2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Program1:仕事のあたりまえを壊す!〜自動化が変えるこれまでのやり方〜(全1記事)
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司会者:みなさま、本日はR4D主催のイベントにご来場いただきまして誠にありがとうございます。これからR4D主催「“破壊”からはじめよう 〜 こわして、つくる、新しい未来。」というイベントを開催させていただきます。
まず最初に、みなさん、お飲み物を手元にお持ちですかね? すごくラフな会になってますので、自由に飲み物を取りに行ったりしても構いませんので。まずは乾杯をさせていただいてから、R4Dの今回の主催の趣旨や、R4Dってどういう組織なのかというところを、山村から説明させていただければと思います。はい、山ちゃんお願いします!
山村亮介氏(以下、山村):みなさま、本日はご来場いただき、ありがとうございます。最初に乾杯から始まるんですけど、あんまり飲みすぎて僕も後半ヘロヘロにならないようにしたいです。今日はすごくざっくばらんなイベントですので、みなさん、カジュアルな感じで聞いていただければと思います。
堅苦しい感じじゃないので、どんどんお酒とか飲んでいただいてという感じです。みなさん、お手元にお酒とかソフトドリンクでもいいのですがありますかね? じゃあ、今日はご来場いただき、ありがとうございました。乾杯!
会場一同:乾杯!
山村:流れ的に難しいんですけど、説明を始めますね。じゃあ、mercari R4Dのイベントから説明させていただきます。
本日は、19時半、今からイベントが始まりまして、10分程度私の説明があり、そのあとにパネルディスカッションがあります。35分ずつの3部構成になっていて、プログラム1は「仕事のあたりまえを壊す!」。プログラム2は「働き方を壊す!」。プログラム3は「ビジネスコミュニケーションを壊す!」ということで進めていきます。
大丈夫ですかね? 今、写真撮っても大丈夫です。そのあと終わってから懇親会がございますので、お時間ある方はどうぞ残っていただき、R4Dのメンバーとお話ししていただければと思います。
山村:それでは、R4Dとイベントの趣旨説明をざっくりお話しさせていただきます。よく社内でも聞かれるんですけど、R4Dというのは「Research for Design,Development,Deployment and Disruption」ということで、ちょっと他のR&Dと違うのは、R&Dの枠を超えてテクノロジーを社会実装まで持ってきます。
それで破壊的イノベーションを目指していくという組織になってます。R4DのDはDesign Development Deployment Disruptionと覚えていただければと思います。僕、よく言うんですけど「R4DにDisruption(破壊)のところがなかったら僕は入ってない」と。「R3Dだったらちょっとダサいんで入ってない」と言ってるんですけど、Disruptionというところをかなり目指してるので、ここが本日のイベントの主旨にも繋がってくるというところです。
R4Dとしては、今は外部パートナーのところと共同研究を進めて、研究開発・社会実装を行っています。これは去年の12月あたりの発表を見ていただければわかる通り、ああいうところ(シャープほか、大学の研究室を加えた6つの組織)と組んだりですね。あとはまだオープンにできてないんですけど、そういうところと始めてたり、あとは自前で進めていったりしてるものがあります。これは順次、R4Dとしてはどんどんオープンにしていきたいと思ってますので、できるところからオープンにしていきます。
ですので、将来メルカリの成長や事業化に結びつく研究開発で、社会実装、Disruptionまでを目指す組織だと思ってください。じゃあ、次行きます。
R4DのメンバーとしてはCPOの濱田(優貴)、これの下に私R4Dオフィサーの山村(亮介)がいまして、TeamAIとしてオフィサーの木村(俊也)がいます。それとシニアフェローで小笠原(治)さんだったり、スプツニ子!さんなどがいたりします。
(スクリーンを指して)エンジニアとリサーチャーは、今はこのようにいます。(ここのメンバーについては)ホームページに載ってるので見ていただければと思います。あとはプロデューサーとコミュニケーターとして、この4人がいます。
このようなメンバーで進めています。共に未来を作る仲間を絶賛募集中ですので、どんどん応募していただければと思います。
山村:それで今回のテーマなんですけど、先ほどお話しした通り、R4DというのはDisruptionまでを目指すのが、かなりこだわっているところですので、「破壊」に特化したイベントは面白いんじゃないかということで、今回企画しています。
破壊するものって、いろんなものがあると思うんですけど、まずはビジネスのところでやると、けっこうみなさんにお分かりいただけるんじゃないかなということで、今回vol.1として、ビジネスの常識をテーマにしてやっています。
