2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小林雅氏(以下、小林):非常にいい話……特にFiNC、最高でしたね。非常にリアルな感じがあって、いいなと思いました。どうもありがとうございました。
では早速、質疑応答をしたいと思うんですけども、ぜひ質問したい人、手を挙げてください。じゃあ、そこからいきましょうか。
質問者1:貴重なお話ありがとうございます。僕、結構人から嫌われる質で、お伺いしたいことが、「どうやったら周りの人に自分のファンになってもらうか」の、ただ情熱を語る以外の小賢しいコツみたいところを伺いたくて。というのも、たぶんスタートアップとかベンチャー企業、会社の顔の人にはそういう「愛される力」みたいなところが必要なのかなと思っていて。
例えば、投資家や先輩の起業家に相談を受けたり、事業の提携をしてもらったり、採用のときも、やっぱり肩書きや能力じゃなくて、自分より優秀な人を採らなきゃいけないとか。そういうときに必要なのは、その人の人柄なのかなと思っていて。
小林:なるほど。いい人柄、人格になるには、ファンを作るにはどうしたらいいんですかと。どうしましょうね。
佐々木大輔氏(以下、佐々木):小賢しいというか……僕は笑顔の英才教育を受けていて、うちは両親が自営業で、母親は美容師なんですね。
小さい頃、うちの実家の1階に美容室があるので、寂しくなると構ってもらいにお店に行くんです。そうすると絶対に親に怒られるんですね。「店にくるんじゃない、迷惑だから」と。それでも僕が泣きじゃくっていたら、だんだんうちの親が懐柔策として、「わかった。ただし、お店にきたら絶対に笑顔でいなさい。ニコニコしていなさい」と。
「子どもがニコニコしてたらお客さんもハッピーになるから、それだったらいいよ」ということを言ってくれて、小さい頃は寂しくなると、とにかくつらいときでも笑顔でお店に行くというのをやっていたんですね。
それは今思うと、結構いい示唆になっているんじゃないかなと思っています。わりと僕は普段ニコニコしていて、本当はイライラしているときでも、そういうふうに思われなかったりするみたいなことがあって、それは1ついいところなんじゃないかなと思います。
一方で、僕はそのせいで、中学の頃ラグビー部に入っていたんですけど、ラグビー部で試合中に「佐々木、ニヤニヤしてるんじゃねえ!」って言われて、そのまま試合から降ろされました(笑)。こういうこともあるから、デメリットもあるかもしれない。
小林:どうですか、池谷さん? ファン作り。
池谷大吾氏(以下、池谷):笑顔、いいですね(笑)。これも1つの手だと思うんですけど、とはいえ自分で無理するのも難しいと思うんですよね。でも、少なからず気が合う人っているじゃないですか?
僕は別にたくさんモテる必要って……モテたほうがいい場合と、別にモテなくてもいいんじゃないかという考えもあると思うんですね。だから数少ない、1人かもしれないその人とどっぷりやるというのも手かもしれないですし。
僕らも例えば資金調達とかするわけですけど、決して別に八方美人なわけではないんですよ。やっぱり気に入ってくれる人に好かれたいって思って、好いていただいて投資とかいただくんですけど、皆さんから投資いただけないわけなんです。
なので、僕は数じゃないと思っていて、質のほうが重要だと思っているんで、やっぱり自分と気が合う1人とか、そういう中でのちゃんとした信頼関係を築いて、大小じゃないと思うので、そこを貫き通すことも重要かなって思います。
小林:どうですか、溝口さんは?
溝口勇児氏(以下、溝口):僕は元々スポーツクラブでトレーナーやってたり、何10人とか、多いときは何100人の前でレッスンの指導とか、ヨガやキックボクシングを教えてたんですよね。
テクニカルでいうと、やっぱり笑顔は一番ですね。これは本当にそうだなと思っていて。あとは声がボソボソしているのは良くないですね。あとは、人の話を聞いているときに、「何考えてるんだろうこいつ」って思われないようにすることですね(笑)。
例えば、僕のことをいうと、比較的喜怒哀楽がはっきりしているタイプです。本当にどんなに目上の人でも、頭きたら「頭きた」って顔するし、一方で「すっごい言ってることわかるな」と思ったら、ものすごく頷くし。何考えてるかわからないというのは、結構とっつきづらいみたいなのがあります。
僕が参考になるかわからないんですけど、僕は比較的敵も味方も多いという感じのタイプなんですけども……吉田浩一郎さん(株式会社クラウドワークス社長)寄りですかね(笑)。
吉田さん寄りだとよく言われるんですけど、僕は媚びる人間ではないですし、別に自分を良く見せようとも思っていないくて、そのまま素で、誰に対しても直球、本気でぶつかっていくタイプです。それに何か小賢しさとかを感じなければ、例えば上の人であればあるほど、みんな器が大きいので、そのまま本気でぶつかってくれますし、受け止めてもくれます。
ただあまり考えすぎないで、最低限のテクニカルスキルというか、最低限の態度、コミュニケーションスキルを学んだあとは、本気でぶつかることがいいんじゃないかなと思いますね。ちょっと定性的ですけど。
小林:大丈夫ですか、悩み解決しました?
