
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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世耕弘成氏(以下、世耕):みなさん、おはようございます。ただ今ご紹介いただきました、経済産業大臣兼、内閣府特命担当大臣……というよりは、ロシア経済分野協力担当大臣の世耕弘成であります。
今日はそうそうたる企業の経営に携わってるみなさんの前で、堀(義人)さんが「とくに『Connected Industries』をしっかりと浸透させていこう、普及させていこう!」ということで、こういう場をつくっていただいたことをまず感謝を申し上げたいと思います。
「Connected Industries」とは、実は最初にこの言葉を思いついたのは私でありまして。この理解をいただくためにも、なぜこの発想が出てきたかという背景をちょっと聞いていただくことが非常に重要だと思っております。
去年のゴールデンウィークに安倍総理がドイツを訪問して、メルケル首相と首脳会談をした。実は、そこから始まっております。その首脳会談に当時、私は官房副長官として同行していました。官房副長官が、総理の外遊になぜついていくか。それは決して、タラップの後ろで手を振るためだけではないわけであります。
やはり、政治家としての目線でいろんなアドバイスをしていくことが非常に重要です。政治家としてついていくのは官房副長官だけですから。きちっと政治家の目でアドバイスをしていかなければいけない。
ドイツのメルケル首相と首脳会談をする前に勉強会をやりました。必ず直前に1回、総理勉強会をやって、まずこちらからの発言要領をざーっとおさらいする。
そしてその後、応答要領といってですね、「相手側がたぶんこういうことを言ってくるので、それに対してはこう答えましょう」ということを30分ぐらいで集中的にレクチャーするんです。そのときに、発言要領をやって、応答要領となったときの3番目ぐらいに、これは外務省の人がおもに説明をするわけです。
世耕:来年3月にドイツで開かれる「CeBIT(セビット)」というIT関係のイベントがありました。
「もしかしたら、メルケル首相は『このCeBITに、日本がパートナー国として参加をしてほしい。できれば安倍総理も、ご本人が参加をしてほしい』ということを言ってくると思います」「けれども、たいしたイベントじゃありませんから、適当に、『持ち帰って検討します』と言っていただいて。そうしたら、我々のほうで失礼がないように1週間後ぐらいに、丁寧にお断りしますから」ということを言ったんです。
それで、総理も「あ、そうなの? じゃあわかった」と言ったんですが、私がついていったところが運命の分かれ道でした。
私はNTT出身ですから、CeBITがいかに重要なイベントかが、よくわかっているわけです。ですので私は「ちょっと待ってください」「総理、CeBITってそんなどうでもいいイベントじゃないですよ!」と。世界最高峰のB to BのITのイベントです。私はNTT出身で、今日は栗山さん(日本電信電話株式会社取締役、栗山浩樹氏)もお見えです。
1989年のCeBITなんかは、日本から100社ぐらい参加していたんです。それが最近では、もう1桁になっている。ということで、日本の存在感が薄れていて危機感を持っていました。
そういうなかで、「インダストリー4.0」を提唱しているメルケル首相がわざわざ日本の安倍総理に直接参加してくれ、と言っている。しかも、パートナー国として参加してくれというのはなにか意味がある。
そこで「やっぱり真剣に受け止めたほうがいいですよ」と言ったら、総理はさすが、そこは勘が鋭くて。「だったらもう、なるべく参加するってその場で返事しちゃったほうがいいよ」となって、CeBITへの参加が決まったわけです。
世耕:その数ヶ月後、私は経済産業大臣になっちゃいまして。総理から「そういえば言いだしっぺは君だからね」「だから日本が恥ずかしいことにならないように、ちゃんと参加企業とか募集しろよ!」と言われたので、必死になって募集をして117社、しかも展示ブースが7,000平方メートルで。
中国が2年前パートナー国として参加したときは5,000平方メートルですから、それも上回って、史上最大の117社。117社が1ヶ国で参加するっていうのはCeBIT市場は初めてで「どうだ!」「もうこれで完璧だ!」っていう感じになってたんです。
そんなあるとき、今日お見えのワークスアプリケーションズの牧野(正幸)さんと昼飯をいっしょに食べまして。「そういえば世耕さん、今度日本ってCeBITに行くよね」という話をされて。
