2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
富士ゼロックスにおける AWS 導入と活用までの道のり ~見えた課題、そして今後の展開~(全1記事)
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黒須義一氏(以下、黒須):皆様こんにちは。富士ゼロックスの黒須と申します。本日は弊社のセッションにお越しいただきまして誠にありがとうございます。
本日は我々富士ゼロックスがどのようにAWSを利用し始めて、いま現在どのように扱っていて、どのように苦労しているか、そしてこの先この基盤をどうしていくか、どう考えているか、そのあたりについてまでお話させていただければと思っています。
短い時間ではありますが、少しでも皆様のご参考になれば幸いでございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
最初に少しだけ自己紹介をさせてください。黒須と申します。弊社は約1年前にAWSを利用してハイブリッドクラウドを作ったわけでありますが、それを利用したいという社内の人間に向けて適切なナビゲーションをする機能として、クラウド統括というものを作りました。そこの担当として私がいま働いております。
加えて今後、この弊社がお客様向けサービスを行っていくためのクラウド基盤そのものをどのように進化させていくかも考えております。転職組なので富士ゼロックス3年目でございます。これを機会にTwitterのアカウントも作りました。こちらのメールアドレスで検索いただければ、ご連絡いただけるかと思います。
早速なんですけども、皆さんランチも召し上がってるということで、少し動画をご覧いただこうかなと思っています。
私、先ほど申し上げましたが3年目ですので、そんな奴が、富士ゼロックスの会社案内ってこういうのですよって語ったところで、大したインプットもできないだろうと思いまして、いい動画があったので、YouTubeに公開されているものですが、約8分ぐらい、尺としては少々長いですが、ぜひおいしいお弁当を食べながらご覧いただければなと思います。では、流します。
ビデオ:ようこそ、富士ゼロックスミュージアムへ。さあご一緒にご覧になってみませんか。富士ゼロックスはいま、これまで培ってきた紙の情報を複写するビジネスにとどまらず、価値あるコミュニケーション環境を提供することで、お客様の経営課題の解決に貢献しています。
欲しい情報を欲しいときに欲しい形で提供できる、そんな環境こそがお客様の新たな価値創造につながる価値あるコミュニケーション環境であると、富士ゼロックスは考えています。
では一体、価値あるコミュニケーション環境を提供する富士ゼロックスとはどんな会社なのでしょうか。ここはそのことがわかるように展示されているミュージアムです。ではさっそく見てみましょう。
ゼロックスコーポレーションの創設者、ジョセフ・C・ウィルソンは、ゼロックスのビジネスの原点とも言える経営哲学、ベターコミュニケーションを提唱。いまの複写技術の先駆けとなるゼログラフィー技術を商品化し、コミュニケーションの可能性を飛躍的に広げました。
そして、1962年、ゼロックスコーポレーションの子会社である、イギリスのランク・ゼロックスと富士写真フイルムが、ジョイントベンチャーとして富士ゼロックスを設立。
世界初の普通紙複写機、ゼロックス914を発売しました。ゼロックス914のもたらした変化はオフィス革命と呼ばれ、コピーすることを「ゼロックスする」と呼ばれるようになったほどです。
設立当初の富士ゼロックスは、日本国内における販売会社でしたが、のちに生産機能を備え、メーカーとなっていきました。当初はレンタル方式を採用して、複写という効果的なコミュニケーション手段を広く提供するビジネスを展開。
現在はお客様の課題を発見し、よりよいコミュニケーション環境を提供することで、お客様の価値創造を支援する企業へと進化しています。創業時からゼログラフィー技術を基礎として、紙の情報を大量に正確に美しく複写する複写機、複合機、プリンターを開発、提供してきました。
現在では通信、画像処理技術を組み込むことで、紙と電子情報の融合、基幹システムとの接続、クラウドサービスとの連携など、情報ポータル機器へと進化。お客様に価値あるコミュニケーション環境を提供しています。さらにお客様の課題解決のために、3つのサービス事業を展開。
まずは、プロダクションサービス事業から紹介しましょう。より迅速により効率よく、より人の心を動かすコミュニケーション環境へ。そんなニーズをプリントオンデマンドで叶える、プロダクションプリンター活用による新たなビジネスモデルの創造をサポートします。
