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ITが可能にする新しい働き方・デジタルスペースと女性の未来(全3記事)

「いまのITは全然セクシーじゃない」 女性起業家が語る、社会を変えるために女性ができること

『ELLE』による働く女性のためのイベント「ウーマン・イン・ソサエティ」に、ツネイシホールディングス代表取締役専務、ニューズ・ツー・ユー代表取締役会長の末松(神原)弥奈子氏、トリップアドバイザー日本代表の原田静織氏、HUB Tokyo代表取締役の槌屋詩野氏が登壇。「ITが可能にする新しい働き方・デジタルスペースと女性の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、業界の第一線で活躍する女性起業家たちが自身のキャリアプランをどう設計してきたか、またなぜ事業の軸にITを選んだかについて語りました。(ウーマン・イン・ソサエティより)

失敗を恐れるよりもやらないリスクを考える

長谷川玲氏(以下、長谷川):ゴール設定とか計画について、今までどう走ってきた時に、どういうふうにプランを立ててやってきたのか。一言ずつくらいで教えていただけませんか。

末松(神原)弥奈子氏(以下、神原):何かやる時は、「次の世代に残せるものかどうか」ということが大事だと思ってやってます。

原田静織氏(以下、原田):必ず中長期のゴールを全部持つことです。

槌屋詩野氏(以下、槌屋):人生の意義と一致しているかどうかを、いつも考えます。私だけでなく、チームも含めて。

長谷川:どんどんいきますね!

失敗とか不安、経営者をされていると、いろいろ責任が重くてですね、失敗しちゃうんじゃないかとか不安があると思うんですけど。こちらも一言ずつくらいで。どうですか?

神原:やらなかったことのリスクを考える。失敗したら失敗したで経験は残りますから。

原田:どうせ時間を過ごすんであれば、いろいろあったほうが楽しいのかな、って思う。ずっと成功したらつまらないんじゃないかな、っていうふうにも思ったりします。

槌谷:お二人とほとんど一緒で、やらないことで人生が無駄になるリスクのほうが強いです。

長谷川:ありがとうございました。

ビットバレーでインターンをしてからITにどっぷりハマった

長谷川:私はどうやって失敗から立ち直るか、もっと根堀り葉掘り聞きたいんですけど、ITということなので、次のITのメインテーマに進みたいと思います。

今回お集まりいただいた皆さまは、特に神原さんと原田さんのITの起業。それから、槌谷さんが、ITを使ってビジネスをされているような起業家の方々ということなので、まず、ITに関連していますので、ITに関する興味とか、そういったところについて、自分とのつながりに関して、お話をしていただきたいんですけど。いかがですかね?

神原:多分、我々3人に共通しているのが、「ITがベースになっている時代に仕事をしている」ということだと思うんですよね。

会社の中にいると、皆さん上司がいたりすると、インターネットがない時代に、メモを書いてたりとか、会議室のホワイトボードでやってたりとか、そういうその私達からすると「困ったおじさん」ってのがいっぱいいるわけですよ(笑)。

そこが、すごくフラットにできている世代。自分の会社だし、っていうのはあるのかな、というふうにお話を伺いながら思いましたね。

原田:ビットバレーでインターンをさせていただいた時に、「目から鱗」な毎日でしたね。寝れないくらい興奮しっぱなし。そこからは、ITに対して興味、世の中を変える大きな力だっていうふうに思っています。

槌谷:プログラミングとかができるわけじゃないですけど、新しいツールが出るとすぐに試したくなるっていうのがすごいあって。先ほどおっしゃっていたように、自分の会社だから、全部導入できるし、「このチームで試してみよう」とか、社会実験ができて、そういうふうに使っていると思います。

ITをどうセクシーにするか

長谷川:では、次の質問にいきたいんですけれども。

特に経営に関して、お伺いたいんですけど。「IT企業を経営する」っていうことと、槌谷さんに関して言うと「ITを使って経営をしている」という感じだと思うんですけど、「経営者としてのIT」ってどうですかね?

神原:難しいですね。

「ITがなかったら困るよね」っていうのは、皆さん実感があると思うんですよね。今お話した通り、例えば今、私自身もそうですけど、東京と広島を行ったり来たりしていたりとか、南米に行ってたりとか、フィリピンや中国に行ったりとかで。

移動時間のコストっていうのがすごく大きいわけです。だけど、その大部分が、テレビ会議とかでクリアにできている。「これがなかった時代って、どうやっておじさんたちはマネジメントしていたんだろう?」って、逆に教えてほしいくらいですよね。

そういう部分でいくと、かなり情報に簡単にアクセスできるし、低コストでいろんなことができるようになっていると思います。

ただ、そうすると「権限の委譲が進んでいないのかな」って、話しながら思ったんだけど(笑)。全部コントロールできちゃうよね。

原田:IT企業を経営すると、いつも壁にぶつかることがあるんですよ。ひとつは、ITのプロダクトが全然セクシーじゃないんですね。サーバーとかパソコンとかソフトウェアとかプログラミングとか(笑)。

