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今、ユーザーに求められる動画広告とは? 2017年以降のスマートフォン動画市場徹底予測(全5記事)

C ChannelとKURASHIRU 急成長メディアのトップが語り合う、スマホ動画の未来予想図

2016年11月22日に株式会社サイバー・バズ主催のセミナー「スマートフォン動画広告に関するセミナー」が開催されました。テーマに、「今、ユーザーに求められる動画広告とは? 2017年以降のスマートフォン動画市場徹底予測」と題して、C Channe森川氏、dely堀江氏が登壇。本パートでは、森川氏と堀江氏がそれぞれ思い描く動画メディアの未来について触れ、ただ楽しむだけではない、スマホ動画の可能性を語り合いました。

一度に数百人の料理人から応募が来る

紺野佳南氏(以下、紺野):KURASHIRUの場合は、ユーザーさんから出た質問に対して、コミュニケーションはどのように取られていますか?

堀江裕介氏(以下、堀江):うちの場合は、直近ではCGMは入れない方向性でやっていて、将来的には入れたいなと思っているんですが、うちにいる30人の料理人の方々が実際に作ってアップロードした後に、ユーザーさんからの質問をすべて1個1個答えています。

例えば、「こういうふうに作れますか」とか、「材料がこれしかないんですけど、これでもいけますか」みたいなことが1個1個きて、すごく地道な作業なんですけれど、うちの料理人の方がしっかり1個ずつ返してくれているというのが主なコミュニケーションです。

紺野:なるほど、ありがとうございます。先ほどのお話にもありましたが、ユーザーさんがレシピを考案してくれるような感じなんですか?。

堀江:うちの場合、採用の募集をかけると、一気に100人から200人くらい料理人の方々から、「KURASHIRUで作りたい」という応募してくれるんですね。

その中でうちが採用するのは数名なんですけれど、ユーザーさんから応募が来て、実際作ってもらったりして、その中で厳選した人がうちの中で作ってくれて、そういった方がユーザーの憧れになって、返信を返していったり、コミュニケーションが発生したりという感じです。

紺野:ユーザーがメディア運営に回るというのはすごく理想的なかたちな感じがします。

堀江:そうですね。もともと知っているので、「こういうものだよ」というのをわかっているので、説明が早いですね。

紺野:なるほど。ありがとうございます。

C Channelが意識するメディアは?

紺野:では、最後の質問に移りたいと思っています。最後の質問に関しては言える範囲で、競合みたいな話もあったんですけど、競合に勝ち抜くための戦略ってありますかというところをおうかがいしたいなと思っています。森川さん、競合としてベンチマークしているメディアはありますか。

森川亮氏(以下、森川):国内よりも海外でいうと明確にMeipai(注:中国の動画撮影・編集アプリ)さんをベンチマークしていまして、今、中国を中心に縦長動画を投稿するサービスが伸びているんですよね。その辺りをベンチマークしています。

ポイントとしてはYouTubeみたいに意味がない動画が集まるものではなくて、意味がある情報のデータベースみたいなものですね。そうすると世界中のさまざまな便利な情報が動画化されることによってみなさん便利になっていくので、そこに広告だったりコマースだったりをつないでいく、そういった仕組みを考えています。

そこで必要なのが、動画の制作能力もあるんですけども、人が重要だなと思っています。そういったところでインフルエンサーの会社を作ってそこで育成をしたり。今、準備しているのが来年の春に大規模なイベントを準備していまして、人と人が会うことでロイヤリティを高めていくというところも準備しています。

紺野:国内で意識しているメディアはあまりありませんか?

森川:どちらかというとまだ生まれたばかりなので、戦うよりはいいものを作るとか、次の一手を打つとか、そういうところが大事かなと思っています。

単純に分散型というとBuzzFeedさんみたいなものがあって、それが日本の中でちょっと進化していると思うんですよね。一方で中国に関していうと、ソーシャルメディアでいえばWeiboとかWeChatとかがありますけど、このあたりの動画もかなり進化しているので、そのいいところを取って新しいスタイルを我々が作っていけるんじゃないかなと思います。

紺野:ありがとうございます。

KURASHIRUが狙う2つの市場

紺野:では堀江さん、KURASHIRUに関して競合としてベンチマークしているメディアはありますか。

堀江:まず2つ狙っている市場があって、さっき言ったテレビCMという面で言うとやはりTastyさんというBuzzFeedさんが運営されているものがあって、あとはTastemadeさんというアメリカのベンチャー、そこはCMの代替という面でベンチマークしています。

もう1個、もともとあった料理サイトの市場でいうと、やはりクックパッドさん。20年やっているサービスなので、僕たちがどれだけ成長速度を上げていけるかということは常に考えています。

いろいろな数字を見ると、僕たちはすでに今9ヶ月の運営で彼らのサービスの10年目くらいのところまではほぼ達しているので、ここからさらにあと10年をあと何年で、1年、2年で越せるのかということは常に考えているところですね。

紺野:ありがとうございます。今クックパッドさんのお話がありましたけれど、逆にクックパッドにはできなくて、うちにだったらできるということはありますか?

