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日本からイノベーションを産み出せ(全3記事)

「変化のタイミングで変われる組織が勝つ」 LINE森川氏が語る、イノベーションを生む技法

アベノミクスが打ち出した成長戦略の重要な一端を担うと期待されているIT、ICT(情報通信技術)業界。その第一線をリードする楽天、LINE、GMOの経営者、そしてフジテレビの社長を迎え、いま日本の産業界が成長するために必要なこと、その中でのメディアの役割などをディスカッションしました。(IVS 2013 Springより)。

イノベーションに必要な5つの改革

関口:三木谷さんは、薬が一応方向が見えた次の球としては、もう一回またテレビやろうとかですね(笑)。

三木谷:全方位外交でやらせてください。TBSさんも含めまして(笑)。僕は思うんですけど、イノベーションを起こしていくって、今は千載一遇のチャンスですよね。インターネット革命によって地殻変動が起こっている。にも関わらずなかなか、残念ながらLINEさんとか、あるいはゲームとか、そういうもの以外なかなか出てこない、一番大きなポイントっていうのは規制が大きいんだと思ってます。よってこの規制改革を本当に推進するっていうことが1番目の条件だと思っています。

で、2つ目はですね、我々も含めて、ある程度成功した人が、もう一回その資金を還元するということで。これもですね、3年後の自民党の税制大綱で公開株と非公開株の損益通算できなくするっていう、わけのわからないことを今言っていましてね。ますますリスクマネーが流れ込みにくくなるんですけれども。やっぱりそのリスクマネーがどんどん流れていく仕組みを作っていくっていうのが2つ目。

で、3番目は人材の流動化。やっぱり、日本の大企業はすごい技術はあるんですよね。でもそこで死んでる。人材も死んでるし、技術も死んでる。やっぱりこれを簡単に切り出して外に出せるような仕組みにしなくちゃいけないし。ベンチャーの最大の問題点は、人材の獲得っていうのがあるんで。大企業が人を囲い込まないように、今回もね、労働法の改正法っていうのがあったんだけど、途中でちょっとひよっちゃって進まなくなったんですけど。これも絶対やらないとダメだと。それは企業にとってもダメだし、働いている人にとっても不幸だと思うんで、これはもう絶対やるべきだっていうのが3番目と。すいません、いっぱい出てきて。

で、4番目は、やっぱりグローバライゼーション。世界のマーケット向けに商売すると。楽天も遅まきながらやっていますけども。やっぱり日本のマーケットってシュリンクしていくわけですから。海外に向かって商売をしていくっていうことで、段々とそういう流れになっていったらいいんじゃないかと。

で、最後に言うと、技術者の数がどんどん減っていってるということが、一番大きな問題で。日本のいわゆるコンピュータサイエンスに関係するような学部の卒業生がだいたい2万3千人なんですね。中国だと100万人を超えていると。だから50分の1。アメリカだとだいたい20万人から30万人で、それでも10分の1っていうことなんで。技術者の数が足りなすぎるんで、それは負けますわなって話だと思うんですけど。だからどうするかっていうと、技術者の数を増やす。それから技術者をもっと呼んでくるというようなことで、高度人材の、いわゆるビザの問題だったり、移民の問題っていうのを、しっかりやらなくちゃいけないっていうところかなと思ってます。

関口:三木谷さんのお話にありましたけど、イノベーションを日本から起こすっていう意味では、大企業もやんなきゃいけないんですけども、イノベーションを起こしやすいのは比較的ベンチャーだと。これは昔も今もそうだと思うのですが。

「田植え文化」からの脱却を

関口:ここからお聞きしたいのは、今度どうしたらベンチャーを起こせるかというところですね。すでに三木谷さんのお話にもありましたけど、熊谷さんにもお聞きしたいし。それと三木谷さんに私が最初にお会いしたのは、たぶん1997年、楽天市場を起こした直後くらいで取材でお会いしたんですけれども。そのときに興銀を辞めてですね、今日の楽天っていうのをですね、当時予想してたのか、どうなのか。で、今日はたくさんのベンチャーの経営者が集まってらっしゃるんで、彼らにメッセージとして、ベンチャーやる時に何が大事なのかっていうのをちょっとお聞きしたいんですけどね。

三木谷:文化的な問題は結構でかいなと思ってまして。日本ってやっぱりそもそも田植え文化なんですよね。田植えっていうのは村人とですね、違うことをやっちゃったら、村八分になって生きていけないと。水もみんなで共有してるんで。スタンドアウトしちゃいけないっていう基本的な文化が根底にあるっていうふうに思っていて。やっぱり、別に農家の人がダメって言うんじゃなくて、田植え文化からの離脱っていうのは必要だと思うんですよね。

で、そういう意味では、やっぱり多少何を言われてもですね、マスコミに叩かれようが、前に進むんだという気概が本当に今必要で。もうアジアでも遅れてきちゃってるんですよ、大きく。やっぱり国際的になる、多少失敗しても海外に出るというようなね、やっぱりもう一回、日本は海洋国家にならんといかんというふうに思ってます。

「常識」はいらない

関口:じゃあ、熊谷さんどうですかね。日本でベンチャー起こすためには何が必要か、それとベンチャーの経営者にはこれが必要だと。

熊谷:僕、実は今グループの上場企業6社あるんですけど、そのある1社の取締役会で、先日怒鳴りまくってですね、監査役の指摘に、僕あんまり口答えしたことないんですけど。その「一般的に見て」みたいな表現があって。「世の中ではこうなんだ」みたいな話があったんですね。でも僕、「一般的なことなんて、株主さんも世の中も僕らに求めてないよ」って、ものすごいブチ切れて、ちゃぶ台ひっくり返したんですけどね。