次回は別の常識を破壊しにいくかもしれないですし、もしかしたらDeploymentみたいなテーマでやるかもしれないし、まだそこは決まってないんですけど、Disruptionでやっていくのはおもしろいかもしれないので、どんどんやっていこうと思っています。そんなところで、イベントの方に入っていきます。
プログラム1は「仕事のあたりまえを壊す!~自動化が変えるこれまでのやり方~」になります。では登壇者の方、来ていただけますか。
諸星一行氏(以下、諸星):今回、イベントプログラム1、2、3という形でやっていきます。プログラム1、2はメルカリのことをやって、プログラム3は外部の方という形でやります。本日ファシリテーターを務めます、R4D XRリサーチエンジニアとしてVRまわりをやっております諸星と申します。よろしくお願いします。
まず、一人ずつ紹介させてください。じゃあ、山村さんお願いします。
山村:はい、R4Dオフィサーをしてる山村です。前職のデンソーというところでディーゼルエンジンの設計をしてたんですけど、3月からメルカリの方に入りまして、今R4Dのオフィサーとして仕事をさせていただいてます。本日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
山村:すごく温かい場所ですね。
(会場笑)
山村:ありがたいです。
木村俊也氏(以下、木村):木村と申します。よろしくお願いします。もともとミクシィという会社で、入社当時にR&Dに所属していまして、レコメンデーションだとか、実際ミクシィに機械学習を導入するというところを担当していました。今はメルカリでR4DのAI系を担当しつつ、メルカリ自体の機械学習やAIの導入も担当しております。本日は楽しい内容になるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
(会場拍手)
漆山龍太郎氏(以下、漆山):漆山と申します。よろしくお願いします。僕はもともと自動車関係のメーカー設計をしていたんですけれど、あまりに車が好きすぎて妥協ができなくなって、仕事にならなくなっちゃったんですね。
それでキャリアチェンジを考えてる時に、たまたま軽い感じで「人型を作ってくれ」って話をされて、何体か人型を設計したあとで、直近ではドローンを使ったソリューションビジネスなどを展開してました。要は先ほど木村さんが言ったように、楽しくお話ができたらいいと思います。よろしくお願いします。
(会場拍手)
諸星:ではさっそく、始めていきたいと思います。今回のテーマなんですが「仕事のあたりまえを壊す!」で、副題が「自動化が変えるこれまでのやり方」というテーマになっています。
自動化が変えるってことで、ソフトウェア的な、ボットなどをイメージされてる方がもしかしたらいるかもしれないですが、もうちょっと広範囲で大きな枠組みで、仕事のあたりまえと自動化について考えたり、話せるようにしたらと思っています。
参考例の1つとして、2015年に野村総研さんが出している、日本の労働人口の約49パーセントが、技術的には人工知能で代替可能というデータがあります。これ、見られた方っていらっしゃいますか? ちょいちょい、いますね。ありがとうございます。
その上で、なくなると言われてる代表的な職業が、これはわれわれメルカリが出したものではなく、野村総研さんが出したものなんですが、銀行の窓口や、タクシー、機械工、警備員、ビル清掃などがあがっていますと。こういう前提を踏まえた上で、じゃあどういうふうにしていくのが良いかね、というのが今回のプログラムになっています。
それで、この中のトークの1つのトピックとして、(登壇者)各自がソフトウェアとハードウェアでいろいろやってきたわけですが、これまでの自動化経験を踏まえて思ったこと、感じたことを、それぞれの立場から話してもらいたいと思います。では、まず山ちゃん、お願いします。
山村:はい。僕の前職はデンソーというところですので、あまり知らないかもしれないんですけど、自動車関係の部品を設計して製造してる、けっこう大きめの会社です。トヨタさんのグループ会社なので、トヨタの部品を作ったり、世界中の車の部品を作ったりするイメージを持っていただければいいなと思います。
例えば工場は、みなさんも自動化の想像がつきやすいと思うんですけど。工場で自動化を進めると何が問題になってくるかと言うと、自動化というのはすごく良い方向だと思うんですけど、全自動を推し進めると、汎用性がきかなくなるという問題が非常にあります。
それは、それに特化したラインになるので、大量生産には非常に向いてるんですけど、昨今のパーソナライズみたいなところで、「私の好きな製品を作ってほしい」って言うと、そのラインでは作れなくなるという問題があって。ですので、自動化をガリガリと進めてもいいんですけど、自動化を進めすぎると汎用性がなくなって、今の流れと違うというところがある。
自動化のハードウェアでの経験なんですけど、自動化をゴリゴリ進めてもいいものか? っていうのはちょっとあります。そういうのが僕の経験上であった。自動化ってすごく良い方向だと思うんですけど、それに対して課題が出てくることはあるよね? っていうところはあります。
諸星:はい、ありがとうございます。では俊也さん、どうでしょうか?
