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「ヒカ☆ラボ」クリエイティブカンパニーNAKED Inc.がクリエイティブを支えるテクニカルの秘話を大公開!(全3記事)

「明日の自分を信じて今日は寝る」エンジニアたちが語る、想定外のピンチの乗り越え方

6月28日、レバレジーズが主催するIT業界向けイベント「ヒカ☆ラボ」が開催。NAKED Inc.、面白法人カヤック、ワン・トゥー・テン・デザインのエンジニアが登壇し、会場からの質問に答えました。

人工知能はどう活かせる?

中村文豪氏(以下、中村):では、ここからパネルディスカッションのほうに移らせていただければと思います。先ほどお話があったかと思うのですが、今回、みなさんの質問主導でお話を進めていければと思いますので、みなさま、ぜひ質問をよろしくお願いいたします。

では、みなさんどうぞ。よろしくお願いします。拍手でお願いいたします。

(会場拍手)

質問者1:気になったんですけど、人工知能、AIについてはどうですか?

船本賢悟氏(以下、船本):実際はぜんぜんそこらへんまで手はつけられてないんですけど、やっぱりおもしろい分野だなと思います。いかに人間の持っている情報を引っ張って、それをビジュアル化だとか音とかに変換していくかというのは、もう今後たぶんやるだろうなとは思っていますが、実際に僕らとしてはできてはいないです。

中農稔氏(以下、中農):カヤックの中農と申します。エンジニアをやっています。

個人レベルでは研究している人はいますけれども、案件になるとまだまだという感じですね。つくってみたラボという社内イベントで発表しているのを見かけたりはしていますが、まだまだ個人の研究段階です。

坪倉輝明氏(以下、坪倉):ワン・トゥー・テン・デザインです。

弊社は、Pepperの会話エンジンとかの開発をするのに関わっているので、Pepperのあたりでおそらくやっているんじゃないかなと思うんですけど、僕はPepperチームではないので詳しくはわからないんですが。あと、弊社では新しく機械学習のエンジニアとかも募集を増やしたりとか、という取り組みを今しているところです。

質問者1:ありがとうございます。

クライアントとの折り合いのつけ方

中村:はい。ご質問ありがとうございました。ほかに聞いてみたいことがある方いらっしゃいますか? はい。ありがとうございます。では、そちらの方に。

質問者2:どうも、本日はおもしろいお話をいただきまして、ありがとうございます。ネイキッドさんは微妙に違うかもしれないんですけど、みなさん、広告系の業界にある方々ということで、クライアントさんありきだと思うんですけれども、そのクライアントさんと、表現、自分たちのやりたいこととかの折り合いというのはどう考えられているのかなと思いました。

坪倉:はい。ワン・トゥー・テン・デザイン坪倉です。クライアントありきの仕事。そうですね、それがやっぱりほとんどになるので、確かにいろいろ、それで言うと意見がぶつかるところもたまにあるんですけれども。

僕らとしては、広告としても、もう既にあるものを作ってもおもしろくないし、広告として成り立つ、効果がいちばん出るものを作りたいので、クリエイティブを、作り手としてはすごいしていきたいと考えてやっているんですけど、でも難しいですね。どうなんだろう。僕らは制作会社、どっちかというと作るほうの会社なので、モノで、作った成果物で、モノで勝負したいなと思って、日々取り組んでいます。はい。

川名宏和氏(以下、川名):カヤック川名です。

お客さんの意向ももちろんなんですけども、結構、企画を出す側で、ディレクターとかプランナー以外にも、エンジニアから出る企画というのもあります。

例えばこういう技術を使ったらおもしろい体験ができるよ、これが企画にマッチしているよというのはよくありますし、実際にこういうトレンドがあるから、これをやるとお客さんの要望に応えられるんじゃないかと、アイデアを一緒に考える場面もありまして、結構、カヤックらしいおもしろさを出せるものが案件としては多いのかなという気がします。

船本:ネイキッド船本です。今、ネイキッドさんは違うかもしれないという話があったんですけど、僕らもいちばんそこが悩みどころで、今の弊社の仕事のやり方も、そこの悩みからやっているなんていうのもあったりしていて。

トータルで弊社が仕事をするというのも、クライアントマターですべてがコントロールされてしまうというのを避けたいがために、「全部弊社がやれちゃう」というのをやっていたりするんですね。

結局、自分たちがやりたいことをやるためには、それを準備する期間、およびそれができてから創出されるまでというところも全部コントロールできる環境・技術があればわりと話がしやすかったりするので、そこのあたりは弊社はいろいろ人も含めて全部がやれるという環境を作って、お客さんと「全部弊社ならやれますよ」という話をして、コントロールをこっちへ持ってくるというのをわりとやっていたりするので。

やっぱりやりたいことは、僕らがやりたいことをちゃんとクライアントさんも満足してもらって、最終的にはお客さんが満足するものを作りたいというのはたぶんみなさん一緒だと思うので、それをどういうふうに自分たちのフィールドに持ってくるかということだとは思います。

質問者2:ありがとうございます。

新しい技術へのキャッチアップは個人の趣味?

