2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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小沢宏美氏(以下、小沢):続いてのトークテーマ「ITスキルで広がった世界」ということで、これは出口さんと中山さんに聞いてみたいと思います。
3つあるんですが、「ここを一番回答したい」というテーマで回答してもらおうかなと思います。
出口友梨氏(以下、出口):じゃあ、私?
小沢:はい、お願いします。
出口:1番の「Webサービス以外で表現するとしたらどうしますか?」ってあるんですけど、私はもともと美術短大を出てたので、物を作るのは全般的にすごい好きで、いずれそういう仕事に就きたいなというのはざっくりとあったんですけど、やっぱり美大に入って周りとの力の差に落胆するっていう……まあ、ありがちな出来事がありまして。
「やっぱりアーティストとしてやっていくのは、ちょっと厳しいな」と思っていたのもありつつ、普通に会社員として働いて、退職して妊娠中にという話だったんですけど。はっきり言って、Webデザインとかプログラミングって言語があるから、がんばれば誰にでもできるし(笑)。
がんばればっていうか、勉強して習得さえしてしまえば、形にする手段として誰でもできることだから、(テーマに)「どうしますか?」って書いてあるからあれなんですけど(笑)。
私は、(2番のテーマの)「メリット」という話になっちゃうんですけど、誰でも表現しやすい1つの手段だなってすごく思うし、需要があるから仕事につながりやすい。実際に私もそれで仕事になってきているので、おすすめです。ちょっとズレましたけど(笑)。
小沢:そうですね、表現がちゃんとできて。
出口:そうですね、言語が決まっているので。
小沢:加えて、ちゃんと需要があるから生活も。
出口:はい、趣味で終わらず。
小沢:ありがとうございます。中山さんはどれでいきましょうか?
中山紗彩氏(以下、中山):私は2番「ITスキルの一番のメリットを教えてください」でいきますね。
小沢:はい、お願いします。
中山:さっきお話があったように、ITスキルを持っていることのメリットって、普通に考えるとコストがかからずなにかを始められるとか、自分の好きな世界観を表現できるとか、場所や時間に関わらず仕事ができることだと思うんですね。
今、プログラミング・デザインスクールを運営している立場からにはなるんですけど、やっぱりまだまだブルーオーシャンというか、ITスキル持っている人って少ないんですね。かつ、女性だともっと少ない。だから、やっぱり活躍しやすいのかなって思います。
例えば、社内政治じゃないですけど、企業内でITスキルを持っている方ってぜんぜんいらっしゃらないんですよね。とくに30歳以降ぐらいの方。
なんとなく「ITスキルがあります」っていうだけで、「じゃあお前、新規事業やってみるか?」とか、「企画職にいくか?」とか。そういう声がかかりやすくなると思っています。ITスキルを保有している人が少ないので。
この事業というか、「TECH LADY HOLIDAY」を始めた経緯でもありますけれど、やっぱり女性って、「営業職より企画職が好き」とか、「クリエイティブな仕事をしたい」とか、そういう考えをもっている方が多いと思うんですね。
本質的ではないんですけど、1つの社内政治道具じゃないですけど、ITスキルを持っているとそういうポジション、自分がやりたい仕事を獲得しやすいのかなと思っています。
小沢:ありがとうございます。みなさん、IT業界にいる女性って何割か知ってらっしゃいます? だいたい1割しかいないらしいんですよ。エンジニアの勉強会、男性ばっかりなんですよ。本当に男性ばっかりなので、懇親会がピザかお寿司なんですよ。
(会場笑)
小沢:それぐらい、中山さんが言ったみたいに、まずいるだけで重宝されるっていうのは1つ(あると思います)。みなさん、どうですか?
村田あつみ氏(以下、村田):あると思います。だから、女の子が少ないからやりにくいとか、勉強会に行きにくいとかあるんですけど、それを逆に違う意味に変えていくのが大事かなと思っていて。そのうちにやるのは、めっちゃ得だと思います。
小沢:そうですよね。ありがとうございます。出口さん、女性で仕事を受けるときってクラウドソーシングでやっているんですか?
出口:みなさん、クラウドワークスって聞いたことあるかもしれないんですけど、Web上に応募が出てるので、そこで直接クライアントとやり取りをして、そのなかでお金が発生するというシステムなんですけど。最初はそれでちょこちょこ、本当にちっちゃい仕事をいっぱいやって。
埼玉でビジネスマッチング交流会みたいなものがあって、子供を連れて行ったりもするんですけど、自分のポートフォリオを見せて、そこで仕事をもらっています。わりと顧客になってくれることが多かったので、そのお客さんから今も仕事をもらってという感じでやっています。
小沢:埼玉ビジネスマッチング会、それは地元密着のそういう会があって?