そして、グローバルサービス事業。経営者の皆様との対話を通じ、ドキュメントにまつわる課題を見つけ出し、業務をアウトソーシングしていただくことで、継続的な企業の成長をサポートします。
最後に、ソリューションサービス事業。企業内、企業とお客様、企業間。業務プロセスにはそれぞれのコミュニケーションがあります。富士ゼロックスは情報をより正確に、よりスムーズに伝えるコミュニケーション環境を提供することで、企業の迅速な意思決定に貢献します。
さらに、クラウドやモバイルソリューションを通じて、IT環境や場所にとらわれないお客様の新しい働き方にも貢献。すべてはお客様へ価値あるコミュニケーション環境を提供するために、
プロダクションサービス事業、グローバルサービス事業とも密接に連携しながら事業を展開しています。富士ゼロックスの3つのサービス事業、より詳しく知りたくなった方はこちらをご覧ください。
日本で生まれた富士ゼロックス。そのビジネスはすでに世界に広がり、価値あるコミュニケーション環境を提供しています。現在は中国およびアジアパシフィック地域に、直接販売とサービスができる体制を敷くいっぽう、米国ゼロックスの担当地域である欧米などへ複合機やプロダクションプリンターを輸出したりプリンターの海外OEMビジネスも展開。
また、海外で生まれたソリューションを日本でも展開するなど、双方向での価値提供が進んでいます。ものづくりの面では、横浜みなとみらい地区に研究開発拠点を置き、深圳、上海、ベトナムで複合機、プリンターを生産し、ワールドワイドに供給。さらに、地域、市場との綿密なコミュニケーションから得られたニーズをもとに、海外市場に特化した商品の提供も進めています。
富士ゼロックスは、CSRは経営そのものという考え方のもと、価値あるコミュニケーション環境の提供によって、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの皆様の価値創造を支援します。
そして、事業活動のすべてを通じて、多様な人々が相互に理解を深め、信頼し合う社会の持続的な発展に貢献します。ベターからディファレントへ、そんなCSR活動のハイライトがこちらです。
富士ゼロックスは、将来世代の人材育成を社会貢献の重要テーマの1つに位置付け、アジア新興国での児童の教育格差解消のための教材提供プロジェクトを、2014年にフィリピンで開始。
必要な教材を必要なだけプリントする、富士ゼロックスのオンデマンドプリントの強みを生かし、企業やNGO、地域社会と連携した社会貢献に取り組んでいます。10年間で、アジアパシフィック地域で児童10万人への教材提供を目指しています。これは事業を通して実践している富士ゼロックスのCSRのほんの一面に過ぎません。
富士ゼロックスは毎年CSRを進化させ、社会や地域の課題解決に貢献しています。より詳しく知りたくなった方はこちらをご覧ください。
いかがでしたか。富士ゼロックスはこれからも価値あるコミュニケーション環境の提供を通じて、お客様の成長と社会の発展に貢献していきます。それではまたのお越しをお待ちしております。ソリューション・フォー・ユー。富士ゼロックス。
黒須:はい。いい会社ですね。富士ゼロックス。私も3年目で、ようやくこのビデオを見て理解できたんですけど、いい会社だなと、サラリーマン的な発言をしつつ、本題に入っていきたいと思います。偉い人も来ているので。
主な取扱商品ですとか、このへんは僕が作った陳腐なスライドなので飛ばします。我々富士ゼロックスの経営課題としてビデオの中でもありましたが、ソリューションサービス事業を拡大していかなきゃいけないというのがあります。
我々は、僕も入ってわかったんですが、すでにコピー機の会社、コピー機をただ売っていく会社ではございません。すでにその周りのソリューションサービスをお客様に、最速にリーズナブルに提供していかなければならない会社に変貌を遂げています。
そのためには、ソリューションサービスを支える、先ほどビデオにも出てましたが、クラウドサービス、それを支えるクラウド基盤、その生産性を向上させることが重要と考えています。
我々、クラウドをどのように取り組んでいるか、ここからがAWSサミット、今日の本題になります。ソリューションサービス事業を支えるクラウド基盤として、2010年に既存のオンプレミスの環境から、NRIさんのデータセンターの中でプライベートクラウド環境を構築さしていただきました。弊社専用のフロアで弊社専用のプライベートクラウド、これをNRIさんに24時間365日運用していただく、そういった体制を2010年に整えました。
ただ実際使ってみると、私が着任した2012年当時、プライベートクラウドを運用して2年。今日経った時期ですけども、当時のソリューションサービス事業を管掌する役員、常務が私のとこに来ました。
