2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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質問者1:本日はお話ありがとうございました。私事なんですけれども、3年勤めた企画のWeb制作会社をちょうど最近、辞めまして。まさにこの4月から事業会社に転職をする者です。なので今日のお話はとても勉強になりました。ありがとうございました。
端のお二方、事業会社というところでおうかがいしたいんですけれども。現在の業務の中で、一番ハードだったところと、それをどのように乗り越えたかというところを、ぜひおうかがいしたいなと思います。よろしくお願いします。
モリジュンヤ氏(以下、モリ):事業会社でデザイナーで働く上で、ハードだったことと、どう乗り越えたのかですよね。
小山敬介氏(以下、小山):はぁー……そうですね……じゃあパスで。
モリ:じゃあ、松本さん。
松本隆応氏(以下、松本):思い出しました。
(会場笑)
最初に、Coineyのサービスは元々海外の決済サービスをモデルにして、それの日本版をやろう、というので始まったものなんですけれども。1年後にはスマホ決済戦国時代と化していて、国内でも大手の競合が出てきたり、海外のサービスも続々入ってきたときには……さすがに少し絶望した時期がありました。
(会場笑)
そのサービスは申し込みのフォームからアプリの隅までもう、「完璧じゃんこれ!」みたいな感じでこれを今から超えるのか、そもそも同じことをやるべきなのかと悩んだ時期がありました。それで、事業会社だと逃げられないというか……受託だと気持ちの切り替えをすればいいんだけど、生きるか死ぬかを共にしなきゃいけないというところで、そこをちゃんと耐えてやるといいのかな、と思います。
モリ:ということは、外部環境的な大変さがすごい。
松本:そうですね。
モリ:まぁでも這ってやって、みたいな。
松本:です。
(会場笑)
モリ:小山さんどうですか?
小山:僕は、メドレーに入ったときに、ジョブメドレーのある機能のリニューアルを任されたことがありまして、初見で「このUI微妙だなー」「絶対これ直したほうが良い」と感じてました。
ただ、リリースしてから今年で……9年目? 9年目か。歴史を重ねているので、そういうUIにもちゃんと理由があったりするんです。それを動かして運営しているメンバーも入れ替わり立ち替わりで、理由はあることは知っているけども、その詳細は把握しきれていなかったので「誰に聞いたらいいのかなこれ」というような状況でした。
直したいんだけど直せない、直そうと思うとすごく時間がかかっちゃうみたいな。入りたての頃、かなり苦みました。
モリ:御社の技術的負債みたいな感じなんですか。
小山:技術的負債と、一見デザイナーからしてみたら「このUIで本当に良いのか?」ということ。でも利用されているからそのデザインには意味がある。でもその意味は調べなきゃ出てこなかったりするとそれだけ時間がかかってしまう。そういうところでなかなか自分の思うようには進まなかった、というので苦労しました。
その解決方法というのは、地道に自分で調べて積み重ねていくしかない、っていう感じでしたね。
モリ:その辺は、これ見て「イケてないな」って思ったけど、「なんでこうなってるのか」みたいなことは内部にヒアリングしたりしたんですか。
小山:それはもちろんして、こっちもいろいろ聞いて「あ、それなら」というところで、そのまま機能を置いておきまして。それでも納得できないものは変えるべきかな、っていうところで改善したことはあります。
モリ:理解した上で、でも変えるべきだ、っていうのは精査して。
小山:そうそう。あと入社直後にデザイン部長から、入りたての新鮮な目で直すべきだと気づいたところは直しましょうっていう、そういった後押しもありました。
モリ:なるほど。ありがとうございます。(質問者に)じゃあ、簡単にですが大丈夫ですか。
古里祐哉氏(以下、古里):この話、三古さんも近いのかなって思うんですけど。制作を行っていて、そこから事業会社に行くじゃないですか。BASEで、入って1年目とかどういう感じでしたか。
三古達也氏(以下、三古):BASEで「つらかったなぁ」って思うことって、実はあんまりなくて。やりたいようにやらせてもらっていたんですよね。1人でやってたのでダメなところはダメだろう、って直していましたし。