質問者:解決しました。大丈夫です。
小林:ほか、じゃあ真ん中の人。
質問者2:現在、私はスタートアップの企業でインターンをさせていただいています。スタートアップで働くこと、それからファーストキャリアとしてスタートアップを選んだり、起業したりするということが、実際にはどういうものなのかといったことをお聞きしたいです。
質問の背景と致しましては、私が現在大学に在学しているんですけども、大学ではやっぱりスタートアップで働くことの不確実性というところを気にしていたり、実際にエリート思考みたいなところから、あまりスタートアップは選ばずに大企業にいくというような背景がすごくあると思います。
学生が思っているイメージと、実際に働かれている現場ではどのような違いがあるのかといった点をお聞きしたいと思います。
小林:なるほど。ちなみにこの中で、起業を除いて、「スタートアップにいきたいんだけど、やっぱり大企業がいいかな」と思ってる人ってどのくらいいらっしゃいます?
結構いらっしゃいますね。大企業の定義もあると思うんですけども、ほかの人はみんなスタートアップがいいんですか? スタートアップがいい人?
やっぱおかしいですね、みなさん。世の中の母集団とちょっと違うような気がしますけど(笑)。スタートアップと大企業で、大企業経験者の2人いきましょうか。池谷さん、どうですかね?
池谷:さっき不確実性の話をされたと思うんですけど、「大企業だからって確実なのか?」という質問なんですよね。
僕はHP(ヒューレットパッカード)という会社にいて、世界に15万人従業員がいる、今でも偉大な会社ですけど。ただ日本ヒューレットパッカードという会社は、僕がいたときには高井戸に自社ビルを持ってたんですが、今は大リストラをしまして、僕の上司は全員もういないですね。
同期も半分ぐらい辞めてしまって。今は錦糸町というかなり奥深いとこに、雑居ビル……雑居ビルじゃないな、そこにオフィスはあります。この前、高井戸は結構思い入れが深いので自社ビルがあったところに行ったら、なんとマンションが建ったんですよ。つらいですよね。自分が新卒でいた会社……今はマンションですよ。「これ、確実性なんですかね?」ということです。
なので、僕の中ではあんまり確実性というのは、企業の大小では関係ないのかなと思っています。それよりも、変化が激しい社会だというのは間違いないので、やっぱりそこで経験することがすごく重要なんじゃないかなと思います。
スタートアップの人たちってやっぱりみなさん、勢いがいいじゃないですか? さっき言った、可能性がすごくあるんだという意味だと、日々のチャレンジがどんどん変わっていくというか、見る景色がどんどん変わっていくというのが1個、良さだと思うんですね。
同じ1年間いる中でも、経験少なくやっていくのか、もしくは毎日毎日起こる問題が違って問題解決を続けるのか、いわゆる脳を使うかどうかというと、僕はスタートアップにいったほうが成長速度は上がるんじゃないかなと考えてます。
決して大企業にいくことを否定はしないんですけれど、確実性という話はそんなに変わらないし、であるならば、経験豊富なほうが良い。つらい思いもあるでしょうし、成功体験もあるんでしょうけど、そういう経験を積むこと自体がすごく尊いのかなと思っている意味でいうと、打席数が多いスタートアップのほうがいいという点もあるかなとは思いますね。
佐々木:僕はスタートアップでインターンをしたあとに大企業に就職したんですけど、さっきのお話の中でもちょっと言ったんですけど、一番ショックだったのは、あるプロジェクトのミーティングのときに、「じゃあ次のミーティングまでにこれやります」みたいな、分担をしていくんですね。
僕が「じゃあ、これとこれと、これやらせてください」って言ったら、「いや、君2年目だよね? 佐々木くん。いいよいいよ、これだけやっとけばいいよ」って言われたんですよね。それがすごくショックで。
僕が大学のときにいたスタートアップというのは、大学生であっても一切差別なく、僕がどんどん成果を出すから、僕にはより難しい課題というのが与えられるんですよね。
そういった意味で期待値が非常に高い、期待してくれる。成果を出す人にはどんどん高い期待をしてくれるという環境がやっぱりスタートアップなんじゃないかな。大企業はもうちょっと、全体的に安定した成果を出さなきゃいけないので、もう少し、しっかりみんなを育てていくといったところがあって。
しっかりみんなを育てていくにあたっては、わりかし無限な期待値みたいなのを持たせちゃうと潰れちゃう人もいるので、そっちに合わせるというふうになっていってしまうんですよね。だからやっぱり、そこが大きな違いかなと1つ思います。
あともう1つ思うのは、僕が就職活動をした2003年か2004年って、その頃は確かにまだまだ「大企業は新卒じゃないと入れないよね」という時代だったと思うんですけど、今違うと思うんですよね。今は、別にスタートアップで「いい経験をしました」と。
もちろん、あんまり良くない経験もあるのかもしれないんだけれども、ちゃんといいスタートアップにいて良い経験をして、いろんな失敗もして自分で打席に立って球を打って、そこから学んでいる人は、きっと大企業はめちゃめちゃ欲しがると思うんですよね。それはたぶん、今の社会だと自信を持って言えるところなんじゃないかなと思います。
小林:大丈夫ですかね、溝口さんありますか?