私はデータセンター屋さんから転職してましたので、「お前、データセンター屋さんにいたんだよね」と。「なんかソリューションサービス事業の使っているクラウド基盤が、開発者のみんなから高いとか使いにくいとか、いろんな不満の声が上がってるんだけども。ちょっと調べてもらいたいんだよね」というオファーをいただきました。
入社したてだったので、私も仕事がなくて暇だったっていうのもあって、「わかりました」と二つ返事をして、いまこんなとこに立ってる身分になってるっていうイメージなんですけど。
どんな不平不満があったのかというと、結局プライベートクラウドは、最初、オンプレミスから移設したときに、共通的な部品をみんなで共通的に使いましょうね、というのが思想でした。それによってコスト削減を目指しましょうと。言ってみればみんなで同じ学生服を着ましょうね、といったところです。
ただし実際に使ってみると、みんな学生服じゃ満足しないんですね。やっぱりサービス個々で、抱えている条件、抱えてるお客様の質、提供するサービスのコンテンツ、これも全部違います。
ですので、私のサービスは専用線がどうしても欲しいですとか、私のサービスはこのメニューにあった4コアまでのマシンでは耐えられないので、8コア12コア欲しい。そういったことがどんどん積み重なっていたのが、僕が調査したときの現状でした。
そうするとどうなるかというと、NRIさんの運用も個別対応になりますので、当然全体コストが膨らんできます。提供するメニューの価格も高いまま維持しなければならない。そうすると、新たにこのプライベートクラウドを使いたいユーザーから見ると、「なんか高いね」ということになってくる。
よくわかったのは、使い方が悪いんだなということです。あるあるの話ですけども、新サービスは読めないのでリーンスタートアップがいまは基本ですが、この当時のプライベートクラウド、たぶんこの僕たちのサービスは1000万人のお客さんが絶対来る、だからサーバをいっぱい作りますみたいな話が往々にしてまかり通っていた。
そうすると固定費として、データセンターコストというのはどんどんかかっていく。私が思うに、あるべき姿というのは、そういったプロジェクトマネージャーであったり、開発者、個人個人がきちっとコストをデザインする力をつけることだと思いました。それが企業競争力につながるんではないかと。
そして、そのコストデザイン力についていけるようなクラウド基盤に変貌させなきゃいけないと、このとき考えました。また、そのときプライベートクラウドを2010年から使っているお客さんもたくさんいました。お客様というか社内の開発者がいました。
彼らの不満を分類すると、やはり高いとか、提供機能が少なすぎるとか、運用体制がなってないとか、いろいろありました。利用料金と提供機能は、AWSを接続してつなぐことで、彼らの提供するスケーラブルでリーズナブルなものを享受することができる。
これで解決できると考えました。ただし、先ほど申し上げたとおり、我々自身の使い方、これを改革しなければ、プライベートクラウドと同じことになると考えました。プロジェクトは、私がこれを発足して約半年ですべて終わりました。役員、僕も知らなかったんですけど、大きな会社なんで、ものすごくいました。こんなに役員いるんだと。
そういった人たちに一人ひとり説明して、その人に紐づく管掌部署の担当者一人ひとりをすべて何回も通い、説得して回りました。こういった地道な対面で調整していく、その活動が、のちの理解度に深まっているのではないかと思います。
主にこういった方々と合意を得ながら半年間ずっと進めていきました。例えば購買部なんかで言いますと、従量課金で後から請求のAWS。今までは固定費でメニュー価格で、当月分当月支払いのプライベートクラウド。
全然購買システムがマッチしてませんでした。プロセスもマッチしてなかった。ここを何とかうまいことAWSで使えるように、従量課金が対応できるように調整をしました。半年後にできあがったわけでありますが、よくあるハイブリッドの構成でございます。NRIさんのプライベートクラウドからダイレクトコネクトを接続し、AWSの東京リージョンにつながせていただいてます。
さて、やっとAWSを使えるようになって半年経ちましたが、企業のシステムとして、AWSのさまざまなメリットを受けるためには、各方面における改善もさらに必要です。本日はこの3つについてお話しさしていただきます。
1つは体制づくり。これは我々みたいな利用者をナビゲーションする機能が必ず必要だよねということ。もう1つ。利用者にとっては、NRIさんがどんなAWS上でのサポートメニューを展開してくれるのか、これがわかりにくいという声が多数ありました。これをわかりやすくしつらえる。この2点です。
