2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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福野泰介氏(以下、福野):電脳メガネっていろんな利用シーンが出てきていると思います。私もメガネ好きなので、2011年から「これがあったらこんなことできるかも!」みたいなアイデアソンやいろんなネタを考えたりしているんですけど。現実にものを使って見る以上のことはなかなかないんですよね。
実際に提供されたからわかる、新しい利用シーンみたいなものがきっとテレパシーさんエプソンさんはお感じなのではないかなと思っていますので。思わぬ利用シーンということで、こんな使い方はちょっと意外だったなみたいな。では津田さん。大喜利っぽくなっちゃった(笑)。
津田敦也氏(以下、津田):先ほど鈴木さんのお話でも色弱者ってあったと思うんですけど。メガネで映像を映しているので基本は映像を見るというもので支援していくんですけど。
これはもう発表になったのでいいですが、色弱者ではなくて視覚障害者にこのメガネが使われるんですね。HOYAさんに発表してもらっているので、ぜひHOYAさんで調べていただければと思います。
「目の見えない人になんで映像なの?」というところ。実は僕らは2年3年かけてやっていたんですが、たぶんみなさんもクエスチョンがいっぱいついていると思います。これはやってた僕らも目からウロコで。
どういうことかと言いますと、「目の見えない」にもいろいろな種類がありますので、みなさんに対してのサービスになるわけではないんですけれども。夜盲症と言われている患者さん、夜になると見えなくなる方ですね。
100パーセント見えない人は全体の3パーセントしかいないそうです。それ以外の方はなんらかの光を感じてらっしゃって、かつ遺伝だそうです。ですので、ある日突然健常者の方が目が見えなくなる病気のようです。もともと見えない人と比較して体制ができていないというかたちでストレスがある。
ただ、このメガネは非常にシンプルで、解像度の高いカメラに映像を映しているだけです。夜でも昼間のように目の前を映しているだけなんですね。
福野:暗視ゴーグル。
津田:そうです。昔の軍隊が使っていたような。それをここまで小さくすることで、このメガネを使えば夜歩き出せる。ふつうに生活ができると。
福野:視覚障害というと全く見えないというイメージがありますけど、そこはぜんぜん違うんですね。
津田:そのへんはメガネが本来やっていかなきゃいけない世界なのかなと。
福野:そうですね。
福野:電脳メガネサミットも今回で4回目なんですけど。電脳メガネの定義って何だろうという話をしたときに、ふつうのメガネって基本的にはマイナス、要はちょっと見えないのをゼロにするというメガネだとすると。電脳メガネはゼロを超えてプラスにしてくれるんですね。見えないものを見えるようにする。という意味では本当に正しいメガネのかたちかなと思います。プラス方向に働くと。
その流れでついでに紹介しちゃうと、実はこれプロトタイプです。
光ってる様子……左右にLEDがくっついてるだけなんですけど。これは実は体表点字といって、点字を表しているんですね。
点字って6点で表すのが点字なんですが、点字ディスプレイってすごく高いんですよ。何十万円もしたりするんですけど、これはLED2個だけで3回のタイミングで上中下と点字を表す。実はこれは文字を表示していることになってます。
完全に見えない人は先ほどおっしゃったように3パーセントくらいだとすると、ちょっとでも光を感じることができれば、これで文字として文章を読むことができるんですね。
今日はあとで紹介もしていただく予定ですけど、OTON GLASSという、カメラをつけて目の前にある文字を読み上げてくれるメガネを作っている会社があります。こういうかたちでの読み上げも作ると非常に手軽に作れそうだなと。
意外と我々がふだん意識していないところに課題っていっぱいあるなと思います。これも実は沖縄の支援学校に行ったときにいろいろと教えてくれて、それに対してアクションすると芋づる式に「いやいや、こういう話もあってね」というかたちで来るので。きっとそんなつながりで出会ったんじゃないかなと思います。
津田:おっしゃる通りです。
福野:ありがとうございます。鈴木さんはありますか? 意外な利用シーン。
鈴木健一氏(以下、鈴木):意外なというのはちょっと論点が違うかもしれませんが、私たちは工場の支援とかでこのグラスを使っていただくようにご説明にあがるんですけれども、よく引っかかることがありまして。3、40分説明した最後に、「スマホじゃダメなんですか?」って言われるんですね。これは私たちの業界の大きな問題です。
スマホでできることはできるんです。私たちが作っているものもエプソンさんが作っているものも、中にAndroidのOSが入っていて、スマートフォンと同じようなソフトウェアの構成になっているので非常に近しい感じはあるんですけれども。「そうじゃないんだよな」というニュアンスを伝えるのにいつも非常に苦労しています。
スマホで見てる画面を目の前で見るくらいだったら、こんなぼんやりしているところで見たり、明るいところへ行ったら外の光で見えるのが難しくなるようなディスプレイを使うよりも、スマホ見たほうがいいですよね。タブレットのほうがでかいじゃないですか。そんな議論があるんですが。
そこで終わっていると、電脳メガネの未来を語るにはなかなか不足をしているところがありまして。重要なのは人間に24時間くっついているからこそ、ここに表示をし、もしくは付いているカメラが自分の身代わりになって外側の世界を見てくれて。それについて補助してくれる。そういう世界が来る必要があるというのはよく感じています。
今ある使い勝手の内側で見つけるのが難しいなぁと思いますので、思いがけぬ利用シーンを生むことこそが電脳メガネの未来を作ることだなとよく感じています。
福野:まだキラーが見つかっていないという感じですか?
