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Launch Pad 登壇者の今(全2記事)

リクルートライフスタイルとYOYOの2社が語る「国内外でユーザーをふやすための施策」とは

IVS 2015 Springの本セッションを前に行われた特別インタビューに、リクルートライフスタイル・大宮英紀氏、YOYO・深田洋輔氏が登壇。株式会社のぞみ代表取締役・藤田功博氏をモデレーターに迎えて「Launch Pad 登壇者の今」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、リクルートライフスタイルの「Air REGI」とYOYOの「PopSlide」、IVS Launch Padプレゼン大会登壇後の新たなサービス展開と国内外でユーザーをふやすための施策について語りました。

IVS特別番組「Launch Pad 登壇者の今」

藤田功博氏(以下、藤田):IVS特別番組「Launch Pad 登壇者の今」というテーマでお届けしたいと思います。株式会社リクルートライフスタイル、執行役員の大宮さんです。よろしくお願いします。

大宮英紀氏(以下、大宮):よろしくお願いします。

藤田:YOYO Holdingsの深田さんです。よろしくお願いします。

深田洋輔氏(以下、深田):よろしくお願いします。

藤田:まずは、取り組んでいる事業について紹介をお願いいたします。では、大宮さんから。

リクルートライフスタイルの新サービス「Air REGI」

大宮:リクルートライフスタイルは、リクルートグループのたくさんの事業をやっているので、どれか1つではないんですけども。日常消費に近いところ、じゃらんとかホットペッパーグルメとかホットペッパービューティーをやってます。

そのなかに、リクルートグループとして新たなビジネスチャンスを探っていくということで、ネットだけでなくてリアルな接点をより強化する1つとして、今Air REGIというサービスを推進しています。

僕はAir REGIの責任者として、今年の3月末時点で、国内でのリリースは、大体1年4ヵ月ぐらいで16万のアカウントを超えるまでに成長しました。今年1月、海外展開向けに英語版のAndroidアプリを作って、134の国の地域にいったんディストリビューションしてみたと。

結構いろんなところから使われ始めていて、アメリカや中国、それ以外にインドネシアとかフィリピンとかシンガポールで使われていて。いろんなサービスを日々やっています。

本当に買い手というソリューションは世界共通で必要としているので、それが新しい事業チャンスだということで。今積極的に推進して、昨年IVSのLaunch Padに出てみました。今は以上です。

藤田:まず国内でいうと、どういうふうに利用者を増やすための施策っていうか、プロモーションをされてるんですか?

大宮:リクルートっていうのはすごい資産をいっぱい持っていて。まず、サービス資産があって。じゃらんもそうですし、ホットペッパーグルメ、タウンワークとかいろんな人材から何まで持ってるので、そこのお店の皆さんとの接点を活用して、広げていったってのがまず1個ですね。

もう1個が、IVSのLaunch Padに出たりとか、いろいろ露出を増やしているということ。やっぱりリクルートのなかでも新しくチャレンジしている事業として、世の中に認知してほしいですし。そういう世の中を変えていくサービスとして、好意的に思ってほしいと思いながらプロモーションをしている結果、ユーザーさんが増えているっていうのがあります。

実はさっき「16万超えました」って言いましたが、リクルートグループが持ってる接点を使ったのが半分で、それ以外は全然今までと違うところで。リクルートとしても、新たなお客さんと接点を持てて、すごくいいプロダクトですし、期待されてお金もいろいろ頂いているプロダクトになります(笑)。

プロダクトのプロモーションと広告営業

藤田:実際には、広告営業の方がお店に行って、こういうAir REGIというプロダクトがありますよっていうのをされつつ、それ以外にネットの口コミだとか、いろんなプロモーションで新しく知られるって、今、この両面作戦でいってるんですね。

大宮:プロモーションはそうなんですけど、広告営業のところは、まず、レジを変えるっていうのは、お店のオペレーションの根幹を変えるのと等しいので、まず信頼されてる人が話しかける必要があるときに、リクルートの持ってる接点を使います。

ただ、広告をやってる人と業務支援をやる人って、スキルとかノウハウが全く違うので、まずは既存のお店と接点をより深く持っている営業マンが話をして。

あとは専任のレジをやるサポートスタッフが現地に赴いたり、電話での支援だったりをしています。いろんな組織とか接点を使って、運営をしているところですね。

藤田:国内はそういう形で、海外向けとなると、今後どうやって海外で使っていただけるようにしていくのでしょうか?

