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DMM会長だけど質問ある?(全4記事)

競合との全面戦争は得をしない DMM亀山会長は“ネット業界の巨人”とどう付き合うか

Infinity Ventures Summit(IVS)とアマゾン ウェブ サービス ジャパン 株式会社の共催によって行なわれた、CTOおよび技術責任者のためのテクノロジー・カンファレンス「IVS CTO Night & Day 2016 powered by AWS」にDMM.com会長・亀山敬司氏、AWSジャパン・畑浩史氏が登壇。亀山氏は、IT業界との今後の展望やCTOに求める資質について語りました。

日本のIT業界の今後の展望

畑浩史氏(以下、畑):ありがとうございます。次は「今後の展望」というところなんですが、「今一番注目しているテクノロジーは?」

亀山敬司氏(以下、亀山):だから、さっき言ったみたいに……ないね(笑)。

:そういうところで見てない?

亀山:うん。良い評判聞いたら、それを調べていって、中身はわからないけどやってみて、みたいな話。はい、次(笑)。

:わかりました(笑)。じゃあ「今後、IT・インターネット業界はどのようになると思いますか?」。これ大丈夫ですか?

亀山:これはどうなるかというと、昔ほどあんまりガンガン上がらないよ。20年前に比べるとさ。

例えば、ちょっとしたスタートアップの場合。昔と違ってさ、今はサイバーとかDeNAとかいっぱいいるわけじゃん。新しいサービスを作っても、みんながそれをパクリだすからね。

じゃあ、そのパクってる会社はどうかというと、それはそれでやっぱり業界がだんだん同じようなものの競争になってくるし、昔ほどの成長はない。だから、今の中国もなんとなく低調じゃない? ああいう感じじゃない。ガーっていったけど、これからはまあボチボチと。

中国はどの産業もガーってきたじゃん。でも、日本はITだけガーってきた。中国の高度成長みたいに。あの時期と似たような感じかな。

これから儲けようと思うと、IoTとかロボットとかいろいろあるかな。また次の新しいものになってくるとは思うよね。これはもう流れで。

:海外をずっと見られてても、そうなるんじゃないかと。

亀山:だから次々と国内で違うことをやる。それか海外行くとかね。どっちかだな。

CTOは技術者の気持ちがわかる経営者

:ありがとうございます。もう想定よりもバンバン進んで、時間が余ってるので、バックアップの質問にいきたいと思います。では、「CTOに求めることってどんなことですか?」。

亀山:CTO……。

:一般的な話で。

亀山:要は今みたいな話で、エンジニアとかの窓口なわけよ。なので結局、じゃあマネジメントもわかってくれよという話になるわけ。今「これを作って」と言ったら「わかりました、作りましょう」というのじゃなくてね。

例えばDMMは、俺が始めた18年ぐらい前に、「課金システムを作ってくれ」と言ったわけよ。「半年ぐらいかかります」とか言われてさ。

急いで動画ビジネスがしたいのにできなかったときに、もうしょうがないから、できるまでの半年間はパートのおばちゃん雇って、カードリーダーでガチャガチャ入力してもらってたわけよ、カード情報を……。

:カード情報ですか?

亀山:そうそう。ユーザーがサイトでカード情報を入力してポンと押したら、すぐに「OK」って出て、月額サービス動画が見れたの。

間違った番号でも1日見れるわけよ。翌日になって、パートのおばちゃんが出勤したらガチャガチャ打って。それで、カード情報が間違ってると思ったら消すのよ。ということを繰り返してたわけ。つまり、誰でも最低1日は見れたわけ。なんちゃって課金システムという感じでね。

(会場笑)

亀山:それでやって、サービスを走らせたわけ。それでも取り消すのってせいぜい1割もなくて。9割方はカードが通るわけ。

だから、ほとんどの人はそれでOK。1日タダで見られたってさ、動画だから大して損害ないしね。そういうかたちで初めはやってた。

でも、CTOは「何ヶ月間かかります、こんだけのお金かかります」まではできるんだけど。だから、どっちかというと、そういう案を出してくれるCTOが欲しいと。けっこう大変かもしれないけどさ(笑)。

「これは作るべきじゃないですよ」とか「これをやるぐらいなら、サポートの人数増やしたほうが得ですよ」とか、「これをやっても5年後はシステム保ちませんよ」とかね。

だから、人でやるのがいいのか、システム作るのがいいのか。たぶんこれはすごく極端な例だけどね。

でもその辺って、エンジニアはとにかく「作るか・作らないか」という感じで。もっと言えば「作りたいか・作りたくないか」も入ってくるから(笑)。だからCTOに関したら、そういう考え方で指示を出してくれるというのがいいかな。

:経営者、経営陣の一部としてというところですよね。

亀山:俺が求めるとしたらそういうところなんだよね。技術者の気持ちのわかる経営者だね。

:なるほど。

亀山:城倉(DMM.com Labo 取締役兼CTO)、聞いてる?