出口:そうです。
小沢:そこにいらっしゃる方って、男性が多いか、女性のほうが……。
出口:その事業自体が女性を支援するイベントなので、女性のみなんですよ。
小沢:あー、なるほど!
出口:託児所もあるみたいな感じで、最近けっこう場所を増やしています。
小沢:何人ぐらい集まってますか?
出口:私が行ったなかでは、一番多くて参加者が30人ぐらい。
小沢:多いですね。
出口:30人に対して企業は12社来てくれてるので、当たりやすいというか。
小沢:へぇ、すごーい! それでITのスキルが(必要なんですか)?
出口:基本、在宅ワーク支援システムみたいな感じなので、「普通にサイトを作りますよ」ぐらいまで(のスキル)だとけっこう強くて。本当に主婦で、「片手間でライティングとかテープ起こしとかやってますよ」みたいな人が多いので。
でも、そこに来ている企業さんもそれはわかってるはずなのに、結局はWebデザインをできる人を探してる人が多くて。だから私、プロフィールにも書いたんですけど、さっき(菅野)有希子さんが言っていたみたいに、本当はオシャレなサイトを作りたいんですよ(笑)。
小沢:はいはいはい。
出口:だけど、ポートフォリオを見てもらうとわかるんですけど、本当におっさんの栄養ドリンクみたいな仕事もぜんぜんやってるし。それはもう、生活には代えられないので。オシャレなことばっかりはしてられないんですよ(笑)。
実際に多いのは、健康食品のランディングページ作成とか、地元の美容院の、「自分でがんばってWordPressで作ったページがあるんだけど、どうもここがうまくいかないんだよ」みたいなところから、私ががんばってプレゼンして、「全部作り直しちゃいましょう」って言って、それなりのお金をもらうみたいな感じでやってます。
菅野有希子氏(以下、菅野):ちょっとスキルの話とはズレるんですけど、「TABLE MANIA」ってフードとドリンクとテーブルウェア、食器とかのコンテンツなんですね。とくに食器……食器業界ってすごい年配の方が多くてですね。
小沢:うちの母、大好きです。
菅野:そうなんですね(笑)。テーブルコーディネーターさんも、もう60代の方がぜんぜんいて、40代でも若手みたいな感じなんですね。
なので、そういうなかでこういうことをやっているというと、すごく重宝がられるというか。プログラミングじゃなくて、そもそも「Facebookページってどうやって作るんですか?」みたいな話を聞かれたりするぐらいなので。
けっこう年配の方が多い業界や、ITと親和性が低いような業界にお勤めの方、もしくはそういうところで活躍したいというような方がいらっしゃったら、ちょっと(ITを)かじってるだけでも、「じゃあ、お願いするよ」みたいな話がけっこうあると思うので、いいんじゃないかなと思います。
小沢:たしかに。ちなみに、今いらっしゃる業界は女性が多いんですか?
菅野:食器に関しては年配の女性ばっかりですかね。ただ、作家さんとかはけっこう男性の方、メーカーさんとかは年配のおじさんがいたりします。とにかく若い人があんまりいないんです。
小沢:へぇー。
菅野:そういう若い方に訴えたいっていうのもあって、こういうサイトをやっていたりもします。
小沢:なるほど。でも、ターゲットによっては、さっきちょっとお話してたんですけども、私たちがすごいプログラミングできるかというと、そういうタイプではないんですね(笑)。
菅野:はい、できないです(笑)。すみません、ここに座ってて。
小沢:でも、やったことによって話せるようにはなっているという。それだけで、「すごく重宝されるよね」って話をしてたんですよね。
菅野:そうですね。
小沢:ありがとうございます。盛り上がってきたところで、次のテーマに移りたいなと。「人生の価値観」。じゃあ、どうしよっか。
「大切にしている信念や価値観」、これは聞きたいですね。村田さんからいいですか?
