2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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西川順氏(以下、西川):初めまして。エウレカの西川と申します。よろしくお願いいたします。
今日、「女性ファウンダーが語る」的なお話があったんですが、よくよく考えてみたところ、私が女性であることがエウレカの組織作りに大きく影響しているかというと、実はあんまりなくてですね。性別の話はそんなに出てこないと思うんですが、過去と今、エウレカがどういう組織作りをしているかというのをお話できればと思います。
まず、エウレカという会社をご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので、簡単に説明させていただくと、2008年11月に設立し、今7期目になります。
今、従業員数が90名になりまして、メイン事業はオンラインデーティングサービスの「pairs」と、カップル向けSNSの「Couples」を運営しています。海外法人は、台湾とシンガポールにあります。
代表の赤坂は、いろいろなところで講演をしたり、取材を受けたりしているのでご存知の方も多いと思うんですけれども、私は実はこういうところで話すのがほぼ初めてなんです。業界のこういう場に今まで敢えて出ないようにしていたので、私が誰なのかというのを、簡単に自己紹介させていただきます。
今年40歳なんですけど、25歳でネット業界に入ったので15年くらいこの業界にいます。外資2社を経て、オールアバウトとサイバーエージェントにもいました。赤坂と知り合ったのが、31歳のときに転職したイマージュ・ネットというECの会社です。そこには、赤坂は新卒で、私は中途で入ったんですけど、私は実は赤坂の上司でした。
起業したのは33歳なので7年前です。それまで起業する気なんかまったくなくて、「普通にそこそこ優秀なサラリーマンとして生きていこう」と思っていましたが、赤坂と知り合ったので起業することになり、逆に赤坂と知り合ってなかったら起業してなかったと思います。
西川:エウレカという会社は、日本の他のベンチャーと違うかなと思う特徴がいくつかあって、まず1つ目は、今までベンチャーキャピタルを1社も入れず、自己資金のみで経営をしてきたということです。今年の5月にUSの会社にバイアウトしたのですが、それまで株主は赤坂と私しかいない状態でした。
もう1つは、主軸事業を変えながら成長してきました。それはちょっと次のページでお話します。
最後の1つは、1サービス突破型の会社ではないです。「サービス名イコール会社名」という形でやっていくっていうことを考えてない会社です。
今までのエウレカの歩みは、最初にベンチャーキャピタルは入れないと決めたので、自分達で稼ぐために、できることをやっていかなきゃいけないというところからスタートしました。メディア事業を始めて、その後メディア事業と広告代理事業を重複して始めて、広告代理事業の売り上げが増えたときに受託開発を始めて、受託開発がうまくいき始めたときに「pairs」に投資をして、という流れです。
「pairs」事業が相当うまくいき始めてやっと受託開発を撤退したんですけど、実は今年の2月に最後の受託案件の納品をしたぐらい、つい最近まで受託をやってました。
西川:受託での売り上げがかなりあったので、すべての資源集中を「pairs」へ舵を切るのが会社としてリスクだなと思っていました。2つの事業を並行して走らせる、事業収益の柱を2つ以上持つ、というのがエウレカのポリシーとしてあります。今は「pairs」と「Couples」2つで収益を上げています。
「pairs」は会員数が今、日台合計で260万人、「Couples」がダウンロード数270万を突破しました。
先ほどちょっとお話したんですけど、今年の5月11日に米国のIACにバイアウトを発表しました。IACはニューヨークにある会社なんですけども、皆さんご存知なものでいうと「Vimeo」「Tinder」「match」などを持っている会社。
バイアウトはしたんですが、彼らはローカルに経営をすべて任せ、カルチャーをものすごく大事にしてくれる人たちなので、実は事務手続き的なことと、US税制へのアジャストメント以外は、基本的に何も口出しをされていなくて。
今まで通りビジネスを成長させていくという意味で何も変わらないのが実情です。「本当にこんなに口出しをされなくていいのか?」っていうくらい、何も言わない人たちです。