BASEで、社長の鶴岡さんの判断を仰ぐんですが、アプリに関しては「うんいいよ」って言われるんですよ。困ったこと……BASEのほうは特にないですね。
PAYのほうだと、法律を全然知らないと話にならないってことがよくあって。知り合いにお金を請求するときに、写真を撮らなきゃいけないんですが、paymoだとレシートを撮ればいいんですけど、PAY IDは「モノの写真を撮ってください」って分類になっていて。いや「モノ撮らないでしょ」と。友人との食事が終わった後に、さて割り勘します、「え、食べ終わったお皿の写真を撮れということ?」って話になって。
(会場笑)
絶対変えたほうがいい、と。そのときは法律とか、なんにも知らずに言ってたんですけど、資金系の法律で……(笑)。PAY IDに適用される法律で「こうじゃなきゃいけない」って決まってることがあって。デザイン上イケてるイケてない、UXがどうだああだ、って言ったところでどうしようもならないこともある。
そういう前提があって、どういうサービスで、どういう知識が必要で、っていうところをキャッチアップするのには、ちょっと時間かかりましたね。
古里:法律だともう、変えられないですもんね。
三古:そうですね。今そういう動きがあるにはあるけど、自分たちの都合のいいようにはならないので、どう合わせていくか。グレーかもしれないけどこの道はどうなんだ、抜け道はないか、そういうことを考えてはいました。
モリ:ありがとうございます。
モリ:次、ご質問のある方。
(会場挙手)
質問者2:お話ありがとうございます。みなさま「デザイナー」と肩書きが付いていらっしゃいますが、「デザイナー」と名が付くことで、ふだん業務で困ることとか「やりづらいな」という場面があるかどうか。それと、そのときの打開策・解決策みたいなのがあれば教えていただきたいなと思います。
モリ:「デザイナー」って肩書きで活動してて困ったこととか。
質問者2:そうですね、ふだんの仕事の中で「ちょっとやりづらいな」みたいなことがあったら教えてください。
モリ:どうですか、みなさん。
古里:デザイナーの中にも、得意領域が人によっていろいろあると思うんですけど。その前提を、お仕事をオーダーしてくる側が知らない。例えば情報設計が上手い人に「バナー作ってください!」みたいな感じで来るときが、たまにあると思うんですよ。オーダー側の認識が違っていると、その人の強みが生かせなくてやりづらいですよね。
rootでお仕事を請けるときは、最初に「僕たちの考えるデザインってこうですよ」っていうのをプレゼンするんですよ。「私たちのデザインプロセスこうです。それによってこういう実績出ているんです」という話を最初にします。そこから、お仕事を引き受けるか協議していく感じです。
モリ:なるほど。デザイナーという肩書きだと認識のズレが起きている気がするので、そういうときはデザインを持っていってあげる、ってことですね。
古里:そういうことです。
モリ:ほかのみなさんはなにか、困ったこととかありますか?
……ないってことですかね。
(会場笑)
小山:逆なんですけど、デザイナーって領域が曖昧なんですね。企画書書いたり、コード触ったり(笑)。曖昧だからこそいろんなことができる、っていうところでけっこう楽しくやってたりはします。
あれもこれも、みたいな感じで言われて「うわっパンクしちゃう」ってときもあるんですけど……前職だとUIデザインに絞られていましたね。ライティングしたり、製品としての実装というとこまではいかないですけど本当に多種多様なことを求められるし、こっちもやりたい。あんまりデザイナーっていう枠で困ったことは、正直ないですね。
モリ:いろんなことできそうだから相談が来るのは大変だけど、それはそれでおもしろい。
小山:そうそう、おもしろいっていうことです。
モリ:ほかお2人はなにか、まだありますか?
古里:「やりたくないことをちゃんと表明する」っていうのは重要かなと思ってますね。僕、BASEにいるときにJSまったく書けなかったんですよね。そのときにJSを触るお仕事がいっぱい来てつらかったんですけど、今思えば、やりたくないものは「僕やりたくないです」って表明したほうが、たぶん向こうも仕事を振りやすいし、こっちも楽な気がしてますね。
モリ:こんな感じで回答来てるんですけど、今みたいなので質問の意図的には大丈夫そうですか?
