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市場価値を上げる20代エンジニアのキャリアの突き抜け方!(全3記事)

チートで築いたキャリアは意味がない CTOと考える、エンジニアのユニーク性と信頼性

2017年11月16日、株式会社ネットジンザイバンクが20代エンジニアのキャリアを考えるイベントを主催しました。登壇者は株式会社Kaizen PlatformCTO渡部拓也氏、株式会社プレイド取締役CTO柴山直樹氏、株式会社ネットジンザイバンクヒューマンキャピタリスト兼技術開発責任者の戸村憲史氏です。最終パートの質疑応答では、参加者から寄せられた「ベンチャーの働く環境づくり」や「個人のユニーク性の高め方」等の質問に、CTOたちが独自の見解を述べました。

組織の情報をすべてオープンにする

戸村憲史氏(以下、戸村):ありがとうございます。いったんパネルディスカッションは終わらせていただいて、質問を随時受けたいなと思います。質問したい方は手をあげてください。

質問者1:組織づくりという部分とかぶるところもあると思うんですけど、スタートアップって、大企業よりも楽しく働ける環境がすごい大事だと思っています。そういう環境を作るために具体的にしていることがありましたら教えてください。

渡部拓也氏(以下、渡部):まずウチはすべての情報をオープンにします。取締役会の資料とか、今いくら儲かってるとか、今月いくらぐらいの着地になりそうだとか、全部出します。それは正社員とか業務委託とか、契約形態は関係なく全部出しています。隠すのは人事考課の情報ぐらいです。なので、会社の預金残高いくらとか含めて全部出します。

戸村:すごいですね(笑)。

渡部:そこがないと、「だから今、僕らはこういう事業の打ち手を打っているんですよ。これがめちゃくちゃ大事なんですよ」ってわからないじゃないですか。そこはやっぱり、自分で頭で考えて納得してもらって動けるようにということが、まずは根っこのところで一番大事かなと。

偉い人が言いましたは通用しない

渡部:あとは僕らの会社の「Kaizen Value」が何個かあるんですけど、「グローバルなコミュニケーション」というものがあって。例えば、ウチの会社ってオーソリティでものを言ってもぜんぜん通用しないんです。

例えば「CTOが言いました」とか「CEOが言いました」「だから?」という話になって。「なんでそれをやるべきなの?」と必ずみんな聞いてくるし。もちろんコンフリクトが起きたときにどっちにするかという決定は、最終的に僕らが入ったりするんですけど、「〇〇さんが言ったからです」というのは意思決定の理由にならないという感じです。そういうのは文化としてあるのかなと思っています。

柴山直樹氏(以下、柴山):ウチも環境整備(の重要性)は当然あるとは思っていて、(必要なものは)何でも買っていいとか、いいオフィスにするとか、そこらへんはありつつ、やっぱり仕事に対する納得感だと思いますけど、ウチもほとんど(の情報を)開示しています。

やっぱりベンチャーで一番重要なのは、どれだけ自分がプロダクトや会社に対して貢献できるというところが仕事のしやすさかなと思うので、物理的な環境整備のほかに、そういうところは当然やっているという感じです。

戸村:ありがとうございます。ほかに質問がある方いらっしゃいますか?

エンジニアのマネージャーは他の職種の倍の業務が必要

質問者2:今エンジニアをやっていて、将来的には経営的なところをやりたいなと思っています。そのときにどこまで技術を理解するのかということは、すごい難しいなと思うんです。

とくに立場がCTOとかになると、技術を自分が学んで、それが実際にプロダクトに活かせるってなかなかないと思っていて。規模にもよると思うんですけど、そのあたりはどうハンドルされてるんですか? ご自身の勉強の内容とか領域とか、深さもそうですけど。

渡部:今エンジニアで、(将来)マネジメントをするようになったときに、結局精度が高いモノを作るには、いろいろな周辺情報を漁らなきゃいけないし、そうなると会社の決算書を読めなきゃいけないしとかで。