特に女性の私たちからすると、全然セクシーじゃないんですね。

私、それでずっと悩みました。10数年くらい。それで、トリップアドバイザーに入ったんですよ。「どうやってITをセクシーにするか」という意味で、こういうITツールで旅行が楽しくなって、レビューをチェックしたり、自分がレビュー書いて、皆さんが「いいね!」って押してくれたりとか、非常に自分の生活に溶け込んでいって、楽しいですよね。

IT企業を経営するときに、ひたすら心がけていきたいのは、「どうやってセクシーにしていくか」というところですね。

メールよりチャットのほうが時間短縮ができる

長谷川:あとは、「スピード感もすごく好きだ」って以前おっしゃっていましたけど、どうですか?

原田:ITというのが、先ほど末松さんもおっしゃっていたように、効率化する。何を効率化する? 時間短縮ですよね。

時間短縮するためのITなんですけど、自身が時間短縮できていなかったら、意味ないですよね。

世の中、皆さんが2〜3年前使っていたソーシャルツールと今使っているツールって違ってますよね。

そういった意味では、時間の流れがどんどん速くなっていて、どんどん追いついていかないと、取り残されてしまうっていう意味では、特に性格的にせっかちなんで、「すぐすぐ!」っていうようなところで、スピード重視っていうのはひとつ自分の中で心がけてます。

長谷川:槌谷さんはどうですか。

槌谷:ITがない状態って、今イメージができなくて(笑)。

今現在、東京に住んでいなくて、軽井沢からちょっと行ったところに住んでいるんですね。週に2日3日ミーティングがある時だけ。

face to faceでやらなくちゃいけないものだけ出てきたりとか。それで、回ってしまうというか。

今、例えば、ロンドンとサンフランシスコのデザイナーと一緒に新規事業を作ったりという時にも、Skypeで朝電話して、そのままできるっていうこのスピード感は、もしこれがなかったら、全然おもしろくないだろうなと思いますね。

あとは、社内は全部チャットになっていて、チャットのコミュニケーションも他の人のチャットを見れるような状態で、すごく透明性が高くて。

非常にデモクラティックに組織を動かすことも、ITのツールだとできて、先ほどおっしゃっていた「おじさんたち」には全くできないことを自分でハックしてできるのが楽しいです。

長谷川:しかも、それが以前お話を伺った時に、チャットを使ってて、メールをなるべくしない。メールをした時も、挨拶は入れない、とか。

槌谷:日本語って、すごく長いですよね。実はうちの会社、公用語を英語にしていて、"Hi!"だけで、バーっと始まるっていう。日本語も混ざるんですけど、そうすると、すごく速いな、っていう気がします。

長谷川:いいですね。私も「脱・挨拶」メールやってみたいなと思ったんですけど。すごいスピードで動いているということですね。

息子のストーカーみたいになってる

長谷川:次に、「ITと女性」というメインテーマにどんどんいきたいと思うんですけれども。

ここに関しては、デジタルスペースの使い方とか、オススメのツール・サイト、ワークライフバランス。

ここからおもしろい話の展開になるんですけど、お三方とも、本当にITを駆使したライフスタイルを送っていらっしゃいます。その辺を、お一方ずつ、お話をしていただきたいなと思っていて。

例えば、神原さんは、実はご子息が今中学校3年生で、スイスに留学をされているということで。原田さんは、中国ご出身で、ご自身がインターナショナルでやっていらっしゃる。世界を飛び回っていて。槌谷さんに関して言うと、軽井沢にお住まいで、リモートで世界中の方と仕事をしているということで、前例のないような仕事。

さらに、神原さんに関して言うと、今2つの会社の経営に関わっているということで、広島とも行ったり来たりということで。

今まで私たちが考えていたワークスタイルっていうのは、1個のお家に住んで、会社に行って、帰ってきて、っていう感じだったと思うんですけど、ITを駆使して、新しいライフスタイルを築いているので、その辺に関してお一方ずつお話を伺ってもいいですかね。

神原:自分自身は、こういう仕事の仕方をしているのは普通だと思ってやっていることが、普通じゃないのかな、っていうのがあるんですけど。基本的に時間に縛られずにやっているつもりです。

ニューズ・ツー・ユーという会社のほうは、エルオンラインさんのほうにもお話書かせていただいたんですけど。例えば、病気で、通勤ができないスタッフがいるんですね。今、彼は週に1回か、ミーティングの時には出てくるんですけど、基本的には普段テレビ会議です。プログラマーなんで家でプログラミングできるし、いつもチャットルームを立ち上げているんで、用事があったらそこで声をかけるし。必要な時はface to faceでテレビ会議で定例ミーティングにもきちんと参加しているし。それに全く違和感がないし、業務が滞ることもないわけですよね。