もともと利用者とNRIは、直でやりとりをしてました。ただしそこにはコミュニケーションのロスだったり、相互の不理解みたいなこともたくさんありました。我々が入ることで、これから開発者側はどういったことを考えてるのかとか、いまの基盤にどういう不満を持ってるかっていうのを、日々NRIさんにエスカレーションすることができるようになりました。
逆のベクトルで言いますと、NRIさんからは、NRIさんはどういう事情を抱えていて、いまどういう状態なのか。それを包み隠さず利用者の人たちにお話しし、改善に向けて努力する姿勢、そういったことも見せることで相互理解が高まってきたと思います。
もう1つメニューの話をしますと、セルフとマネージドという形で2つ設けてございます。ガソリンスタンドをイメージして名前をつけてみたんですが、セルフは、素のアマゾンを使うのとほぼ同等。
マネージドは構成設計からすべてNRIさんに入っていただいて、自分で自由にサービスの追加とか、インスタンスの追加削除などはできないものになっています。ただし、すべてフルマネージドでNRIさんが面倒見てくれるシステムを作る場合はマネージドを選択します。
提供形態はこんな感じで。皆様から向かって左がセルフです。富士ゼロックスのセキュリティーポリシーに準拠した形でのサブネット分けとネットワークのコントロールをした上で、箱だけをお渡しします。
そうした上で開発者たちは、その上で好きなサービス、好きなインスタンスの数、タイプを選び、自分で自由に構築する。検証だとか開発で使われることが多いですね。いま流行りのHPCでもこちらのタイプを使っています。マネージド。こちらについては、よく本番環境をお客様に実際にサービスする環境としてしつらえることが多いです。
次にプロセス。2つございます。富士ゼロックス独特の、先ほど申し上げたサブネット構成ですとか、ネットワークの縛り、セキュリティーポリシーの縛りなどすべてを加味した上で、富士ゼロックス版のクラウドデザインパターンを作りました。
それによって、必要である審議プロセスの簡略化に影響を与えています。また、申し込み、普通にサービスを利用するためには、購買システムから見積もりを取って、いろいろな決済を経て、申込書、請書みたいなことも必要なんですが、そういった事務的なフロー、これを簡略化する。できるだけ、クラウドのサービスを使うWebでポチッとやれればすぐ開通するような、いまのその体感に合わせていきたいと考えています。
FXCDP、富士ゼロックスクラウドデザインパターンは、富士ゼロックスが定めるセキュリティーポリシー、それにのっとって細かく1つひとつのプロトコル、通信の方向、セグメント、それらをすべて網羅した形でのパターン集になってます。
これを策定したのは、私と同じチームの32歳の山泉君というソリューションアーキテクトです。彼は元々、画像処理のエンジニアだったんですけど、一念発起して、ソリューションアーキテクトを取っていただきました。
彼が一生懸命この100ページぐらいにわたるクラウドデザインパターンを作ってくれたおかげで、外部に接続するための審議、セキュリティー審議はこのパターンに準拠していれば、イコール富士ゼロックスのセキュリティーポリシーに準拠しているという形で認めていただきまして、いままで2ヶ月かかっていた審議プロセスを、即日OKという形にまで短縮することができました。
さらには、審議プロセスが即日になったところで、先ほどの購買プロセスそのもの、物を買っていく、サービスへ申し込むというプロセスそのものも短くしないと、片手落ちになりますので、こっちも必ずやらなきゃいけないと。
いままでのものを紐解いてみたところ、よく大企業でありがちな16個。部門にして3つ、外の人も1つ、16個のプロセスがありました。中身を細かく紐解くと、これ不思議なもので、ほとんどいらなかったりするんですね。
ここで見ていただくとわかるとおり、緑の部門がやっていたプロセスというのがほぼいらなかった。何でこんなことをやってたのかというのを突き詰めると、昔誰かが決めたからやってました。そういったことが多いんです。そういったものはすぐやめろ、ということでやめました。
そうすることで、いままで2ヶ月かかってたものが、ここは2週間まで短縮しています。まだまだ即日開通まで至ってませんが、できるだけ短くするという方向には進んでるかなと思います。
仕組みですね。「Amazonを使えるようになりましたよ」と開発者のみんなに言ったところで、じゃあ「僕たちが抱えているデータ、個人情報を含むいろんな大切なデータがありそうなんだけど、Amazonに置けるんだっけ?」という心配事があります。みんな誰かに寄り添いたいんですよね。誰かがお墨つきを与えたものでないと、なかなか安心して使えないんです。
