2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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大室正志氏(以下、大室):清古さんは、先ほど(のデモンストレーションの中で、地球の3分の1周)1万5千キロ歩いた、と。どうでしょう、人はどのような仕掛けをすると歩くんですかね?
清古貴史氏(以下、清古):先ほどの(デモで話した)ポータルという位置情報データには、歴史的なオブジェクトであったり、文化的な価値があるものや、道標になるものがあります。そのようなものが50メートルから100メートルぐらいおきにあると、その目標物に向かって、人は歩いていけるということがあります。それより遠いと、やはり(歩いてもらうのは)少し難しいです。
大室:やはり「100メートルぐらいだったらやってみよう」と。
清古:そうです。「遠くまでお店に連れて行こう」といっても、なかなか誘導ができないのが現実で。小さなマイルストーンを置くということです。
大室:(歩く距離を)短くすると、やはりその分、ゲームという意味では、工数というか、非常にたいへんになりますよね
清古:そこを我々は「ユーザーと一緒に作りましょう」ということで、みなさんに発見してもらうということをやっています。
大室:これも予防医学の分野だと、なかなかそこまでできる人はいないかもしれないです。清古さんの取り組みにおけるプレイヤーの方が、(予防医学の分野に)どんどん参入してくることは非常に興味深いと思うのですが、白岡先生は何かおっしゃりたいことはありますか?
白岡:実際に「ポケモンGO」を今も続けている方の層って、やはりゲームが好きという方が多いと思うんです。実際に予防医療を広めていくときには、限定された層ではなく、より広い層に使ってもらわなければいけないと思います。
実際に今作っているサービスで、さらに多くの人に使ってもらう工夫はあるのか、今後、何か考えているかをぜひ教えていただきたいです。
清古:まず、うちの会社が来年出す予定のもので、世界で5千万ダウンロードされているキャラクターを(アプリに)乗せるんです。そうすると、それによってインストールがされやすいというのがあります。
他にも、今お話が進んでいるのは、例えば、医療系のアプリであったり、教育系のアプリ、位置情報プラットホームを使って、現実世界ではないのですが、そのような逆にニッチなマーケットには響くというものも作ります。それぞれのセグメントに分けた、世代であったり、属性に合ったアプリケーションを実装しますので、そこで幅広くカバーができると考えています。
大室:予防医学はアプリケーションと相性がいいのではないのかということは、予防医学の分野の方も非常によくおっしゃいます。
先ほど、(リアルワールドゲームスの)「BitHunters」と「ポケモンGO」のどっちが(動作が)速いか(という話がありました)。ちょっとしたクリック感、本当に0.何秒くらいで、ぜんぜん使い心地が違ってきますよね。ちなみに、大井さんもディー・エヌ・エーで、そのようなことを感じたことはないですか? 使い心地として、少し(動作が)遅かったらイライラして、みなさん使わないですよね。
大井潤氏(以下、大井):なので、どこで脱落しているかを見ながらゲームをチューニングしていきます。
大室:みなさん、どうなると「いいや、もう面倒臭い! このアプリやめとこう」となってしまうわけですか?
大井:ゲームだと非常に複雑でも、食らいついていく人がいると思うのですが、ヘルス系アプリだと複雑になると脱落率が非常に高くなります。我々が非常に重視するのは、いかにシンプルに、ストレスなく使ってもらえるかというところですね。
大室:やはりシンプルがいいってことです。結局そんな気がします。
白岡:健保組合で使うアプリの使い勝手と、最終的にどのようなインセンティブ設計にするかということがすごく大事だと思うのですが、(「KenCoM」にはインセンティブとして)ポイントがありましたけれども、そこに何かプラスする、このようなインセンティブをつけると上手くいったとか、そういう事例はありますか?
