2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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原田和英氏(以下、原田):あとこれは完全にネタ重視なんですけど、本とかもブロックチェーン上で管理できる。このプロジェクトでオンライン上に100冊オープンしました。
読んだ人はシェアできるんですけど、シェアするときに単語2つ削除して1つ足せと。そこでシェアされればされるほど元の本じゃなくなっていくんです。そういうのをプロジェクトとしてやっていますね。これはおもしろいプロジェクトです。
濱田優貴氏(以下、濱田):これ、おもしろいです。
高橋三徳氏(以下、高橋):おもしろいけど、これブロックチェーンなんですか?
原田:ブロックチェーンです。
高橋:そうなんですね。へえ。ブロックチェーンじゃなくてもいいような……。
原田:でも、ぜんぜんシェアされなかったのでコンセプトで終わったみたいです。でもコンセプトとしては、こういうのって今後もできるかもしれないと思いました。
これはベタなやつですね。
Walmartさんが、中国から輸入された豚肉がどういう経路で来たかというのをブロックチェーンで管理したというものです。
濱田:トレーサビリティの話って、タグがどうつくかがすごく重要なんですよ。要はタグが改ざんされちゃうとおしまいで、ピタッと置いたQRコードをピッて剥がして、貼り直されちゃえば終わるみたいな。
そのタグを剥がしたら使えなくなるとか、そういうハードのほうがね。俗にいうOracleが重要になってるケースが多いんですけど、これはどうなってるんですかね。
高橋:どこもブロックチェーンなんだな、というのもあります。
濱田:もはやブロックチェーンじゃなくてもいいんじゃないかって。あんまりそういうこと言うと、ブロックチェーンやってる人は怒るんですけど。
高橋:別にいいんじゃないですか。僕は怒らないですけど(笑)。
原田:あとはこれロシアとかで実際に選挙に使えるよって言われてて、出口調査。そういうものに実際今年に使うことを検討しているそうです。
目的としては、トラッキングというよりも、ロシアならではなのか知らないですけど、すごくアタックされると。悪意の攻撃があるので、それを分散型にすることによって防ぐみたいなことを書いてました。これはいろんな国でもされそうですね。
あと難民系でいうと、この国連のやつで、配給を受けるときにイーサリアム上でやりとりをして、ちゃんと届けてるか、ちゃんと正しい人に送れてるかを色彩データを使ってやる試みがあります。
これは、ご存じ、エストニアですね。
いろんな「国のデータ」をブロックチェーンで公開していきましょうという試み。あと医療データをブロックチェーンでみる試みもあります。これのなにがハッピーかというと、今まで国が持っていた医療データをブロックチェーンにすると、オープンになりやすく、データを分析していく参加者を募りやすいと。そういう仕組みになっております。
濱田:ちなみにこの中でe-Estoniaを取ったことある人いますか? e-residencyか。
(会場挙手)
濱田:あ、1人。
高橋:いた。
濱田:僕も取りました、という自慢をしたかっただけです。
原田:帰ったら取りましょう(笑)。僕も取ります。
最後にネタなんですけど、婚前契約のスマートコントラクトだと。家事をどれぐらいする、お金をどれぐらい払う、そういうのをスマートコントラクトに入れてちゃんと守りましょうと。ただ、法的拘束力はまったくないそうです。
というところが第2部のDApps等々でした。よろしければ質疑応答を簡単に入れたいと思います。まず僕から1つ質問を入れさせていただきます。DAppsって夢のある世界ばっかりですけど、実際どう思っていますか?