村田:そうですね、「大切にしている信念や価値観」ということなんですけれども、私が最近思うようになったのは、生きているうちで仕事をしている時間っていうのはすごく長いと思っています。
それを好きなことをしないっていうのは、人生で好きなことをしていない時間が長すぎるなと気づくんですけども。
フロイトも「人生において大切なことは、愛と仕事」と言っていたぐらいで、今現在、私自身もそう思っています。だから、好きなことを仕事にすることは、私にとっての大前提という感じです。
あえて言う部分なんですけど、例えば家族や恋人を大事にするということは、本当に人生において大切なことだと思っているので、その2つを大事にすることが私の信念ですね。
小沢:サービスにも直結していますね。
村田:そうなんですよね。もう、めっちゃわかりやすいんですけど。だから、「好きじゃない人とやりたくない」でここまでたどりついたので、結局今、「Lovegraph(ラブグラフ)」という、カップルやご家族の笑顔を見られるようなサービスをやってるんですけども。
小沢:すごいやりたいことをやっていると。
村田:そうですね。
小沢:ちなみに、村田さんはITが苦手じゃないんですよね?
村田:いやー、どうだろう。でも、めっちゃくちゃできる人に比べたら、ぜんぜんできないので、まだまだ。
小沢:苦ではないんですよね?
村田:はい、苦ではないですかね。
小沢:まあ、ぶっちゃけ分かれると思うんですよね。やってみて、どうしても苦手という人はいると思うんですけど。まあ、それが私なんですが。ただ、やっぱり仕事ではすごく活かせてるなというのはあるという感じですね。
村田さんは好きなほうで、それが仕事になり、価値観を実現してるという感じですね。ありがとうございます。
これは、中山さんにも聞きたいですね。「TECH::CAMP」を運営していて……価値観。「なんでやってるのか?」というのも含めてうかがいたいなと思います。いかがですか?
中山:私もおおむね村田さんの意見に同意というか、方向性はほぼ一緒です。やっぱり人として生まれているかぎり、自分以外の周りの人に愛情を注いで、他者貢献して生きるべきだという思考なんですね。
でも、人に愛を与えるとか、人のために生きるとかって、まずは前提として自分が満たされてないとできないことだと思うんですよ。
自分が幸せじゃないと、「人に貢献したい」というフェーズまで思考が達しないと思うんで、まずは自分が満たされている、毎日が幸せでいる状態を作ることが必要だと思っています。
ここからは村田さんの論と同じなんですが、人は人生の3分の1以上の時間を仕事して過ごすわけですね。
だから、3分の1の仕事なんて好きなことをやらなくて、生活のためや、残りの遊ぶ時間のための投資として位置づければいいやという思考はしたくないし、持つべきではないと思っています。
やっぱり人生の3分の1の時間、まずは自分が幸せな状態にならないと、人のために生きようってならないので、やっぱり仕事も自分が好きなこと、ワークライフバランスはあんまり考えず、人生と仕事は分けずにのめり込めるっていう……ブラックという意味じゃなくてですよ(笑)。
(会場笑)
中山:やっぱり自分が好きなことをやると。
小沢:止まんなくなっちゃいますね。
中山:そうなんですよね。だから、やっぱり仕事を自分の好きなことにして、日々自分が最高の幸せの状態にいられるような人生にしていくっていうことを前提として、大事にしています。
小沢:すばらしい。昨日も夜、私たち夜中まで電話して、「明日の件で!」っていう話をしていましたが、本当に楽しくて、やっちゃうっていう感じですよね。
中山:仕事とプライベートの差もないですし、人生のすべてを日々やっていることに捧げるっていう。
小沢:すごい。ワークライフバランスは置いといて、好きなことをやってると止まんなくなっちゃうし、それがまた成果につながっていくから、余計に楽しくなるみたいなところですよね。
「そこにITを入れたらどうなるか」っていうのはどうですか? ITスキルをそこに入れ込んだら、どんないいことが待ってるっていうのはあります?
中山:ITスキルの習得はやっぱり手段でしかないと思うんですけれど、さっき申し上げたとおり、女性って総じて「自分の好きなことを仕事にしたい」や、「感性を発揮するクリエイティブなこと仕事にしたい」みたいな声が多いんですね。
すごい一流の大企業にいるような友達と話していても、「早く結婚して、仕事を辞めて、好きなことを仕事にしたい」みたいなことをおっしゃるんですね。
でもそれって、今やればいいと思ってますし、やっぱりITスキルを習得することによって、世界観を表現するとか、女性らしい仕事をするとか、クリエイティブな仕事をしたいっていう目的があるのなら、1つの有用な手段だとは思ってますね。
小沢:ありがとうございます。爆走している中山さんですね(笑)。
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