2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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千葉功太郎氏(以下、千葉):先ほどAIという単語が出たので、今日はこの流れの中から「群制御 & AI」というキーワードを持ってきました。
群制御……聞き慣れないワードだと思いますが、ドローンはもともと蜂みたいなブーンっていう音がするので(名前がつけられた)。
蜂が大量に飛んでいたり、鳥が大量に群れをなして飛んでいたり、群れをなして飛ぶということは、自然界でよく見られるバックグラウンドです。DJIの呉さん、この群制御についてはどうでしょうか?
呉韜氏(以下、呉):私が思うに、群制御には2つの使い方があります。1つは「助け合う」、もう1つは「お互い認識し合う」です。助け合うということで、例えば1台のドローンは、1つの荷物しか持てない。そうすると、もっと大きい荷物を持つためには、複数のドローンを一緒に飛ばせばいいと。そういう考え方ですね。
認識し合うというのは、さっきの自動運転につながります。お互いどこに行って、どの高度で、どの距離を保って飛行すればいいと。そういう話が群制御。この2つは群制御のポイントかなと思います。
千葉:よくドローンというと、「軍」というキーワードが出てくるんですけど、どうなんでしょうね。
どっちにも使える技術なんですが、どっちに使っていくものなんでしょうか。両方なんでしょうか。やっぱり軍事技術があるからこそ、こういうのが発展していくんでしょうか。
呉:大多数の人間は、平和が好きなんですね。お金をいっぱい使うのが軍用技術で、平和技術だったらいろんな人が取り込めるような技術になりますので、発展は早いと思います。より正しい形。
AIという言葉自体は、私もあまり理解していないですね。何がAIで、どこまでいったらAIと言うのか。単に画像認識して、顔認識したらAIかどうかというと、それは違うんですね。
やっぱり人間がある程度決めた群制御。決めた方法で飛ばすことなどは、この何十年もたぶん変わらないと思います。
千葉:なるほど。
呉:人間が主体なので、平和な人間が多ければ多いほど、よりいいものができると思います。
千葉:玉川さんいかがですか?
玉川憲氏(以下、玉川):この辺のテーマは深いですよね。最近よくこの界隈の人と話すと、シンギュラリティといって、「コンピューターの性能が人間の脳を越えると、もう取り返しがつきません」みたいな話があるので。
そういうホラーストーリーはあるにせよ、私もどちらかというと呉さんと同じ考え方で、きちっと人間が制御していけば、役に立つ方向の技術だと思っています。
例えば、災害時にドローンってすごい活躍しますよね。最近も川の氾濫のときに、一番すごくリアルな映像を出してくれたりとか。あとうちのお客さんで、SafecastさんというNPOがあるんですが、いわゆるガイガーカウンター(放射能測定器)を、センサーをばらまいて、いわゆる民間が作る、信頼できる放射線データを集められて、タイルマップとしてWeb上で公開しているんですね。
彼らがやりたいと思っているのは、もしそういうような事故がまた起こったときに、できるだけ早くガイガーカウンターをばらまきたいと。
そのときにドローンが活躍するのではないかと思っていて、人が行けないところに群制御で飛んでいって、例え何機落ちようとも、最終的に何台かがそこに行けて、ガイガーカウンターをばらまければ、取れなかった情報がリアルタイムに取れるんですね。そういうエリアは非常に価値があるなと思います。
千葉:確かに、災害時における広範囲のエリアを空から素早くスキャンする技術として群制御のドローンあると、すごく効果的にできそうだし、今おっしゃったような、1機、2機がトラブルがあって抜けたとしても、お互い通信しながらフォローし合うというのができるようになる。これはいつですかね? 意外とすぐ?
呉:もうすでにやっている会社は複数いますね。3年以内のことでしょう。技術的には難しくないですね。
千葉:災害とか広範囲の面を、群制御のドローンによってスキャンする。最近ソフトウェアで写真を撮ると、3Dのマップに起こしてくれるソフトとか、いろいろ出ていますけれども。
玉川:そうですね。(建設機械大手の)コマツさんがけっこうおもしろいことをやられていて、山を工事現場で掘って行くときに、何台の工事車両を入れるかというのが、お金の管理上重要らしくて。
ドローンでスキャンして、「何台、何日必要だ」みたいなのをババッと制御するみたいなことはもう取り組まれていますよね。
千葉:今まで経験と感でやっていた山の質量が、正確に測量できるようになった。
玉川:まさにそうですね。
千葉:しかも安く。
玉川:法定管理も含めて。
千葉:工事現場は確かに画期的に変わりますよね。ぜひ坂本さんに聞きたいなと思うんですけれども、(スライドで)「人々の生活を豊かにしてくれるドローンな未来」と。こういう技術は悪いことに使おうと思えば、いくらでも悪いことに使えるし、いい方向に使えれば、いいと。
坂本さんは「豊かにする」とか、「人の生活が幸せになる」ということにすごいこだわりがありそうな気がして。
坂本:こだわりはありますね。僕は2001年に着メロでこの業界に入りまして、そこからAdobeさんのFlashでゲームやUI、エミュレーターをやって、ゲームをいろいろやった中で、僕がこのドローンを触って考えることは1つだけですね。家で「ルンバ」が端っこのほうで引っかかってるんですよ。
千葉:引っかかる? いつも?
