2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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小林雅氏(以下、小林):こんにちは! IVS特別番組を開始したいと思います。今回はグリーの田中良和代表取締役会長兼社長をお招きしまして、「グリーの今」と題した……とはいっても、フリーディスカッションをしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
田中良和氏(以下、田中):よろしくお願いします。
小林:では早速、ご存知の方も多いと思うんですけど、田中さんに自己紹介を簡単にしていただき、その後で対談したいと思います。
田中:改めまして田中良和です。グリーという会社をやってまして、ご存知だと思うんですけども、モバイルのゲームを中心に事業をやっています。最近はそれ以外にも、家・住まい関係とかフィットネス関係とか、ゲームじゃない領域にもインターネットという切り口で事業を広げています。
小林:ご存知かどうかわからないですけれども、私は昔「グリー」という会社の社外取締役をやっていた時期がありまして。社歴でいうと11年なんですけど、11年のうち3年くらいやってたのかな? 2〜3年はやっていたと思います。
本当に初期の頃に関係していて、その頃は結構知ってるんですけど「最近どうなの?」ということで、今回インタビュアーとして根掘り葉掘り聞いていきたいと思ってます。
早速ですけど、最近どうですか? グリーは。何をやってるんですか? 社長の時間を何に使ってるんだ、みたいな。
田中:最近、僕の時間の使い方という意味では3つくらいに変えてやってまして。だいたい40パーセントくらいが社長業。予算とか人事とか規程とか外部での講演とか。こういうインタビューもそうですけど。
次の40パーセントくらいが、Webサイトとかゲームとかの製品の開発状況を見て「こういうふうにしよう」とか、仕様面を考える。残りの2割くらいは、基本的に時間を空けてて。何か考えごとをしたりとか、集中してることをやるとか、そういうふうにやってます。
小林:なるほど。グリーは最近ゲーム以外の事業をやってますし、やろうとしていると思うんですけど、そこにいたるまでの経営者の考え方の変化というか、そういうのはあったんですか?
田中:もともと、ゲームや特定の事業をやるために会社をやっているというよりは、インターネット業界でいろんなことをやりたいと思って会社を始めたというのがあります。ただ実際問題はベンチャーなので、「何でもかんでもやりたい」って言ってたら単に生き残っていけないので。
まずは自分たちの強みとか、ユーザーによく使ってもらう事業とか、収益の核とかそういったものを作らなきゃいけない。
そういうところで、7〜8年前からモバイルゲームにフォーカスしてやっていました。その中でスマートフォンのブラウザゲーム、ネイティブゲーム、海外事業とやってきているわけですけども、そういう意味では僕らはゲームビジネスを初めてやっていて「こういうもんだな」とわかってきたことがいろいろあるんですよね。
1個目としては、ボラティリティ(価格変動性)が激しいビジネスだということ。これはつくづく実感しています。これは結構、一般的なインターネット業界的な価値観とは違うんですよね。
もちろんインターネット業界も事業としては当たり外れがあるんですけど、当たりはじめたら右肩上がりの時間がゆっくり、5年10年ずっと続くというイメージなんです。
でもゲームというのは、ある1個のゲームがドカッと1年2年当たるけど、もしかしたらその後でヒットが10年くらい出ないかもしれない。でも10年で1回すごく当たればいいみたいな、こういう事業なんですよね。ネット業界はやっぱり、「なかなか伸びない」ってなっても昔から見たらすごく伸びるというタイプの事業ですね。
小林:そういう意味では、ブラウザからスマホというのは大きな変化ですよね。スマホのほうは本当にコンソールゲーム、さっきの「ボラティリティが高いビジネス」になるじゃないですか。そこでの変化というのは、会社の組織としても大きかった感じですか?