中村:質問、ありがとうございました。では、次の質問ある方、いらっしゃいますでしょうか?

質問者3:みなさま、空間演出しかり、新しいデバイスしかり、VRしかり、新しい技術を取り入れたりとかは積極的になさっていると思うんですけれども、そういった新しい技術をどこから仕入れるのかと、これから来るかもと思って注目している技術があれば、教えていただきたく思います。

船本:新しい技術は、大きくは2つパターンがあって、自分たちがこんなことやりたい、でもその技術がないから開発するというのが1つ大きな流れはあって、もう1個は、実際に仕事していくなかで見かけたものをこうしたらいいんじゃないかという。

わりと遠くから拾ってくるというよりも、自分たちがやりたいこと、環境から広げていくことのほうが多いかなと思います。

今ではわかりやすいので言うと、弊社がいろいろ展望台とか、ヒカリエさんでもやったんですけど、なにもない透明の窓に映像を映すというのを今展開していたりするんですけど、それは今までやっぱりなくて。透明で映像を投影できるものというのはなくて、だいたい濁ってしまうという。それで、透明にしたいという僕らの思いがあったので、それはもう透明のフィルムを自分らでメーカーと一緒に作ったんですけど。

まあ、そういうかたちで、僕らがやりたいことがあって、そのために技術を開発するということが、弊社だと多いかもしれません。

中農:新しい技術を追っていっても、結局市場に出てくるタイミングはだいたいどの会社も同じになるかなと思って。ワン・トゥー・テン・デザインさんとも、別に示し合わせたわけじゃないですけど、似たような機材構成になっちゃったりとか(笑)。となってくると、体験のデザインというものをしっかりと考えないといけないなというのはすごく常々思っていて。

技術のキャッチアップは結構個人の趣味的というか、個人の趣味は強く反映はされたりすることも、もちろんあると思います。

坪倉:弊社というか僕の場合だと、最新技術に飛びついてそれを使おうという流れになると、どうしてもカヤックさんと同じ構成だったりとか(笑)、似たような感じになってきちゃうところがあるので、そっち方面もアリっちゃアリなんですけど。

どっちかというとやりたいこと、例えば空中に絵を描きたい、空に絵を描きたいとか、適当に、やりたいことからそれを実現する技術を調べていくみたいな流れでやったほうが、いろいろ最終的には、最先端というか新しいことができるんじゃないかなと思います。

個人的には僕はアイデア帳みたいなのをつけていて、スケッチというか自分で絵を描いてシステム図を書いて、こういうことがやりたいからこの機械とこの機械を組み合わせたらいいな、とかいろいろスケッチを書いて、アイデア帳としてノートに残しているんですね。そういうのを個人的には続けて、そこからアイデアの引き出しみたいなのを増やしていくようにはしています。

質問者3:ありがとうございました。

ユーザーの声はどう取り入れるのか

中村:では、質問のある方、いらっしゃいますでしょうか?

質問者4:お話を聞いていて、ユーザーがどう思っているかとか、使っている人がどう思っているかによって、どんどん変えていくという話があったと思うんですけど、それってすごく大事だなと思うんですけど、なかなか難しいというか。そういうところって、みなさん同じような悩みがあるのでしょうか。

坪倉:ワン・トゥー・テン・デザイン坪倉です。弊社の場合だと、やっぱりエンターテインメント、ゲームだったりとか体験型の楽しいアトラクションだったりとかっていうのを作っているので、僕は個人的にすごいそういうアトラクションだったりゲームとかがすっごい大好きで、そういうイベントなりなんなりがあったらもう絶対行くぐらいの感じで(笑)。

こないだのVRドームとかのバーチャルリアリティ体験とかに行ったりとか、そういうのにすぐに行くようにしていて、そこで感じたことをやっぱり自分の制作に生かすようにしていますね。「ここはちょっとわかりにくかったなぁ」とか、そういうものを自分の体験で仕入れて、いちばんは自分自身が作っているもののファンみたいな感じで、ファン目線で考えるというようにというのを考えながらやっています。

