2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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國光宏尚氏(以下、國光):今、僕らはVRのゲームを社内のスタジオで作っているのと、海外へのパブリッシュで何社かで作っています。やっていて決定的に思うのが、ノウハウの蓄積がスマホゲームとは全く違うということです。
1番最初、フィーチャーフォン用のゲーム『ドラゴンコレクション』を作っていたときは、クライアントサイドのノウハウはほぼなくて、事実上ノウハウはサーバーサイドだけでした。なので遅れてきたところでも簡単にコピーしてキャッチアップできていた。
これがスマートフォンになってきて、ちょっとクライアントサイドが大変になってきたので、スマホへのシフトがなかなかうまくいかない会社が出てきたという感じなんですが、これがVRになってくるとサーバーサイドでもマルチプレイになってくるから、やらなくちゃいけないことがスマホの比じゃないし。
しかもクライアントサイドの作りこみも含めて、複雑さが違ってくるので、おそらく初期にVRに挑戦してしっかりとしたポジションを築いたところに、あとからくるところが追いつくのはちょっと不可能じゃないかなと思います。
スマートフォンのゲームの時ですら最初に先行した会社が有利で、あとから来た会社はほとんどキャッチアップできなかったけど、そういう次元じゃないぐらいVRのほうは差が出るので、なので初期にググっと入っていったほうがいいんじゃないかなって感じでは思います。
もう1個、AR。今まではARグラスを待たなきゃ、と思っていたところがスマートフォンさえあれば、今のiPhoneでも、すでに空間を撮ってここの空間全体をドラクエやFFのやつに変えたりして、その中にいろいろなキャラが出て来たりというのも既に可能です。そういう意味でARも一気に広がってくるんじゃないかと思っています。
最後に何個かいけているところを。VRのUGC(注:User Created Content、ユーザー生成コンテンツ)と、VRのイケてるゲームのところで、ここだけはやっておいたほうがいいっていうのがこの『mindshow』です。これはVR空間上で、誰でも簡単にアニメーションを作れるツール。
『The Wave』はVR上のソーシャル×EDM。これはすっごいおもしろい。
『SLIVER』はVR×Eスポーツ。
『AGAINST GRAVITY』は今1番売れているソーシャルVRゲームを作ってて。『REC ROOM』っていうのを出しているんですけど、このゲームもめちゃくちゃおもしろい。
ハイエンドなところでいくと、EPICが出した『ROBO RECALL』。
これは今出ているゲームの中でいくと、この『ROBO RECALL』とinXileが出してる『The Mage's Tale』の2つが、今出ているVRゲームの中ではダントツなのかなと思います。
なので今紹介したものに加えて『Job Simulator』。
これは最近Googleに買収されたところです。このへんをおさえておくと、今VRの1番の最先端の体験が理解できるんじゃないかなという感じで思っています。
ちなみに『ROBO RECALL』以外は全部投資先なんですけどね。という感じで、今日は残りも楽しみにしています。
司会者:ありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:よろしければ質問を1つ2つお受けしたいと思うんですけれども、質問のあるかたいらっしゃいますでしょうか?
國光:なんでもいいですよ。
質問者1:いろいろ話をうかがって、基礎的な技術によって潮目みたいなのも変わるのかなと思っていたときに、目線でなにかを認識できたりすると、インターフェースの可能性が広がって劇的に変わるみたいな、今後「この技術が出てくると一気に業界変わるんじゃないか」、みたいなところで注目されているものはありますか?
