
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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辻庸介氏(以下、辻):金融情報や現金の情報はなかなかデータで入って来ないんですけれど、世の中がキャッシュレス化していけば、上流から全部データがつながって、会計に入り、給与に入り、お金を貸すところまでつながっていく。そういうイメージだと思うんです。
先ほど佐々木さんが、人工知能の話をされたんですけれど、この大きなデータを人工知能でどう使っていくかということは、これからの大きなテーマになっていくと思います。
私も含めて、おそらく人工知能と言ってもピンと来ない方もいらっしゃると思うんですけれど、そのあたりを噛み砕いて、どんな機能とか、どういった世界がやってくるとか、そういうイメージはありますか?
佐々木大輔氏(以下、佐々木):例えば、今できることと言うと、銀行の通帳を見て、これを会計帳簿にどうやって入力していったらいいかということは、経理の人が見ればだいたいわかるんですね。
人工知能を使って、どうやったら正しく帳簿に入力できるのかということを、最初は「こういうふうに入力したらどうですか」と(人工知能が)見せて、それを人が見て直してもらうんですけど。そういったことを繰り返しているうちに、自動的に正しく正確に帳簿がついていく。そういったことができるようになっていくと思います。
さらに、この先、そういうデータができて、会計帳簿が自動でできる時代になるとどうなっていくかというと、例えば、先ほどの、お金を借りるといったところは、圧倒的に簡単になっていくんじゃないかなと思います。
今までは、銀行などにいる与信担当者の方が、いろんな与信モデルから出てきたスコアや、その会社の運営状況とかを目で見た結果など、そういったデータを利用しつつ、最後は人の力で判断していたものを、すべて、あるデータをもとに与信の判断をしていく。
その結果、もちろん貸し倒れになることもあるかもしれないけれど、それもひとつの結果として取り込みながら、どんどん学習していって、これまでよりも高いリスクをいいかたちで取ることができるような与信エンジンが作れるんじゃないか、と。
これがあれば、今までお金を借りられなかった人にも資金が行き届くようになるし、そういったことをしても収益性を保てるような新しい金融サービスができていく。こういうことになるんじゃないかなと思っております。
辻:なるほど。佐俣さん、いかがですか?
佐俣奈緒子氏(以下、佐俣):そうですね。私たちの会社も、すでに社内では人工知能を使っています。
私たちが相対するお客さんは、いわゆる中小の小さなお店の方々なんですけれど、その方たちのクレジットカードの売り上げを、我々は日々見ています。過去の何ヶ月分かの売り上げを見ていると、季節だったり、天気だったり、そこに人工知能を当てはめてだいたいの将来予測を立てるということはもうすでに行っています。
そうすると、「このお店はこのくらいまで今後伸びるね」とか。それによって我々の事業がどこまで今のお客さんで伸びるのかということを、手でやっているわけではなくて、あくまで人工知能に計算させています。
そういうものを今後、お店の方にサービスとして提供し、本来やるべき、お客さんとのコミュニケーションのところに、より多くの時間が割けるようにしてもらいたいなという思いがありますね。
商売で本当にやるべきことだけにもっと注力できる状態にしていきたいというのがやりたいところです。
辻:コイニーさんとか、スマートフォンの決済って、初期投資がほとんどいらないじゃないですか。Coineyターミナル(注:コイニーが提供するモバイル決済端末)、今日、持ってきていただいているものですね、これはいくら払えば?
佐俣:今は実質無料というかたちで、一定額使うとキャッシュバックしています。
辻:なるほど。実質無料という、微妙な表現ですけど(笑)。
佐俣:(笑)。
辻:実質無料でキャッシュバックされていて。無料でまずセットできます、と。今までだと普通の飲食店さんが、クレジットカードで決済すると、手数料ってだいたい7パーセントぐらいですか?
佐俣:地方になると、5パーセントとか7パーセント取られていますね。
辻:このサービスだと?
佐俣:3.24パーセント。
辻:3.24パーセント。すみません、営業してるわけではなくて(笑)。導入が簡単で、しかも5〜7パーセントの手数料のものが、3.24パーセントになるので、圧倒的なメリットがあるじゃないですか。
それが、爆発的に拡がらない。今は拡がってきていると思うんですけれど、ぐわーっと拡がらないのは、中小企業にとってすごくもったいないと思うんですけれど、どういう点が難しいんですか?
佐俣:私たちがサービスを始めて、今、3年になります。おそらく市場が立ち上がったのも、実質3年くらいで同じかなと思います。
私たちがサービスを始めた当初は、イヤホンジャックにリーダーというカードを読む機械を差して使うということをやっていたんですけれど、どうにも日本人と相性が悪かったんですね。
アメリカやヨーロッパだと爆発的に伸びたんですけれど、みなさん「なんか怖い」と言うんですね。得体の知れない怖さみたいなものがけっこうブロッカーになっていました。
それが、去年(2015年)11月に、VISAさんのルールがグローバルで変更になりました。ICを読みましょうというようにルールが変更になったことで、端末も変わったんですけれど、この機械っぽいものになってから、爆発的に成長率が変わっているところがあります。
日本人として、安心感をどこに持つのかということで、商売される方にとっては意外と重要なんじゃないかなと思ってます。
辻:なるほど。ありがとうございます。佐々木さんはいかがですか? freeeさんのサービスを使うと、バックオフィスがかなり自動化できて、効率化すると思うんですけれど、世の中の会社全部には使われない。そこで今後のチャレンジ的な要素はどういう点だと思われますか?