川名:体験系のやつだったりとか、レビューが可能なものには、できるだけ社内レビューみたいなのをやっていまして、そこからこうしたほうがいいよとかアイデアを出し合ってブラッシュアップしています。

中農:気づきを共有したいと思うんですけど、ある案件でかなり大きなサイネージ筐体を作ったんです。幅4mぐらいの。体験としては、そこに収納されているセンサータグをいくつか選ぶとその組み合わせで、あなたの未来を占いますよみたいなやつなんです。結果はレシートが出てきて、最後にオススメ商品をサーボで棚から押し出すんですというものなんですが、最後の商品に気付かれずに素通りされることがまれにあったんです。

これは設置してみて、周りが想像以上にうるさかったから。スピーカーの音量を調整したりして対応したが、おそらく視界に入ってない大きさだったからおきたことも原因ではと考えています。そういう、社内でやってみるのと現地ではぜんぜん環境が違って、そこは設置してどれだけアップデートできるのかというのは今後の課題かなと感じています。

船本:実際、自分らがイメージしているのと、その環境でお客さんが体験してもらう流れというか、遊び方もぜんぜん違ったりするので、結局ぜんぜん違う楽しみ方されても、楽しんでもらえればそれはいいと思うんですけど、でもそこのズレをいかに僕らが前もってできるかというのは1つあると思います。

ものを作っていくなかでいちばん大事にするのは、いちばん最初は作っている自分らが最初の客だっていうことは大事にしているので、まず自分らが満足できるか楽しんでるかということがあって、その先はどこまでお客さんと環境が相補できるかっていうところにあるんで、そこはいつも考えながら作っていたりします。

質問者4:ありがとうございます。

VRの持つ可能性

質問者5:今日VRの話が結構出てきたと思うんですけども、そのVRの可能性についてどう考えられているのかというのと、あと、今後、広がっていくなと思うもし分野があれば教えていただければと思います。

船本:VRで言うと、ちょっと前に歌舞伎のラスベガス公演があって、あれの伝送と、日本の羽田側の上映というか表現を、日本側の羽田で担当していたんですけど、あれ4Kのプロジェクターを9台、羽田にぶっこんで、それをリアルタイムに伝送して、それを囲って投影するっていうのをやっていたんですけど、それと同時進行で、実はベガスの公演を360度GoProで撮って、それをリアルタイムにスティッチングして、それをVRで見られるということを実は地味にやっていて、結構すごいことなんですけど。

4Kのリアルタイムスティッチングをこっちでそのままリアルタイムで見られるというのをやっていたんですけど、あれを実際見て、4Kでもまだちょっと解像度足りないなという実感があったんですけど。VRの解像度がこれからどんどん上がっていくのはもう間違いないと思うので、あれ、解像度さえ上がれば、たぶんVR本当にすごいことになるなと思っていて。

やっぱり今酔っちゃうだとか、そういう長い時間遊べないなんていうのも、やっぱり実際の人間が今イメージしているのと、実の映像とのズレがやっぱりまだ大きいから酔っちゃうんだと思っていて、そこらへんが付いてきたときには本当にライブ系、それこそライブとか、イベントとか、ショーとか、そういうものたちは本当に可能性があるなというのは実感しました。

中農:VRというと今のとこはヘッドマウントディスプレイが中心だと思うんですけど、音系に関してはこれからもどんどん出てくるんじゃないかなという気はしますね。

川名:僕はVRに関しては3つあって、1つは、さっきの歩いたりとか手を動かしたりとかコントローラーの拡張性で「見る」以外のものですね。もう1個は、さっきのVR寿司じゃないですが、脳で錯覚させるとか騙せるコンテンツ。最後は、2K以上の解像度などのクオリティの高いコンテンツをVRで表示させるもの。スマホでできることも増えていますが、それをデスクトップのPCでやるか、モバイルでやるか、目的に合わせたコンテンツ作りを考える必要があるという感じです。

坪倉:そうですね、おっしゃっていたように、やっぱ今デバイスの制限みたいなのが結構あって、解像度なり、ヘッドマウントディスプレイが重いとか、邪魔じゃないかみたいな話がやっぱり出てきて。今後、それがもっとちっちゃくなったりとか、今個人的にはホロレンズとか、ARグラスと言うんですかね、そっちのほうがわりとエンジニアのなかでは盛り上がっていて、ARとか、ミックスリアリティ、MRと呼ばれてる、そっちの分野のほうが今後はわりと今後はそっちにシフトしてくのかなという気はしています。

あとは先ほどおっしゃっていたように、どういうふうに目を錯覚させるかみたいな、絵とか、五感を全部用いるバーチャルリアリティとか、あとは最近だと平衡感覚で、電気信号で耳の後ろにピッと流して、平衡感覚を狂わせて本当に加速しているような錯覚をさせるとか、そういうなんかちょっと「身体ハック」みたいな、そっちのほうが盛り上がってきそうだと思っています。

質問者5:ありがとうございました。

これまで遭遇した最大のピンチは?