なので、引き続きエウレカという会社のカルチャーを維持しながら会社を成長させていくということは、変わらないでずっとやっていかなきゃいけないということです。
西川:そんなエウレカなんですけど、どうやって今まで会社を作ってきたのかっていうのをちょっとお話したいと思います。セッションが2つに分かれているということで、1つ目の「経営チームの作り方」を先にお話できればと思います。
私も赤坂も「経営チームを作ろう」と思っていたというよりは、最初は、会社を作ってしまったので稼がないと食べていけないっていうだけでした。VCも入れないって決めちゃったので、とにかくひたすら必死でやった結果、今の経営チームになっただけで、戦略的に最初から経営チームを作ろうと思ってやっていたのとはちょっと違いますが、これはどのベンチャーもある程度同じかなと。
一番最初は、経営チームといっても社員も1人しかいませんでした、4畳半ぐらいの恵比寿のレンタルオフィスで会社をスタートしたんですが、本当に狭くて、隣のテナントの人の喋ってる声も聞こえるぐらいすごく狭い。狭くて薄い壁のところから始まりました。
西川:私たちが最初に決めたことが3つ大きくあるんですけど、1つは共同経営で出資を2人ともしているんですが、共同代表には絶対にしないというのを私から提案をしました。なぜかというと、最終意思決定者が複数人いると絶対揉めると思ったのと、私は完全にナンバー2タイプなのでそれに徹したかった。
もう1つは、私は自分の意見をすごくはっきり言うタイプなんですが、最後に赤坂が決めたことには絶対に従いますと。上下関係を明確にしないと仕事がしづらくなるなと思ったので、そこも約束をしました。
もう1つが、「2人で同じ人脈を築かない」っていうのがあります。時間もないしお金もなかったので、2人の時間を最大化するために、同じアポイントや会食に2人で行くとかっていうことを限りなく排除して、違う人脈を築くことによって会社としての人脈を多くするっていうのを意識してやっていました。
今思うと、こういう指針を決めていたので、あまり後で揉めるっていうことがありませんでした。逆に決めないで、仲が良い人で会社をスタートさせている人たちを見てると、後で揉めているパターンがすごく多い気がするので、指針があると逆にビジネスパートナーとして信頼関係が崩れないかなと思います。
決めごとは口頭でも明文化でも、何でもいいと思うんですけど、何かしておいたほうがいいのかなっていうのは今になって思います。
今は社員もすごく増えてるんですが、私と赤坂2人の経営チームの特徴はどういうものがあるかというと、正直、私は他社の経営をしたことがないので、これが本当に独自なのかっていうのは相対的には言えないまでも、客観的に見るといくつかあります。
男女脳を活かしている、性格が真逆、言いたいことを言う、ドSとドMっていうのと(笑)。突出型と超ジェネラリストという5つが特徴かなと思ってます。
1つずつ簡単に説明していくと、男女脳っていうのは男性脳と女性脳っていう意味で、性別の話とまたちょっと違うんですが、脳みその作りがどっち寄りか、という話です。
私はすごく男性脳な女性で超ガサツなんですね。
一方、赤坂は繊細な男性なので、お互いの役割を変えたときも成立するっていうのがあって、私は6:4ぐらいで女性脳のほうが多くて、赤坂が6:4で男性脳のほうが多いみたいな形なんです。
赤坂が夢を語ってそれを実現する大きな地図を描くのがすごく得意で、ザ・社長タイプなんで、私が赤坂の描いた地図をどう実現していくかを考えるという形で進めてはいるんですが、私も男性脳なので、むちゃくちゃな夢でも実現させることを考えられるタイプかなと思ってます。「普通に考えたら、こんなの無理でしょ!」とは基本的に言わないタイプなので。
攻めと守りのバランスでいうと、基本的には赤坂が攻めで私が守りなんですけど、攻守逆転をするシーンがいろんな所であります。それは男性脳・女性脳のバランスなのかなと思ってます。
男女ペアである必要はまったくないと思うんですが、攻守逆転できるというのが、どっちかが体調悪くなったり、猛烈に何か1つの案件に忙しいときにどっちもできるほうが、特にスタートアップの初期はすごく重要なのかなと思います。
次は性格の違いなんです。もし赤坂をご存知の方がいればわかると思うんですけど、すごく神経が図太そうに見えて実はアーティストタイプなので、結構繊細な人です。
逆に私はメンタルがものすごく強いので、あんまり打たれて弱まるなんてことはありません。起業したときは、潰れたらどうしようっていうことは赤坂はよく言ってたんですけど、私は、心の底から「会社が潰れても、本当に最悪の場合でも死なないし」と思ってたんですよ、もちろん会社は潰したくないですが。