鈴木:そうなんですよね。
福野:ここは津脇さんに期待しているところですけど。いろんな会社を見ていると思うんですが、「こんなところ困ってるんだ」みたいなところはないですか? 「こんなところ困ってるのか」って思ったところ。
津脇慈子氏(以下、津脇):たぶんこの世界の1番難しいところって、今まさにおっしゃっていた通り、技術が先行するよりも前に、使う側のユーザーがどうやって魅了されるかというところに視点を変えていくフェーズになっていて。そこがたぶん難しいんだろうなと思います。
使う側の人間は、技術を開発されている側とまったく違う世界観と考え方を持っているので、そこをどう見つけ出すかだと思ってまして。逆にみなさんはどうやって新しいユーザーを探されているのかというところを、むしろうかがいたいです。
私もIoT推進ラボを実際に作ってやっていたときに、いろんな産業の分野でマッチングのようなことをしたんですね。当時観光分野をやった際にも、観光に役立つと思う技術をたくさん持たれていた方と、観光分野で活躍されている方のマッチングをした結果として思ったのは、お互いニーズがすごくずれているということです。
ここが素晴らしいというところと、使う側のこれが欲しいというところがぜんぜん違って。実はお互い会う機会がないんですね。観光側の人間からしても今まで自分がやっている観光のやり方に沿ったやり方にしか頭が回らないので、うまくいなかないという。
この間の壁と、たぶんどちらも壁を超えて新しいものを生まなきゃいけないと思うんですけれど。そういう機会の創出を、国としてももっとうまくやっていきたい。もしくは壁を取り払うような場面を作っていきたいなと個人的には思っています。
逆にみなさんはどうやって新しいマーケットを探されたり、悩まれたりしていますか?
福野:長く悩まれていた津田さん(笑)。
津田:今でも悩んでますけどねぇ。基本は机に座って考えないのが僕のポリシーです。
だいたいナントカ、ナントカって言って勝ちシナリオを書こうとか、未来を描こうって議論していくと今の知識がベースになるので、基本は否定ばっかりが出てくるんですね。「そんなことやったって、こうじゃん」。
じゃあどうしていくかと言うと、本当にドアノックです。すべてドアノック。自分たちがこうだろうと思ったところに押しかけるじゃないですけど、「こんなことできませんか?」「あんなことできませんか?」とターゲットを絞って産業別に1個ずつやります。
空論はしません。一切。実践です。「失敗してもいいからこういうふうにできませんか?」という例を、ものの中に見せていって膨らませていく。そうすると否定ではなくて肯定的な意見が出てきます。
それこそ1個の例ですけど、先ほどのF1の中で使っているとかスポーツシーンで使っているのは、うちのエンジニアと地元の小学生が半年かけて考えたものなんですね。
福野:地元の小学生ですか。
津田:鯖江のコンテストにも参加させてもらって交流させてもらったんですけど。本当に基本は考えすぎないことです。
福野:まず行っちゃうわけですね。
津田:やっちゃう。
鈴木:そうですね。本当に行動に勝るものはない。あ、ごめんなさい。実はテレパシーは今日はあんまり展示の準備をしてないんですが、今日展示してあるものをみなさんぜひおかけになってご覧ください。
「百聞は一見に如かず」とパソコンの初期のころ言いましたけれども。それどころではなく、着けてみないとわからないことがいっぱいあります。そこから生まれるアイデアもいっぱいあるなと本当に感じています。
例えばどうやって超えるかというと、今AIスピーカーが流行ってますよね。「アレクサ!」とか「Hey Siri!」と言って立ち上げるわけですけど。あれ、なんで私たちが呼びかけないといけないんですかね? っていう疑問がずっとありまして。
コンピュータサイエンス的にはそうなんですよ。なにかフックをするマジックワードってやつがないとコンピュータは起きようがないですよね。ですが、してほしいことはそうじゃないわけです。
コンピュータのこともよくわかりながら、一方でそれをまったく否定して考えるというのがやっぱりユースケースを見つけるところには重要でして。「Hey Siri!」と呼ばなくても、私が疲れてきたなと思ったら疲れたことに対するアドバイスだとかをしてくれたらいいですし。
朝出かけるときには「これ忘れてますよ」ということをなぜ言ってくれないんですかと。この(電脳メガネ)中に自分の恋人や自分の奥さん、パートナーを持っているようなふうになるといいなぁと。
どちらかと言うと私も現場に出るのは好きなんですけど、私はそれ以上にまじめじゃない妄想の中でそういうふうなことを見つけるなという感じがしています。
福野:どうですか? 津脇さん。
津脇:なるほどと思って。
福野:逆にメーカーではなくてふつうの企業の人たちは、新しいことをどんどん積極的にやっていきたいところとそうじゃないところがあると思うんですけど、どうですかね?
津脇:例えば企業と言って一括りにくくれないんだろうなと思いまして。業種も違いますし、とくに企業の経営者のマインドの違いによって新しいものへの意識って相当違うんだろうなと思いますね。
開発するときに、私自身がまったく知識があるわけではないしいろいろ見てきた中で、しかも文系人間の私が見てきた中での考えではあるんですけれども。さっきおっしゃったお互いが共感できるかというところがものすごく重要だと思っています。
それぞれが自分の技術に意識を持っていたり、もしくは自分がもともとやりたいと思っていたプランに固執をしがちでして。そうするとなかなかいいものができなかったり、いいものが売れなかったりしがちなんです。
お互い同じ想いを持ち切れるかがすごく難しいと思っています。そこをいかに汲める企業と出会えるかがすごく大事だと思います。
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