木村:(登壇者の)2人はけっこうハードウェア寄りの自動化のところなんですけども、冒頭でも簡単にご説明しました通り、僕はけっこうソフトウェアの機械学習の導入なので、ソフトウェア寄りの自動化を実装してきてます。
とくにみなさまが、一番イメージがわきやすいのは、機械学習だとスパムフィルタリングなどもある意味自動化ですし、最近のメルカリの例だと違反出品の検知だとかも、画像やテキストなどを組み合わせて、「これはどうやら違反な出品らしい」というのを学習したりするんですけども。
それ以外にも、メルカリの出品時に画像を見ただけでブランド推定だとか、カテゴリの推定などができます。いわゆるデータを使って、なにかしらをコンピュータに学習をさせてモデルを作成し、それを使って分類を推測するなど、そういった自動化をメインに専門としています。
ですので、ハードウェアと一番違うところは、けっこう導入が簡単なんですね。たぶんハードウェアの自動化は、場合によっては人の仕事をなくしてしまうだとかの倫理的な問題や、ハードウェアになると量産的な観点からも難しいところがあると思います。僕は機械学習などを使った自動化は推進派で、ソフトウェアなので、ガンガン自動化をやってきた、というところですね。
諸星:はい、ありがとうございます。このテーマについてけっこう言いたいことがあると言ってた漆山さん、お願いします。
漆山:僕は前職でソリューションビジネスを展開していたこともありまして、この自動化について思うことは多少はあるんです。自動化って、基本的には進む方向は1つしかないと思っていて、簡単に言うと、「人間が楽をする方向にしか進まない」ということですね。結局のところ難しくしても、複雑にしても、良いことはなにもないので、人間が楽をする方向にしか、自動化は進まないということですね。
ただ、僕がそうやって仕事をしていく中で、じゃあすべて上手くいくのかっていうと、けっしてそんなわけではなくてですね……あれ、何を言いたいのか忘れちゃったな。
(会場笑)
諸星:ちなみにですね、なんとなく打ち合わせはしてるので、完全に台本があるわけではないんですけど、なんとなく話したい内容だけは詰めてある状態で今日は進めています。
漆山:ちょっと話を続けてもらえます?
(会場笑)
漆山:ちょっと頭の中でまとめてるので。
諸星:じゃあ、山ちゃんお願いします。
山村:では、質問に近い形になるかもしれないんですけど、自動化というところで(スクリーンに)経験とあるんですけど、漆山さんの中で自動化経験みたいなのって何があったのかなって。これ聞いてもいいのかな?(笑)。
諸星:聞いてみましょう。
漆山:そうですね。1つはドローンとかを使っていろんなことを自動化しようと。簡単に言いますと、自動化を行いたい理由ですね。単純にこれって仕事なくしたいとか、もっと効率化したいというイメージだと思うんです。でも少なくとも日本においてはどちらかというと「もう人手が足りなくて、どうにもなんないから自動化したい」という要望のほうが、どっちかっていうと強いんですね。
そうするとどういう業界かというと、基本的には農業だったり物流だったり、もしくは警備だったり、そういったところが主にはなってくるんです。ただ、そういったところで単純に自動化が進められるかというと、けっしてそういうわけではなくて。やっぱりいろんな障害が出てくるんです。1つはロボットってそんなにロバスト性がないっていうんですかね。ロバスト性って言えばわかりますかね?