でも、それを本気で思ってる人がずっとそれを言い続けると、本当に死なないし大丈夫だ、潰れたときのことではなく、上手くいかせることを考えようとなってくるものです。赤坂は繊細だからこそ細かいサービスのディレクションもできると思うので、その性格の違いで私と赤坂はすごく相性がいいなと思ってます。
もう1つ、言いたいことを言うっていうのは、先ほどお話したみたいに私は元々赤坂の上司だったので、言いたいことを言える関係性っていうのがあります。
すごく喧嘩もしますし、私のほうがどちらかというと言いたいことを言ってる回数が彼よりも多いのですが、一番最初に言ったみたいに、確定したことに関しては文句は言わないというふうに決めてます。
西川:ドS・ドMについて、これも性格なんですけど、赤坂がむちゃくちゃな案件をぶん投げてくることが、特に受託のときに本当にあったんですね。「炎上しそうなんだけど、これ西川さん巻き取って」とか。でもそういうのが私、結構好きなんですよ。
大変なものを巻き取ることにすごく満足感を覚えるので、ぶん投げられて「何で、この人はこんなことするんだろう?」って思っちゃう人だと、多分赤坂のパートナーとしてもうまくいかなかったのかなと思います。
突出型とジェネラリストでいうと、赤坂はビジネスセンスとグロースハック能力が非常に高い、すごく優秀な人だと思います、一方、私にその能力は赤坂ほどなくて、どちらかというと、やったことのない分野も好き嫌いなく、大体すぐ80点取れるタイプです。
なので、今まで営業もやってましたし、受託のプロデューサーもやってましたし、「台湾版pairs」の立ち上げとか、細かいクリエイティブのディレクションとかもずっと何でもやってたんですけど、すべてにおいて赤坂に勝てるかといったら、事業面では赤坂のほうが圧倒的に上だったので、何でも彼から引き継いで、すぐ80点から90点取る、その後100点にしていく、みたいな形でやってました。
西川:今はもう、私は事業はまったく見てなくて、会計・経理・人事・労務・法務というのをメインで見ています。会社が大きくなったので、バックオフィスの重要性がすごく増してきていて、今私がそこを統括して見ているということになります。
プラス、英語ができないとIACとのやりとりはできないので、彼らとコミュニケーションを取るのは、英語がある程度できる私が全部やっています。
赤坂はこのバックオフィス系があまり得意ではないというか、どっちかというと好きじゃないので、私の仕事としては社長としての赤坂の能力を最大化するために、彼ができないことを全部やるっていうのが取締役としての仕事、ビジネスパートナーとしての仕事かなと思っています。
簡単な結論なんですけど、「ナンバー2はナンバー2に徹する」っていうのと「経営陣同士、遠慮しない」。言いたいことを言うっていうこと、「お互いの得意不得意を補い合う」っていうことです。1つ目は特に重要かなと思うんですけど、ナンバー2って会社に必ず必要だと思うんですね。
でも、ナンバー2を楽しめる人じゃないとナンバー2をやるのってすごく難しいかなと思っていて。人間って必ず承認欲求があると思うんですが、会社ってどうしても社長が目立つじゃないですか。
社長ばっかり名前出るし、社長ばっかり「赤坂さんすごいね」って言われるので、もしそれを「私も頑張ってるんだけどな...」って思う人は、あんまりナンバー2に向いてないのかなと。
私は前に出るのが好きではなくて、参謀タイプなので、例えば私のアイデアを赤坂が仮にどこかで話して「すごいですね、赤坂さん」って言われたとしたら「それ私が考えたのに!」っていうことはまったく思わなくて、逆に「私が考えたって誰も知らないんだな、ふふふ」って思っちゃうタイプなんですね。
そういうタイプの方がナンバー2に向いてるかなと思います。ここは、年齢差と性差もあるのかもしれないのですが、赤坂に対して嫉妬も全然ないので、赤坂の成長・成功が会社の成功になるので、それが一番喜べるっていうのがナンバー2に向いてるかなと思います。
西川:あとは「言いたいことを言う」っていうのでいうと、社長も私もそうですけど、人間って神様じゃないので、何もかも正しい判断をできるわけではないと思っていて。
私も間違えますし、赤坂も間違えるとなったときに、お互い「あんた、それは違うでしょ」ってちゃんと言えないと、会社を守れないと思っているので、会社のことを考えてたら、本気で言いたいことを遠慮しないで言うべきだなと思います。
今は人数が増えて、経営チームがちょっと増えたんですが、今4人でやってます。執行役員が2人増えたのですが、赤坂と(執行役員の)中村は事業寄り、西川とCTOの石橋は組織寄りになっていて、これは得意不得意で分けてます。