佐々木:今後のチャレンジといったところでいうと、僕たちのサービスを使っていく上で、一番力を発揮できる部分は……、すでに決済が電子的に行われている銀行とか、クレジットカードを使って取引が行われているということがすごく重要なことなんですね。
銀行とかクレジットカードで取引が行われていれば、この会社はこういうお金の流れなのねと。だから会計帳簿も自動で作れるし、それに付随するいろんな金融サービスも自動で提供できるようになります。
やはり日本は、今でも現金での取引の割合がすごく高いんですね。僕自身は、昔、スウェーデンに住んでいたことがあって、16年前、2000年くらいに住んでいたんですけれど。
トイレのチップ以外に現金を使ったことがなくて、ほぼ、ポケットに入っているクレジットカード1枚で生活ができる世の中だったんです。
例えば、先日、朝、コンビニでコーラを買おうとして、混んでいたので並びながらずっと観察していたんですけど、やはり現金で払われる方が多いんですよね。
現金で払う人が全員カードなり、ICOCAみたいなもので払ったらどのくらい早くなるのかなと、僕の頭の中の試算では、だいたい半分から3分の1くらいにできるんじゃないかと、思ったんですけど、やはりそのくらい世の中全体を効率化できる。
一方で、中小企業をみてみると、消費者の感覚からいくと、銀行に振込みになんか行かないだろうという感覚かもしれないですけど、中小企業の角度からみてみると、今でも9割くらいの中小企業の方は、銀行に振込みに行くということがまだ行われているんですね。
振込みに行く時間もすごくもったいないし、振込みをオンラインでやっていくことによって、会計業務全般も効率化できる。そういう素地があるなかで、まだオンラインバンキングの浸透率が低いということは、ひとつ大きな課題だと思っています。
日本は先進国なのに、労働生産性が低いといわれているなかで、やはりできる業務は自動化していって、世の中全体を効率化していく動きは、とても必要なんです。
オンラインバンキングをより活用する世の中を作っていかなきゃいけないなと思っていますし、こちらは新経連のFintechプロジェクトチームの活動としても取り上げているところでもあります。
辻:ありがとうございます。
ちょうど今、プロジェクトの話が出たので、今、どういう話を経産省さんや、金融庁さんとさせていただいているのかをご紹介させていただければと思います。先ほどご覧いただいたとおり、Fintechは非常に広いテーマです。
今、新経済連盟で加盟していただいている会員の方から、それぞれこういったサービスが世の中にあるべきとか、こういったサービスがあるために、こういう法改正が必要とか、そういったことをいろいろ集め、事務局でまとめて、金融庁さん、経産省さんへ提案するということをやっております。
要点だけご説明しますと、スマート金融立国によるイノベーション創出ということで、ご存知のとおり、日本が少子高齢化であるとか、先ほど出た労働生産性が低くて、1人当たりの給与が低くなっているという問題とか。
そういう社会情勢を踏まえて、日本の持っている資源、1,600兆、1,700兆ともいわれる個人金融資産をどのように成長資金に持っていくか。
1つ目は、低コストでセキュリティがしっかり担保されたユーザーにメリットがあるサービスを作りましょう、と。2つ目が、経済成長を後押しする、新しいお金の流れを作っていきましょう、と。3番目が、すべての人にとって使いやすい金融インフラ、行政の実現をしていきましょう、と。このような、3つのミッションを掲げて、提言させていただいているところでございます。
次は、定量目標。我々は経済人ですので、いつまでに誰がなにをするということを決めることが非常に大事だと思っています。これはBtoC、BtoBそれぞれに項目を考えて、これくらいの効果があるんじゃないかということで、試算しております。
例えば、キャッシュレスですね。今後、東京オリンピックなどで、海外からのインバウンドがさらに増えると思うんですけれど、そういった流れのなかで、キャッシュレスを進めていく必要がありますね、とか。先ほど出たオンラインバンキングの話とか。
あとは、ロボアドバイザー。これはアメリカで大きく伸びてますけれど、ロボアドバイザーのような銀行預金から投資資金に。あまり投資の知識とか時間のない方でも、やりやすいかたちのものを増やしていきましょうとか。
BtoBに関しては、これからビッグデータをどう活用するかが非常に大きなテーマになってくると思います。そういったところの開発、拡大、生産性の向上をしていきましょうというような項目をあげております。
これはFintechな生活ということで、どんな生活になるかというのを(スライドに)書かせていただいています。経産省さんのホームページにいっていただくと、すべて資料がございますので、ご覧いただくことができるんですけれど。
こういった生活になっていくと、我々の生活がよりスムーズに、かつ、ストレスがなくなっていくんじゃないかということをイメージしていただくために作っております。
これ(スライドを指して)はKPIの一覧ということで、いつまでにこれをやりましょうということで、提言させていただいてます。
我々、新経済連盟として、新しいニューエコノミーを拡大していくことによって、日本の経済の活性化をしていかないといけないと思っています。
経産省さんとか金融庁さんはすごく協力的です。今、どうしてもアメリカ、中国が圧倒的に進んじゃっているんですけれど、日本もグローバルで負けないようにがんばっていこうということで進めています。
では、本題に戻りまして、僕、さっきアメリカ、中国の話をしたんですけれど、お二人がグローバルに見て、このサービスすごいなとか、こんなに変わってるなというサービスがありましたら、ぜひみなさんにご紹介いただければと思うんですけれど、いかがでしょう?
