとか、辛くなっちゃうことあるかと思うんです。そこまでいかないで、ちょっと変わったことをやってみようとか、今とはちょっと違うことを、今の仕事をしながらサイドプロジェクトみたいなかたちでやってみようとかってけっこうあるのかなとは思いますね。
必ずしも大々的に破壊しなくてもいいと思っていて、まずちょっとやってみる。それをやってみて向いてる、向いてないもあると思いますし、突き詰めたらなにか変わるかもしれないし。向いてないんだったら別の切り口でやってみるとか、もしかしたら今やってるのが自分に本当に合ってることもあるのかなと思います。
というわけで相樂さん、どうですかね?
相樂:そうですね。たぶん世の中の人みんなが、やりたいことがあって革命を起こそうと思うと、すごく大変な世界になってしまうと思うので、やりたいことがある人とその人をサポートする人の両方が必要だとは思うんですけれど。
私は、デジタルファブリケーションとかプロトタイピングをやってきたので、「メルカリ社内にプロトタイピングスペースをつくりたい」と上司にお願いをしたところ、メルカリは今までソフトウェアをつくっていて、ソフトウェアってパソコンのなかで何回もリデザインしたりアップデートしていけるので、リアルなスペースは要らないと言われたんですね。「パソコンのなかで全部やってよ」と。
そのハードウェアをつくるうえで、実際のものがどれくらいのサイズとかリアルにみんなで見られることってすごく大切で。ただ本当にずっとアプリを作ってる人からすると、それがなぜ大切か本当にわからない。なので、許可できないということがあるんです。
それに対して、例えばスタンフォード大学ですとかd.schoolでやっているようなプロトタイピングはこういうことですとか、他の企業でこういう流れをやっているってことを見せたうえで、社内で小さくワークショップを開催したんですね。
そしたらみんなのアイデアがボンボン出てきて、すごくいいねということになって、本当に社内の小さなスペースなんですけれど、その一角で「つくってみていいよ」と言ってもらえたので、大きくいきなりすべては変えられないですけれど、小さくチャレンジというか、自分たちのできる範囲で、できるスペース内で挑戦することはできるのかなと身をもって思いました。
引地:他に質問ありますか。どうぞ。
質問者2:働き方をデザインするということを意識的にやっているのか、もしくは結果的に今の働き方になって、そういうふうに呼ばれているのかっていう点と、もし自分のなかで何か目的意識があって、そのために働き方をこういうふうにデザインしていきましたっていう話があれば、その経緯や経験談をうかがってみたいなと思いました。
引地:じゃあ一行さん。
諸星:はい。最初のところでいくと、今回のテーマを決めるときとかも、破壊っていうのは大前提のテーマとして、そのなかで働き方っていう話になったので、少なくとも私の場合は、積極的にそれをやろうとしてではなく、結果的にそうなってるのかなとは思います。
重視していることは、とくに強く変えようとか思ってはないですけど、自分のやりたいことができないとか、できないんであればできない理由を探ったりとか、どうすればできるのかを考えてやる。自分のなかでそれが普通になってるんですけど、けっこう生き方に近いのかなとは思っています。
引地:ともちゃんありますか。
太田:私も結果的にここにいますという感じで、重要としてるのはいい匂いのするほうに行くとか、心臓が動いたほうに行くとか、なんか魂が嫌がってる、みたいなのが、自分の体のなかに流れる血液が教えてくれるので、あんまり目標を持ったことがなくて。
「将来こうなりたい、そのために今はこうしよう」みたいなことを思ったことがなくて、「あ、今、血がこう動いた」みたいな、そんな感じで生きています。
諸星:けっこう直感的な部分ですよね。それが大事かなとは思っていて、それが外れることはもちろんあるんですけど、良いほうに転ぶこともけっこうあるかなと思っていて。デザインっていろんな捉え方あるかと思うんですけど、それがもしかしたら結果的にデザインすることに繋がってるのかなとは思います。
引地:相樂さん。
相樂:はい。私は、1つ目はあんまり意識してなかったけど、結果的にデザインしているんだろうなと思うのと、2つ目はさっきの本能っていうのもありますけれど、直感、自分の身をどこに置くかっていうのは意識していて、なんかまた具体的な話になっちゃうんですけど、去年フランスのメーカースペースに2ヶ月くらい滞在していたんですね。
そこで、子どもが足を引っ掛けてMacの充電器がちぎれちゃったんですよ。日本にいたらもう、すぐアップルストアに行って買おうとしか思わないと思うんですけれど、フランスのメーカースペースにいたので、はんだごてもあれば機材もあれば道具もあるので直そうと思ったんですね。
それで直してみたら、けっこう簡単にはんだ付けもできて、前より丈夫なものができたりして、自分が身を置く環境によって自分の行動や考え方ってすごく変わるなと。自分がどこに身を置くか、仕事ってなると1日9時間とかいるわけですから、それをどこにするかっていうのはけっこう重要なのかなと意識している部分ではあります。
引地:他に質問ありますか。
