2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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真子就有氏(以下、真子氏):今日は少しキーワードを持ってきました。1つは「AI」。今、機械学習がすごく注目されていますね。このTECH::CAMPでも、「人工知能講座」っていう、機械学習の講座をやってます。私も教える立場にあるんですけど、今は設計者で現場に立つことはないです。
まず基本や概要みたいな話をしようと思います。今AIが注目される理由は3つあります。1つ目はビッグデータの収集に活用できるようになったこと。
一番大きいのはスマホですね。正確な数字は忘れちゃったんですけど、今世の中に存在するデータの9割くらいが、ここ数年で生まれたものと言われているんですよね。人類誕生以降に生まれたデータの9割くらいが、データの重さにするとここ数年で生まれたと。
スマートフォンのような、手元にみんなコンピューターを持つようになったということが非常に大きいですね。あとはIoT(Internet of Things)だとか、センサーが発達している。通信網も発達していることで、いろんなものがインターネットにつながって情報が流通するようになった。
2つ目がディープラーニングという手法が確立したこと。これはGoogleの「AlphaGo」というプログラムが発端となってブームになったというか、新しい手法が確立されました。
3つ目が計算資源が準備可能になったと。これは、例えばCPUだとかGPUだとか、そういった計算に必要なものが誰でも使えるようになったということです。
人工知能っていうと大げさなんですけど、例えば機械学習で何かサービスを作りたいなと思ったらすごい便利で、GoogleもMicrosoftもIBMもAmazonも全部、機械学習用のライブラリ(があって)、普通の人でも使えるサービスを提供しているんですよ。しかも、そんなにお金がむちゃくちゃかかるわけじゃない。なので、そういったものを使って簡単に誰でも置き換えられるサービス・パーツを作れるようになったんです。
根本にあるのは、先ほど言ったコンピューターの性能向上によって、そういった計算資源が簡単に手に入るようになったことですね。大昔のパソコンって、メインフレームみたいに言われていた時代は、1つの部屋を占領するようなめちゃくちゃでかいコンピューターをわざわざ会社ごとに運び入れて計算させる。
コンピューター1台が何千万(円)みたいな。でも、そのコンピューターの性能って、今のMacよりもぜんぜん低い。そういった時代だったのが、今はもうこのコンピューターの計算処理に必要な道具が安く手に入る。
次に実例を持ってきました。じゃあ今、実際に機械学習ってどんなふうに使われているのかという話です。これは、マクドナルドのドライブスルーが全部音声認識で自動化されているという例ですね。ドライブスルーに入っていくと、「ご注文は何にしますか」と聞かれます。
これを聞かれて、「シェイク1つ、ポテト1つ、やっぱりMじゃなくてS」とか、「ハンバーガー3つ」とか、そういうやりとりを全部自動で応答していって、応答が終わったらもう伝票になっていて、それがキッチンに送られて、作られる、ということが可能になっているんですね。
どこにAIを使っているのかというと、結局音声って複雑じゃないですか。音声を認識して言語の意味を読み解くみたいな。例えば、機械が「ご注文はハンバーガーでいいですか」と聞きますよね。その時に人間はなんて答えますか? 「はい」とも言うし、「それで」とも言うし、「ハンバーガーでいいです」とも言うし。肯定の言葉もたくさんあるじゃないですか。そういったたくさんの言葉を、人間が全部プログラムで書こうとするとめっちゃ大変なんです。
パターンも全部網羅しなきゃいけない。しかも「はい」っていう発音もみんな違うし、間が置かれて回答するかもしれないし。そういったものを、人間がすべて網羅的にプログラムを書いてやっていくのはムリなんですね。だから機械に学習させちゃおうと。
機械学習というのは、人間がプログラムを用意するのではなくて、ある意味プログラムを勝手に書いてくれるみたいなイメージなんですよね。まあプログラムは自動でチューニングしてくれる。そういったことができるようになったので、自動化が可能になったということですね。もうドライブスルーで人の声を聞くことはなくなると思います。
これ(「DocsApp」)は、まだ実用化されてないです。これはインドのサービスで、チャットボットで医療診断してくれるサービスです。インドだとまだインフラが発達していないので、「高熱が出た、病院に行かなきゃ」となったら、とりあえず車で2時間飛ばす。それで(病院に)行ったら3時間待ちみたいな。あとは処方箋と薬をもらえる、という感じなんですけれども。
このDocsAppというサービスは、もうチャットボットで全部やりとりをしていけば、最終的に処方箋も発行してもらえて、なんと薬の宅配までもしてくれるということで、シェアをすごく伸ばしているんです。
それで、料金も平均2ドルですごく安い。30分以内にすべて終わる。実際にみなさんも風邪をひいて病院に行くことありますよね。市販のバファリンとかも安いし、いいですけど、処方箋の必要なもっとちゃんとした薬もらいたいと思うじゃないですか。
でも、実際に病院に行って何を質問されるかというと、そんな大したこと聞かれないですよね、「あー、熱あるんですね」「ありますねー」みたいな。「のど痛いです」「はい、のど見せてー」みたいな。「はい、お腹ー」みたいな。
そういった問診って、わざわざ電車に乗って足を運んで、行列の中で待って診察してもらう必要ないですよね。これがもうチャットボットでよくなってる。今の日本とかだと規制が厳しくて、こういうサービスってなかなかできなかったりするんですけども、途上国だとまだ規制がゆるかったりするんで、こういったサービスがどんどん出てきているんですね。結果的に、先進国の日本よりも便利になったりしています。