堀江:まず1個、もともと記事のネイティブアドの市場と動画のネイティブアドの市場がまったく違うものだと思っていて、この大きな波に乗れたのが非常によかったと思っています。

なにが圧倒的に違うのかというと、今までの記事のメディアだと、「3万PVで200万円で売ってください」といったものが多かったなかで、今、動画メディアの国内トップレベルのところですと、50万から100万再生ぐらいを200万、300万円で出稿できるようになっています。

これはGoogleのTrueView広告とか、Facebookの広告とか、あとは記事のメディアが出しているリーチの量と比べても、圧倒的な量のリーチ、認知度の拡大ができるので、これは僕たちにしかできない。

それと、かなりアプリへ注力をしていて、ユーザーの星のレビューもほぼ星5で、ここ数ヶ月、主婦向けのサービスだとメルカリさんとほぼ同じくらいでApple Storeでだいたい20位くらいに位置付けているので、アプリの完成度をエンジニア陣がいかに高めていくかということが僕たちの競合優位性になるのかなというところです。

紺野:C Channelに関しても、今後アプリに注力していくことはかんがえていますか?

森川:そうですね。先日テレビCMをやって、かなりダウンロードも伸びています。

紺野:テレビCMを打つとダウンロード数は変わりますか?

森川:今回に関しては非常に効果がありました。我々の場合は日本だけじゃなくて世界中でテレビ展開もしていこうと思っていますので、そういったところですかね。

紺野:なるほど、ありがとうございます。

まずはクックパッドを超えたい

紺野:ぜひこのタイミングでおうかがいしたいと思っているのですが、来年、そして3年後、5年後を見据えたときに、「こういうメディアを作っていく」「こういった動画広告を作っていく」というところを、お話できる範囲でぜひおうかがいしたいです。それに関してはいかがですか?

堀江:まずは国内で圧倒的なレシピサイトを作り上げると。今、料理動画サイトというのはほとんどないんですけれど、まずはクックパッドを超えるレベルまでここ1、2年でどこまで行けるかということは勝負どころです。

そこからさらに行動に結びつくデータとか、動画メディアならではのコミュニケーションが発生したりとか、そういったところに磨きをかけて、今後はより料理人が輝ける場所を作りたいなということをテーマにやっています。クックパッドってまだレシピ中心だと思っているので、それぞれの主婦の方が料理を上げて、そこでほめてもらえてうれしいと、それが家庭にも広がって、どんどん幸せが広がっていくようなメディアが作れたらいいなあと思っています。

紺野:ちなみに今後の広告展開みたいなところは考えられているところはありますか。

堀江:直近だと、クライアントさんに動画市場を拡大したいというところをお伝えしているので、とにかくまず試してもらうというところです。今までCMで使っていた素材をそのまま使いたいというメニューも将来的にはなくしたいですけれど、今も置いてあって、それと今うちが制作しているものの数字を実際に比べてもらっているような段階です。まずは単純に今動画の再生の圧倒的なリーチを見ていただきたいというのがあります。

もう1つ、コミュニケーションが発生したり、ユーザーが実際にアクションを起こしてくれるというところに、来年はかなり注力して写真で上げてもらうということにフォーカスしてやっていきます。さらに5年後くらいの未来でいうと、小売とのデータ連動というところはかなり注力していきたいなと思っています。

ここができることによって、テレビCMより効果検証がしやすいということを実際にわかっていただけて、データとして200パーセント売上げがあがったよとか、安心して出稿していただける動画メディアを作っていきたいと思っています。

すべての情報が動画になる

紺野:なるほど、ありがとうございました。森川さんいかがでしょうか。

森川:我々の場合は人を軸に自社の抱えるインフルエンサーとUGCモデルとして、日本だけではなくてアジア全域でHOW TO動画を作っていってデータベースを作ろうというとこが、まず第一段階です。

来年春からは、ここに位置情報を連動して、O2O(注:Online to Offlineの略)のビジネスを開始しようと思っています。そのことによって、1番近くの動画を撮ったスポットや、そこと位置情報をトラッキングして広告を出すとか、そこで動画を撮ると位置情報と連携して拡散されるとか、そういったものを考えています。

紺野:お話を聞いていると、データビジネスみたいなところにも親しくなってくるのかなと思ったんですが、例えば、渋谷の109の前で動画を撮ったらどういうふうに機能するのか、そのあたりをお話ししていただけますか?