國光:技術でいくと、さっき紹介したコンテンツをやってもらえると、もはやグローバルは酔う・酔わないって次元の話は完全になくなっていて、酔わないのは当然みたいな。その中でどうすればよりVRでなければいけない深い体験ができるか。みたいな感じになっていて、さっき紹介したものは、まさにそういうレベルまできています。
なので現状のHTC Viveでもいける。そのくらいの体験はつくれるので、技術的にはほぼ解決はされているんですけど、まずコードが邪魔。センサーが邪魔。コードレスセンサーレスのところで、もうちょっと使い勝手の良いコントローラーが5万円を切る。
だから今は、どちらかと言うとコンテンツの質よりは、ハード自体のところがまだ高すぎるし、場所も取り過ぎるし、という感じなので、そこが1つの大きなところになってくるんじゃないかと思います。
でもコンテンツの進化はけっこうすごくて、今、最先端の挑戦という感じでみんながやっているのが、プレイヤーを酔わせたくないからテレポートで逃げているんですよね。
でも全員思い始めているのが「テレポートってつまんないよね」と。なのでテレポートみたいなことはせずに、動かしても酔わない体験をどうやって作っていこうか。具体的に言うとフレーム(レート)を変えるのもそうだし、視線をその瞬間だけ限定させたりとかもそうだし。なので、そういう新しい挑戦はきているのかなと思いますね。
なのでポイントは、今のHTC Viveでも当然フレームレートが上がってきたらすごくなるとか、そういうのはあるんですけれども、今のViveでもすでにみんなが「うおっ!」って言うようなコンテンツは作れているので、これが一般の人の手に届く価格まで落ちるのが1番大きなイノベーションかなと思います。
質問者1:どうもありがとうございます。
司会者:ではもう1つほどお聞きしたいと思います。
質問者2:お話ありがとうございます。今お話しいただいた内容のなかで、将来的にコードでPCとつながっていたものが、スタンドアロンで動けるものになって、インサイドアウトで頭のポジトラ(注:ポジショントラッキング)ができる。そういう流れがあると思うんですけど、一方でコントローラーを手に持っていた時の手のポジトラが今後の課題の1つだと思っていまして。
手のポジトラができないと、他の細かな操作が難しいのかなと考えてはいるんですが。今後の手のポジトラとして有効なものでなにか注目されているもの、それが光学式なのかもしくは9軸(センサー)なのか……。
國光:そこはたぶん次のバージョンで実装されてくると思いますよ。基本はBluetooth使いつつ、カメラで位置をとっていくみたいな2軸になってくると思いますね。
質問者2:基本的にはモーションは光学カメラでポジションをとっていくってところが……。
國光:でもそこは、今年の年末に出てくるやつで、今のViveと同じ感じのことは100パーセントできるみたいな。詳しい技術のところはあれだけど、年末に出てきますよ。今のViveと同じことができるやつが。おそらくカメラで撮ってってものだったと思うんですけど。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。
國光:もう1個、コンテンツで2つ大きく分かれてきそうなのが、アジアは圧倒的にゲームセンターとかのロケーションベース型が先行しそうな気配があります。韓国のうちのパートナーのところだけでも年末までに100店舗で、他を入れると300店舗とか。
あとセンサーレス・コードレスなってくると、そのまま今のネットカフェにパッと置けばそこでできるようになってくるので、そうなると一気に日本のインターネットカフェもそれ置いておけば、その場でできるようになってきます。
ロケーションベースのVRは、アジア中心に一気に広がってくる。でも欧米は家の中で、という感じなので、おそらくここから2、3年間は、アジアはロケーション中心、ゲーセン型VRみたいなものが中心になって、欧米系は家でやるかたちが中心になると思います。
日本でもう1個潮目が変わるのは、スマートフォンを使って今のViveと同じ体験ができるようになった時、日本でも一気に家庭用がくると思います。ここでより注目しておかなきゃいけないのは、ゲームの作り方がまったく変わってきて、家の中でやる形だと、わざわざHMDをかぶって5分10分で終わるゲームってやりたくないんです。なので今みんな目指している方向が『ソードアート・オンライン』みたいに、1晩中でもその世界の中にいられるゲームをどう作るか。
1晩中やれるゲームがこっちサイド、ロケーションベースは日本と中国・韓国でちょっと形が違っていて、おそらく日本型のほうは負けて、中国・韓国型が勝つと思います。日本型はまさにいろんな家庭用でやられているみたいに、その場に行って数百円払ってやる、みたいな形が主流なんですけど。
VRは回転率が上がらない上に、そこでアシスタントも必要だから、なにをどうやってもビジネス的に採算って難しいなと。それに対してネットカフェ型はカラオケルームと同じで、カラオケルームに友達同士で5人で行って、2人がプレーしていて、まわりのやつは観ながらワイワイ言って、やってみたいな。
こうなってくると、半分くらいの収益が、食べ物とか酒とかからくるビジネスモデルになってきます。という感じのモデルをひいているところがいっぱいあって、こうなると、回転率とか滞在時間とかどうでもよくなってくるから、おそらくこっちのビジネスモデルのほうがよっぽど有効になってきます。日本型の1回やって800円ってモデルじゃなくて、カラオケボックス型の部屋の中に行ってみんなでやるかたち。
そうなってくると求められるコンテンツはカラオケと一緒で、10分20分1人に歌われたらうるさいじゃないですか。やっぱり3から5分でコンテンツが終わらなくちゃだめで、しかも女の子たちと行ってもみんなで楽しいみたいな。それで、ゲームをやっている人たちだけじゃなくて観ている人も楽しいし、後ろから「そっちじゃない右! 左!」と言って楽しめるようなコンテンツ作りになってくるんだろうなと思っています。
ゲームはバキッとわかれてくるので、欧米ではMMO型が主流になっていきつつ、アジアはニンテンドーWiiとかWii Partyみたいな感じでみんなで遊ぶゲームで、1回の尺が3から5分という感じになってくるんだろうなって思っています。
どっちの市場ともでかくなるので、どっちの市場向けのコンテンツを作るのか、コンテンツ自体を考えてやってったらいいんじゃないかなと思いました。
司会者:國光さんありがとうございました。
(会場拍手)
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