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非IT業界出身のエンジニア3名から学ぶ ー テクノロジーに仕事を奪われないためのキャリア戦略(全7記事)

世界を変えているのはエンジニア出身の経営者 div真子氏が説く、成果を上げ続けるための習慣

2018年4月29日、TECH::CAMP 渋谷校にて、「- 非IT業界出身のエンジニア3名から学ぶ -テクノロジーに仕事を奪われないためのキャリア戦略」が開催されました。第1部では、株式会社divのCEO 真子氏による基調講演が行われました。本パートでは、新しい価値を創造する上でのテクノロジーの重要性や、これからの時代に成果を出し続けるために大切なことについて語りました。

新しい価値を創造するにはテクノロジーの理解は不可欠

真子就有氏(以下、真子氏):そして、これから求められるスキルということで、私からは2つ持ってきました。1つ目が「テクノロジーリテラシー」。2つ目が「主体的に課題解決する力」。まず1つ目です。今後はテクノロジーを活用して解決できる課題を見つけることがますます重要になっていきます。

「仕事ってそもそもなんなのか?」と考えた時に、今、世の中にかたちがあるじゃないですか。ざっくり捉えると、それよりも便利なものを提供した時に、その差分が報酬としてもらえるわけですね。

この差分はどうやって生まれるのかというと、新しいアイディアや発想。これはもちろんあると思います。でも、一番差分が出るのは、絶対にテクノロジーなんですね。コンピューターの性能向上です。

コンピューターが性能向上することによって、これまでできなかったことができるようになる。こういったサービスやプロダクトを作れば、より便利にできるんじゃないかということで、どんどん新しい仕事が生まれていっているわけですね。

逆に、テクノロジーを使わないものはどんどん淘汰されていく。そういった構造にあると思います。そして、テクノロジーを組み合わせた課題解決とは、プログラミングそのものなんです。

プログラミングをやったことない方がほとんどだと思いますけども、プログラミングはいろんな技術を組み合わせて、自分で加算して作っていくんです。今は世の中にどんなテクノロジーがあって、それをどういうふうに組み合わせて作っていこうかといったことをやっていくわけです。

まず、このプロセスが一番重要なことなんですね。テクノロジーを使いこなすためにみんながエンジニアになるわけじゃないですけれども、教養としてテクノロジーのリテラシーを高めることが非常に大事になります。

少し話を変えて、日本トップ企業の推移を持ってきました。(スライドを指しながら)1位トヨタ。ここ10年の推移ですね。2007年27兆円、2017年トヨタ19兆円。これは下がってますね。

(スライドを指しながら)それで、新しい企業を赤に塗ってて、これちょっと覚えておいてほしいんですけども、この何兆円って見えますかね。あんまり変わってないというか、10年経ってるのに、時価総額はむしろ全体的に下がってるんです。一方で、アメリカはどうなっているかを見てみると、全体的な数字がむちゃくちゃ伸びています。

1位Apple、2位Alphabet(Googleの親会社)ですね。次にMicrosoft、Amazon、Berkshire Hathawayは投資の会社ですね。(そして)Facebook、上位がほとんどIT企業になっていると。Appleの時価総額は、この数字だとだいたい70兆円〜80兆円くらいですね。日本ではトヨタで20兆円なので、1位だけでもう4倍差をつけられていると。

こっちに(日本側に)ほぼテクノロジーの会社ってないんですね。もちろん、テクノロジーは使ってますが、ITを活用したサービスの会社はすごく少ないですね。ただ、アメリカは全部IT・ソフトウェアサービスが上位にきている。このアメリカのトップの企業を作った人たちって、みんなエンジニアなんですね。テクノロジーに精通した、エンジニアのリーダーが世界を変えていると。

Googleのラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグ(Facebook)、ビル・ゲイツ(Microsoft)、Amazonのジェフ・ベゾフも、もともとニューヨークでエンジニアをしてました。あとは、ランキングにはないですが、世界を代表する起業家のイーロン・マスクも、10歳でプログラミングコンテストで賞をもらったりしてますよね。

Appleも、もともとスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが2人で始めました。ウォズニアックはエンジニアですね。

正解を探し求めるような働き方はもう終わり

こういったテクノロジーを理解している人たちが明らかに世界を変えているし、産業を引っ張って変えているということは、もう小学生でもわかるレベルで明らかと言えると思います。

その結果、このテクノロジーリテラシーの低い日本は、インターネット・テクノロジーを活用して新しい付加価値を生み出そうということができなかった。日本が(時価総額でアメリカを)超えていた時期も1985年〜1990年にはあったんですけど、今はもう(アメリカに)4倍の差をつけられて、かつ日本はもう上がっていない。

四半世紀、日本の上場企業の時価総額の累計は上がっていないんです。がんばっている方に向けて言うのはすごい失礼な感じになっちゃうかもしれないんですけども、言い方悪く言うと、何にも成長していないと言えるかもしれないです。

この差は何かと言うと、圧倒的にテクノロジーのリテラシーだと理解しています。世界を代表する起業家のイーロン・マスクがこういったことを言っています。「基本的な原理から発想することは大切だ。成功している人を真似するほうが頭を使わなくていいが、それでは成功しない」

何かを真似して改善することは日本はすごく得意かもしれないですね。ただ、ゼロから考えて、このサービスはどういうプログラムでできているんだろう、どういうテクノロジーが使われているんだろうと考えて、そこから何ができるのかを考えて生み出すことはあまり得意じゃない。