森川:まず人軸というところで、その人がどういう人か。どういう人というのはプロフィールもそうだし、どういう動画を見てきたのかというデータがありますよね。逆にその人が撮った動画をどういう人が見ているのか、さらにその動画を見てどういう行動に移したのかということがすべて取れるようになります。

おそらくすべての情報が動画になると思っていまして、我々のサイトには意味がある動画が集まるので、その動画を中心に行動して購買につながるものをデータ化すると、テレビと比べても非常に有効かなと思います。

紺野:例えば、ドラッグストアのコスメとかを買う女の子が上げやすい動画みたいなところもデータで見られたりするようになるという感じなんですか。

森川:2つあるかなと思っています。1つはそこで動画を撮って上げると割引があるみたいなこともあるでしょうし。そこに行くとポップアップでその商品の動画が出るということもあるかなと思っています。

それをアジアでやるので、インバウンドにも使えるんですよね。例えば、中国でその商品をほしいという人が日本に来たときに、それをトラッキングしていって買える場所までナビゲートもできるので、非常におもしろいメディアになると思っています。

KURASHIRUを見て商品を置いてもらいたい

紺野:お二人ともCMに対してけっこう強く意識されている印象を受けたんですけれど、テレビCMは認知といったところももちろんそうだと思うんですが、基本的には棚を取るための戦略というかたちで出稿されている企業さんも多いのではないかと思っています。

それに対して、例えばKURASHIRUに出稿することによって、C Channelに出稿することによって、棚が取りやすくなる広告展開みたいなところも考えたりされるのかなということをお聞きしたいです。どうですか、堀江さんは。

堀江:メディア側、広告を出稿する広告主、そして小売という三者がいるなかで、この三者が本当にWin-Win-Winにならないとできないなと思っています。僕たちが広告としてやるというよりも、もちろんそれも可能だとは思うんですけれど、1番いいのはKURASHIRUに取り上げられたもの、つまり今までだったらテレビCMに取り上げられたものが棚に取り上げられるという動きがありました。それは、今までだと間違いなくテレビCMが1番インパクトがあったから。

これから僕たちみたいなメディアがどんどん影響力を出していくことによって、「KURASHIRUに出稿していたから棚で置いておけば絶対売れるよね」と小売が思ってくれれば小売の方が置くようになります。

うちのメディアを見て(商品を)置く。その流れが1番ナチュラルでキレイだなと思っているので、もちろん広告のメニューとして検討もしていますけれど、1番はやはり効果検証のデータがどんどんたまっていくことによって、うちを見て棚に置いてもらうというところが僕たちが目指すかたちではあります。

紺野:今、お話いただいた内容が本当に実現できたら、代理店もすごくありがたいなと思いますね。ありがとうございます。

ネットからリアルへ

紺野:森川さん、いかがでしょうか。

森川:元テレビ局でもあるし、うちはTBSが出資しているので、別にテレビが嫌いというわけではないですけど、若い人がどんどんテレビ離れを起こしているということは間違いないですよね。例えば今、TBSさんとセットメニューを作っていまして、若い女性のための1つのプランで、ドラマに出稿いただいてドラマの主人公が弊社でHOW TO動画出すみたいな実績があったりもしますね。

あとは我々の場合、店舗さんに関して言うと、今タイでやっている試みがあるんですけれど、タイの東急さんで日本の商品のフロアを作っていただいて、商品の横にサイネージを置いてC Channelの動画を流して購買につなげているという事例もあります。

また今、キャンパスTVという、大学の生協にサイネージを置いて、サイネージのアドネットワークみたいなものなんですけれど、そこに縦長動画を流して購買につなげるみたいなこともやっているので、ネットに限らずサイネージも組み合わせられますし、先ほどお話しした位置情報系はサイネージとも連動を考えています。

サイネージの近くを通って見た後にこっち側でも流れてみたいに、どういう人がサイネージを見たのかというデータも取れるのでそのあたりも有効かなと思っています。

紺野:ありがとうございます。もっといろいろとお話をおうかがいしたいんですけれど、お時間になりましたのでパネルディスカッションは終了とさせていただきます。最後にお二方に大きな拍手をみなさまよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

紺野:お二方ありがとうございました。

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