マクロで見ると、赤坂と中村って元々の人間としての性格がすごく似ていて、私と石橋も性格が似てます。対極にあることを今やってるって感じですね。さらに、赤坂・西川と中村・石橋の違いっていうのでいうと、赤坂・西川はサービスをすごい勢いで成長させる最初のところは得意で、中村・石橋はサービスをより大きくして、さらに安定的に拡大するっていうことがすごく得意な2人です。
西川:いろんなマトリックスがあって、得意なことも全然違って、例えばCTOの石橋はエンジニアなんですけども、まだ28歳なんですが、組織、人事・労務もすごく得意な人です。みんなプロフェッション、得意分野が違うので、すごくおもしろい経営チームになってきたなと。足りないピースを埋め合って、うまくいってるかなと思ってます。
経営チームを大きくするためにどうすればいいのか、私たちもまだ試行錯誤しているんですけど、得意不得意をより詳細に分析することと、足りない部分は誰かが身に付けないとしょうがないので、誰が身に付けるのが最短かっていうのを、4人のチームの中で話し合って決めています。
で、役割分担をしつつも「Aさんがちょっと忙しいときはBさんがその人の仕事ができる」っていう状態がいいと思っていて、ジグソーパズルのピースを埋めていくのと似てるかなと思ってるんですけど。
1つのピースを1人が持っているというのじゃなくて、1人でいくつものピースを持っていて、さらにそれを増やしていくというイメージで、今後経営チームを作っていこうかなと思っています。
セッション1は以上です。たぶんご質問にたくさん答えたほうがいいと思うので、ご質問あれば何でも聞いて下さい。
質問者1:お話ありがとうございました。うちの会社は役員が3名、私が代表者でもう2名役員がいるんですが、2人ともエンジニアです。
先ほど、ナンバー2はナンバー2の仕事に徹するっていうのがあったと思うんですけど、うちの会社は私がナンバー1だとすると、2人は優劣がないんですが、どっちもナンバー2でどっちもナンバー3で、こういう場合ははっきりさせたほうがいいと思われますか? すいません、ちょっと難しいと思うんですけど、よろしくお願いします。
西川:そうですね、うちがナンバー1・2でずっと来ちゃったので、3のパターンがすごく難しいと思うんですけど、今4人でやっていて、執行役員の2人は優劣はつけてないです。
なので、2人にお互いに言っているのは、得意な分野で自分を伸ばしてほしいっていう話はしてるので、どっちが上っていうのは、ナンバー3、ナンバー4っていうのは決めていないです。
お二人ともエンジニアの方ということなので、スキルでもしかして上下がついてしまうかもしれないんですけども、それでいうと同じ職種の場合は優劣をつけてもいいのかなって思います。
全体的・総合的なスキルでの優劣は、下のほうから見たときに、どう考えても2人は同じレイヤーじゃないよねってなっちゃうのであれば、つけたほうが社員を統括はしやすいかなと思います。
質問者1:スキル的に差別化ができるようであればつけないほうがいいけど、できないんだったらつけたほうがいいっていうことですね。ありがとうございます。
質問者2:「遠慮しない」っていうのがあったんですけども、だいぶ大きい会社だと「これは僕の仕事じゃないんで」みたいなのがあると思うんですけど、スタートアップですごくいいなって思う組織は必ず、他の人の仕事を侵食してぶつかってしまう、でもやっぱいいか、みたいなところがあって。
そういうのも、遠慮しないっていうキーワードの意味に含まれているように感じたんですが、そのあたりのエピソードが何かあればお聞かせください。
西川:すごくたくさんあるんですけど、日や月によって誰が忙しいかが違うので、今日はあの人忙しそうだと、お互いの仕事を巻き取るっていうのも勝手にやってますね。「これやっといたから」とか「やっとこうか?」とか。赤坂・西川2人でもやってますし、4人でもやってますね。
例えばオフィス取材、ちょうど月曜日に移転したんですけど、オフィス取材の対応も今回は基本はメインでオフィスづくりに関わったCTOが受けてるんですがそ彼が忙しいときの取材対応は私がやったり、赤坂がやったりとかっていうのはよくあります。
質問者3:ナンバー2はナンバー2に徹することが、承認欲求を持たない人が向いているというようなお話だったと思うんですけども、ナンバー1は社長の赤坂さんで、人に承認してもらうこと以外の、例えば貢献分、ナンバー2として会社に貢献した分のリワードに関しては、ちゃんと赤坂さんと話合いをした上でやっていったという感じなんですか?