質問者2:はい、ありがとうございます。
質問者3:どうもありがとうございます。2点ございまして、先ほどの「5年後のイメージ」に若干かぶるかもしれないんですけど、今のロールモデルにされているデザイナーの方、あるいは憧れにしているようなデザイナーの方がいれば、教えていただきたいなと。
あと、私がノンデザイナーなんですけど、仕事を依頼される方として、やりやすい・仕事をしやすい方の特徴と、「この人は仕事しづらいな」という人の特徴みたいなのがあれば、教えていただきたいなと思います。
モリ:ロールモデルと、発注者が仕事を投げてくる人として良い悪い、って話ですか。はい。三古さんはさっき、THE GUILDの人がロールモデルだと。
三古:そうですね、ただ「あの人」っていう感じではなくて、みなさんなんですけれどね。
モリ:「1人THE GUILD」みたいになりたい、ってことですか。
(会場笑)
三古:みなさん、なんでもできるので。「ああなりたい」ってぼやっとした理想像になるところなんでしょうね。
モリ:明確に誰、って言うよりかは。
三古:はい。
モリ:いろんな人の良いとこ取りじゃないですけど、そういうので構築しているってことですね。
三古:はい、そうです。
モリ:古里さんは、ロールモデルとかありますか?
古里:そうですね……DeNAのデザイン戦略室を作った坪田(朋)さん。今Onedotにいらっしゃる方です。坪田さんを尊敬していますね。デザイナーの幅をどんどん広げてくれている。しかも会社の中で仕組み化して、デザインの価値を上げようとしてるのですごくありがたいなと思っています。
モリ:ありがとうございます。松本さんはどなたかロールモデルっていらっしゃいます?
松本:とくに「この人」って明確な人はないですけど、組織形態として、いわゆるソーシャルクリエイティブエージェンシーと呼ばれるような……海外だとあるんですけど、日本だとまだ数えるくらいしかなくて。そういうところにいる人たちみたいな感じにやっていきたいな、とは考えてますね。あとはなんでしたっけ。
モリ:一旦、先にロールモデルの話しましょう。海外のそういう、ソーシャルクリエイティブをやっている人たちに憧れる。
松本:そうです。
モリ:ベンチマークというか、参考にしている。
松本:ですね。
モリ:ありがとうございます。小山さんは?
小山:僕は……そうですね、特定の「この人」っていうのは、言われてみればいないな、って感じですね。ただ、10代のときにいたような気もします。メドレーに移ってからあんまり意識しなくなりましたね。
多くのプロフェッショナルがいるので。経営であったり、医療であったり、事業推進であったり、そういった人たちの「こういうスキルが欲しいな」「こういうところ学びたいな」みたいなことはありますね。特定の人たちのスキル。
モリ:スキル。さっきの三古さんの話に近いですね。
小山:はい。そういう感じです。
モリ:はい、ありがとうございます。
モリ:続いて、仕事を投げてくる人で良い悪いというか、やりやすい・やりにくいという話。いろいろありそうだなと思うんですけれど、いかがですか。みなさんは。
小山:単純なことなのかもしれないですけど、会話して笑顔で仕事できる人ですかね……(笑)。
(会場笑)
モリ:あー。
小山:会話が弾む人は仕事したいなって思います。できる・できない、そういうことも重要っちゃ重要ではあるんですけど、極論できなかったとしても自分もできなかったとしても、やっぱり楽しく仕事をするっていうところは重要視したい。一緒にいて笑えるかどうかっていうのは大事だと思います。
モリ:はい、ありがとうございます。三古さん、いかがですか。
三古:コミュニケーションをしっかり取れる人がいいですよね。よく言う「エンジニアの方とコミュニケーションが取りづらい」問題ってあると思うんですが。BASEの方も今日来ているらしいので、ちょっと言いづらいんですけど。
(会場笑)
自分がこう思っているということに対して「いいんじゃない?」なのか、「あぁ、良いと思う。それで僕もこう思うんだよ」っていうような会話ができるかどうかがすごく大事かなと思います。
モリ:この流れで古里さん、いきましょうか。
古里:オーダーするときに、自分が考えられる余白を作ってオーダーしてくれるとすごくやりやすいですね。ガチガチに固めて、スケジュール絶対こうなんです、ってことを……向こうとしてはたぶん安心感与えられると思ってやっているかもしれないんですけど、それをやられると逆に不安になる感覚はありますね。
モリ:「丸投げやな!」とかって思うことないですか?