質問者3:ちょっと突っ込んで質問してみたいんですけど、働くっていうのをみなさんやっぱり大事にしてると思っていて、働くうえで目標があって、そのために今その環境を選んだり、副業を始めたり、目的が働くところにあったりするのかなと思ってるんですけど。そういうときに自分のプライベートを犠牲にしてるとかそういうことを感じたりすることってありますか。
諸星:これけっこう僕のなかでは難しいテーマになっていて、完全に私事なんですけど、去年子どもが生まれて、今まだ1歳になってないんです。コミュニティイベントとか平日の夜にやったりとか、土日祝日使ってやったりすることあるんです。そうなると、奥さん的には忙しいタイミングでもあるので、「どういうことなのよ」みたいなことになったりとか。
あとはやりたいことをやって、視察に行ったりとか出張している間、当然家にはいなかったんで、奥さんはちょっとオコな感じでですね。そこを犠牲にしてるとは思ってないですし、もしかしたら妻側が犠牲に感じてるのかもしれないですけど、まあでもそこは仕方がない部分なのかなと、ちょっと折り合いをつけています。
引地:相樂さんはどうですか。
相樂:私はあんまり犠牲にしていると感じてはいないんですけれど、やりたくてやっているものに対してはぜんぜん休日を使っていてもなんとも思わないんですが、なんか頼まれたからやっちゃったとか、嫌だけど受けちゃった仕事をやってるときは自分の時間とか心を犠牲にしているなと感じます。
引地:ともちゃんありますか。
太田:私も犠牲にしていると感じたことはほぼなくて、朝から夜まで会社員やって、夜から朝までロボットやるみたいな生活を3年ぐらい続けてきて、それが循環しててハイになってる、イエーイみたいな感じになります。
引地:大丈夫そうですか。他に質問ありますか。お願いします。
質問者4:先ほど実物のプロトタイプの重要性を理解してもらうためにワークショップをやったというお話だったんですが、具体的にどんなワークショップをしたのか教えてください。
あと、デジタルファブリケーションとか実物のものって、パソコンのなかでつくるUIとかとやっぱりぜんぜん違うと思うんですよ。出てきたものが人より大きいか小さいかとかで印象が違ったりとか、そういうものってあると思うんですけど、なぜR4Dでデジタルではない実物のデジタルファブリケーションとかをしているのかとか、その研究領域の定め方ってあったりするのかなというのを疑問に思いました。
相樂:まず最初の回答なんですけれど、あるプロジェクトをしていて、そのプロジェクトのなかで、社員のみんなの意見を聞きたいとなったときにですね、前職と比べると付箋を使うブレストも最初あんまりしてなくて、そのシートをキープしてある場所とかもあんまりなかったんですね。
他の部署と連携してやっていたんですけれど、紙でペーパープロトタイプっていうのを最初に作るんです。細かくプロジェクトは言えないんですが、あるものをつくるとなったときに、それが本当に機能するかしないかっていうプロトタイプ、ものを置いてみて、これがあることによって会議がすごく活性化したよね、しなかったよね、みたいなことをまず最初に図るだけだったんです。
それだけでも本当に会議の質が変わるというか、みんなの意見が出てくるようになったので、すごく効果があったんです。ちょっと具体的なことが言えずに申し訳ないんですけれども。
何かをやりたいというとき、最初のプロトタイプを小さく試してみるっていうところで試したことでした。まずは会議の仕方を変えるっていう方向ですね。2つ目も私が答えたほうがよいのでしょうか?
諸星:じゃあ、僕答えます。HoloLensをしてAir Tapをしてる人がいますけれども。大丈夫ですかね(笑)。研究領域については、最初はある程度こういうところをやりたい、こういうところをやったほうがいいよね、というベースで決まってます。そのなかの1つがVR領域とかネットワークとかです。
そのあとにいろんな人が集まってきて、「それメルカリでやるとおもしろいよね」とか、「メルカリでやる価値あるよね」っていう部分で選んでいます。そのなかにハードウェアとかロボットの文脈とかがあって、ソフトウェアのエンジニアが中心になったところに、今までメルカリになかったハードウェアのエンジニアが入ってきたり。
今だと論文書いたり研究したり、個別学会で発表したり、そういうのをメインにするリサーチャーって職種ができたりしてるので、タイミングとその人によって変わるというか、おもしろければ、あとやる価値があればやってみようって感じで今のところ選んでいます。
なので、この先、完全に個人の意見ですけど、めっちゃ宇宙に強い人がいて、めっちゃ宇宙のことやりたいとかなったら、メルカリロケット飛ばすとかも個人的にはアリかなと思っています。
質問者4:ありがとうございました。
引地:じゃあそろそろお時間なので終わりにしたいと思います。まとめますと、破壊というタイトルで話してるんですけども、破壊を3人ともそんな意識していないし、破壊しないように気をつけてる。破壊しなきゃいけない、変えたいという場合は、小さく始めたり、あとは自分の好きなことを突き詰めていったら仕事に繋がっていた、といった内容でした。
以上でプログラム2 を終わります。ありがとうございました。
(会場拍手)
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