2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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赤塚大典氏(以下、赤塚): 改めて私の自己紹介を少しだけさせて頂きたいのですが、Mozilla Japanというところで研究員をやってます。慶応大学SFCと中央大学で非常勤講師をさせて頂いております。元々はプログラマーなんですが、工専を出ていまして、フライス盤とか旋盤とかをいじっていました。
ちなみに皆さん、ネジを作ったことがありますか? 蕎麦を作ったことは? なんて(笑)。私は蕎麦屋とか溶接屋を経て、プログラマーになりました。今はWebの新しい領域を模索する研究をしております。
作ってきた物をちょっとご紹介したいんですけど、これはWebサービスです。FireFoxというブラウザを使います。それでダウンロードがされたらIPアドレスをとって、それをリアルタイムに視聴覚化するというサービスですね。
これまでダウンロードというと、「1日何万件」といったデータしか無かったんですけれども、場所と時間でマッピングすることによって、どのようにダウンロードされているかがわかるようになりました。
これは2011年かな、シーグラフアジアのアートギャラリーに出した物です。
また、Firefoxが提供しているところですが、Webブラウザは1つのWebページを視覚化するためにさまざまなプロセスを経ています。
そのプロセスのなかには人には見えない情報も潜んでいます。クッキーや知らず知らずに張られたネットワークとか、ガベージコネクションなど、いろんなプロセスがあってWebページは構成されていますが、その見えない情報を見た目ではなくて、このように表現しました。
これはあるお酒なんですが、たとえばクッキーをいっぱい食わされちゃうサイトではすごい強いお酒がバッと垂れてくるとか、ネットワークが多いところでは薄いお酒がポトポト垂れてきたりとか。そのWebサイトならではのカクテルができあがるカクテルサービスみたいなのを作りました。けれども、総じておいしくはないです。
(会場笑)
あと、新しいWebの入る領域として、Fabに注目しています。これはそのFab Naviというもので、物を作る、組み立てる過程を支援するプロジェクトなんですが、ある人が物を組み立てる状態をカメラとか写真、あるいはビデオに撮って貯めておきます。
その次に、作りたい人がこの椅子に座った時に、同じサイズで投影をしますと、最初に作った人の手が写るので、その人の手と自分の手を同じように動かして物を掴んで組み立てていけば、結果的に物が組み立てられるというシステムです。これを明治大学と函館みらい大学の先生と一緒に製作しています。
これ、全部映像です。この手のとおりに動かしていけば、結果的に組み立てられています。そういうシステムです。こういうことをやってきています。
もう1つ紹介したいのはMozillaという団体です。皆さん、Mozillaはご存知でしょうか……2人、4人、5人、ありがとうございます。
次にFirefoxはご存知でしょうか。さらに言うと使っている方はいらっしゃいますか? いつも弊社製品を使って頂いて誠にありがとうございます。日本でのシェアは今2割強と言われていますが、ここは日本とだいたい同じぐらいのシェアを持っているということになります。
僕たちは、こういうThunderbirdとかFirefoxといったWebブラウザを提供している組織で、一番大きなミッションというのは、「We're building a better Internet. Our mission is to promote openness, innovation & opportunity on the Web.」ということです。
これは、より良いインターネット環境を作っていきましょう、そしてWebにおけるオープン性、革新、機会を促進していきましょうという意味です。
このミッションに沿って、先ほどのFirefoxがあって、Thunderbirdがあって、今の僕も活動しています。
最近のWebについてちょっとだけお話しすると、これはWebにまつわる仕様の束です。例えばHTML5とか、上のほうにいくとWebGLと言って3Dをやるための仕様。
下のほうに行くと、RSSとかRDFとか。これは、もう少し狭いティクスを持ったWebの仕様です。下のほうは、CSSというスタイルにまつわる仕様とか、EcmaというのはJavaScriptとかスクリプトのための仕様。一番外側、右側のほうになると、ラジオとかNFCとか、いろんな物がありますけれども。
これを見ていくと、そもそもWebブラウザの中だけの仕様だったのが、どんどん外側にいっていて、例えばデバイスとのやり取りとか、実世界とのやり取りをもWebで取り込んでいこうという流れが、この仕様を見てもわかると思います。
そういう意味では、このWeb of Things、Internet of Thingsは必然的な流れで来ているのかなと考えています。
現在、IoTとかWoTに関して、本当に様々な製品が出ています。全部はさすがに載せきれないので、いくつかかいつまんで持ってきました。
例えば、左上のiPoTとかは見守りですね。お祖母ちゃんの家に置いていて、ポットを押すとそれがトリガーとなってメールが飛んでくる。
ある意味、今考えられるIoT、見守りの先駆者的な象印さんの製品です。隣の物は赤ちゃんの状態を調べるおしゃぶり。
あとは犬のための物とか。稲の健康を見るための物であったり。左下は、もう少し産業を効率化していきましょうというもので、コマツさんのKOMTRAXです。e-KAKASHIは農業をいかに効率化できるかといった時に、湿度や温度、いろんな物をセンシングしてやっていきましょうという物です。
あとは家電です。AIKOとかYERAとかViewとか、そういった物。一番右に行くと開発関係としてmesh、ソニーさんのmeshとかコネクト、様々な物がIoT、WoTを取り巻くところまで来て、効率を上げたり、お金を生んだりしています。
そして、こういう物が、よりWebで繋がっていってお互いに連携をしていくことが、「Web of Things」の肝となっていくのかなと思います。
ですが、いま特に議論が注目されているのが、この線の部分なんです。いかにデバイスを発見できるか、そして発見した後にどういうプロトコルで通信できるか、というところが今の議論の中心になります。