溝口:僕は大企業を経験してないんですけども、うちは大企業を経験している人がいっぱいいるんですよね。大企業とかスタートアップとか、あまり関係ないと思うんですよ。いわゆる安定って一番は自分の能力だと思うんですね。そうすると「能力が磨ける環境かどうか」ということだと思っていて、会社を選ぶときはその確率を上げていくことだと思うんですね。
例えば今、佐々木さんがおっしゃられたように、実際に自分が身を置こうとしているスタートアップだった場合、ちゃんと成長できるのかと。その確率を上げていくためには、例えば一流のベンチャーキャピタリストの人が目利きした会社というのは、当然ですけど、そういったフィルターがかかってますよね。経営陣が優秀、あるいは経営者が優秀だとか。あるいは、市場が有望だとか、事業も進捗してるとか、経営者のバックボーンが非常に長けてるとか、そこを支援してくれているアドバイザー、あるいは社外取締役が非常にすばらしい方だとか。
そういった環境であれば、かなりフィルターがかかっていますので、そこでそもそも何10人か、あるいは100人くらいの会社だったら、そういう非常に能力の高い人たちと近くで働けるわけですよね。
ですから、大企業とかスタートアップ関係なく、自分自身の能力を上げることが重要で、その確率をどう上げていくのかというのは、ここにいる人たちとか、いろんな人に相談すればいいんじゃないかなと思います。
小林:あとは大企業のプロモーションがうまいというわけじゃないんですけど、結局自分の実力なのか、会社の実力なのかというのが結構あって。いわゆる会社の看板みたいなのが。例えば銀行とかって、極論すると銀行というシステムがすごい。資産規模がすごいのであって、働いている人がすごいかというと、必ずしもそうではないわけじゃないですか?
例えば、その人が違う小さな規模の銀行に移って同じパフォーマンスが出るかというと、必ずしもそうではないわけですよね。もちろんできる人はできるかもしれないんだけど、ほとんどの人はそうじゃないと思うんですよね。会社に依存している人が多いですね。
そうすると、仮に会社をクビになりましたとか、自分がやりたくない仕事を振られたとき、「そのあとどうするんですか」と言われたときに、ものすごい不幸な未来というか、絶望感を味わいながら電車に乗っていく生活が待っているわけですよ。
だからそういうのを待つかどうかというのじゃなくて、自分で切り開くかどうかというのが、ある意味スタートアップの醍醐味だったし。働く以外、それから起業していくとかあると思うんですけども、そういったものがやっぱりこの辺のメンバーにはあるのかなと思いますけどね。典型的な質問をありがとうございました。
質問者:ありがとうございます。
小林:結局、どっちにいくんですか?
質問者:まだ決められないんですけど……。
小林:まだ迷ってるんですか?
質問者:自分の可能性を高めるというところで、これから選んでいきたいと思います。
小林:仮説を決めなきゃいけないですね。「俺はスタートアップがいいかどうか」とか、意思決定の速さというのが、ものすごい人生を左右しますね。
当たり前なんですけど、将棋の駒とかでものすごく早くしていくと、どんどん思考回路が早くなるじゃないですか? トライ&エラーがすぐできるので、「どっちがいいかな」と1年くらい迷ってる人と、1日で「俺、スタートアップがいい」と言った人は、ぜんぜん1年の過ごし方が違うじゃないですか? だから、そういう結論というか、考えを早くしていったほうがいいんじゃないかなと思います。
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