諸星:会場内の「ロバスト性って言葉を聞いたことあるよ!」って方、ちょっと……
(会場挙手)
諸星:あ、意外といますね。
漆山:環境に対する変化の許容具合といいますか。何かあった時に対応できる力っていうんですかね。基本的にロボットっていうのは、やっぱり言われたことしかできないんです。最近マシンラーニングがよく出てきてるので、できることは増えてきてはいるんですけども、それでもまだぜんぜんロバスト性って足らないんですね。
そうするともう、結局ロボットがまともに運用できる、オペレーションできる環境っていうのはなかなかなくて。そうなってくるとロボットに対して、環境から作ってあげないといけないんですね。例えば僕らはそれを「インフラ場を整備する」ってよく言ってましたけれど。
ロボットがちゃんと動くように、例えばカメラをつけたり、センサーをつけたり、もしくはロボットがちゃんと動きやすいように環境を整えてあげる。でこぼこを少なくしたりとか、そういったところまでやらないといけないんですね。
そうなってくると、ロボットを導入する際に、もう簡単に言うとお金がかかっちゃう。結果的に、大きな企業しか導入できなくなっちゃうんですね。例えば工場を丸ごとロボット化みたいな話って、よく聞かれると思うんですけれども、簡単に言うとそんな話だと思ってもらえればいいです。
でも日本の企業って、ほぼほぼ中小零細ですよね。そうすると、なかなかロボット化をそういったところにまでリーチできてない、というのが現状なんですよ。みなさんが思ってるほど、自動化とかロボット化というのは、進んでいないんです。正直なところ。
山村:そうすると、漆山さんが言ってるのは、大企業はお金があるからロボットが自動化して便利になっていくけど、本当に僕たちが助けたいような中小の人たちっていうのは、まだ苦しんだままで、というのが自動化の流れで課題に思ってるところという感じでいいんですかね?
漆山:そうですね。それこそお金があったりとか、予算が組めてというところがあれば、「ぜひともやりたい」っていう人手不足のところがすごく多いんです。ちょっと例をあげると、最近は倉庫業みたいなところって、すごくそういう話が多くて、でも実際はお金もないし。
これちょっとセンシティブな話なので、少し言いづらいんですけれど、やっぱり現場の方々からすると、少しナーバスになっちゃってて反対されたりする。そういった理由もあって、なかなかロボット化の導入が進まないというのが、けっこうあるんですね。
そういった中で「じゃあ今後、日本ってどうなって行くんですか? 人手不足って深刻ですよね?」という話が必ず出てくるんです。その際に今考えられる手法は3つあります。1つは移民です。2つ目は先ほど申したように、自動化やロボット化です。そして3つ目に出てくるのが、みんなで没落しましょうという話ですね。
1の移民化・移民は、なかなか国民感情的に難しいよねっていうのは、みなさん感じるところだと思うんですね。2つ目についても、ロボット化がなかなかいろんな理由があって進まない事情がある。そうするともう消去法的に、3の可能性が一番大きい……
諸星:みんなで没落してしまう。
漆山:そうです。実際に仕事としてやってみて、(その可能性が)大きいというのが正直な僕の感想です。
諸星:その上でも、没落しないためにできることって、何かあるのかなって思うんですけど。
木村:そうですね、ちょっと今僕ドキドキしながら聞いてたんですけども。結局、今の話を聞いてると、僕もだいぶアグリーな部分が多いんですけども、今言ったようなこの自動化せざるを得ない状況になっているというのが、たぶん一部の人の認識かなと思ってます。
それでセンシティブな部分は若干あるんですけれども、自動化していかないと今まで職人的に蓄積してきたノウハウだとか、とくにさっき出てきた中小企業の場合とかだと、重要なノウハウや成功体験を伝承していけない時代が、もう少ししたら来ちゃうんじゃないかなって。あらゆるサービスにおいてですね。
日本ってとくに島国でもあるし、そこらへんを伝承していかないといけないのかなと。その伝承の1つの意味で、AIだったりとか、機械学習だったりがきっと必要なんじゃないかな、と思ってます。
なんでかっていうと、ドキュメントだけだと伝承しきれない内容って、きっといっぱいあると思っています。とくに職人技ですよね。そういったものはなかなか再現できないと考えていまして。そういった意味でも、ノウハウを蓄積していくためにも必然的な状況になっている、と僕は考えています。みなさんはいかがでしょうか?