田中:そうですね。ゲーム会社としてのカルチャーというのも取り入れる必要があると。それはネット業界と若干違うんですよね。ネット業界は、あきらめずにやっていてこうなる(尻上がり)ってタイプのもの。
ゲーム業界は、こうなっても(急上昇)こうなっても(急降下)気にせずここ(上)を狙っていくけど、その後では必ずこうなる(急降下)から気にするな、というタイプのビジネスの考え方。なので、そういうふうな目線でやってます。
僕がゲーム業界的なポイントだなと思ってるのは、「成功するまで続けていく」って感じよりも、「成功しても失敗しても続けていく」というメンタリティで、これは結構似て非なるメンタリティだなと。
あと経営の仕方もそうで、ゲーム業界はこういうこと(乱高下)なんで、基本的な考え方としてはこう(上)でもこう(下)でも投下してる戦力はあんまり変えちゃいけないというのが、重要なコンセプトだと思っていて。
自分たちが、どれくらいの戦力というか人数で、どれくらいのものづくりを、何年間くらい続けられるのか。そういうことをやっている中で、たまに当たることがあるというタイプのビジネスなんですよね。だから僕らはいま全世界で1,000人くらいでゲームを作っていて、それが当たろうが当たらなかろうが、ある意味続けていくと。
それを決心したことが7〜8年間ゲームビジネスをやっていてわかったことだし、伝統的なゲーム業界でずっとやっている人たちからすると当たり前の考え方だったりするんですけど。そういうものかなと思ってます。
逆に、ネット業界とはまた違うので無限に資本を投下していけばいいかというと、そういうタイプのものでもないんですよね(笑)。どちらかというと、ある優秀なゲームプロデューサーたちがいたとしても、そのキャパシティ以上に資本とか人的リソースを増やすと、単に成功しなくなるだけというか品質が下がっていっちゃうんですよね。
だから、どちらかというとお金をかけたり、人を入れたりしないほうがうまくいくっていうフェーズもあると思っていて。
そういった意味では、ゲームビジネスには十二分に戦力を配置しているので「これ以上やってもしょうがない」ってレベルまである意味では来たなと思ってます。そこは人数を決めずにずっと頑張ろうと思っているので、逆にゲーム以外の事業をやってるというのはありますね。
小林:なるほど。ゲーム以外の事業で努力してきて、改善してこうなっていく(上がっていく)ビジネスもあると思うんですけど、でもゲームと比べちゃうと利益の規模感がぜんぜん違うじゃないですか。「ゲームと比べると儲からねえ」みたいなのがあると思うんですけど、そこに対してどういう目線、時間軸で取り組んでいってるのかというのが、はたから見て思うんですけど。
田中:まず、インターネット業界……これは日本だけのことを言ってますけど。それを見たときに、「ゲーム以外で数百億レベルで利益が出る事業って、本当に1個か2個あるくらいかな」という感じで。そこから、ここ10年間で結構「5個から10個、15個くらいあるかも」と変わったのかなと思うんですよ。
昔は100億単位で利益を出すなんて考えられなくて、「10億超えたら十分すごい、50億いくことなんてあるんだ」みたいな。そこから、最近では上場企業でもゲーム以外で100億いきそうな会社が増えてると。
今から10年後を考えると、ゲームじゃなくても100億単位の利益が出てくる事業がいくつも出る感じに変わるのかなと思うんですよね。それはあと5年後、10年後の話かなと。
ただ、逆に今50億100億の利益が出てるゲームの事業というのは、それこそ5年10年15年やってるわけですよね。そう考えると、5年後10年後に日本でも数百億単位の利益が出る事業を今からやっていかないと、その時代にそういうものが生まれないなと。僕としてはそういうことをやってると思ってますね。
小林:すばらしいですね。なんかビジネス紙のようなインタビューに……。
田中:(笑)。
小林:ちょっとお堅い感じになってきたんで、ざっくばらんに対談したいんですけど……逆に、僕に何かありますかね?(笑)
田中:よくある質問ですけど、IVSはいつまで続けるのですか? ファンドはファンドで、投資ファンドって会社というよりもパートナー制度だし、個人の集まりという側面もあると思います。当然その中でも、マッキンゼーとか一部のコンサルティングファームとか投資銀行……まあ投資銀行はIPOしちゃいましたけど、そういう組織は残っていくんですけども。
「イベント」という意味で、あやふやなものだけど、あやふやだから属人的じゃないというのもあると思っていて。このイベントはどれくらい続けようと思ってるんですか?
小林:「イベント」と定義すると、「じゃあやめよう」と言ったらやめちゃう感じになると思うんですけど、やっぱり「コミュニティ」だと思っていて。
参加する人は8割以上リピートしてるし、スタッフも新しい人は入るけど、リピートしてる人も多いじゃないですか。そういう人たちが集まって作られているものというのは、インターネットサービスでもそうだと思うんですけど、なくならないですよね。なくしようがないというか。
田中さんも「お前が、死んだらどうするの?」という話で会社化したみたいなのがあったと思うんですけど、同じような感じで。「じゃあ俺が、飽きたらやめるのか?」というと必ずしもそうじゃなくて、おそらく僕が病気になって「休みますよ」となっても、名前は変わるかもしれないけれど、同じようなイベントというかコミュニティは続くと思ってますけど。
なのでインターネットサービスに非常に近い考え方で、いろいろ集積をしていくと価値が高まっていって、それを続けたいというか。社会的な意義や責任が生まれ、自分自身もそれがモチベーションになっていくという感じじゃないですかね。
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