ですので、我々は富士ゼロックスのセキュリティーポリシーにのっとって、3つのセグメント分けをし、そこに置けるデータを定義しました。そうすることで使う人たちは、ここにこのデータを置こう、S3にはこのデータを置こう。そういった形で、寄り添いながら使うことができるようになりました。
加えてセキュリティーポリシーもきちっと守った上でということで、AWSを使うことができる。もう1つは、「使う人たちの環境を整えました」と言った後に、4万7000人もいる会社なので、開発者もいっぱいいます。
開発者のみんなに、AWSを自由に使えるようになってほしいというのが我々の願いです。利用者間のコミュニティーを作りました。まだ人数は全然少ないです。今日会場にも数名来てもらってますが、左上で「クラウド先輩」と我々は呼んでます。
AWSを最初から使ってくれて、いろんなノウハウを社内に伝播していってくれる人間。これを今ですと、6、7人ピックアップしてコミュニティーという形で運営してます。彼らに期待することは現場に帰ったときに、周りの人間、開発者にできるだけこのクラウドの良さ、難しいところを伝えていってほしい。
我々クラウド統括という人間が4万7000人に向けて伝播するにも限界があります。彼らのような人たちをうまく連携して、こういった形でコニュニティー化していきたい。社内といえども、こういったことはやはり必要かなと思います。
いままではわりとうまいこといってる話をしてましたが、うまくいってないこともたくさんあります。これからは、その話をしたいなと思います。
我々富士ゼロックスは、いまAWSをハイブリッドクラウドで使ってますが、AWSを素のAWSのようにはまだ使えてないです。さまざまな制約、会社が求める制約、NRIさんとの制約、NRIさん固有の制約。いろいろなことがあり、下記のようなことが叶えられてないです。
IAM、セキュリティーグループ。これらを自由に使うことができなかったり、新サービス、先ほどキーノートでもありましたが、AWSがさまざまないいサービスをどんどん出してきても、それをすぐ使えるとは限らない。
プロセスの話でもありましたが、即開通ってわけでもない。1個1個説明しますと、我々はAWSさんが出すサービス、これについて一つひとつ、富士ゼロックスの事業にどれだけインパクトがあるか。
このAWSのサービス、例えばEC2、これ1つをとって使ったときに、富士ゼロックスの事業にインパクトはないか、マイナスの意味で。そういったことを一つひとつ調査してからリスト化して、使えるAWSサービスはこれですと公開してます。
ですので、時間がかかります。Lambda、Aurora、使いたいですけど、まだまだ調査が必要です。もう1つ例を挙げる。ちょっと現実的な話になってしまいますが、例を挙げますと、マネジメントコンソールへアクセスするためには、社内から開発者がアクセスするイメージを持っていただくとわかりやすいかと思いますが、富士ゼロックスのプロキシに限ってます。
そうすることで、関係者以外のアクセスを制限してますという形にしたかったんですが、これが昨今ちょっと問題になってます。要はプロキシ経由でサービスを叩くのはいいんですが、サービス自身がAPIコールを叩いたりする場合、使えないですね。ESトークンとか。
ですので、2要素認証、MFAトークン、このあたりをオフィシャルに展開して、このプロキシ経由じゃない要素認証を入れて、いまみたいな自動化に向かっていくようなクラウドのPaaSっぽい使い方を支援していきたいなというふうに考えています。
あとネットワークACLとセキュリティーグループ。これはNRIさんに先ほどのサブネット管理みたいなことを全部委託していますので、自由にユーザーさんは環境提供を受けた後にいじることがままならない部分があります。ある程度はいじれるんですけど。ある程度はいじれるんですけども、素のAWSを使うという感覚とはちょっと違ってくる。
またIAMに関しても、親アカウント、一番トップのアカウントをNRIさんに持っていただいて、IAMの準フルアクセス権限を渡すというやり方をしてますので、要はポリシーが覗けなかったりというのがいろいろと不便を感じるところで、不満として今新たに上がってきているところです。
よりAWSを素で使うような形で、裏ではきちっと富士ゼロックスのセキュリティーポリシーに準拠している。そういった環境を目指して我々はこのへんの3つのあたりをいま改善に向けてNRIさんと、できるだけ緩和できるような形で調整を行っています。
これは簡単な話で、リードタイムはまだまだ2週間じゃ皆さんに満足いただけてないです。即日開通してくれっていう声がまだまだ多いです。これはいずれ叶えたいと思ってます。