そして、むしろデバイスそのものもWebのほうに開放して、デバイスをWebで作っていけるようにしていきたいというのが、僕たちのやっているプロジェクトになります。
それが、MozOpenHardというプロジェクトで、コンセプトとしてはこうです。Web開発者というのはもはやWebページだけではなくて、デバイスも作れるようにしていきましょう、と。そのために、こういうWoTデバイスを作るためのボードとかを作っています。
ちなみに、JavaScriptわかる方いらっしゃいますか……いらっしゃらないですか……本当はいらっしゃいますよね、多分。
右のやつはソースコードなんですけど、このソースコードはLEDをアップリンクするためのLチカ(エルチカ)をするためのソースコードです。こんな感じで、今Webテクノロジー、Webの言語を喋れる人はすぐにハードウェアを制御できるようになっていく世界を作っていきたいと思っています。
なぜ僕たちがここまでデバイス作りに執着するかと言いますと、このWebの革新も、やはりデバイスが牽引してきた側面があるからだと思います。
そもそもワークステーションがあって、その後パーソナルコンピューターに発展した時に、例えばゲームとか音楽とかエンターテインメントとかで、Webが使われるようになった。そのためにWebは革新、新しい技術が盛り込まれた。
今、例えばタブレットとかスマートフォンが出てきて、持ち運べるようになって、またWebの使われ方が変わって、Webの技術も進化してきています。こういったように、そのデバイスがWebを進化させていき、Webが逆にデバイスを進化させていくという、引っ張り合いの関係にあると思ってます。
そして、今後Web of Thingsの時代になっていく。ですから、そのThingsのところには重きを置くべきだと思っていまして、その多様性を目指したいと思っています。Web Centric Deviceと書いていますが、むしろ、あとでお話しするWebを中心としたデバイスというのを作っていきたい。
その多様化が今後のWeb of Thingsの世界を作っていくんだろうし、そこが一番おもしろいところなんじゃないかなと考えています。
それで、これを推していくためにFabという考え方を入れています。
Fab Lab(ファブラボ)というのはご存知ですか? MITから始まった、「自分の身の回りの物は自分たちで作る」というムーブメントであって、3Dプリンタとかレーザーカッターとかを用いて、ほんとにいろんな物を作ってます。
このFab Labっていうのも世界中で今300くらいになりまして、日本でも10何か所かのFab Labがあります。彼らもやっぱりコミュニティベースで物作りをしています。
僕たちWebあるいはWebブラウザも、コミュニティベースで物作りをしていますけども、そういう意味ではとても親和性が強いと思いますし、Web of ThingsのWebはMozillaも強いんですけども、Thingsはやっぱり彼らの方が相当強いんですよね。
そういう意味では、彼らの考え方とWebの考え方を混ぜていくと、より良いWeb of Thingsのデバイスができるんではないかという仮説に基づいて、彼らとも一緒にプロジェクトを進めています。
我々だけでなくて、政府のほうもかなり注目しています。例えば、ドイツのインダストリアル4.0なんかはIoT、WoTを促進するためにFab、つまりそのユーザーがいかにそこに入っていけるか。
カスタマイズや3Dとかが重要だという位置づけで考えられていますし、総務省のほうでもFab社会という研究会がありますけども、そういった議論がされています。バルセロナのほうではFab Cityという考え方で、町全体をFabあるいはIoTで埋め尽くしていくシティを作っていこうとされています。
そして、そういった背景に渡る僕たちの活動は大きく4つあります。開発環境を作っていきましょう。標準化していきましょう。ワークショップをしましょう。あとは、いろんなユースケースを見つけていきましょう。
開発環境というのはまさにこれですね。CHIRIMENという開発環境、このボードを含めてそうなんですけども、WoTのデバイスをいかに作れるかといったようなボード、開発ボードを作っています。
これの特徴は、Webブラウザだけでなく、いろんなセンサーとかアクチュエーターもHTML、JavaScript、CSSで制御できるようになっていきます。というように、すべてをWebテクノロジーでやっていきましょうというのが、この開発環境の大きなメリットです。
なので、今Webのことが話せる人、JavaScriptが書ける人は、すぐデバイスの制御ができるようになっていくということになります。
あと大事なのは、スタンダライゼーション、つまり標準化なんですが、僕たちのゴールはこれが一杯売れるということではなくて、HTMLとかJavaScript、CSSでいかにデバイスにアクセスできるか、そして、そういうデバイスをどれだけ増やせるかということです。
そのためにはAPIなどを標準化する必要がありまして、今W3CというWebの標準化団体に対してプロポーサルを行なう準備をしています。
それからWeb of Things Interest Groupというのもあって、メンバーもここに入っていて、どういうAPIが良いかとか、どういうユースケースを考えるべきだとか、もちろんセキュリティのことも考えながら、W3Cの皆さんと一緒に考えて、新しいAPIシーン、新しいWoTの生き方を作っています。
ワークショップとかはもういろんな所に行きました。台北、東京、ニューヨーク。あと、大学さんとか専門学校さんとかはいろんな所に行って、ワークショップを行なってきました。
あと、ケースですね、ユースケースですけど、IoTのデバイス、WoTのデバイス、何か考えてくださいと言うと、何でも逆にいうと考えられちゃうんですよ。
それで、あまりにも考えられすぎて、何にも考えられない状態になっちゃった。知識がたまらない状態です。なので、僕たちはある意味、仮説を立ててそれに沿って物作りをしていこうと考えています。その1つがこのWeb Centered Device、あるいはWeb Centric Deviceという考え方です。
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