2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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加藤エルテス聡志氏(以下、加藤):なるほど。非常におもしろい。あのさ、スペインのビルバオの銀行、あそこはなんであんな思い切った振り切りができたんだろう? 本でも紹介されてたんだけれども、BB……。
瀧俊雄氏(以下、瀧):BBVA。
加藤:という非常に昔からある銀行なんだけれども、テクノロジーの投資をものすごくして。頭取までもが「我々はソフトウェアカンパニーになるのだ」みたいなことを言い切っている。アプリのUXもすごくいいし、非常に先進的であると。あそこはなんであんな突然変異が生まれたのかしら。
瀧:1つは、彼らは第2位の銀行なので。スペインだとBanco Santander Hispanoというのが一番大きくて、それに対して「デジタルが軸だ」というふうに思っているのがあるのと。
けっこうポイントだと思うのは、まず彼らが行ったのがアメリカなんですよ。アメリカではSimpleというネオバンクを買収して、イギリスでチャレンジャーバンクという新規創業された銀行に多額の出資をしてと。実は母国市場じゃないところだからこそ暴れられるという。昔の日本と言ったらあまりいい言い方じゃないですけど、外だからこそ野心的な活動ができるというのはあるんだと思いますね。
北川拓也氏(以下、北川):なるほど。もう1個、エルテスさんに未来について聞きたいんですけど。今後、Excelの未来はどうなるのか。
加藤:きたー。きたー!
(会場笑)
北川:昔、僕らはすごく一生懸命手計算しないといけなかったのを、革命的に変えたのがExcelだったんだけれども。それと同じぐらいたぶんExcelはこれからディスラプトされる可能性があるんじゃないかなと思って。どんなふうにExcelが変わっていくのかというのを教えていただきたいです。
加藤:僕、Excelの評価はすごく高くて。人類の生産性を上げたと思うんですよね。表と計算を一緒にする。これって普通、一緒じゃないよね。表というのは表だし、計算というのは計算だし。それを合体させるというのはすばらしいイノベーションだと思います。
北川:確かに。
加藤:いろんなUI・UXの改善というのがあるんだけれども、機械学習の分野だけでいうと、「だいたいこの作業したら足すよね」「だいたいこの作業したら累計のパーセントを横に出すよね」っていうのが相当あると思うんですよ。みなさん、ふだんから鬼のようにExcelを使っていらっしゃると思うので。そういうのは先読みしてくれていいんじゃないかなって思うんですよね。
北川:なるほど。
加藤:そういう考え方って、いろんな領域ですでに現れていて。例えば産業機械。マテリアルハンドリングをマテハンというんですけど、工場の中で、厚い鉄の塊をこっちからこっちに移して、温度をこうふうに変えて、温度を変えたら次は何時間そのままにして、というのをやるんですけど。
当然うまい人と下手な人がいて、その生産性の落差ってすごく大きいんですね。なので、うまい人がやるパネル操作を記憶しておいて、そうじゃない新人にやらせようという、まあ理解できる発想じゃないですか。
Excelについてはまだそれがない。ずっとぼーっと人の指示を待っているので、そういったものを先読みして変えてあげるとか、その指示を出す人の意図をもっと読むようになるとか、そうなるんじゃないかなと思いますね。
北川:なるほど。お聞きした意図の1つとしては、データサイエンスの進化の仕方として、人がデータサイエンスを学ぶというのはあると思うんですけれども。もう1つ、『アイアンマン』みたいな感じでデータサイエンスという鎧を着ることが、今後できるのかなってちょっと思ったんですね。
加藤:うん。
北川:それは昔だったらExcelみたいなかたちだったのかもしれないですけれども、今後仕事する人はみんな、そういうデータサイエンス系の鎧を着て強くなれるんじゃないかなっていう。
加藤:おもしろいですね。この中でサイボーグの人いますか?
北川:(笑)。
加藤:いないと言うでしょ。でも、「この新しい言葉について調べてください」って言ったら、みなさんすぐ検索できるわけですよね。それってある意味での強化サイボーグなんですよ。
瀧:30年前ぐらいだったら「こいつやばい」。高校生クイズとかで下ずっと向いてるやつ(笑)。
北川:(笑)。
加藤:なので、人を支える側に動いていくだろうというご指摘は本当にそのとおりだと思って。実際に自分でシステムを入れていてもそういう方向になるし、決して人をリプレースするんじゃなくて、強化するかたちでExcelも進んでいくんじゃないかなと。
北川:なるほどですね。なにか瀧さん思うことあります?
瀧:J.A.R.V.I.Sが欲しいという話。J.A.R.V.I.Sですよね。
北川:J.A.R.V.I.Sってなんですか?