そのときすごい感じていたのは、エンジニアのマネージャーってそれ以外の職種の人の倍やらなきゃいけないんだなと思ったんです。

エンジニアリングの勉強もやらなきゃいけないし、それ以外のこともやらなきゃいけないし。エンジニアだけじゃないかもしれないですけど、本当にエンジニアリングだけやってもけっこう大変じゃないですか。でも単純に、そこがアドオンされてくるというイメージで、(エンジニアの勉強を)減らすという感じはないです。

読書をする以外にもプロダクトを一人で作ろう

渡部:結局、技術はどんどん進んでいくので、昔の経験だけでやってるとそこの貯金はいつか食いつぶすじゃないですか。なのでさっきちょっと話した、習慣をつけていくところが自分自身の複利で利いていく資産になると思うんですけど、「こんだけ勉強したからもういいっす」ということはたぶん絶対にないんです。

なので、それこそマシンラーニングがどうだ、ディープラーニングがどうだとか出てくるのを自分でちゃんと実装できる、みたいなところはいまだにやってるし、モノを作ったりもしているしという感じで、本当にそこは終わりがないです。

自分として「これぐらいまでやっておくといいかな」という塩梅は出てくると思うんですけど。なので、エンジニアリングの本とそれ以外の本を半々ぐらいずっと読んでます。どっちが楽しいかというと、エンジニアの本を読んでるほうが楽しいです。

(会場笑)

柴山:間違いないですね(笑)。

渡部:はい。

柴山:(エンジニアリング以外の本は)抽象的ですよね。僕も経営者になりたくて、大学にずっといたので、何かしら作るほうに寄ろうと思ったときに、僕が本当に勉強になったのは、伸びてるベンチャー経営者の一番近いところにタッチできる環境を作るのがいいんじゃないかなという気がします。

知り合いを作らなきゃいけないので、そのパスづくりがあるかなと思うんですけど、経営者を生で見にいくというのは、それに代わるものはもうほとんどないんじゃないかなという気がします。

ただ(それ以外に)1個だけあると思うのは、やっぱりプロダクトやるということです。本当にリリースして販売して、1人で一応先に1回やってみるというところは僕も学生のときにけっこうやったんですけど、やっぱりそれは勉強になると思います。その2つはけっこうおすすめできる気がします。

必読の書とロジカルシンキングの重要性

戸村:自分から質問して(いいですか)?

柴山:はい。

戸村:けっこう本を読むという話が出てきたと思うんですけど、20代のうちに読んでよかった本とか、20代のうちに読みたかった本とか。「これを読んどけ」みたいなおすすめの本があれば。

渡部:若い人に1個だけおすすめすると、『ライト、ついてますか』という本があって。この本はすごいよい本で、歳とってから読んでも、また違う味がある名著だなと思っています。

何が書いてあるかというと、難しい問題を難しく解くんじゃなくて、難しい問題をシンプルな問題に変換して解くにはどうすればいいですか、というヒントが書いてあるので、そういうことは頭に入れておくとすごいいいかなと思って。

若いエンジニアでよくあるのが、難しい問題……頭がいいからできちゃうと思うんですけど、おじさんの脳だとけっこうつらいじゃないですか。若い子って複雑なパズルを複雑に解けちゃうんです。でもそうすると、その人しか解けなかったり、ほかの人からわかりづらくなるんです。

でも本当は、シンプルな問題に変換して一発でばっさり切ることをするほうが、コードを書く量も少ないし、あとからメンテナンスもしやすいという。そういったことを考えていくのはいいんじゃないかなと思います。

柴山:若干ありきたりなんですけど、ロジカルシンキング系の本はいいかなという気がします(笑)。やっぱり日本人はけっこう苦手だと思うので、早めに入れておくという。僕は本だとそのぐらいです。

戸村:技術書的なのはあんまり?