西川:もちろん株式比率などの話は最初にしましたが、私は承認欲求がそもそもあまりないので、ないと言ったら嘘なんですけど、承認欲求が強くないんです。
役員になると上司っていないと思うんですけど、私は当然上司はいません。となると、私の評価を誰がするかっていうと、エウレカという会社の成長=私の評価なので、それに喜びを感じられるかどうかじゃないですかね。なので、報酬のことを考えたことはないですね。
質問者4:よろしくお願いします。今の従業員数だとか主力とされている事業の数に対して、4人体制の経営チームというのはバランスとして適切かどうかっていうことと、もし今後経営陣の数が増えていくとしたらどういった判断基準というか、例えば社員の数が増えることなのか、事業の数が増えることなのか、どういった判断で経営陣を増やしていくとお考えですか?
西川:まず社員数に対して経営陣の数が適切かどうかでいうと、適切だとも思いますし、適切じゃないと思うシーンもあって、数を増やせばいいっていうものではないので、今、経営者としての心構えがあって、腹をくくっている人で経営をするしかないと思うので、それでいうと今の4人かなと思っています。
今後増やすとしたら、私は今CFOも兼務してるんですけど、会計とかファイナンスの特別な資格を持ってるわけじゃないので、もしかしたらCFOっていうポジションを増やすかもしれないですけど。
人数に対して役員数を増やすっていうよりは、次のセッションでちょっとだけ話そうかなと思ってたんですが、どちらかというと中間管理職をもっと育てるべきだなと思っていて、経営陣の数はそこまで増やさなくても、150人くらいまではいけるかなっていう感覚は思ってます。
質問者5:今回、よりユーザーを増やすためにバイアウトという判断をされたと思うんですけども、最初の段階でVCを入れずに自己資金のみで進めていくと決めていた強い理由はあるんですか?
西川:2つあって、1つはスピードが落ちると思ったからっていうことですね。それは、誰かに何かを毎回Approval(承認)を取ることとか、新規事業をやりたい、と思ったときに事業計画を出す、っていうのが時間の無駄だなと思っていたからです。
例えば移転をする場合も、「この予算でここに移転をしていいですか?」ってVCに聞かなきゃいけないじゃないですか。それが面倒くさいなと思っていました。
2人とも自分たちで意思決定をさっさとして、さっさとやりたいというタイプだったので、スピードっていうのと、キャラクター的にVCを入れるっていうのが合わないなと思ったのが理由です。
質問者5:本日はありがとうございます。今4名で経営チームを運営されているということなんですけども、2名の執行役員について、どのように獲得してきて、どのように育成してきたかっていうことに興味があるんですけど、そのあたりを教えていただけませんか?
西川:はい。中村は実はプロパーの社員で、大学院を中退してうちにインターンから入って、まだ正社員が3人から4人くらいしかいないときからずっといてくれてるんですけど、彼は今年29歳です。
中村は、私と赤坂がかなり一緒に育てたんですね、人数が少なかったので。さっき事業の変遷をお見せしたんですけど、メディア事業も一緒にやってましたし、広告代理事業も、受託も一緒にやってましたし、「pairs」も一緒にやったし、みたいな形で。
一緒にいる時間が長い分、私たちの考えることをずっと話し続けているので、考え方がすごく合っているというか、エウレカのDNAを理解をすごくしてくれているっていうのがあって。
結果を出すという意味でいうと、彼は、全事業を引き継いでも常に数字の責任を負ってくれていました。結果を出せない人は役員にできないっていうのがもちろんあるので、それが一番大きいです。中村は結果を出せる人だっていうのがあって、執行役員にしました。
石橋はまだ28歳で、うちに入ってまだ2年ちょっとです。私も赤坂も中村もエンジニアではないので開発ができないため、CTOをいつか入れたいなと思ってたんですけど。
彼は1人のエンジニアとしてもくもくと開発をしていたんですが、一緒に仕事をしていくうちに、この人はすごくマネジメント能力もあるし、採用の能力もすごく高いし、組織作りも、エンジニアリングの能力もすごく高いなと思って。
「将来的にCTOになってほしい」というのを早めに言って、それに足りないものは何かを面談でかなり細かく言って、相当な勢いで実力を付けてくれたのて、入社して1年で執行役員になってもらいました。
質問者5:そうすると、少ないリソースの中から適性のある人間を早く見いだして、自分たちにつけて教育するといったことになりますか?