漆山:補足的にちょっと話をさせてもらうと、先ほどの職人さんのノウハウっていう話でいうと、職人のノウハウみたいなところを、力センサーみたいなものを使って……力センサーじゃないですね、すみません。情報化して、それを再現しましょう、と。
アバターを使って再現しましょうっていう研究はあります。そういったところで職人さんのノウハウを後世に残しましょう、という動きは出てますね。
諸星:そういう自動化の部分などを踏まえてもう1個トピックを用意してたんですけど、そもそもそういう流れの中で、じゃあ自動化って必要なのかとか、そもそもそれって進んでいくのか。ここって、けっこう気になるところだと思います。ちょっとここについて、話したいなと思います。
山村:僕でいいですかね。みなさんもしかしたら、仕事がどんどん能力というか、効率が上がってるのに、仕事だけがどんどん増えてるわ、みたいな感覚ってないですかね?
僕、前職で設計をけっこうやってたんですけど、自分の仕事の能力が上がれば上がるほど仕事が増えてく。これなんでだろうって思った時に、設計って世の中がもっと複雑になってるんで、それに対していろんな設計をしようと思うと、コーディングもそうですけど、どんどん今複雑になってて。人でまかなえる能力よりも、設計だったり、コーディングの量のほうがどんどん増えてると。
そうなると、必然的に僕の意見としては、「自動化しないと、僕らもう仕事できませんよ」っていうことになってくるのかなと思っていて。じゃあ、どこを自動化するんですかって言うと、誰でもできる仕事。というのは、誰でもだいたいできるんだったら、それは機械にやらしてもいいですよね、と思っているので。
誰でもできる仕事を自動化して、どんどん効率化して、僕たちの本当にやりたい仕事、やれる仕事というところに特化していったほうがいいのかな、と思ってます。そうじゃないと、なんか仕事だけどんどん増えて、やれないってことはたぶんこれから見えてくるので、僕はそこのために自動化は必要で、進めるべきかなあと思ってます。
諸星:俊也さん、いきましょうか。
木村:そうですね。その仕事の自動化という意味では、明らかに自動化できるところと、できないところがまだまだあると思います。これだけ人工知能のブームが来てるんですけども、まだまだ人工知能が、いわゆるとくに機械学習ができることは、さっき言ったように再現性があるようなタスクが多いんですね。
例えば、過去に上手くいった体験だとか、上手くいかなかった体験というのを何かしら学習をしておくんですね。それで上手くいったようになるべく再現させるっていうことが、いわゆる意思決定を支援したりとか、お客様にとって利便性が高い機能を作ったりだとか、そういうところに人工知能が使われると思います。
ただしですね、クリエイティビティな仕事というのは、何が正解かがわからないと考えています。どんどん新しいものを生んでいかなくちゃいけないんですよね。デザインであったりだとか、イノベーションだったりというのは、まだまだ人工知能では難しい世界なんですね。
やっぱり僕らの仕事は、なるべくクリエイティブな仕事に時間を費やすようにしていかないといけないと思っています。新しい価値を生み出すための脳みそを使うリソースというのは、日々タスクに追われるとなかなか時間が取れないと思っていまして。
そういった意味では、自動化させるべきところとできないところをしっかり見極めて議論するというのが、今後自動化や機械学習の導入を進めていく上で必要があると思ってますね。
諸星:漆山さん、(何か)ありますか?
漆山:僕は先ほど少し説明させてもらったみたいに、もうやらんとまずいと。やらんともうとんでもないことになるよと、個人的には思ってるので。お二人の意見には、ほぼほぼアグリーですね。もう本当にまずいって、僕はかなり危機感を持ってるんで。
諸星:じゃあ、その上でR4Dが自動化をやるならっていう部分を。R4Dは今メルカリの中での研究開発組織でして、ソフトウェアエンジニアもいて、ハードウェアエンジニアがいるような組織・チームがある中で、じゃあR4Dで自動化は何をやろうか、何をやるべきかというのは、ちょっと語りたいなあと思います。はい、じゃあ山ちゃんから。
山村:じゃあ、いきますね。これ、完全に個人的な意見なのでTwitterとかでつぶやかないで、もう「個人的な感想です」ってつけてほしいくらいなんですけど。僕が自動化やるとしたら、みんな(映画の)「アイアンマン」は知ってますかね? 「アイアンマン」とか……
諸星:「アイアンマン」を知ってる方、どれぐらいいますか?