濱田:僕から言うと、インターネットが登場した時も、いろんなものが夢の世界だって出てきたけど、今残ってるのってそんなにないんですよね。ということを考えると、出てきたものの中の1つぐらいが、Amazon、Googleになるかもしれない。そういう温度感なのかなと僕は見てますけど。
実現できたらすごい世界が来そうだなというのはあるんですけど、実現するにあたっての問題が今後たくさん出てくるだろうと見てます。
高橋:ブロックチェーンのスケーラビリティ問題は、コミュニティの中では大問題になってると思っていて。
ビットコインしかりイーサリアムしかりで、イーサリアムのトランザクションが15とかなので(注:1秒あたりのトランザクション処理数が15程度)、これをみんなが使い出すような世界になるとまったく追いつかないです。
あとはイーサリアムのスマートコントラクトは、まさに今紹介した事例の全部に影響すると思います。Gasが高すぎて、実行しようにもたくさんお金がかかると。そうすると使い物にならないアプリばっかりになるのが現状かなと思っています。
今まさにコミュニティ、とくにethereumコミュニティが活発で、コミュニティ全般でスケーラビリティ問題を解決していく流れになってます。コミュニティにエンジニアの方なども参加してもらい、ぜひ解決していってほしいなと思ってます。
このスケーラビリティ問題があるんですけれども、仮想通貨などで値がバブル的に上がって、期待値が高い状況なんですよね。期待値が高いまま技術的問題が解決すれば、このまま値が維持できるかなと思ってて。それが追いつかないとどっかで弾けちゃうんじゃないかなと。そこはちょっと心配ですね。
原田:ありがとうございました。課題もありつつも解決していくという強い意志をありがとうございます。
濱田:強い意志(笑)。
原田:(笑)。はい、みなさんからなにかご質問等々あればなんでも。
質問者1:ええと、みなさんいくら持ってますかって聞きたいんですけど。
原田:(笑)。
質問者1:まぁそれは冗談ですけれども。気になるのは、これだけどんどんメジャーになって、結局、電力問題ってこの先解決の道はあるのかな、というのがすごく気になります。
今がすごくピークで、とりあえずアーリーアダプターをどんどん使って、ずいぶん電力を使ってます。これがスマートコントラクトで、トランザクションをインターネットで全部記録していったら、とんでもなく電力を使うのではという危惧があって。そのときに技術的に対応できるのかなというのがすごく気になります。
濱田:これは宗教戦争みたいになりかねない話で。この中で答えたい人います?
(会場笑)
高橋:はい、答えましょう。
濱田:では三徳さんの見解を。
高橋:まったくそのとおりだと思ってます。ビットコインはこのまま続くだろうなと。イーサリアムに関してはPoSに移行しようとしています。
PoWってコンピューティングリソースがあればあるほど稼げるモデルだと思うんですけど、PoSはステーク、保有量に応じてマイニングできる方向性にいこうというのがあります。ブロックチェーン業界はみんなそこを気にしてると思います。電力じゃなくて違う方向に行こうという流れの中で、ethereumはPoSへの移行の流れがある。Casperという名前で呼ばれています(登壇者注:Casper FFGと呼ばれるPoWとPoSのハイブリッドに以降し、その後full Casperと呼ばれる完全なPoS型に移行しようとしています)。
ほかにも今はマイニングのための専用チップがたくさん出ている。bitmainなどがいっぱい出していますけど、ああいう流れに抗うようにASICでのマイニングをなくしていこうみたいな流れもあります。ブロックチェーンコミュニティは、そこはなんとかしようと思ってるんじゃないのかなと。
また、開発者はそう思っているけど、マイナーはそう思ってない(ASICが使えなくなればマイニング報酬が減る)ところのせめぎ合いが、今まさに起こるのかなと思います。そこはうまく折り合いをつけて解決していけばいいなと思っています。
濱田:エネルギーもなにか革命が起こるかもしれないですよ。安く発電できるようになればそれだけ儲かるという循環があれば、今ない電力が出てくる可能性がある。チップも省電力がさらに進むと思いますし、テクノロジーにとってはいいことだとは思っています。
高橋:そうですね。ビットコインというかマイニングのチップだけ微細化が進んでいて。これいくつか議論あるんですけど、今7nmとかいってるんですね。インテルで10nmもまだいっていないので、ものすごい進んじゃっている。そういうところの技術の促進としていいのかなと。
濱田:総じて言うと楽観視してます。
高橋:ビットコインの人たちって、楽観視というか、「みんなでなんとかしようぜ」という盛り上がりがあるので、そこを突っ込んでネチネチやってもしょうがないと最近思ってて。「僕らもがんばるぜ」っていう感じのほうが一緒にやりやすいなと思っています。
原田:ありがとうございます。よろしいですか?
質問者1:ありがとうございます。
原田:あと1〜2問ぐらい。じゃあ、そちらの方。
質問者2:先ほど挙げていただいた例の中で、ブロックチェーンの改ざんができないという特性と、トークンエコノミーの特性があったと思います。トークンエコノミーの観点で「これはいい事例だな」と思うものがあれば教えていただけますでしょうか?
高橋:これってビットコインですか?
質問者2:それ以外でも。
原田:トークンエコノミーの事例。
濱田:Steemitとか普通にワークしてておもしろいんじゃないですか。
高橋:ワークしてるんですか?