西川:そうですね。ただ今後はもしかしたら、外からスキルがある方を役員として入れることも出てくるかもしれないんですけど、今考えてるのは、いきなり外の方を執行役員にするというよりは、ある程度社内で実績を出していただいて、周囲のみんなが認める状態じゃないとなかなかついてこないと思うので、今お話しされたみたいにちゃんとカルチャーも理解してもらった上で、社内から出すっていうのを考えてます。
質問者5:なるほど、わかりました。ありがとうございます。
質問者6:お話ありがとうございました。2点お伺いしたいんですけど、事業の主軸を受託からpairsに変えたのはすごく理解できるんですけども、売り上げの変遷を見たときに、広告代理から受託に移った年に、かなり大きく1年で事業の売り上げ割合が変わってるっていうのは、かなりドラスティックな判断だなと思ったんですけども。
事業を選んでいくときにどういう基準で何をやるかを決めてるかっていうことをお伺いしたいのが1つあります。
もう1つは、役員さんについて、執行役員っていう肩書きになってると思うんですけど、そこについて、取締役と執行役員って結構違うと思うんですよね。執行役員っていうことにしてる理由とか、あるいは取締役っていうものを作るとしたらどういうタイミングで、どういう基準で選んでいくのか、お考えがあればお伺いしたいなと思います。
西川:広告代理業の売り上げがごそっと減ってることについてですよね。
質問者6:そうですね。「pairs」が伸びているので受託は減りますっていうのはかなりわかる判断だと思うんですけど、その前は売り上げは伸びているのに主力事業がほとんど全部なくなってるっていうのは、かなり珍しいパターンだと思ったんですが。
西川:広告代理事業でやっていたのが、いろんなメディアを売るということをやってたんですけど、一番比率が大きかったのが、ブログマーケティングでした。しかし、一時期ステマがすごく騒がれて、広告主が出稿しなくなった時期があったんです。
もともと、広告代理業は自分たちのプラットフォームじゃないものを売っていくので、環境要因が大きく、自分たちでコントロールできないので、いつかはやめないといけないと思っていたんですけど、広告主が減った瞬間に、これはやめようという判断をして「明日からもう広告代理業やめます」って決めて、受託に切り替えました。
当時、すでに受託の割合もちょっとあるんですけど、そのちょっとあった実績をもとに、赤坂も私も、執行役員の中村も怒涛のように営業をかけて、受託開発の案件をどんどん増やしていきました。
必ずリピートをいただくように120%の力で受託開発をやり続けているうちに、営業しなくても受託開発が取れるようになっていったっていう流れです。
質問者6:じゃあ、どっちかっていうと会社としてサバイブしていくためにっていう部分も。
西川:はい、それが一番大きかったですね。結果的に受託をやったことで、100案件くらいスマホアプリの開発やFacebookアプリの開発をやったんですけど、それですごく現場が開発のノウハウがものすごくつきました。
かつ、企画から開発、デザイン、プロモーションまでうちは全部やってたので、一気通貫ですべてプロデュースするっていうことも現場が覚えてくれたので、結論としては広告代理業をさっさとやめてよかったなって今は思っています。
西川:もう1つは、執行役員と取締役の違いですよね。これは結構難しいと思っていて、うちでも「取締役と執行役員の違いは何だろう」っていうのをよく話すんですけれども、エウレカでは取締役が私しかいないので、取締役の基準がどうしても私になってしまうので「私と同じようなことをしてほしい」と、どうしても思ってしまうんですよね。
でも、今後会社が大きくなるにつれて、何でもやりますよっていう、私みたいなオールラウンダーというよりは、専門的にきちんとある分野の目標達成をするところプラス、会社のことを何よりも考えてくれてるっていうステージになったときが、取締役かなと思うんですが、これを明文化するのはかなり難しいです。
チェックボックスがあって、「10個達成すればそれで取締役にします」っていうものではないと思うので、それでいうと、赤坂と私が「もう取締役にしてもいいよね」って思ったときなのかなっていう気がしますね。
他社さんが逆にどうやって取締役と執行役員を分けてるのかっていうのも、私も個人的にはすごく気になるかなって思いますね。
質問者6:ありがとうございます。
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