2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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伊原力也氏(以下、伊原):それでは、これからの話をしていきたいと思います。これからサービスをどうしていくか。まずWebサイトは、チェックを各Webマスターができる状態にすることかなと思っています。先ほどのEasy Checksを和訳して、そのチェックを行える流れにしていきたい。
次にアクセシビリティ方針、詳しい方はご存知かもしれないですが、「このサイトをいつまでにアクセシビリティガイドラインの、シングルAに準拠させます」という話をサイトに載せる、という話もあるんですけど、まずはちゃんとチェックして、致命的と思われるところを埋めていくことが、やれたらいいなという感じです。
それから、ヘルプページはちょっと話が別というか、そのヘルプがちゃんとあることによってある程度切り抜けられることもあるので、ここは優先度を上げていかないといけないかな、と考えています。
(スクリーンを指して)ちなみにこれは、今、日本語化をしているものです。
もう1つ、プロダクトというか、アプリケーションなんですが、これもサイボウズの小林さんがもう答えを出していて、「やっぱり既存の問題を減らすほうと、新規開発でなんとかするほうに、分けて考えないとね」というのがあります。
新しくつくる場合は、まずUIをちゃんとレビューすることと、コンポーネントを提供すること。そしてそれで組んでもらうということが必要だろうと思っています。あとは、コンポーネントを足す時に、ちゃんとCIを回すとか、サンプルを用意するとか、そういうことです。
(スライドを指して)ここは、……細かくてほぼ見えないと思うんですけど、例えば、「行の入れ替えみたいなUIをキーボードで使えるようにするには、どうすればいいでしょうか?」とか、「『こちらリンク』ってOKなんですか?」とか、「マウスオーバーでポップアップが出るやつを、キーボードでどうしましょうか?」みたいな話が、レビューとして出てくるようになり始めました。
これがコンポーネントですね。「ボタンなので、今後はbuttonタグを利用していきたいです」という、力強いコメントが書かれています(笑)。
(会場笑)
こういったものを使っていくことによって、先ほどのような状況は減っていくだろうと思います。さらにもう1つ、「タブはaタグを利用していきたいです」という、意思がすごく感じられるコメントがあるんですが(笑)、こういうものを適用していきたいです。
あと、既存のものを直す場合なんですけど、新しいものをつくる場合とは話が変わるなと思っています。まずは課題を挙げていくということで、バックログの運用を開始して、プルリクが出始めました。
チェックプロセスというとアクセシビリティでCIの話が出るんですが、相談してみると、「そこでいきなり回すと真っ赤になってマージできません」という話が出てきてしまうので、「まずは水際、フロントに出た状態を機械と人間の手でチェックしていく」というところになりそうだ、となっています。
これは、記念すべきアクセシビリティのバックログ1件目で、記念すべきプルリク1件目です。「グロナビになぜかtabindex=-1が付いているので取る」というプルリクです。
こういった「やっていこう」という話があるわけですが、(開発スタッフの)意識はどうしていけばいいのか。
これは、やっぱり「(新しく作る場合よりも、既存のものを)直すほうが難しい」という話があるので、そこを乗り越えないといけないかなと思っています。というのも、(新規開発は)機能を追加していくことによって業務を移管できるお客さんが増えていくので、それは売上に直結しますし、因果を示しやすいんです。
ですが、ユーザビリティを上げる、アクセシビリティを上げるのは、その効果、効率、満足度、そういったところが上がっていくことによって、たぶん継続利用率とか、推奨意向とかが上がっていくと思われるんですが、その因果を示しづらいんですね。
カスタマーサポートががんばることによって、そっち側でなんとかなっているケースもあるので、「プロダクト起因ってどこなの?」ということを明示しないといけない。
そこで、『ユーザーエクスペリエンスの測定』という本があるんですけど、「こういうものでユーザビリティの定量化をしていかなきゃいけないね」というのが、課題というか、やっていく必要があると思うところです。
もう1つは、「アクセシビリティの必要性そのものに向き合う」ことです。freeeの「すべての人のために」というものに共感して入社してきている人がけっこういるので、「なんにしろやるべきだよね」と思ってくれる人も出てきています。
ただその一方で、「そこに対して時間を割くのであれば、ちゃんと(ビジネスとしての)目標の設定がほしい」という向きの方も当然いらっしゃいます。それはよくわかります。