坂本:いつも同じ場所で、ルンバが引っかかるんですよ。それをどこからともなくドローンが現れて、助けてあげたらおもしろいんじゃないかと。
千葉:けっこう小さな視点からきましたね。
坂本:僕はやっぱりエンタメの人間なので(笑)。部屋の中でペットじゃないですけど、イメージとして、ドローンがバーッといつも周りにいてくれてて、日常の映像を撮ってくれるんですよ。その映像が、自分の誕生日の前夜に、BGM付きの動画と共に何かプレゼントが届くわけですよ。「ハッピーバースデー」って言って。
僕はルンバに名前をつけるタイプなんですけど、たぶんそんなドローンが日常生活に存在してたら絶対名前つけますね。僕は普通の生活の中の一部分で何かそういう体験を演出してくれるドローンがあったらちょっといいなって、エンタメ視点で思っています。
千葉:部屋の中で自立的に飛行するドローンが生活を助けてくれる。
坂本:そうです。
千葉:部屋の中いいですね。これはロボットじゃダメなんですか?
坂本:もちろんロボットでもいいですよ。ロボットとルンバとドローンが群制御。
千葉:群制御(笑)。
坂本:最高ですね。
千葉:公務ネットワークでそれぞれ助け合ってると。
坂本:はい。SIM積んでいただいて。
千葉:なるほど。 Wi-Fiでいいですよね(笑)。
坂本:Wi-Fiでいい(笑)。
玉川:家の中だとWi-Fiだよね。
千葉:今の話の前提で、SIMが積まれていて、ドローンがIoTの端末として空を飛んでいて、群制御ができていて、大きさが室内、室外問わず、群制御のネットワークされた自立制御のドローンが飛んでいる社会が実現できたときに、どんな幸せがありますかね? どんなサービス、どんな未来がありますかね?
呉:たぶん、私の子供がドローンを見て驚かなかったら、きっとドローンが人間の生活の役に立ってると思います。例えば今、馬に乗る人は趣味でも乗ってるんですよね。昔の人はそれを必要品として乗っています。車も同じように進んでいますので、きっと将来は、飛んでいること自体は、違和感はないと思います。
千葉:日常生活でヒューンとドローンが飛んでいる。
呉:そうですね。それは不思議ではないと思いますね。
千葉:ドローンはぶつからないですかね?
呉:さっきの話で、群制御。SIMカードなどをうまく用いれば、車よりは制御しやすいですね。車は道路があって、必ずそこで走らないといけない。
千葉:ということは、DJIさんに限らず、いろんなメーカーさんの機体が、それぞれ認識し合って空を飛んでいる時代。
呉:そうですね。アメリカはそれを今すでに作っています。
千葉:エアハイウェイとかできるんですか?
呉:かもしれない(笑)。ドローンといっても、将来人間が乗れるドローンになるかもしれない。無人機じゃなくなるかもしれない。
千葉:人間が乗って人間が運転するドローン。それ、飛行機じゃんみたいな(笑)。
呉:そうだね。飛行機もあるかもしれない。交通手段そのものを変えるかもしれないですね。
千葉:なるほど。
呉:皆さんの想像に(笑)。
千葉:なるほど。それは何年後ぐらいの未来ですか? 10年かかりますか?