その経験っていうのは、シェアしている会社に毎日来ているスタッフにとっても、すごく大きな経験だと思うんです。自分が、在宅で仕事をしなければいけなくなった時、例えば、子供が具合が悪くて今日は家で仕事をしたい、あるいは、おたふく風邪で1週間家にいなきゃいけない、みたいな時にも、マシンは立ち上げておきますから、っていうような仕事の仕方をできるし。

例えば、病気療養でちょっと遠いところに1ヶ月くらい行っていたスタッフも、「この会議とこの会議でます」と。「時差があるのでこうします」というふうな形で、比較的柔軟にできるんですよね。

ルールを守る文化がある会社であれば、ITでかなり自由度が高い仕事の仕方ができるんじゃないかな、っていのも、自分の確信としては思っています。

それは、押し付けてやると嫌になる人が多いので、必要に迫られた時に、それをソリューションとして「こういうふうにやってみない?」それで、成功体験ができたら、それをいろいろ展開できるみたいな感じなのかな。

働き続けることは可能になるっていうのが、ITの魅力だと思うんですね。我々、60定年なんてことないですよ。皆さん、100歳まで生きますから(笑)。

そうすると、70歳くらいまで働かないと年金の問題もとかあると、働き続けるインフラがある我々は、そんなに悲観することなくて、いろんな形で仕事が続けられるのは、すごくありがたいことじゃないかな、と思ってます。

長谷川:ご家族、ご子息とのやり取りも、どんなふうにしてお話しているんですか。チャットとかSkypeですか?

神原:ほとんどストーカーですよ、私は。息子の(笑)。

彼がツールを変えるんですよ。例えば、「ママ、Facebookしかしないから、Facebook見てあげてるんだよ」とか、ピンタレストとかinstagramに移ったりとか、彼らは新しいツールにどんどん行っちゃうんですよね。

そうすると、こっちも負けずと追っ掛けてって、ストーカーのようにしているんですけど。ちっちゃい頃はSkypeで「おはよう!」なんてやってたんですけど……。ノーレスですね……残念ながら(笑)。

長谷川:ありがとうございます。

家族内でもWeb上のカレンダーを共有する

原田:まず、実家とは、FaceTimeだったりLINEだったり、今WeChatっていうのは、必須ですよね。これないと、信じられない、生きていけない。

娘にも教えているんで、娘と実家の両親。今でも覚えているんですけど、結婚したのは9年前。9年前に結婚して、初めて主人の実家に行って、そこで早速Skypeをインストールして、主人の両親に使わせた思い出があるんですけど。

あの時、すごくビックリされて、「何で僕らにそれを使わせようとするんだ?」っていうのを質問されたんですけど。そうすると、孫の顔が毎日見れるわけですし、実際、彼と私の中国の両親ともつないであげて、たまにしゃべれる。うちの母親は少し日本語がしゃべれるので、っていうふうにはしていましたね。

子育てする時も、ITが非常に役に立ってますんで。娘の九九は、アプリで勉強してますんで、覚えたりするんじゃなくて、ゲーム感覚で。九九のアプリがあるんですよ。すごく良くて。それでやらせて、本当に速いんです。本人がゲーム感覚だから、すぐ覚えちゃうし。

あと、出張とかすごく多くて、主人がいつの飛行機で何時に帰ってくるっていうのがわからないので、Web上で家族はカレンダーを共有して。無理やりベビーシッターも入ってもらって(笑)。うちのベビーシッターと、私と主人と、子供がカレンダーで見れるようにしてます。それで家族はうまく調整して。

長谷川:会社のチームみたいですよね。

原田:そうですね(笑)。それがなければ、信じられない。海外にいる時に、予定がどんどん入ってくると、紙に書けないじゃないですか。結構オススメです。

長谷川:家族の予定も全てクラウド上にということで。なるほど。

「女性」という制限はもはやなくなった

槌谷:私は子供がいないんですけど、今お話を聞きながら「ITと女性」って言われた時になんだろうと思っていたんですが。

英語ができれば、オンライン上でアクセスできる情報がすごく多くて。例えば、勉強したいものがフリーでいくらでもオンラインコースがでてきたりしているっていうのは、すごく大きいなと思ってます。

私も、プログラミングの簡単なものとか、自分でGoogleさんに聞いて覚えたりもできたし(笑)。私たちのコミュニティの中でも、オンラインのコースを取っている人たちで、オフラインで集まって勉強するとか。

日本にいる女性っていうだけで、今まで制限されていたものが、実は取っ払われていて、それに気づくっていうだけでも、すごい世界が広いだろうなと思っています。

長谷川:ありがとうございます。

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