中村:時間も迫ってきましたので、ラスト1つの質問とさせていただきたいと思います。最後、どなたかいらっしゃいますか?

質問者6:坪倉さんが先ほどおっしゃっていた、自分が使ったことがないものは出せないというのに共感しまして。僕も似たようなことで何回か失敗したことがあるんですけど(笑)。

お三方、これまで新しいことや想定外のことって多々起こると思うんですが、その一番ピンチというか、一番想定外、自分が思ってない、一番大ピンチだったときのお話と、それをどう克服したかみたいなことを聞けたらうれしいかなと思います(笑)。

坪倉:そうですね、ピンチ過ぎて話せないみたいな(笑)。弊社は、ぜんぜんピンチないです。

(会場笑)

もう、あらかじめバッチリにしています。……ということにしておいてください。

(一同笑)

中農:技術的じゃない問題は僕らではどうしようもないんですけれども、社内で作っているときはバッチリテストしていて、本番環境でも同じはずなんだけど、現地で設置するとなんでか動かないっていうのは、どうしてか不思議なんだけど、必ずあって……。

(会場笑)

中農:だいたいは本当にちょっとしたなにかの設定の違いだったりするんで、あとはもう「落ち着く」とか、「明日の自分を信じて今日は寝る」とか、だと思います、最後は。

(会場笑)

川名:それにつながる話ですけど、けっこう丁寧に作っていたら、意外に過去の俺、しっかりしていたみたいなのはあります。

船本:ありますねぇ、ははは(笑)。確かに、実際やって組んで持っていったら動かないというのは、なんかあるんですよね。これが本当に。同じもので同じ距離で、同じ位置関係なんですけど、動かないとか、ずれるとか、いろいろそういうのがあったりして。

なんですかね? そのときにフローというか、どういうふうに構築していくかという手順というか、そのフローの意識が持てるかどうかというのが1つなにか大きい逃げ方というか、解決の仕方かなと思ったりはします。

坪倉:ちょうど最近、僕も結構ピンチになったことがありまして(笑)。さっき、ないと言ったんですけど。

(会場笑)

坪倉:それがWebカメラを使う施策で、20mぐらいWebカメラを伸ばしていって、結構伸ばしていると通信がうまくいかないとか、カメラの映像が出ないことはよくあるんですけど、それまでは動いていたんで大丈夫だろうと思って。

Webカメラを使うイベントでやったんですけど、そのイベントでDJが入ると。で、DJが音を鳴らし始めた瞬間に、映像にノイズが入り始めて、来なくなったんですね、Webカメラの映像が。

それで、よくよくいろいろ調べたら、DJの出しているスピーカーの電源のケーブルっていうんですかね? それが、こうグルグル巻かれていて、その近くをWebカメラのUSBが通っていたりして、DJが音を、その本番中ですよね。DJが音をかけ始めると、映像が来なくなるという、ちょっと冷や汗みたいな。結局その時はノートラブルでいけたんですけど、そういうのがあったりとか。

あとは、同じWebカメラで、ちょうど施工が入っていて、溶接とかをしていたんですね、近くで。そうしたら、溶接って、電気を流すんですね、僕、知らなかったんですけど。電気でなんかバチバチって放電みたいなのをして、溶接するみたいな。そのバチバチのノイズかなにかでWebカメラが1つ壊れたりとか。

そういうことがあって、本当どこが原因か最初わからなかったんですけど、切り分けをして、どこのケーブルは生きている、どこはダメだみたいなものを1つ1つ見ながら解決したというのがありました。

中農:手書きのドキュメントに救われることってありますね。現地に入ったときに、いろいろ自動起動できるように、シェルスクリプトとか全部自動化しておくんですけど、現地に入って動かないとき、結局1個1個試すわけなんですが、開発時のメモの通りにやっていくと、どっかでこけるんです。手書きって偉大だな、アナログ大事だなって思いました。ということを付け加えておきます(笑)。

質問者6:ありがとうございました。

中村:では、これにてパネルディスカッションを終了したいと思います。みなさま、ありがとうございました。拍手をお願いします。

(会場拍手)

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