2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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植田悠大氏(以下、植田):みなさま、本日はお集まりいただきありがとうございます。本日は『テクノロジーに仕事を奪われないためのキャリア戦略』と題しまして、実際に株式会社div代表の真子就有と、TECH::EXPERT(テックエキスパート)の卒業生であるエンジニア2名による、トークセッションを行わせていただきます。
まず開会の挨拶といたしまして、私たちは、TECH::CAMP、TECH::EXPERTというサービスを行わせていただいております。
TECH::EXPERTは、プログラミング未経験から実際にエンジニアとして働くことができる人材を育成するためのサービスです。こちらではこんな声をいただきます。例えば、「今の仕事に満足していない」「スキルを身につけて転職したい」。あとは「クリエイティブな仕事がしてみたい」「IT業界で働きたい」というような声を多くいただいております。
本日は、代表の真子と卒業生のエンジニア2名をゲストに迎えさせていただきました。それでは基調講演として、株式会社div代表取締役の真子より講演をさせていただきます。どうぞ拍手でお迎えください。
真子就有氏(以下、真子氏):みなさん、こんにちは。株式会社div代表取締役の真子と申します。本日はよろしくお願いいたします。今日は、ゴールデンウィークにも関わらずお集まりいただき、ありがとうございます。
もしかしたら、みなさまお休みでぜんぜん来ていただけないんじゃないかと不安なところもあったんですけれども、たくさん来ていただけてよかったです。私のほうからは、『テクノロジーに仕事を奪われないためのキャリア戦略』というテーマでお話させていただければと思います。
まず自己紹介なんですけども、改めまして真子と申します。この会社は、私が大学4年生のときに起こした会社でして、今6年目になります。やっている事業は、TECH::CAMPという教養としてテクノロジーを学ぶスクールと、プロのエンジニアを育てるTECH::EXPERT、あとは企業研修や、地方自治体と組んで地方のエンジニアの輩出といったこともやっております。
TECH::CAMPは、もうすぐ卒業生が10,000人を超えるといったところで、日本では最大のスクールになっています。今日は2本立てになっていて、テクノロジーが変える世界というテーマと、これからの時代どういったスキルを身につけるべきか。あと、キャリア戦略といった話をしていきたいと思います。
今日は、もし途中で聞きたいことがあれば手を上げていただいても構わないですし、ぜひ質疑応答の時間も設けながら進みたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず1枚目ですが、“今、不可能なことが5年〜10年で可能に”というスライドを持ってきました。何が言いたいかというと、ちょうどiPhoneが出たのが2007年ですね。今、11年経って2018年になりました。もはや今スマートフォン(スマホ)を持っていない人っていないですよね。
でも、11年前はどんな反応だったかというと、2ちゃんねる(2ch)とか見ると、「まあ先進的ではあるけど電源すぐ落ちるし、コピペもできないし、インターネット見てもPCサイト小ちゃくて見にくいし、写真もガラケーのほうがいいし、アプリもいいのないし、使えない」みたいな、そういった声が大半というところから始まったんですね。
そういうところからどんどん性能が進化していって、気づいたら「もうスマホなしにビジネスとかありえない」といった時代になっていると思います。この10年で、世界の産業が完全に塗り替えられました。
今、いろんなテクノロジーのキーワードがあると思うんですけれども、「本当にそれって使えるの?」みたいなものってたくさんあると思うんですよね。そういうものが、これから5年、10年経ったときに本当に同じように使えないものとして認知されているのか、もう「それを使って当たり前だよね」となっているのか。僕は後者だと思うんですね。
なので、「今、当たり前だと思っていることを信じない」ということが、まずは全力でお伝えしたかったことです。こういうことが起きる根本的なところをお話しますと、すべてはコンピューターの急激な性能向上によるものです。
CPU(central processing unit)とかGPU(graphics processing unit)、コンピューターの脳みそとか計算の処理に当たるものですけども、こういったコンピューターの計算速度って、急激なペースで成長してるんですね。それに伴って、より高度な処理が瞬時に可能になっています。
今は少し終わりつつありますけども、以前はCPUでいうとムーアの法則というのがありました。1年6ヶ月でコンピューターの性能が2倍になっていくんですね。では、みなさんにクイズを持ってきました。1983年(発売)のファミリーコンピューターと、2017年発売の最新のNintendo Switch。どれくらい性能差があるのか。3つ手を上げてほしいと思いますね。
メモリのほうにしておきましょうか、100倍、1,000倍、10,000倍(の中)でちょっと手を上げてほしいと思います。じゃあ100倍だと思う人(挙手)。1,000倍だと思う人(挙手)。いませんね。もうバレてますね? 10,000倍だと思う人(挙手)。
はーい。正解は、2,000,000倍でした。惜しかったです。そのくらい性能って上がってるんですね。メモリの容量というか、CPUも48,000倍になっていると。わずか35年で性能が2,000,000倍になっている。これを100メートル走でちょっと考えてみましょう。
1983年に、カール・ルイスが9.99秒で世界記録を出しました。今は、ウサイン・ボルトの記録が9.63秒(2012年ロンドン五輪)。35年かけて人類は0.3秒縮めることができました。これでもし2,000,000倍速くなるとしたらどうなるかというと、0.00005秒で走るようになります。
