
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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藤岡清高氏(以下、藤岡):国内ドローン事業のパイオニアとしてどのように事業を進めて行かれたのですか?
熊田貴之氏(以下、熊田):やはり国が産業インフラを作っていかないと産業が伸びていかないと考えました。
もともとドローンは世界でも注目されていましたが、航空法では航空機の定義はありませんでした。それを国連の機関がドローンを航空機としてみなすと決定しました。
これによって、今まで高度が高くて飛べなかった空間を飛べるようになるとか、今まで使われていなかった中高度・低高度の空間をドローンで活用できるのではないかと世界が注目するようになりました。
欧米各国は、ルール改正すると発表しましたが、日本は改正する予定はありませんでした。
これでは日本のドローン産業は、世界から遅れてしまうと考えて、ドローン産業を振興するような場が作れないかということでJUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)を2年前に立ち上げることになりました。ブルーイノベーションが事務局を務めています。
藤岡:JUIDAではどのような活動をされていますか?
熊田:まずドローンの安全ルールを検討するために、安全委員会を設置しました。
欧米では国が主導するようなルール作りですので、JUIDAの動き方は世界的に見てもおもしろい試みです。
国交省、経産省、総務省が参加して安全委員会を計4回ほど開催しました。そのさなかに首相官邸にドローンが落ちるという事件があり、国が主導で動き、改正航空法が施行される動きになりました。その際に委員会で話し合った安全ルールは、改正航空法に大きく貢献したと考えています。
また、現在、国がドローンのパイロットライセンスを発行していないので、JUIDAはドローンの安全な利用を促進するために、ライセンスを発行することになりました。
藤岡:ブルーイノベーションが事務局を務めるJUIDAがドローンの日本におけるルール作り、制度づくりを先導しているということですよね。
熊田:そういうことになりますね。
藤岡:海岸調査から始まった会社が変遷を遂げてきましたが、現在のブルーイノベーションの事業全般を教えていただけますか?
熊田:大きく3つの事業に取り組んでいます。
1つは、ドローン産業インフラの構築ということで、社団法人JUIDAを運営しています。登録数は900を超えて、日本最大の団体になりました。
2つ目は、ドローンの安全技術の開発に取り組んでいます。
3つ目は、法人様向けにドローンに関するコンサルティングサービスを提供しています。先ほどのYahoo!JAPANとの取組みのように法人様がドローンを活用してサービスを作るお手伝いをします。ドローンの運用から物流・警備用ドローンの研究開発まで実施します。9年で400社近い企業の相談に応じています。
ドローンを使っていろいろな画像・データをとりますので、そのデータをクラウドに集めて、画像処理してお客様にワンストップで提供するのが1つサービスの構想としてあります。
例えば倉庫の在庫管理、トンネルや橋梁の調査、屋内の警備など、さまざまな応用を考えています。また人の判別もできますので、人物を特定して追跡していく技術も提供できます。
藤岡:安全技術開発の部分で御社のプロダクトである、「SoraPass(ソラパス)」について教えてもらえますか?
熊田:はい、「SoraPass」はドローン専用の飛行地図アプリです。ドローン改正航空法では空港周辺や人口集中地区は飛べないことになっています。
今まではドローンの航空制限が高度150メートル以上だけだったのが、150メートル以下でも制限されるようになりました。また複雑なのが条例が各自治体ごとに存在し、個別に飛行禁止区域を定めています。
あと議員立法があり、首相官邸上空は飛んではいけないなど、施設に対しての制限もあります。別々の情報提供はドローンのユーザーにとってはすごくわかりずらい状況になります。その課題を解決するために、JUIDA、株式会社ゼンリンと一緒にドローン専用の地図アプリ「SoraPass」を作りました。
藤岡:「SoraPass」と他のサービスの連携はどのように考えておられますか?
熊田:ブルーイノベーションの法人コンサルティングサービスのお客様が「SoraPass」の会員になっていただけるとうれしいです。お客様のデータが蓄積されれば、さまざまな解析ができるようになります、それをサービスとしてさらに提供していきたいですね。
イメージとしては機体、パイロットの情報が集まり、それからパイロットに紐づくIDとフライトデータ情報が集まると、膨大なビッグデータになります。
ここでデータ解析を行うことによって、お客様に付加価値の高い情報サービスを提供できると考えています。このような好循環を作るためにも「SoraPass」にお客様とフライトデータを集める工夫をしています。藤岡:まずはデータを集めることが他社との差別化になりますからね。
熊田:そうですね。結局ドローンの世界もロボットと同様に、最後はデータ量の勝負になっていくと思います。
藤岡:事業拡大する過程で資金繰りの壁はどのように乗り越えてきたのでしょうか?
熊田:先ほど紹介した安全なプロダクトの開発の際に、開発資金がかかるのでまとまったお金が必要でした。2年前から助成金の申請を出していましたがまったく通りませんでした。当時はドローンの技術開発のニーズはなかなか理解されませんでした。
銀行に行っても相手にしてくれない、この会社規模ではさすがに1億円貸してくださいとは言えませんでした。そうなると、頼りになるのはベンチャーキャピタルしかありませんでした。それで20社ほどベンチャーキャピタルと面談しました。
その中で日本ベンチャーキャピタル(NVCC)に出資をいただけることになりました。決まったきっかけは、ドローンの航空管制システムを作りたいと話したら、日本ベンチャーキャピタルが協業先としてATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所)を紹介してくれました。
ATRはユビキタスネットワークプラットフォームという複数のロボット・携帯・モビリティを共通化するOSになるミドルウェアを作っていました。世界の標準化まで取っている日本でもトップクラスの研究所です。
そのプラットフォームを使って両社でドローンの航空管制システムを共同開発することが決まり、日本ベンチャーキャピタルからの出資が決まりました。
藤岡:今後ブルーイノベーションさんはどのような事業展開をイメージされていますか?
熊田:ドローン業界は航空管制の必要な時代に必ず入ってくると考えています。今、ドローンの飛行する空の世界はまったくアーキテクチャがない、つまり決まった空路がない状況です。
現在は、道路のように高速レーンもないし、低速レーンもない。今後は飛行機と同じように航空管制は絶対に必要になってくると考えています。僕たちはその部分に貢献したいというビジョンで開発を行っていきます。
藤岡:ブルーイノベーションさんで働く魅力について教えていただけますか?
熊田:自由になんでもできるというのがベンチャーのおもしろさで、白いキャンバスに絵を描くのが得意な人や、自分たちでなんでも決めていきたいという人にはたまらなくおもしろい会社だと思います。
スキームを自分たちで提案していかなければいけないし、プロダクトとマーケットも自分たちで作って行かなければいけない、いわば0から1を作るフェーズです。
あとは想像力を求められる分野なので、能動的に課題を見つけて荒削りでも良いから動けるような方が良いと思います。
ベンチャーマーケットというのは荒波が立ち、波がどんどんくるサーフゲレンデのようなものです。一方で成熟した業界は数年に1回しか波が来ない、そしてそこにはレジェンドサーファーがいて、その波に乗ってしまうから若手が乗るチャンスがなかなかありません。
でも波がどんどん来る新しい市場はまだレジェンドサーファーがいませんから、若手にチャンスが回ってきます。たとえ1回波に乗れず、失敗したとしても、またすぐに次の波が来てそれに乗ることができます。このような新しい市場で挑戦したいと考えている方なら、迷わず参加してほしいです。
藤岡:本日は貴重なお話ありがとうございました。
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