ちょっと面白い話で、いまAWSを使って約1年ちょっと経ちましたが、利用者スキルにも、ばらつきが見られるようなりました。先ほどみたいないクラウド先輩みたいな人たちは、ちょっと話せば全部わかってくれますし、プロトコルも合います。
ただし、今までオンプレミスでハウジングでやってた方ですとか、自席の横にサーバを置いて運用してた方、そんな方はいきなりAWSと言われても全然わからない。そんな人のほうが全然多いですね。1対9ぐらいの割合でそういう人が多いです。そういう人たちに向けてきちっと説明していかなければ、全社として効率は望めないんですね。
こんなことがありました。「AWSの富士ゼロックスのハイブリッドクラウドを使いたいです」「いいですよ」「AWS上に環境一式作ってください」「いいですよ、作りました」。その後、ちょっと困ってます。インスタンスを立ち上げて消して、さらにはあのサービスを追加して、このサービスを連携させる。そういったことをやりたい。
「わかりました」「その手順書をちゃんとオフィシャルに作ってくれないか」手順書、Googleを見てくれって話なんですけど、本当にこういうことがあるんですね。要はSIerさんにどっぷりお願いしていた時代から、まだまだマインドが抜けきってない、マインドセットができてないいい事例だと思います。こういうの本当に多いです。
そして、いままでがちょっと調子悪い話なんですが、実績としてはまずまずの結果が出ていると思います。AWSを導入した後、我々がテナントと呼んでいる利用者、社内の開発者、1システム1サービスと考えていますが、それは急増しました。
2014年に開始して、数字にして189パーセントの伸びです。そしてコストに至ってはそのテナント1つ当たり、システム、サービス1つ当たりのコストというのは、データセンターコストとして30パーセント以上、下がっております。非常に効果が出ています。
もっと効果を得るために我々はプロモーションと呼んでますが、社内に向けての認知活動、これが非常に大事かと思っています。よくあるあいさつみたいな話ですけど、こういったものになぞらえてきちっと社内だとしても、プロモーションは仕掛けていくべきだろうと考えています。それによって最終的にはスケーラビリティーのメリットが僕たちに得られるので、これはきっちりとやっていきたいと思っています。
少しだけ今後についてお話しさせていただければと思います。我々は、先ほどビデオで女性が申し上げておりましたが、マルチリージョン、ただしAP圏、アジアパシフィック領域での事業を展開する会社でございます。もちろんお客様は海外にもたくさんおられる。そして我々が提供するクラウドサービスも対象はそのお客様も含んでます。
ですので、いま東京リージョンからすべてのクラウドサービスを提供してはおりますが、そうではなく、お客様の近しいところで、そのサービスのフロントを持っていきたいと考えています。
例えばシンガポールのAWSリージョン。シドニー、香港に展開できるようにしていきたいと考えています。AWSさんのマルチリージョン化、これは切に望みます。また、我々はクラウド統括という役割のもと、用途に応じてクラウドサービスをフラットに評価して、フラットに適用していきたいと考えてます。この2軸が我々2015年度の主な施策の柱としています。
これが最後のスライドになります。私たち富士ゼロックスは、言行一致という考え方を常に持ってます。自分でやったことをお客さまにも提供していく。言行一致。我々がいまAWSで培ったノウハウをお客さまにも提供できる段になってきたと考えています。
これは必ず入れてくださいと言われた宣伝のスライドなんですが、文書管理のソフトウエア、従来であればオンプレミスで動いていたソフトウエア。これがようやくAWS上で構築できるようになり、それを保守運用できる体制が整いました。
サービスとして4月からローンチさしていただいております。もし会場にお越しの皆さんでこういったサービスをご入り用な方は、ぜひ出入りの弊社の営業にお問い合わせいただくか、私に直接お問い合わせいただくかどちらでも構いません。ぜひ弊社担当にご相談いただければなと思います。
私からは本日、以上となります。40分という短い間でありましたので、たくさん伝えたいこともございました。たくさん駆け足でお話しした部分もあるかと思います。この後、Ask the speakersのコーナーに私がおりますので、ぜひ気軽にお声がけいただいて、ご質問なんかもいただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
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