瀧:『アイアンマン』のあの。
北川:あ、はいはい。
瀧:スーツの中で「これ出して」って言うと全部情報を出してくれる人工知能がいて。もうゴールデンウィークに観たから忘れちゃったんですけど、たぶん『エイジ・オブ・ウルトロン』になるとJ.A.R.V.I.Sが乗っ取られるんですよね。確か。
加藤:えっ。ほう。
瀧:J.A.R.V.I.Sを凶暴化した悪いJ.A.R.V.I.Sみたいなのが乗っとるんですよ。「J.A.R.V.I.Sが欲しい」というのはすごくわかるところがあるんですけど。それがウルトロン側、しかも明確な悪役じゃなくて、徐々に凶暴化する自分みたいなのがいるんじゃないの? という大好きなテーマがあるんですけども。
瀧:前にエルから、自分の育てたマッドサイエンティストたち同士がバトルする話というのを聞いた時に……。
加藤:そんなマッドな話をしてたっけ?
瀧:今日はメイントピックじゃないですけど、「RISU」という天才児たちを育てるサービスをやられていて。
北川:へえ。なんですか、それ?
瀧:僕に聞くんですか。RISUの話。
北川:あぁ~!
加藤:RISUはタブレットで学べる算数の教材で、日本語と英語でやってて。ほとんどアプリみたいな感じなんですけど。手元にタブレットが届いて、その子がぽちぽちやった内容に応じて、「じゃあ、こういうふうにしようか」と介入をする。
さっきのお薬と同じで、「この子は分数がわからないという症状を抱えているので、こういう処方をすることでそれを根治できる」というような発想で。その後ろでばんばんデータを回してやってるんですけど。だいたいみんな、半年ぐらいで学校の1年分終わっちゃってたりするので、天才児がいっぱいいるっていう話で。
北川:へえ~! すごいですね。
瀧:天才になりすぎて、若すぎるのに不幸な思いになって、ダークサイドに落ちた人がエルを殺しに来るわけですよ。その殺しに来る人から守るための天才もエルが育てていて、その2人が世界大戦をやるという。
加藤:俺、マジでそんな話したことあった? だとしたら相当いかれてるなあ(笑)。
瀧:昔、朝ごはん食べながらその話した。
加藤:僕はあの……おかしいのかなぁ(笑)。
ホワイトな話をすると、だいたいこの中の3分1ぐらいはガンで死ぬし、3分の1は心疾患か脳卒中で死ぬし、3分の1は老衰とか。最近増えてるのは誤嚥性肺炎で死ぬとかなんですけど。これで死ぬってわかってるのに止められないって悔しいじゃないですか。
でも、今から自分が医学を学んでそれを止めるのはけっこう難しい。なので、天才がたくさんいてくれると自分の命が永らえるのかなっていう。まあちょっとホワイトな感じでしょ?
瀧:だいぶきれいになった(笑)。
北川:いや、『デスノート』、エルで思い出した。
瀧:そっちいきます?(笑)。
加藤:「Lです」って(笑)。
北川:まあ、でも、確かにそういうのもあるかもしれないですね。なるほど。
北川:僕、もう1個、タイトルにあったので気になって聞きたかったのが、組織の未来について聞きたかったんです。
加藤:そうね。キャリアとか働き方の。
北川:そうです、そうです。キャリアの未来も、みなさん気になるんじゃないかと。
加藤:瀧さん、なにかあります?
瀧:組織の……。
北川:キャリアだとか。
加藤:働き方だとか。
瀧:最近は解説業みたいな仕事になってるんですけど、僕はGoogle Analyticsをずっと見てるのが一番好きな仕事なんです。
北川:おお。
瀧:とにかく「あ、人が来た」とか「これで人が帰った」とか。
北川:気が合いそうですね。
瀧:「その人どういう顔してんだろう?」とか「どういう服着てるんだろう?」とか。SQLって言うんですけれども、データを分析する画面とGAをずっと眺めながら、だんだんその人が見えてくるんですよね。そういうクエリストーキングがすごく好きで。
そういうのが好きだって話を『FinTech大全』のあとがきにもさらっと書いたので、ぜひお求めいただければと思うんですけど。
そうやって数字から人を読み解くことがもっとできていくと……結局アプリの会社って何をするかというと、人に寄り添う以外にないんですよ。寄り添わなかったらポイッてされるだけなので。その相手にしているお客さん、相手にしたいお客さんを、もっと理解するためにミクロなデータを活用して、便利だと思われるサービスをもっとやりたいと思っています。
普通、ビッグデータを扱って「見えました!」みたいな、トップダウンのアウトプットへの期待値が多いと思うんですけど。僕はミクロなところにすごく経営のアイデアって詰まってるなと思ってやってます。
北川:僕も分析するなかで思っているのは、例えばインタビューをしたらリアリティは見えてくるんですけれども、統計的には少数の人の意見を聞きすぎるという懸念が出るので。
まさにリアリティを見るためにディテールまで入りながら、それが統計的にどれぐらい大きな部分を占めるのかというのをビッグデータで見にいく。そうやって行ったり来たりをすると、世の中の真実味みたいなものが見えてくるというのはすごく感じますね。
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