大井:自分が思うのは、ポイントで思ったよりもけっこう人が動くんです(笑)。健保さんによっては「この研修を受けたら何ポイントですよ」という独自のポイントを付加することによって、自分たちが、健康保険組合としてやりたい事業に、うまくポイントを使っているという事例がありますね。
白岡:会社によって、やはりそこは層によって、変えていくということですよね。
白岡:「日本人はポイントがすごく好き」と言われてますけれども、アメリカはどうなのかをデイビットさんに聞きたいのですが。アメリカではポイント制度によって行動変容が起こっていたりするのでしょうか?
デイビット・コリン氏(以下、コリン):ゲームの特性をヘルスのアプリに加えることによって、行動を変えることができます。「ポケモンGO」が、実はヘルスアプリケーションであるということに気付いた人はいますか? 「ポケモンGO」のメーカー、Niantic(ナイアンティック)のCTOは、ハイキングが好きなんです。それからスキーも好きです。そこで彼は、人々がより健康的な生活を送ることができるようなゲームをつくったんです。
街中を歩く、そしてポケモンを探す。そうすることによって、コインがもらえ、そして報酬ももらえる。ゲームのテクニックあるいは、Facebook、Twitter、その他のSNSが使っているテクニックをヘルスアプリケーションで使うことは、人々の健康意識を高めるうえで、重要だと思います。
そうすることによって、例えば、定期的に処方薬を出すような方法よりも、人々をより健康的な生活に導くことになるかと思います。
大室:ありがとうございます。
大室:お時間があともう少しということですので、ここから1つか2つぐらい、もし会場からなにか「こんなこと聞いてみたい!」という方がいらっしゃったら、ぜひ。大丈夫でしょうか。
そうしましたら、白岡先生、代表して、なにか質問を。
白岡:エンターテインメントと医療を融合することは、まだ日本ではなかなか進んでいない分野だと思うのですが、これが広まっていくためには何が一番必要だと思っているかということを、みなさんに1つずつお聞きしたいなと思います。お願いします。
大井:難しいです(笑)。やっぱり、交わるというか、医療職の方々と我々のような別世界の人間がしっかりコミュニケーションを取っていくということが一番重要。距離を取り合って牽制し合うのではなく、お互いゴールは一緒なので、しっかりコミュニケーションを深めていくことが一番重要かなと思います。
白岡:ありがとうございます。
吉岡純希氏:僕がけっこう気をつけていることでもあるのですが、デジタルアートなどを(医療機関などに)持っていくときに、例えば、医療の人たちに「病院、楽しい? イェーイ!」「エンターテインメント! イェーイ!!」みたいな感じではなくて。先ほどの話にもありましたが、「一緒に手を取り合っていくための1つの手段だよ」という見せ方がまず、すごく大事だなと思っています。
そうしながら、エビデンスというか、しっかりとしたリサーチベースで、かつ安全なものを届けること、プラットフォーム化していくこと、一緒にできるような文化を醸成していくことが大事かなと思っています。
大室:ありがとうございます。
コリン:私たちの革新は、まだ、はじまったばかりです。AIテクノロジーを使うことにより、患者さんとより効果的なコミュニケーションができるようになります。患者さんがテクノロジーに対して話ができるようになることで、(医療従事者は)なにかコマンドを使ったり、研修をしたり、専門書を読んだりする必要がなくなります。(患者さんは)ただ、話せばいいのです。そうすると医療従事者としては、よりいい仕事ができ、そして患者さんのためになります。
大室:ありがとうございます。
清古:やはり、事業者の連携と、あとは医療機関との連携、これが非常に大事だと思います。我々がせっかく「こういうものがいいですよ」と言ったところで、受け入れられない、もしくは受け入れたいのだけれども、我々がきちんと情報を出していなければマッチングができないので、そこをうまく融合して一般の方に対して提供できるようになればいいかなと考えています。
大室:ありがとうございました。このようなセッションではふだん医療職の方が多いと思うのですが、今回、あまり馴染みのない分野の方々にいろいろなプレゼンテーションしていただきまして、非常に刺激的なセッションだったのではないかなと思っています。
これで、このセッションを終わりたいと思います。みなさん、ありがとうございました。
(会場拍手)
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