(会場挙手)
山村:ああ、よかった。
諸星:さすがにいますね。
山村:ありがとう。「アイアンマン」のジャーヴィスを僕は作りたいんですね。なんでかっていうと、あのジャーヴィスって「こういうふうに設計して」って言うと、そういうふうに設計して、ダメかどうかもシミュレーションまでやってくれるというところがあって。あれってかなりクリエイティビティなところに割けるんじゃないかなと思ってます。
それで、今あの映画を観ればわかると思うんですけど、人工知能とかそういう技術も進んでいます。ロボティクスも進んでます。製造とかも進んでますっていうと、もうちょっとしたらジャーヴィスを作れるかなと思ってるんです。僕の個人的な意見としては、R4Dでジャーヴィスを作りたいなっていうのはあります。これは個人的な意見です(笑)。
諸星:けっこう個人的な意見を強調してますが、具体面を出してジャーヴィスを作る上で、必要になってくるものは何がありますか?
山村:やっぱり機械学習の部分は、必ずいるだろうなあっていうのと。それには機械設計プロセスなどを学んでいく必要があるので、そういう設計プロセスを教えこむというところ。それをどうやって教えこむのか、というのがあるんですけど(笑)。
まあ、なんかの方法でやると。それで、ロボットのところも、それを受け取って判断するというロボットの動きも要ります。それをもってシミュレーションしたり、製造したり、3Dプリンティングの技術ももうちょっと要ると思う。ですので、ベースの技術は今揃っています。それをもっと進化させる必要があります、というのが僕の意見です。
諸星:ありがとうございます。ちょっとじゃあ、なんかツッコミありますか?
漆山:でも、あれですね。それが本当に実現されると、僕らメカ屋みたいなのも仕事として、そんなのはなくなっちゃいますね(笑)。
山村:なので、クリエイティビティに振っていくのかなあ、と思ってます。
漆山:なるほどです。
諸星:じゃあ、ハード続きで、漆山さんいってみましょうか。
漆山:これは僕の個人的な意見で、自動化という意味合いとはちょっと変わってくるんですけれど。これはもう本当に個人的な意見なんですけれど、すごくもう高度に自動化された社会っていうのは、すごく楽な世界だと思うんですね。
もうなんでも機械が勝手にやってくれる。こんな良い世界はない。そう思うんです。でも同時に、達成感や満足感みたいなものって、なかなか得られにくい世界なんじゃないかな、ともちょっと思うんですね。
自動化というのは話題になってることもあって、僕らだけじゃなくて、僕らがこんなこと言わなくてもいろんな会社さんがやると思うんです。僕はできればそういう満足感が失われる、達成感が失われるみたいなところを埋めるような、エモーショナルな何かができたらいいなと思ってます。「自動化やるなら」という主題とは、ちょっと変わってくるんですけれど、僕はそんなことを考えてます。
諸星:ありがとうございます。じゃあ、俊也さんどうでしょうか? ソフトウェアの文脈で。
木村:そうですね。R4Dで自動化やるならっていう形なんですけども、現実的にはさっき話にも出てきたんですけども、人工知能とか自動化って、まだまだ多くの業界でできてないなと思っています。
参入障壁が高かったりだとか、予算が難しいというのもあるんですけど、R4Dならではのいろんな分野にAIを導入していって、先ほども申し上げましたように、僕は一貫してさまざまな勝ちパターンをあらゆる業界であたりまえにしていきたいな、と思っています。
それは農業でもいいですし、製造でもいいですし、物流でもいいですし、実はまだまだできていなくて、いろんな勝ちパターンを再現させていきたいな、と思っていますね。
ちょっと言い過ぎなのかもしんないんですけども、その勝ちパターンを機械学習で習得していくというのは、ものによっては本当に人の命も救えるかなと思っています。
もともと機械学習を始めたいなと思ったのは、「人の命を救いたい」と思ったからで。なんか若干イタい人みたいなんですけども、情報ってけっこう人の命を救えるなと思っていて。医療にもその自動化を導入していきたいと。画像からガンの検出だとか、ステージの検出とかもできますし、できるようになりつつある。そこらへんは、まだまだ実証実験中なんですけども。
あと僕らが忘れちゃいけないのが、東北大地震(東日本大震災)があった時も、あそこまで津波になる事態を、人としても機械としても学習しなくちゃいけないと。
東北の方は、ああいう事態が起こった時にいかに避難経路を作ろうかっていうのを、今シミュレーションし始めているんですけども、そこもある意味自動化だと。ああいうことが起こった時に、こういうふうに避難しましょうと、シミュレーションしてるわけですね。
人の命も救えるほど(自動化が)重要だと僕は思っているので。なかなか参入障壁が高いんですけども、あらゆる分野で挑戦していきたいなと思っていますね。
諸星:はい、ありがとうございます。こんな形で自動化のところを話してきたんですが、せっかくなのでこのトピック・プログラムに関して、会場から質問等を募りたいと思います。
山村:はい、大丈夫です。どんな質問でも受けます。後ろの方。
質問者1:お話ありがとうございました。すみません、ちょっと途中から入ったので、もしかしたらこの話を前半にしてたかもしれないんですけど、自分自身が自動化でけっこう壁なのがハードやソフトの壁もあると思うんですけど、法律の壁があるんじゃないかと思っていて。
例えば自動運転をやって、怪我した時に誰が責任取るの? みたいなところが。農業とかも自動化してドローンがぶつけたら、誰が責任取るの? みたいなところは、今現状がどうで、これからどうなっていくと、自動化が世の中に浸透していくとお思いでしょうか?