このときに、サブスクリプションモデルのfreee、かつ、どんな仕事にも必要なfreeeということで、説明しやすいなと思ったのが、障害者、高齢者の就労人口はかなりの人数がいるということでした。バックオフィスの業務には絶対必要、かつ、PCやスマホは使っているとなると、「この施策をしました、そしてユーザーが増えました」、この因果は示せるんじゃないかと思ったんです。
ここが、「対応したけれど、誰が良くなったのかわからない」という点とちょっと違う話なのかなと思っています。
(スクリーンを指して)例えば、この就労5人以上の規模の会社に、民間事務所に雇われてる人で、身体障害者が43万人。例えば視覚障害者の人にフォーカスしても3万6,000人。雇用促進法においては、2パーセント以上と言われているので、少なくともここに対してかけ算すると、かなりの人がこういうアクセシビリティが整っているプロダクトを使う必要がある、と言えるんじゃないかなと思っています。
ですが、雇用されていない個人事業主の人というのもいっぱいいます。これはあん摩・マッサージ・針・きゅう師の従事者数の推移です。
平成26年の段階で、すでに11万人いるんですね。
そういう人たちは、今、確定申告をやる時どうしているかというと、手伝ってもらっているんですね。なので、それが自力でできるようになると、それで働けるようになる人ももっと出てくるんじゃないか、と思います。
そして、毎年2,000人ぐらい就労しているんですけど、そのうち半分があん摩・マッサージ・針・きゅう師。ということは逆に言うと、その半分以外は別の仕事をしてるわけですよね。そういう意味で、さっきのグラフにいない人たちも、freeeから見たら、(ユーザーとして)狙える人です。狙える人はいっぱいいるし、そういう人たちはインターネットを91.7パーセント使っている、ということなんです。
そういうふうに積み上げていくと、「明らかにそのユーザーに使ってもらえる可能性って出せるじゃん」という話ができるわけです。ちなみに、スマホは50パーセントで、iOSユーザーが多いみたいです。
そして最後は、それを必要としている当事者にちゃんと会うことが大事だなと思っています。この数ヶ月の活動で最大のインパクトは、この中根さんのインタビューでした。それはその方のコメントが辛辣ですごい心に残るというのも、もちろんあったんですけど(笑)。
(会場笑)
でも、4年間使ってくれているんですよね。そういう人がいて、そういう人になんとか使えるようになってもらいたいという気持ちは、エンジニア、デザイナー、その他の職種でも、みんなある。それは、人の心を動かすのには一番強いんですね。
そういう人の意見を聞いていくと、「実はこういうアクセシビリティ対応をすると、画面が見えているユーザビリティも同時に上がるんじゃないか」みたいなことも見えてくるんです。
なので、この中根さんが立ち上げた、日本視覚障害者ICTネットワーク、ここで、中根さん、ないしは中根さん的な動きができる人たちが集まって、そういった企業の相談に乗っていける場をつくろうと考えているので、もし興味があれば、ぜひお問い合わせをいただきたいと思います。
それともう1つ、AccSellという、中根さんが主宰しているメディアというか、アクセシビリティの情報サイトで、2月24日土曜日に「ユーザーと一緒に試してみよう!」という会があります。
さっきのようなプロダクトを触ってみる会が催されると聞いておりますので、ぜひ、これを聞いた方とか、あるいは、同僚をちょっと連れて行ってみる、みたいにすると、けっこう話が進みやすくなるかもしれません。
「freeeのアクセシビリティ、今とこれから」ということだったんですが、今ここ、「関心がある」状態です。そして、私が次に目指しているのがここ、「投資している」状態を目指していきたいと思っているので、またこういう場があればぜひご報告をしていきたいな、と考えています。
「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」という方針でやっていきたいと思っていますし、そこをやっていっている会社がまだないので、ブルーオーシャンです。ビジネス的にもちゃんとメリットがあるということで、これを推進していきたいと思っています。
(スタッフ募集の画面に切り替えて)つまり、「freeeはあなたを求めています」ということですね(笑)。
(会場笑)
これは、やってわかったんですけど、「1人そういう人がいれば大丈夫じゃん」と、僕もそういうことをしている人(アクセシビリティを事業会社の中で推進している人)に言っていたんですよ。ぜんぜんそんなことなかったですね。
(会場笑)
1人だと、キャンプファイヤーのたき火に着火して、煙が出るぐらいしかできない。なので、ぜひこういうことを、ちょっとやってみたいなという人がいらっしゃいましたら、気軽に声をかけてください。
ありがとうございました。
(会場拍手)
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