渡部:ちょっと古いかもしれないですけど、『CODE COMPLETE』はいい本じゃないかなと思います。

別に言語の話は1個も書いてなくて、たぶんMicrosoftのC++がメインターゲットで書いてる本ではあるんですけど、「いいコードってなんでしょう?」みたいなところを考えるには、言語が変わってシンタックスが変わっても変わらないエッセンスが入っているかなと思っているので。

僕はグリーのときに、新卒の子が入ってきたときには必ず『CODE COMPLETE』をみんなに読ませていたので、それがいいんじゃないですか。

戸村:けっこう厚いやつですよね。

渡部:厚いです。上下巻で5,000円ぐらいしますけど、すごいいい本だと思います。

情報を集めるときは本とWebを併用すべき

戸村:柴山さんどうですか? 技術書とか。

柴山:1個思い出したんですけど、最近ブログに書いたのであれなんですけど、Googleはけっこうペーパーを出してるじゃないですか。あれはけっこうおもしろいかなという気がします。

Spannerとか最近出ていたので。自分が若かったときはそこまでいっぱいなかったし、BigQueryとかBigtableはまだなかったような気がする。今はそこらへんを見るとけっこう後ろ側、本当に深いところまでいこうと思うと、そういうのはけっこういいかなという気がします。本じゃないですね、すいません。

戸村:いやいや、ぜんぜん。いつも読んでるニュースとかは?

柴山:「Hacker News」とか「TechCrunch」とか。

戸村:毎日RSSをリーダーで見たり?

柴山:いや、もう週1にちゃらっと見ればいいほうって感じです。。

戸村:けっこう溜まらない?

柴山:もう捨てます。

(一同笑)

柴山:諦めてます。全部見れないですよね。

渡部:見れないです。もう。

やっぱり情報のパッケージング能力は本のほうが高くて、ほどよい粒度でほどよい量でまとまっているなと思っています。Webはどっちかというと検索して、必要なことを調べることのほうが多いかなと。

すごいバズってるやつとかは社内Slackのrandom系のチャットでだいたい誰かがシェアしてくれるので、その人がシェアしたのを頂戴して読んでるという感じです。

尊敬する人からユニークさを引き出してもらおう

戸村:ありがとうございます。ほかになにか質問がある方がいれば。

質問者3:エンジニアは会社に所属して働くこともできると思ってるんですけど、その後に進むことがやりやすい職種だなと思っています。最初に柴山さんがおっしゃってましたけど、そのために自分のユニーク性をどう高めていって、どう売り込むか。何か教えていただければ幸いです。最終的に、自分(個人)で仕事をとってこれるような 。

柴山:その会社によるとは思うんですけど、やっぱり僕的には、上司じゃないですけど、自分が尊敬できるタイプの人にどれだけ自分のよさを見つけてもらうかというのがけっこう重要な気がします。

そういう人ってあまりいっぱいいるわけじゃない気がしていて。しかも、自分ではけっこう(ユニーク性が)わからなかったりするところもあると思うんです。僕は個人的に人のいいところを探すのが得意だなと思ってるんですけど。

自分で見つけてもいいですけど、そういう人に見つけてもらうと、けっこう成長速度が上がってユニーク性が高まっていく気がするので、できたらそういう人を見つける、というのが1個あるといいかなという気がします。

誠実さが一番の近道

渡部:僕はやっぱりユニークさとか別のところで、超本質だなと思ってるのが、今やってる仕事を逃げずに手を抜かずに誠実にやるのが実は一番近道だと思っています。

やっぱり職場が変ったときにすごいわかるんですけど、「同僚はあなたのことをむちゃくちゃよく見てますよ」という。「あいつちょっと手を抜いたな」とか「めんどくせえことこっちに押し付けてきたな」ということって絶対覚えてるじゃないですか。結局そういうのが人のつながりで、仕事だったり、「この人いいよ」というところがどんどんできてくるので。

そういうときに、ちょっとチートして上司の覚えだけがいい人って、絶対にそのあとつながらないんです。職場が変わって、それでも「ちょっと助けてくんね?」と言ったときに、本当に「こいつだったらケツまくらないな」みたいなところで助けてくれるというところ、本当に「どういう姿勢でこの人が仕事をしているかな」とか、「自分のことだけでいいやと思っている人じゃないかな」ってみんな見ているので、そこはすごい大事じゃないかなと思っています。

質問者3:ありがとうございます。

戸村:そろそろ時間ですか?

司会者:そうです。本日はこちらで終了とさせていただきたいと思いますので、再度拍手をお願いいたします。ありがとうございました。

柴山:ありがとうございます。

(会場拍手)

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