「いや、そうなんだよ。117社、7,000平米。すごいでしょ!」と言ったら、牧野さんから「それはすごいんだけども、ドイツの言ってるインダストリー4.0に対してどういうコンセプトでいくんですか?」と言われて私は答えられなかったんです。
「いや、でもこんなにたくさん行くからいいじゃないですか」「それじゃあだめなんだ」「このまま普通に参加したら、ドイツのインダストリー4.0の構想のなかで完全に、日本の製造業、IT産業が組み込まれてしまうことになりますよ」「なにかきちっとしたコンセプトを考えるべきだ!」ということになりまして。
世耕:これは大変だということで、牧野さんとの昼ご飯が終わって、帰ってただちに関係局長を集めました。
これはエラいことだ、ちょっとなにかコンセプトを、と。もうあと開催まで3ヶ月っていうぐらいのところだったんですけど、「これはなにか考えないとだめだ、コンセプトを考えろ!」「わかりました!」って言って、最初にきたのが、イベントで踊りを披露するとかですね(笑)。
(会場笑)
「そういうのは、ちょっと違うんだよ!」ていう(笑)。本当に何度も何度も議論して、ようやく私の言っていることをだんだん局長たちも理解をしてきて。そしてそのときに「じゃあドイツの強みと弱みはなんだ?」「日本の強みと弱みはなんだ?」と議論をしていった。
ドイツの強みというのは、製造過程ですね。
設計のCADからはじまって、製造の自動化からはじまって、在庫の管理に至るまで。この製造業のラインを全部、シーメンスという会社が一手でITシステムを抑えている。そして、企業間の取り引きについてはSAPという会社が抑えている。縦横しっかり抑えられている。ここがドイツの強みである。
そしてドイツの弱みは、逆にそのシステムのなかに参加をしているのは大企業だけで、中小企業がなかなかそこに入れていない。
一方で日本はどうなっているか。これがいないんです。そういう縦横、ここが抑えてますよっていう会社はなくて、今日もご参加の会社のみなさんが、いろんなところで局地戦を戦っている状況になっている。
しかし、日本の強みはやっぱり現場の力です。そして現場のIT化が非常によく進んでいて、中小企業も、データがたくさん蓄積をされている。これは国の政策がこれまでよかったということなんですが。
中小企業のIT投資を我々は一生懸命、税制なんかで応援をしてきた結果、中小企業も、アメリカやヨーロッパの企業に比べるとはるかにIT化が進んでいる。データも蓄積をしている。大きな問題は、そのデータが活用をされていないということだ、とだんだんわかって参りました。
世耕:じゃあ、そのデータをみんなで共有をして活用をすることによって、日本のものづくりだけではなくて、サービス産業も含めて、レベルをもっともっと上げていくことができるんじゃないか。そのデータを媒介にして、企業と企業を繋ぐ。業界をまたがって産業を繋ぐ。あるいは人と人が繋がる。人と機械が繋がる。
こういう感じでやっていくと、実は日本の産業の強みを活かしながら第4次産業革命にしっかりと対応していけるんじゃないか、ということで我々はアイデアを思いついた。
そして、「じゃあそのコンセプトの名前を『インダストリー4.0』に匹敵する名前をやっぱり付けたいよね!」と言って。最初は「スマート・マニュファクチャリング」なんてどうでしょうか? となっていた。しかし、これは別の企業が商標登録してまして。
(会場笑)
だめだったんですね(笑)。「スマートインダストリーズ」とかいろいろ出たんですが。
あるとき、ふっと私が「これは要するにデータで繋ぐということだから『Connected Industries』でどうだろうか」と言ったら「いいですね!」って。すぐ商標登録を調べたら、まだなかったんです。
(会場笑)
ということで、「Connected Industries」。ちょっと長く時間をかけましたが、こういうコンセプトで始まった。ということをぜひご理解をいただきたいと思います。
それで言い出してみたら、意外といい。どんどん話していけば話していくほど、こういうところも、ああいうところもコネクトできるんじゃないかと、いろんなことが出てきております。
今回、安倍総理は選挙に勝たせていただきました。ありがとうございました。
(会場拍手)
「新内閣発足の初閣議でさっそく、まず生産性革命と人づくり革命を進めるから、そのための補正予算をしっかりと取ってくれ」「補正予算をしっかり編成をしてくれ」ということを指示をされました。
経産省としては、まさにこの「Connected Industries」をしっかり前面に立てて生産性も向上させていくし、人づくりも進めていく。というかたちでしっかりとやっていきたいと思っています。
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