城倉和孝氏:聞いてます(笑)。

(会場笑)

:いきなりきましたね(笑)。

役員報酬・従業員給与の決め方

:じゃあ、次ですね。「役員報酬、従業員給与の決め方」。

亀山:エンジニアに関しては、いろんなやり方があると思うんだけど。エンジニアはいろんな研究とかやってくこともあるので、どうかな……。

実をいうと、今うちの会社は部署によって考え方がまったく違うんだよね。物流センターとかだったら定期昇給制的な考え方を取るし。事業責任者だったらその事業の収益に合わせて考えたり。

それでいうと、エンジニアは比較的、能力とかなにができるかということでの評価が強くなってるかな。だから本当に業種によって違う。

だから、結果にモチベーションを持たす部署もあれば、ちゃんと能力評価でやるというところもある。バラバラ。相手に合わせる。

:エンジニアは、能力とかスキルを認められるほうがいいんじゃないかという考えなんですか?

亀山:他がどうしてるのかわからないけど、今はそういうかたちにしてる。

DMMの競合サービスのとらえ方

:じゃあ、どんどんいきましょう。「DMMの競合はどこで、どう戦いますか?」。

亀山:まあどこも競合っちゃ競合だし、でも取引先だったりしてね。部分部分で被ってるって感じじゃない? 例えば、配信だとTSUTAYAさんと被ってても、一方でレンタル店は協力してもらったりするし。Amazonなんかも一時期、商品を卸す・卸さないで揉めたからね。

:(笑)。

亀山:でも、クラウドサービスは使ってるとか、今はもう商品を買ってもらってたり。いろいろあるよね。

だから、本当にいろんな会社が部分部分でぶつかったり、くっついたりするんだけど。逆にいうと、全面戦争にはならないみたいな話になるね。

例えば、GMOのクリック証券とDMM FXはガチガチやってるけど、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというのはダメで、「ここはここ、そこはそこ」って感じにやっていくのがいいかな。だからそういう戦い方。ルールを守って。

AVで言えばソフトオンデマンドとか、いろんなところがライバルになる部分もあるんだけど。一方で、ちゃんとルールを守ってやっていくと、そのあと配信の時にお願いしたらやらせてくれるとか。

別にお互い憎くて戦ってるわけじゃないんでね。自分たちが生き残るためにやってるだけなんでね。

そこに恨みつらみとか、無益な罵倒とか始まるとさ……。なので、ルールのなかで戦うというのが大事かな。

:まだあるのでどんどんいきましょう。

亀山:どんどんいこう。

DMMの組織の仕組み

:「DMMは、どのようなエンジニア組織なんですか?」。

亀山:うちは事業部の縦割りと横串みたいになってて、レンタル事業部、通販事業部、映画事業部とかいろいろあるんだけど。

そういうふうに事業部ごとに収益を見てやる場所と、横の部署は今、例えばデザイナーとかエンジニアとかサポートというのは、組織的には全体に渡ってやる評価制度になってますね。この間、ディレクターを縦割りにしたところで。今までディレクターも横だったんだけど。

ディレクターに関しては、横と仲良くやるというよりも、それぞれの事業部の利益にコミットするほうにいけということで、縦に割ってきた感じかな。

:組織が大きくなってきたから変えたとか、なにか経緯はあるんですか?

亀山:その辺はやっぱり、大きくなってきたのはあるし、事業ごとに責任持たさないと、全体で漠然と見るとみんなボヤケるじゃない。「DMM全体でいくらでした」と言っても、「俺たちの事業部落ちてるんだけど給料がいい」とかいうのも変だし。

どうしても団体が大きくなればなるほど、1回分けないと、最大100人ぐらいで組織はある程度切っていかないと、なかなかモチベーションが上がりにくいかな。俺たちがやってても全体でよくなかったとかね。

:それで分けていくと、当然事業部ごとに好不調が出てくるわけじゃないですか。その辺ってどうされてるんですか?

亀山:そこは単純に利益で比べるわけじゃないので。例えば通販だったら、うちらがやっててもAmazonがいるから儲からないわけよ。

一方で、動画だったら利益が出るから何割か儲かるわけよ。これを比較して、こっちが儲かってるから給料がいいと言うと、またちょっとかわいそうだよね。

:だからその業界ごとに?

亀山:だから業種ごとにある程度目標値を決めて、この辺までいけるなら、よくしてやろうという。

:じゃあ、目標に対しての達成率というのは、そういうのを比べるんですか?

亀山:そうそう。そういう感じの達成率。でも、エンジニアとかデザイナーは、そういうふうにしてなくて、横串になってるんだよね。

ただ、これは流れ的に言うと、組織が大きくなればなるほど、やむを得ず縦に切らざるを得なくはなってくるとは思うね。

今まで全体として100人でやってたエンジニアチームが1,000人になった時に、どうしても100人ごとに切っていかないとうまくいかなくなってくる。

たぶん大きくなれば、全体的にそういう方向には行くんじゃないかな。今のところはまだそうなってないけど。

そういった面では、さっき言ったように、CTOも全体で見てるのが、それぞれの事業部ごとに立てるという考え方になるんじゃないかな。

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