佐々木:Kabbageというアメリカで中小企業向けに融資を提供する会社があります。
そこは銀行の口座のパスワードとIDとか、クラウド上の会計ソフトのデータのパスワードとIDとか、あるいはFacebookとかTwitterのアカウントの情報を入れると、それだけで融資の与信審査をしてくれるんですね。
今まで、銀行の与信担当者は、実際にお店とか営業している場面を見に行かないと融資しなかったというところも、例えば、ソーシャルの情報を利用して、この人たちは毎日ツイートしているから営業しているんじゃないかとか、こういったシグナルも使って、与信をやっていく。
もちろん、いろんな問題も出てきてはいるんですけれど、こういったクリエイティブなアプローチで今まで当然人がやらなきゃいけないと思われていたところも、実は、そこに行かなくてもできるよねということがいっぱいあると思うんですよね。こういった発想は、すごくおもしろいなと思って見ています。
佐俣:私が今、一番注目しているのは、やっぱりWeChatですね。決済の分野で申しますと、前職はPayPalというアメリカのオンラインの決済の会社にいたんですけれど、アメリカよりもヨーロッパ、ヨーロッパよりも中国が今、進んでいます。
今、WeChatという、いわゆる中国のLINEみたいなものがありますけれど、そこから派生した決済の経済圏というものがすごく進んできていて、注目しています。
交通もいけますし、普通の飲食店で払うこともできますし、タクシーが呼べて、映画チケットが買えて、なんなら税金も払えるというところで、WeChatだけ持っていると、友達とのコミュニケーションと、日頃の買い物と、すべていけるというのは、圧倒的に日本より進んでいるなと見ていますね。
佐々木:辻さんはどうですか?
辻:僕は、アメリカのレンディングのところ。先日、アメリカのシリコンバレーに行って来たんですが、Upstartという会社だったと思うんですけれど、データをもとにしてレンディングをするモデルの会社を、Google出身の研究者が3人くらいで立ち上げていて。
明らかに金融機関じゃなくて、データ、テクノロジーの人が金融サービスをやっているというのは、これからの時代を見るようなかたちがして、すごくおもしろくて感動しました。
あとは、少し話がずれますけど、Uberを使ったときのユーザーエクスペリエンスの圧倒的な快適さは、うまく説明できないんですけど、びっくりしますよね。
例えば、タクシーって手を挙げますよね。手挙げて、乗って、行き先を言って、運転手さんと「どこですかね」とか話ながら行って、着いて、お金を払って降りるわけですけれど。
Uberですと、スマホで自分のいるところがGPSでわかって、呼び出したら、サンフランシスコとかだと2、3分で来て、カードはもう設定していて、行き先ももうセットしてるので、行き先も決済もなにもなくて、着いたら降りるみたいな。
しかも、レビューの制度があるから、運転手がやたらフレンドリーで、いい感じみたいな(笑)。
佐々木:水とか飴とかいっぱい出てきますよね、最近(笑)。
辻:そうですよね。あれは、一つひとつは細かいんですけど、僕たちはけっこう日常でストレスを感じてることって多いんだなと、圧倒的に伸びている理由がわかるなぁと思いました。
日本のタクシーは世界的に見てもレベルが高いので、一番難しい市場ではあると思うんですけれど、あれはすごいユーザーエクスペリエンスだなと思いました。
佐俣:私、もう1個注目しているものがあって。決済の分野って、今、中国よりも、さらにアフリカが伸びてきていると注目しています。とくにケニアのあたりが、モバイル主導になってるんですよ。
最近も、ブランチレスバンキングという、いわゆる銀行の支店がまったくない新しいタイプの銀行だとアフリカが先行してきています。既存のインフラがない分、先に飛び抜けて経済が成長していくと、“未来”ができるんだなというのを、ケニアあたりに今、見ていますね。
辻:銀行を持ってない人がスマートフォンでも銀行をするというかたちですよね。神戸市さんがアフリカのルワンダでいろいろやられているそうなので、そのへんも、もし、決済のほうでおもしろいところがあれば。
佐俣:今度の神戸市でのアフリカのセミナー、行きたいなと思いました。
辻:よろしくお願いします。
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