大宮:それがめっちゃ今、課題にしているところです(笑)。海外、「134の国と地域でやりました」って言ってますけど、ちょっと無邪気にやっているところがあって。とにかく出す、出さないでいうと、出してみようと。

出してみたら、やっぱり国の法律が違うとか、税制面も違うとか、いろいろ違うことが見えてきます。ローカライズっていうのが第一ですし。なので、商品自体ももっと磨いていく必要があるんですけど。

あとはやっぱり、USはちょっと特殊かもしれないですけど、それ以外のところって結局は人を通じてしか実現できません。お店の業務を変えようと、最後、ふんぎりつく人が多くないので。なので、ディストリビューションっていう意味では、現地の方々とのアライアンスを中心に、模索してるとこですね。

ただ、先ほどお伝えしましたように、使い始めてもらって、いろんな問題が出ていて。今そのローカライズシューティングをしてるので、それがある程度形になれば、リニューアルか何かをして、アライアンスを組んで、面を取りに行くっていうことを段階としてはやろうとしてますね。

1年4ヵ月で300人以上を抱えるチームに成長

藤田:今、Air REGIというチームは何名ぐらいで。

大宮:今は日本、海外含めたら300人以上ぐらい。

藤田:そんなに。

大宮:そうですね。スタートしたのは5人ぐらいからですから。

藤田:1年4ヵ月で300人のチームに?

大宮:一気に増えました。増え過ぎたかもしれません(笑)。なので、本当にそのフェーズ、フェーズのなかでコミュニケーションコストが急に上がったりとか、意思決定するところに組織的なひずみが起こったりとかしてるんですけども。

良かったのは、昔リクルートでポンパレという事業を立ち上げたことがあって、そのときも一気に増えたんですよね。リクルートって、一気に増やすのが得意な会社なので(笑)。

そのときに起こったいろんな問題をできるだけAir REGIではやってるんですけど。やっぱりやっていて同じような問題が出てきて。

本当はもう少数制で、ミッションとかビジョンってのは共有しながらやってくのがいいんですけど、とにかくグロースっていうか成長させるとなると、人のリソースが不可欠になっていくので。

そこはずっと向き合いながら、トラブルシューティングしながら、組織の文化をどう築いていくのかっていうのは、チャレンジしてやっているところです。

藤田:何かもう300人って聞くだけで、同業っていうか同じようなプロダクト作ってるところは戦意喪失しそうな(笑)。

大宮:多分POSレジでいうと、世界でも指折りの人数になったかなとは思います。

藤田:ありがとうございます。では深田さん、ご紹介お願いします。

新興国のモバイルインターネットを無料化する「PopSlide」

深田:YOYO Holdingsの深田と申します。今我々は、東南アジアの領域、特に新興国のモバイルインターネットを無料化するというようなサービスを展開しています。

日本ってすごい豊かな国なので、みんな携帯使って当たりまえだと思うんですね。今、世界でもほとんどの人が携帯を持ってるんですよ。一方で新興国では、携帯を持っていたとしても通信料ってまだまだすごい高くて。

例えば、インターネットに使ってる時間ってどのぐらいかっていうと、24時間のうちの数時間だけオンラインという人がすごく多いんですね。

ほとんどオフラインで、その間は全然携帯も使えてない。写真撮るとか、ちょっと電話するとか。その電話も高くて、全然携帯を十分に使えないっていうのが一般的で、すごいもったいないなと。

そこの部分をどういうふうに解決したいかっていうと、僕らは広告ビジネスを使ってやりたいと考えて、PopSlideっていうAndroidアプリをフィリピン、インドネシア、ベトナムの3ヵ国で展開しています。

具体的にそのサービスとしては、見えるかどうかわかんないですけど、こうやって。はい(笑)。携帯電話ですね。Androidをこういうふうに。

大宮:消えてます。

深田:はい。ここに携帯を付けると、広告が出るんですね。ロックスクリーンに広告が出て、それが雑誌みたいにパラパラ、パラパラめくっていけますと。

このような広告、テレビCMみたいなもんですね、携帯を使うときに必ず広告を見なければいけない。それで、ロックスクリーンを解除するとポイントがたまって、そのたまったポイントが、みんなが使ってるプリペイド携帯の通信料金に変換できると。

だから広告を見ることで、携帯がどんどんタダで使えるようになるよということで、展開している3つの国全てでランキング1位を取得することができて、かなりユーザーさんから支持を受けてるような状態になっています。

新興国の抱える問題をテクノロジーで解決したい

藤田:そういうビジネスを思いついた、そしてそれを新興国でやろうと思った原点みたいのはどこになるんですか。

深田:もともと新興国にかなり興味があって、彼らが抱えている課題といったもの……社会問題だったりとか、ユーザーが抱えている負みたいな部分を、テクノロジーとビジネスの分野で解決していきたいなというふうに考えていて。結構、調査はしていました。

考えていても、日本にいるだけだったら、なかなか本当の姿がわからないということもあって、日本の会社を辞めて。最初に英語圏っていう理由もあって、フィリピンに行きました。

それでフィリピンの人たちの暮らしを見ていくと、知らないことだらけで。一応、日本にいるときにも興味があるので、いろんなメディアとか実際に向こうで働いていた人とか、いろんな話は聞いたりしていたんですけど。

やっぱり「行かないとわかんないことってマジであるんだ」ということですごい驚きました。例えば、セブ島の人たちにいろんな話を聞くと、「え、みんなこんなふうに携帯使ってんだ……」とか。

藤田:どんなふうに使ってるんですか?