あとは、知ってる方も多いと思いますけど「Amazon Go」ですね。これはもうレジを完全になくした無人コンビニですね。商品を取って出てきたらもうお会計が済んでいる。袋に入ってることを認識しているんですね。カメラがついてて、今誰が入ってきて何を着ているか、何を取ったかが全部わかる。
(アメリカの)シアトルに今試験店舗があるんですけど、こうやって入っていったら、それが誰かも、何を取ったかもわかっている。こういったものも、機械学習が必要なんですね。例えば、黒い商品を手に取った時に、それがチョコチップのクッキーなのか、チョコレートなのか、黒いカレーのルーなのか判断って難しいじゃないですか。人間が網羅的にプログラムを書いて全部作るのはムリなんですね。
だから画像認識の機械学習を使って、これはこの商品を取ったんだとか。あと人の顔だって帽子かぶっている時もあればメガネをかけている時もあるんで。まあ、一卵性の双子とかは見抜けないって言いますけども。なので、基本的にはそういった機械学習で判断できるようになっているということが起きてますね。
次にVR(virtual reality)・AR(augmented reality)というキーワードです。この中でハイエンドの……今ってVR ZONEとかゲームできるところってけっこうありますよね。ああいうところで遊んだことある方って、けっこうこの中にいるんじゃないかなって思うんですけど。
あれはあらゆる物理的な体験を置き換える可能性を秘めています。実際、ゴールドマン・サックスで出している市場調査なんですけども、VR・AR市場は2025年には11兆円まで拡大すると言われています。
11兆円ってあんまりピンとこないかもしれないんですけども、日本のコンビニエンスストアの1年間の全売上の累計と同じくらいですね。そういったことになると言われています。Facebookの傘下にヘッドマウントディスプレイを作っているOculusという(会社)のがあるんですけども、そこのチーフサイエンティストが、これからVRがどう進化していくかを講演で語っているんです。
いろいろと細かい技術的な話も言ってるんですけども、一言で言うと、「5年後にVR空間と現実の世界がもうなくなる」と。今から5年後だと、2023年ですね。ディスプレイの画素数が16Kくらいになると人は現実の世界との境がなくなると言われています。
実際は粒じゃないので、これはすごいざっくりしてるんですけど、まあそのくらい。今ここにあるこのOculus(の製品)ですけど、どのくらいの画素数かわかります? Kが1,000粒ですね。4Kテレビってありますよね。これはざっくり4,000粒の粒が並んでクリアに見えているわけです。Oculusを着けた時はだいたい2K×1Kなんですよ。
あとは他にも差があって、人間の目ってたしか200度くらいまで見えるんですよ。手のここら辺までなんとなく見える。でも、今のVRの機器は100度くらいが限界なんですよ。100度なので、もう90度よりもちょっとあるくらい。だから、実際に着けると自分の鼻とか見えちゃうんですよ。
そういったところで差があって、現実を置き換えるところにはまだまだ遠いんですね。あともう1つ大きな課題が、ピントが合わないこと。自分の手などを見ていただくと、周りがボケると思うんですね。手をみたらボケてますよね?
VRには、この機能がないんです。常に、全部くっきり見えている。だから、ずっと着けているとすごく疲れます。脳の処理をすごい使うんですね。でも今、それも解消されようとしています。
そもそも今から5年後には、もう8K×8Kくらいのヘッドマウントディスプレイが試作品でできてくると言われていますね。実際、今はもう4K×4Kのものも売られているんですね。そうなると、大げさなことを言うと、今着けているのか着けていないのかもわからない(くらいリアルになる)。
こういうセミナーも、別にわざわざ電車に乗って狭いエレベーターに乗って登ってこなくても、家で(ヘッドマウントディスプレイを)着ければ、もう私のところにいると。何百人でも入るし、資料ももっと簡単に共有できる。みんなが目の前で見られるようになっていきます。
これは、バーチャルワークスペースという概念を話していて、「オフィスに行かなくてもVR上で仕事ができる時代が来るだろう」ということを、Oculusのチーフサイエンティストが話しています。その他、IoTブロックチェーンだとか、新しいテクノロジーが世界を変化させていますね。
余談なんですが、3日前に、ちょっと絶望したことがありました。某メガバンクにお金を送金しに行ったんです。すごく個人的な事情でまとまった金額を振り込まなきゃいけなくて。金額が大きいと、ATMじゃできないので、銀行の窓口に行ったんです。
そうしたら、iPadじゃないんですけど電光掲示板みたいな端末が置いてありました。それで“この用の方はこちら”みたいな案内があるんですね。なかなか先進的だなと思ったんですが、そのiPadの使い方を教えてくれるおばちゃんが登場したんです。
「あれ? この端末って、そういうおばちゃんをいなくするためにあるんじゃないのかな」って僕は思ったんですけど。そこから送金するために書類を2枚くらい手書きで書かされて、ソファに座って待たされていて、「字を間違えた、すみません」みたいなことを言って。送金するのになんでこれを書かなきゃいけないんだろうとか、お金を振り込むだけでなぜか25分くらいかかるとか。
そういった非効率なものって世の中にはたくさんあって、それを今みんな当たり前だと思ってるけど、実際スマホからもっとポンっと送れてもいいじゃないですか。だって、紙に書いたことで何も生まれていないんで。そういった古いものって世の中にたくさんあって、新しい技術がどんどんそういうものを進化させていくと思います。
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