呉:車はまず法律で、車検、保険、免許。さまざまな社会インフラの整備が必要になります。社会インフラには時間がかかります。技術的には時間がかからないかもしれないですね。いっぱい実証実験もありますので。おそらく10年後じゃないですかね。
千葉:なるほど。
呉:もっとかかると思います。
千葉:でも現実的な未来の路線ですよね。近づいて来てますよね。
呉:現実的ですね。
千葉:玉川さん、どうでしょう。この未来。
玉川:そうですね。やっぱり人々の生活を豊かにするということを考えると、人間ってコミュニケーションを求めるので。ドローンに限らずなんですけれども、遠くにいる人とか、遠隔地にいる人とつながれるってこともありますね。
Google Mapって今は静止画ですけど、きっとそれがリアルタイムの動画になって、いつでも見られるようになるんじゃないかなと思いますし。
私はもともとバーチャルリアリティーをやってたんですけど、バーチャルって日本語では「仮想」って訳されているんですけど、あれは完全に誤訳だと思っています。英語の意味だと「本質」という意味なんです。
だから本質が何かって考えると、その本質部分だけを残せれば、それはすごく価値がある。バーチャルリアリティーの世界で流行ると思って流行らなかったものって、すごく奇麗な没入型ディスプレイで、過去に撮った画像の中でツアーすれば、ウケるんじゃないかと。でもやっぱり、ウケないんですよね。
なぜかというと、皆さんがツアーで求めてるのは、リアルなその時点で起こっているエクスペリエンスが欲しいわけなので。そういう意味だと、やっぱりドローンはすごく可能性があって、ある意味三次元でどこにでも行けて、なおかつそこから画像を直接通信越しに送れるし、自分自身が自立的に動けるものなので、そういったところにすごく価値があるかな。
千葉:それがクラウドネットワークとつながっていくわけですもんね。
玉川:そうですね。もし僕が年を取って、動けなくなって、モビリティがなくなったとしても、代わりに実体験できるモビリティとして動いてくれるというのは。
千葉:じゃあ、Oculus(オキュラス)みたいなのをガチャッとつけて、ドローンが飛んでいって、首を振ると自由に見れて、まるで行っているかのような感じですかね。
玉川:そうするとモチベーションというか、動けなくなったとしても、ある程度の刺激は受けられるし、モチベーションも高まるので、寿命が伸びるんじゃないかとも思っています。そういうのは人間の生活を豊かにするんじゃないですかね。
千葉:なるほど。
千葉:ありがとうございます。では最後にお三方に聞きたいんですが、ビジネスにおける個人の夢、野望……夢がいいですね。
IoTの未来をふくめて、どんな未来を実現するためにお三方は今頑張ってお仕事をされているんでしょうか。最後のメッセージとして。呉さんから。
呉:特にでかい夢はないですね。今のドローンの話で、自分の子供の世代につばげていけばいいと思います。そのために毎日やるべきことをやるだけですね。
千葉:なるほど。ありがとうございます。坂本さん、いかがでしょうか。
坂本:今、安全運行管理というところで、デジハリさんと教育分野に力をいれてやらせてもらってますが、そこの生徒さんからちゃんと安全に飛ばせる方たちが出て、なおかつ事故もなくやっていける人材が、そこから出るというのが1つ夢としてありますが、やはり僕はルンバとドローンが共生するというのが(笑)。
千葉:ロボットもね(笑)。
坂本:はい、ロボットもよろしくお願いします。一緒にやってくださる方いらっしゃったら、ぜひお願いします。
千葉:ルンバ、ロボット、ドローンが家の中でちょこちょこと仲良く共生している時代ですね。
坂本:いいですね。そんな感じです。
千葉:ありがとうございます。玉川さん、いかがですか?
玉川:はい。我々は「世界中のヒトとモノとドローンをつなげ共生する社会」ということでやってますので、今、日本でつながるSIMを出してるんですけど、今度は世界中でつながるSIMを出してやろうと。
さらにその先は、ソラコムのソラって宇宙の宙なので、宇宙中でつながる通信を提供しようというのが私の野望です。
千葉:宇宙きましたね(笑)。ドローンが宇宙に飛んでいる感じ。
玉川:宇宙に行ってもつながりますよ(笑)。
千葉:ありがとうございます。今日非常に短い時間の中で、どんなセッションにしようかなと。僕が3月にドローンと初めて物理的に出会って、今年のキーワードになったんじゃないかなと思いまして。
IVSでセッションが作れないかということでご相談をして、今日に至ってるんですが、短い時間の中にだいぶ詰め込んでみました。
今日皆さん、先ほどキーワードで上がったような、自立制御がより発展して、群制御があり、ネットワーク化されていって、そのネットワーク化されたものが、さらにクラウドネットワークとつながって、データのやり取りをしたり、自立走行したりとか、災害を助けたりというような、いろんな未来を感じていただけたんじゃないかと。
早いものでは本当に1〜2年で実現できるものもたくさんありますし、10年単位で見ても、先ほど呉さんがおっしゃった普通に空をドローンが飛んでいる未来というのは、SFではなくて近づいている。
ただ、当然日本あるいは諸外国の法律によって、それが実現するかしないかというのは、大きく差がついているので、今週金曜日からの新しい法律の施行によって、さらにドローンがどうなっていくか。
皆さんのビジネスの中でもぜひ、「ドローンってどうなんだろう」というのを、興味を持っていただいて、実際に今の新しい縛りの中で飛ばしてみて、さっきのソラコムさんみたいに、いろいろ実験をやってみるとおもしろいんじゃないかなと思います。
本当にまだドローンの業界は小さいので、なかなか活躍している方がそんなにいないんですが、今日は全員来ているような状況なので、本当におもしろいお話をありがとうございました。
では、ドローンのセッションを終わりにさせていただきます。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
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