フィリピンの人たちの携帯電話事情

深田:例えば、まずプリペイド携帯って日本にそもそもないじゃないですか。

藤田:もうだいぶ減りましたね。

深田:もう本当に使ってる人、周りにいないですよね。フィリピンの人は95%プリペイドなんで。もう当たりまえなんです。iPhone使ってるユーザーもプリペイドなんで。

当然、使う前にチャージをして、通話とかインターネットをするんですけど。1ヵ月分とかまとめて買えばいいのに、ほとんどの人は毎日その日の分だけ買うんですよ。その日暮らし。

藤田:その「買う」っていうのは、ショップでカードを買うんですか? それともクレジットか何かでチャージするんですか?

深田:どちらでも。クレジットっていう形ではそうなんですけれど。例えば、日本のプリペイド文化って、コンビニエンスストアに行くと、いろんなサービスのプリペイドカードがありますよね。それを買って(スクラッチを)削ってチャージっていうのがあると思うんですけど。

そういうものは現地にもあるんですけれど、多くの人はあまり使ってないんですよね。いろいろ調査をしていくと、実は個人間でプリペイド料金のやり取りが行われていて。

藤田:そんなことができるんですか?

深田:そんなことができるんだって、僕も知らなくて。例えば、(現地の)女子大生が彼氏に連絡したいなと思ってメールをしようとしたら「あ、残高がない」と。どうしよう。メールもう送れなくなったってときに、隣りの友達に「ちょっと10ペソ分送ってくんない?」「いいよ」と言って、本当にパッと一瞬で送るんですよ。

携帯料金の残高が1つのカレンシー(通貨)みたいな形になっていて、それで売買が起きているんですよね。

藤田:へえ。

深田:みんなその日暮らしなんで、大体夕方ぐらいになると(残高が)なくなってるんですよ。

藤田:なるほど。

深田:あとは早朝もみんな持ってないんですよね。朝、出勤中とか通学中になったら、携帯料金を買ってチャージして、すぐに使いきっちゃって「今日の分、なくなっちゃった」みたいな。なんて計画性のない(使い方)って思うんですけれど、本当にそれが一般的で。

例えば、タバコとかも箱で買う人よりも1本単位で買う人が多いし。洗剤とかもでっかいやつで買う人なんていなくて、1杯ずつ小売されてるものを買うんですよ。

同じように、携帯料金も1日ずつ買ってるっていう。数ペソでこんなに喜ぶんだ、みたいな。日本人で数円あげるからなんかやってって言ってもやんないじゃないですか。

でも現地の人だったら、本当に数円とか10円とかあげたらすごくうれしくて。

成長を続けるためのビジネスモデル

藤田:じゃあ、やっぱり広告をこうやってPopSlideで見て、その日チャージされるっていうのは、このカルチャーとマッチしてるということですか?

深田:かなりマッチしてると思いますね。例えば、インドネシアにスタッフがいるんですけれど、彼は現地で携帯料金買ったことないって言ってますね。

「PopSlideだけで、携帯料金全部まかなえちゃうから一度も買ってないよ」って言ってて。「え、そんなに?」みたいな(笑)。それを聞いて僕も驚いたんですけれど。

藤田:逆にいうとビジネス的なつじつまは合うものなんですか? 要は、1人当たりの広告費とそこでチャージする通信料金とは、上手にバランスするもんなんですか?

深田:まあ、バランスさせていくのが正しいとは思っていて。当然、僕らとしてもビジネスでやっていて。

大きな企業の、それこそリクルートさんみたいに、いろいろと(事業が)あるうちの1案件みたいな形でもなくて1個しかないんで。だから、そこでちゃんとトントンが合わないと、投資もしにくいみたいな。

藤田:逆にそれだけ支持されるサービスになればなるほど、もし1ユーザー当たりで逆ざやになってたら、どんどん逆ざやになっていくっていうことになりますよね。

深田:そういう意味で、そこは当然、数字を見ながら調整はしていくんですけれども。どうにかちゃんと、ユーザーさんは携帯料金を稼げるようにもなってきていて。もっともっと、グロースさせないといけないなっていうような状態ですね。

藤田:その広告の主は、やっぱり現地の会社っていうことになるんですか。

深田:現地もありますし、現地じゃないグローバルの企業さん、メーカーさんもいらっしゃいますね。

藤田:なるほど。ありがとうございます。

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