諸星:はい、これ誰いきましょうか?
漆山:えっと、じゃあ……
諸星:じゃあ、どうぞ。
漆山:法律という話で、前職でちょっとドローンをやってましたので、回答になるかどうかわからないんですけれど、やっぱりああいう新しいテクノロジーだと法律的な壁もあります。
ドローンで言うと、例えば無線技術師の免許がないと飛ばせないとか、それがいやなら特区に行かないといけないとか、実際は距離が離れてて実験したくてもなかなか行けないとか。そういった障害や障壁みたいなものは確かにあります。それを今、国のほうでもう少し優しくしましょうよっていう話も出てますし、今後、少しずつ変わってくるんじゃないかな、と思います。
あとドローンをやってて思ってたのが、自動化した場合に、ドローン導入しました、物運びました、それでおしまいですっていう話にはけっこうならなくて。
例えば、ドローンっていうのは確率的に必ず落ちるんですね。例えば、それが100回に1回なのかもしれないし、10万回に1回なのかもしれない。それで落ちたら落ちたで、それを拾いに行く人もいるんですね。例えば、それが落ちたのが空家だったりしたら、誰がそれを役所みたいなところに許可を取りに行くんですかとか。それが道路だったら誰が取りに行くんですか、誰が保証するんですか、みたいな話が必ずあって。
どうしてもバックオフィスが必要になるんですね。そういった自動化の話が出てくると、バックオフィスをどれだけ効率化できるかというのが1つキーになるんじゃないかな、と個人的には思います。効率も含めてですけどね。
質問者1:ありがとうございます。
山村:ちょっと難しいんですけど、自動運転もたぶん必要だと思っていて。全部確率の話なんですけど、事故するかどうかも確率の話で。今、自動運転の事故率って、どう考えても人間よりもぜんぜん低いんですね。人間の方がもっとミスするという中で、自動運転の車が1個事故すると、すごいニュースになる。ここをどうしていくかっていうのがあると思います。そういうところは、国と組んだりしないといけないんですけど。
アメリカなんかはけっこうそこが緩くて、まず「イノベーションを起こしてしまえ」と思ってるんで、日本でなんかこうくすぶってると、実は海外の方が先に進んでしまって、もうそこの技術は押さえられてしまいまーす、みたいな状況になるので。
日本で普及させようと思うと、確率論というところをみんなに受け入れてもらうしかないと思うんですけど。もうちょっと国と一緒にやったほうがいいかなというのが、壁を破壊するためのキーかなって僕は思ってます。
諸星:俊也さん、ありますか?
木村:そうですね。ある意味メルチャリとかもすごく良い例だったかもしれないですね。福岡のほうではかなり協力してもらったと思うので、やっぱり行政と一緒に協力してやってく。それで同じ方向に向いていくのが最短のゴールかなあ、と思ってはいるんですけども。
諸星:はい、ありがとうございます。いかがでしょうか、大丈夫ですか?
質問者1:はい。ありがとうございました。
諸星:まだお時間あるので、もし他にあれば。
質問者2:AIの話って、例えば職を失われるとか、タクシーの運転手はいなくなるという話の他に、すごく未来に向けてワクワクする話をする方も多いんですけども。みなさまが思う自動化が進むとこういうおもしろい世界が待っているみたいな、ちょっと意外なところを教えていただけると嬉しいです。
漆山:意外という話じゃないと思うんですけれど、AIと言われて僕が個人的に思い浮かぶのは、もしかしたらみなさん若いのでわからないかもしれないですけど、昔「ナイトライダー」っていうアメリカのドラマがあったんですね。
山村:すみません、それ僕もわからないです。
漆山:ああそう、知らない?