もう(肉眼で)見えないんですね。動画っていうのは、だいたい1秒に60くらいの画像を使って表してるんですけど、つまり1秒÷60みたいな。0.00いくつかだと思うんですけど。動画で捉えられないので競技にならない、誰も観測できない種目になっちゃう。
一番言いたかったことは、この性能向上のスピードは人間の感覚をはるかに超えているんですね。有名な話があって、ちょっと詳しく言うと複雑になるので簡単に言うと、ある大学の研究チームが、とあるコンピューターの計算のアルゴリズムを考えていましたと。もっと早く処理するにはどうしたらいいかということを考えて、ずっと10年くらい研究してたんですね。
10年後、やっと「すごいアルゴリズムができた」って発表したんですね。そしたら、新しいコンピューター上で動かした、わずか数ヶ月くらいしか研究していないチームの普通のアルゴリズムに負けたっていう話があって。
人間ががんばって創意工夫するよりもコンピューターの性能向上の方が早くて、結果的に何もしないチームが普通に動かしたら勝っちゃったっていう。古いチームはずっと昔のコンピューターを使って研究していたので追いつけなかった。そういったことが起きたりします。
さっきの(任天堂の)ゲームで例えると、性能が向上するとどういったことが起きるかというと、「スーパーマリオ」、みなさんわかりますよね、「マリオブラザーズ」。ぴょんって跳ねて、クリボーを潰していくみたいなゲームだと思うんですけど。
走っていってジャンプして降りるって処理を(プログラミング上)考えるとしたら、物理やってる方はわかると思うんですけど、基本、ざっくり言って、ジャンプしてヨコ軸のスピードが一定。落ちる速度が、物理のサインコサインとかで割り出して、重力で落ちていくみたいな。
まあ、2つのx軸とy軸の計算があれば動かせるわけですね。じゃあ今、例えば最新のゲームエンジンとかを使うと、物をどっかに投げてぶつかって落ちるみたいなこともリアルタイムで計算できるわけです。
例えば、ガラスを投げて割れて落ちるという計算を全部リアルタイムでやろうと思うと、もちろん、そもそも3次元なのでx軸とy軸の2次元じゃないですね。3次元で計算しなければいけないというと、ガラスが壁にぶつかったら、ぶつかった時の壁の抵抗とかガラスの硬さ・抵抗とかを全部計算して。
それがどんなふうにガラスに伝わっていくかを計算して、0.1秒とか0.01秒ごととかに全部計算していくわけです。動画だったら画像の繰り返しなんで。全部計算して、ガラスの破片だったら、破片1個1個にどういうエネルギーがかかっているか計算して、全部同時に処理していかないと、そういったものを投げて落ちるとか、割れるという処理って演算できないんですね。
昔のコンピューターだと、そういった計算ってとてもじゃないけどできなかったんですが、性能が向上することでリッチな表現や複雑な処理も瞬時にこなせるようになって、できることがどんどん増えています。
今のiPhoneアプリのゲームってめっちゃキレイですよね。もはやプレイステーションの最新とかでやるのと、めちゃくちゃ大きな差はないような状態になってますよね。それもコンピューターがどんどん性能向上していって、昔は簡単なアプリしかなかったのが、今はすごいリッチなことができるようになっているのもそういうことですね。
世の中の進化は、すべてテクノロジーの性能向上によって起きている。そして、今後あらゆる産業がソフトウェアになるという考え方があります。これはシリコンバレーの世界を代表する投資家のマーク・アンドリーセンが2011年に言っていたことです。これは一言で言うと「すべての仕事がプログラムになるよ」ということです。
わかりやすい例でいうと、紙の本がありますね。紙の本がkindleになって、本を売る作業って冷静に考えたら、絶望的なプロセスがあると思うんですよ。僕も本を執筆しましたけど、執筆して編集者と話すところまではいいんですよ。そこから、印刷して装丁して、トラックとかで全国に郵送するんですね。
そうするともう、本屋も物理的に建物を建てないといけないし、本屋に(本を)持って行って並べてポップを作って、そこに人を流し込んで手にとって、レジまで運んで行ってお会計して、袋に入れて持って帰って、やっと読める。
このプロセスにどれだけの人とお金がかかっているかということなんですけども、kindleだったらボタンをポチッと押すだけで、ここで読めちゃう。人が物理的にやっていたような仕事や産業が全部、プログラムだけで表現できるようになっているんですね。
例えば、僕の友達で税理士事務所で営業している人がいます。今ってけっこうクラウドの会計サービスとかがすごくメジャーになってきているんで、「税理士の業務とかってそんなにやる必要あるの?」って僕聞いたんですね。
そうしたら、「ない」って言ってて。じゃあ、「お前なにやってるの?」って聞いたんですよ。そうしたら、そういったクラウドサービスを(顧客に)薦めてるって言ってるんですよ。
今だと、会計ソフトだったらマネーフォワードとかfreee(フリー)とかがシェアあると思うんで。あと弥生会計とかですかね。「それって手数料もらってるの?」って聞いたら「もらってない」と。普通にただ薦めてる。じゃあ仕事にならないじゃん、みたいな。
そこでまず(顧客との)関係を作って、あとで保険とか付加価値のある商品を営業していくということを言ってたんですね。これ、すごいおもしろいなと思って。もう単純に税務の計算みたいなものではお金を取れなくなってきているんですね。
それよりも、無料ではないですけど、かなり安価で使えるクラウドサービスとかが置き換えられちゃってる。そういったことがいろんな分野で起きていて、長期的に見ればすべての仕事がプログラムに置き換わっていくということが、今起きていることですね。
すべての産業の仕事が、テクノロジーによる変化を迫られることになります。もちろん人にしかできない仕事もたくさんあると思います。要は人と人とのコミュニケーション自体が付加価値になっているようなものはなかなか置き換えるのは難しいと思うんですけども、それにしてもテクノロジーでもっと便利にできることってたくさんあると思うんですね。そういったことが自分たちの仕事を変えていく。
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