濱田:記事を投稿するともらえるトークンみたいなのはシンプルでいいと思う。不正な記事だったら不正申請して、それが賛同を得られればよいという。そういう仕組みになっているのはおもしろいと思います。
高橋:僕はまだないって思っています。アイデアベースではいいのがたくさんあるんですけど、現実はまだないという。でもブロックチェーンに乗ってるアプリの1つとして仮想通貨をあげるんだったら、ビットコインとかイーサリアムはまぁ成功してますよねと思います。
原田:ありがとうございます。では、前の方。
質問者3:ブロックチェーンって特性上、改ざんができないじゃないですか。改ざんができないのは、メリットでもデメリットでもあると思うんですけれども。
例えば、先ほどのクラウドソーシングだと評価をした結果、この人はできるからどんどんいいよねってなる。でも、できないって(評価に)なったときに、のちのちできるようになっても、できていないという情報が入っているがゆえに足切りになると思うんです。
改ざんができないデメリットを踏まえた上で、人の情報を扱うのって難しいと考えてるんですけれども、ご意見をうかがいたいです。
高橋:まさにそうだと思っています。僕はそういった情報について、本当に考えてから乗せたほうがいいと思っています。改ざんできない問題って、そのうち起きるなと思ってるんですけれども。
例えば、有名アーティストの曲の歌詞をブロックチェーンのメッセージに乗せて送金しまくったら、営利団体が怒りそうだなと思って。そういうのが起きたらどうするんだろうなと。そういうのがこれからも容易に起こりそうな気がしていて。でも、どうしようもないですよね。
濱田:本当にどうしようもない。NEMの事件とか、コインチェックの事件がまさにそうで。あれって改ざんできないから。あえてしなかったのもあるかもしれないけれども、できなかったからあの事件が起こったわけで。たぶん銀行だったらどうにかできてた話だと思います。
だからメリットもあればデメリットもあるなと思っていて。今までが中央すぎたから、振り子として反動でこっち(非中央集権)がいいっていったけど、こっちが悪いところもあるよねって。また揺り戻しが出てくるのかなと思ってます。
僕はこの曖昧などっちつかずみたいなところが好きで。例えば、うちのサービスみたいに(手数料を)10パーセントいただいていていますが、トラブルが起こったら、対応させていただいています。でも手数料が安いブロックチェーンのプロジェクトだと、めんどくさい手続きを踏んで返ってくるかどうかわからない不安もあって。
どっちがいいかが明確じゃないから、僕らもこっちに寄りたいし、ブロックチェーンの人たちも安心なほうに寄っていかなくちゃみたいな。「こっちだよね」というのは、僕は存在しないかなと思ってます。そういう難しさはあると。
高橋:既存の仕組みと共存していくと思うんですけどね。思い出したんですけど、仮想通貨になってはじめてあの世まで持っていけるなと思っていて。
既存の銀行口座って死んだら遺族のものになるじゃないですか。ビットコインなどの仮想通貨だと、秘密鍵をそのまま持っていけば、誰も取り返すことができない。初めて所有というものができたんじゃないかと思っていて。問題点よりも、うまく使いたいなっていうポジティブ思考にしてます。
原田:では最後に僕からもう1つ。最近のブロックチェーン界隈の気になる動向やトレンド、観点などがあれば、おうかがいしたいなと。
濱田:僕は半分ぐらいサンフランシスコにいて、向こうのブロックチェーンコミュニティに少しずつ入っていって話を聞いてます。この前言われたのは、「今はブレインはあるけど、マッスルがない」という話。それ、おもしろいなと思って。
みんなやっぱりいろんなことを考えてるんですよ。でも、実際に作る人がまだいなくて、実装のフェーズまでできてないんですね。次にできることもやることもわかったから、実装しようよってフェーズに入った。ここから時間かかるかなっていう開発フェーズにいよいよ入ったなと思って。今までも「これからすごいんだ」みたいな温度感はあったんだけど、やっぱり今から作ろうみたいなトレンドに。
イーサリアムのコミュニティもそうだと思うし、ビットコインもまだまだセカンドレイヤーの話もあるわけだし。これから作っていくぞという感じで、コミュニティとしてはポジティブだと思ってます。逆に今までお金が増えてた人たちは、すごい悲観的になっちゃったりしているので、おもしろいフェーズに入った。今こそちゃんと向き合う、ちゃんと投資していくフェーズに入ったという気がします。
原田:ありがとうございます。
高橋:最近の話で言うと、vitalik buterin(注:ヴィタリック・ブテリン。 ethereumの開発者)が日本に来たんですけど、イベントなどで見られた方いらっしゃいますか?
(会場挙手)
濱田:けっこういるな。
高橋:イーサリアムのジャパンのコミュニティとか、あとはファンドができたり、コワーキングスペースができていたり。あとは先週はけっこう大きめのイベントが日本で開催されたりして。コミュニティを今まさに広げていこうという感じがしています。
技術的にも、みんなスケーラビリティ問題ですごく真面目に取り組んでいます。専門的な話をすると、そういう送金が遅い問題やGasのかかる問題に対して、PlasmaやRaiden、Lightning Networkとか、今まさに技術的に解決しようとしているのが見えます。なので、今年の終わりから来年にかけて、なにかいいものが出たらいいなと思っています。
原田:ありがとうございました。
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