諸星:会場、「ナイトライダー」を観たことある方いますか?
(会場挙手)
漆山:いた! よかった! (ナイトライダーの)「キット」という車の中にAIが入ってて、話すと答えかけてくれるみたいなのがあるんですね。その対象が車じゃなくてもいいんですけれど、何かしら喋りかけた時に返してくれる、それが定型じゃなくて、いろんなおもしろい回答、自分の思ってもみない回答をしてくれるっていうのは、僕は個人的に話してみたいと思うし、そういう存在があったらすごく楽しそうだなと思います。
質問者2:はい、ありがとうございます。
山村:時間があれば僕も一言。
諸星:はい。
山村:AIでワクワクするかはちょっとわかんないんですけど、もうちょっと感情を理解してくれてもいいかなあ、って僕は思いますね。例えば、怒ってるんだったら、もうちょっと怒りを和らげるコンテンツをレコメンドしてくれたりとか。
僕がAIとかロボティクスに興味があるのは、これは介護の分野に近いんですけど、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の人たちって体は動かないけど脳が動いてることがあって、そこをなんとか汲み取って、助けてくれるロボットがあればいいんじゃないかなと。もうちょっと感情を理解する文脈で、僕はAIを使いたいと思ってます。ワクワクするか、ちょっとわかんないんですけど。
諸星:せっかくなので俊也さん、どうですか?
木村:すみません。僕、自動運転だけでずいぶんワクワクしてるんですけど(笑)。
山村:自動運転、楽しいですよ。
木村:そういった意味では、僕はそういうワクワクな未来も想像しなくちゃいけないんですけども、僕が懸念してるのは、ちょっと質問に対して失礼なんですが、要はいわゆる汎用AIって呼ばれてるものがあるじゃないですか。あらゆるものを答えてくれたりだとか、自分で自律的に学習して、要はドラえもんみたいな感じですね。そうなっていく世界は、まだちょっと先かなと思っています。
じゃあ、ちょっと先の未来はどうなるかっていうと、現実的に考えると、今僕が話した車とかのコンピュータービジョンであったりとか、自然言語処理の文脈の解釈とか。それらがどんどん学習データが増えていったり、判定や予測できることが増えていくと考えています。
そうなると、直近で起こる未来っていうのは、まだドラえもんではないんですけども、僕らが想定する以上に、もっといろんな仕事ができるロボットっていうのは10年以内に出てくるんじゃないかな、と思っているんですけれども。
ちょっと誤解もあるのは、ドラえもんのような汎用的な答え方とかできるわけじゃなくて、料理ができますだとか、子供の世話ができますだとか、それでも実は機械的にはすごく難しいんですけども。それでも実際にできたら、すごくビックリすると思うんですよね。
そういう家庭を手伝うような汎用ロボット、多少の汎用的な……あ、専門ロボットですね。専用ロボットは、ルンバ以外にももっとおもしろいものが出てくるんじゃないかなと思っています。
諸星:はい、ありがとうございます。大丈夫ですかね?
質問者2:はい。ありがとうございます。
諸星:ではお時間がいい感じなので、最後にちょっと山村から、このテーマに、プログラムについてまとめてもらって、このプログラムを終わりたいと思います。
山村:みなさん、お時間いただきありがとうございました。しゃべり足りない部分があれば、懇親会でお話しいただければいいかなと思ってます。最後に未来の話が出たので、R4Dがどういうことをしてるかちょっとだけ触れますと、けっこう未来の話をします。
例えば、10年後はどうなってるんだろうね、みたいな議論をけっこうしていて、それをみんなで合わせるつもりはぜんぜんなくて、それぞれの未来を思い浮かべていて、それぞれの未来に対して「じゃあどうアプローチする?」みたいな話をけっこうディスカッションでするので。
なので「R4Dってどんなことをしてるんですか?」って言うと、けっこう未来を話してますっていうのが、知っていただければなあと思います。以上です。
諸星:はい、ありがとうございます。ではプログラム1については終わります。ありがとうございました。
(会場拍手)
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2024.11.05 - 2024.11.05