これをやっていかないと成功しないし、大きなビジネスは作れない。経営者じゃなくてもそうですね。普通の企業で働いていても、みんながやっているから、という正解を探し求めるような働き方はもう終わりです。これからは自分たちが正解を作っていく。「どうしたらいいんですか」じゃなくて、「自分はどうしたい」という発想が非常に大事になってきます。

そして、新しい価値を創造するには、テクノロジーの理解が不可欠です。創造性というのは今あるものの組み合わせなので、テクノロジーを教養として理解しておかないと、新しい発想は生まれないです。知識がないのに、赤ちゃんがいきなり画期的なサービスを生み出すことはないですよね。

アーティストとか起業家とかみんなそうだと思うんですけど、何か新しいことを生み出すというのは、基礎に何か知っているものとか知識とか経験が全部組み合わさって、初めてこれとこれを組み合わせたらいいんじゃないかって発想が生まれるはずなんです。

だから、教養として何かを知っていないと新しいものは生まれない。どのくらい学べばいいかっていうと、プロトタイプを作れるレベルまで学ぶことをおすすめしています。どのくらいかというと、100時間。質問できる環境だったら100時間くらいでいけます。

プロトタイプを作れるくらいまでやると、自分のアイディアを形にすることができたり、ウェブサービス・アプリの仕組みを理解できるのでおすすめです。これ以上は、やってみて楽しければやったほうがいいかなと思います。

今の時代に成果を上げ続けるために大事なこと

次に、主体的に課題解決する力。テクノロジーの教養が大事だと言いましたけれども、「教養として理解していればこれでOK」ということではないと思うんですね。(テクノロジーは)やっぱり道具なんです。

魔法のように自分の人生を全部よくしてくれるわけではない。テクノロジーを活用して、どんな付加価値を生み出すのかを考えるには、あらゆる場面で、自分で企画して主体的に提案・実行することが必要になります。

この時に、周囲の現状維持のバイアスに屈しないようにしなければいけないですね。何か新しいことをやろうとすると、「今まではこうやってきた」とか、周囲の反対意見が出てきます。あとは、自分が上司だったら、部下が何か新しいことをやりたいと言ったときに切って捨ててしまったり。そういうことをやってしまうことがあるので、これまでやってきたという考え方を捨てる。

テクノロジーの進化で、これまでやっていたことはすぐ通用しなくなります。テクノロジー企業に淘汰された具体的な例が、UberとかLyftとか、普通の車をタクシーにしちゃうサービスです。(Uberは)世界最大の未上場企業で、時価総額が約7兆円とくらいあるんですけれども、その影響でアメリカの大手タクシー会社のイエローキャブが破産しているんです。今そういったことが起きています。

まさか、こういったアプリを運営しているサービスにタクシー会社が潰されるなんて、まったく想像しなかったはずです。そういったことが、これからますます起きていきます。そして、このテクノロジー時代に成果を上げ続けるためには、大事なことが2つあります。

(1つ目は)情報収集。こういったセミナーに参加することも素晴らしいことだと思います。常に情報収集を怠らず、テクノロジーのリテラシーを高め続ける。

もう1つは、このセミナーに関わらず、人生でずっと大事なことだと思うんですけれども、主体的に課題解決をしていくこと。日々の業務とか仕事の中で自ら課題を提示して解決していく。上手いやり方を探すんじゃなくて、「もっとこうしたらいいんじゃないかな」と思ったり、ちゃんと自分から提案して動くクセをつけておく。出る杭になっていく習慣をつけることが非常に大事ですね。

テクノロジーに仕事を奪われないためのキャリア選択

そして最後に、テクノロジーに仕事を奪われないためのキャリア選択という話を持ってきました。キャリア選択って、究極的には「自分がどう生きたいか」に尽きるじゃないですか。山奥で一生陶芸をして、泥を練って焼いて陶器を作ることが、本当に自分の人生で最高と思えるのであれば、ぜひやったほうがいいですし、そこになんの反論の余地もないです。

ただ、これからより生産的で付加価値の高い仕事をしていきたいと思うんであれば、こういった道がいいんじゃないかなという、私からの提案です。

まず、どんな会社で働くべきなのかというと、テクノロジーの成長企業一択です。テクノロジーを活用して新たな価値を生み出すエンジニア主体の企業で働くことですね。今はITを活用していない企業はほぼないんで、そういった意味じゃなくて、新しいことをやろうとしている会社。そして、成長している会社か成長しそうな会社で、エンジニアをすごく大事にしている会社。

エンジニアを内製して、エンジニア主体の企業を作ろうとしていない会社は、もうこれから廃れていくと思います。絶対に優位性を維持できないですし、欧米のエンジニアを大量に抱えた優秀な企業のサービスにどんどん淘汰されていきます。

例えば、日本の会社でいうとリクルートさん。研修のお客様でもあるんですけど、もともとウェブサービスも強いですが、営業主体のイメージがあったと思います。(そのリクルートが)Indeedを買収しました。もう今はどこでもCM流してると思うんですけど、Indeedって世の中の求人情報を全部自動でクローズして持ってきてサイトに集約するサービスで、めちゃくちゃトラフィックを集めてるんですね。

売り上げももう1,000億円みたいな規模になっていて、新しい事業の柱になると言われています。Indeed社は超優秀なエンジニアをめちゃくちゃ抱えているんですね。

そういったテクノロジーの会社がこれからの花形となっていくのは間違いないです。あとは、「そもそも会社で働くべきなのか?」という問いもあると思います。独立も1つの選択肢です。企業したりフリーランスとして働く。その際は、テクノロジーを活用して価値を提供できるような仕事につくことをおすすめしています。

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