古里:ありますね。
(会場笑)
モリ:これくらいはちょっと決めて欲しいけど、ここは自由にやらせてくれよ、みたいなラインがなにか。
古里:あー、そうですね……丸投げでもいいんですけど、ちゃんとコミュニケーション取って。「なにやりたいんですか」と対等な立場でお話できるんだったら、丸投げでもぜんぜんいいと思いますね。
モリ:対等な立場で向き合ってくれる人だと、仕事しやすい。
古里:そうです、そうです。
モリ:松本さんはどうですか?
松本:はい。2つ基準があって、1つ目が「What」と「How」をきちんと切り分けてコミュニケーションを取れる人ですね。なにか作るときに、「これ、指示したとおりのものを作ってください」ってなると、すごくやりづらい。目的に対してどう解決するかってたぶん、デザイナーから見た最適な解決方法と、エンジニアから見たのと……いろんな人の考えでそれぞれ、最適解って違ったりするので。そこの部分をちゃんと切り分けて考えられる人。
そのプロセスの中で、曖昧さを許容できるかどうかですね。イメージのすり合わせをして、デザイン的にはこうしなきゃいけないけれども、ビジネス的にはこういう数値を追わなきゃいけない。そこのズレをどれだけ会話しながらすり合わせていくかっていうのが重要なので。それの中で、ウォーターフォール的に仕事するんじゃなくて、「まぁ途中だし」ってある程度曖昧さを許容してコミュニケーションを取れるような人は、すごくやりやすいかなと思います。
モリ:さっきの「What」と「How」の切り分けみたいな話でいくと、基本的には「What」の話をしてくれて、「How」は一緒に考えましょう、「How」は一旦任せてくださいってやり方がいい?
松本:です。
モリ:曖昧さの話だとウォーターフォール的にガチガチに決まっているとそれはそれでだと思いますけど、曖昧さを許容し過ぎて、もうほぼ完成までいったのに「やっぱこうしよう」みたいな話が起きたりしないんですかね?
松本:ありますね。
モリ:そういう曖昧さはちょっと、NGですか。
松本:いやでも、それはそれでアリかなと。最終的にゴールがちゃんとしてれば。
モリ:「What」がちゃんと決まっていて、それに向かっていた結果、「この『How』じゃないね」ってなるんだったら起きてもしょうがない。
松本:そうですね。実際Coineyのオンライン決済のサービス名も、Webサイト公開直前で名前が変わったりしています。それは実際にWebサイトを作っていて、「あれ? この名前じゃなくね?」みたいなのを……ちょっと言い出して。
(会場笑)
モリ:自分で言ったんですね(笑)。
松本:そうです、自分でひっくり返したんですけど(笑)。それで変わったりしています。組織全体でそれを許容できるかどうかっていうのは重要かなと思います。
(モニターのスライドが消える)
モリ:閉店のお時間でスライドなくなったんですけど、このあと「懇親会」って映すだけだったんで、気にせずにこのまま。
(会場笑)
でも今バーッて聞いて当たり障りない感じの、コミュニケーションが多かったんですけど、もうちょっとなんかないですか?
(会場笑)
「これはやめろ!」っていうやつ、実はあるんじゃないですかみんな。ないですか?
古里:そうですね……うーん、僕イヤだったらすぐにバーッて言っちゃうんで。意外とそういう人も、言うとけっこう聞いてくれる。
モリ:古里さん、今日は一貫してこう「イヤなことはイヤって言う」。
古里:はい、そうです。そういうキャラです。
(会場笑)
モリ:言うとわりと通じたりする。
古里:そうだと思いますよ。
モリ:はい。ありがとうございます。お時間がけっこう迫って来て、あと最後1問うかがって懇親会の時間にしようかなと思っているのですが。最後「これ聞きたい」っていう方、いらっしゃいますか?
いない? いなかったら、ちょっと締まりが悪いですけど、このまま懇親会にしようかなと思います。たぶんみなさん、みんなに聞こえるかたちだと質問しづらい、みたいなのがあるかもしれないので。
このあとは懇親会でゲストのみなさん掴まえて、直接聞いていただければと思います。長丁場でしたけど、改めてゲストのみなさんに拍手を。
(会場拍手)
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