やっぱりですね、夢を持って、で、自分がその夢を達成したら、世の中がすごくよくなる、多くの人が笑顔になるというのを確信したら、それを信じて突き進むと。今インターネットの時代で、起業するコストとか必要な資金とかってすごい以前と比べて少なくなったじゃないですか。サーバを借りてコードが書けたら、どんな革命でも起こせるわけですよ。

で、自分が信じていることが正しいと思ったら、周りの人がどう見るか、メディアさんがなんて言うかは関係ない、もう。もうそれを信じてガンガン突き進むと。やっぱそういう考え方が必要で、それをよしとする社会になってほしいですよね、本当に。

自分が不便に思ったことを事業化する

関口:ただそのパッションとかやる気とか情熱、これは大事だと思うんです、これはもう大前提で必須ですけれども。ただ一生懸命やっているだけじゃ、たぶん道は開かれなくてですね、やっぱり技術の変化とか新しいパラダイムがやってきたときに、瞬間すぽっとあく空白の地帯とかですね、新しいチャンスみたいなのがあって。そこをちゃんと見極めるっていうことがたぶん大事で。

たとえば熊谷さんのとこで言えば、今の「お名前.com 」もそうですけど。そのドメインネームっていうものを、当時はJPNICという日本の管理団体みたいなところが、割り振っていたと。で、そこで普通の人たちは、そこでしかもらえないと思ったんだけれども、熊谷さんはそうじゃなくて、アメリカに直接仕入れに行くっていう、これはある意味では目のつけどころが全然違ったと思うんですよね。そういう意味で言うと、ベンチャーやっていく上で、こういうところを、やっぱり目のつけどころを考えなきゃいけないっていうとどうですかね。

熊谷:いつの時代も、今もまったく変わんないと思うんですけど。自分が不便だと思ってること、あと「こうだったらみんなハッピーだろう」と思うことを、信じてやり続けるだけですね。当時たとえばドメインも日本語、日本円で買えなかったんですよ。英語、ドル。しかも当時ドメインのコストは基本的に今と変わってないんですけど。国内で販売されている方が、ドメインの登録料何十万円。

で、月々維持費なんか掛かりゃしないんですよ。維持費なんて掛かんないのに、月の維持費何万円っていうのを請求されてたんですよ。これじゃ日本のインターネット普及しないと思って、日本語、日本円で、もう激安にしたわけですよね。だからそれって単純にシンプルに、自分がそれじゃ不便だなとか、高いなとか、こうであってほしいと思うことを事業化してるってことだと思うんですよね。それは今の時代もあんま変わらないっていうことですよね。

日本ではキャッシュフロー・マネジメントが重要

関口:じゃあ、三木谷さんどうぞ。

三木谷:3つパターンがあると思うんですよ。1つは革新的成功モデル。だからもうこのモデルはいけるんだって思って、最初から設計してやるモデル。この前の新経済サミットでアンディ・ルービンも言っていましたけど。別にアンドロイドを作ろうと思って会社を作ったわけじゃないっていうことがあるんで。これは改善型で、いろいろやっているうちにそのモデルに行き着くっていうモデルと。

もう1つは「下手な鉄砲数打ちゃ当たる戦略」って言ってですね(笑)。色々やってみたら、そのうちの1個当たりましたっていう、色んなパターンがあると思うんですよね。

ただ一番重要なことと僕は思ってるんですけど、とくに日本の場合はやっぱり金が尽きちゃいかんと。アメリカみたいに、40億50億、すって毎回投資してくれって感覚じゃないと思うんで。やっぱりキャッシュフロー・マネジメントをしっかりした上で、革新型のモデルに賭けるのか。よくわかんないけど色々やってみて、その中からうまくいったやつを選ぶのか。それとも今やってるものを、どんどんどうやって変えていくのかっていう、こういう体系だった考え方っていうのは、ある程度必要じゃないかなとは思いますよね。

優秀な人がベンチャーに集まる仕組みが必要

関口:森川さん、どうでしょう。ベンチャーで成功するための秘訣と言いますか。こういうことが必要だと。それと周りもこういう仕組みを作らなきゃいけないという点でいきますと。

森川:そうですね。こと産業に関して言うと、その産業にいかに国を代表する優秀な人が集まる仕組みを作るか、がすごく重要かなと思ってまして。今の産業、色んなのあると思うんですけど、今生まれた子どもたちとか若い人がそこで働きたいと思う業界が、結果的に将来大きくなっているんだと思うんですよ。そういう意味だと、そういう仕組みをどうやったら作れるのかっていうのが、すごく重要かなと思ってます。

LINEも正直、できたばっかりの頃は、おじさん、まあ、僕もおじさんですけど(笑)、もうちょっと上のおじさんに、「電話帳、けしからん!」とか色々お叱りを受けたりしていまして。それで変わったきっかけっていうのが、その人の娘さんがやり始めたりすると、「いやー娘からこんなメッセージが来て、こんなに仲良くなった」。そうするともう、ずいぶん変わったりするんですよね。

で、そういう意味では、今日は亀山さんがいらっしゃるので、ぜひですね、起業家とかエンジニアが、みんなから憧れられるようなそんなドラマとかをですね、ぜひバンバン作っていただけると(笑)。たぶん若い人はこうなりたいと思ってくれるんじゃないかと思っています。

関口:「LINE物語」みたいなのやったらいいですよね。それこそ「楽天物語」もいいかもしれないですね。亀山さん、どうですか?

亀山:うちも『リッチマン、プアウーマン』はおかげさまで、皆さんの人気はすごく高かったらしくて。スペシャルもできあがりましたしね。帰ってあれの2(ツー)は考えられないのかって聞いてみますよ、はい。

(会場拍手)

楽天が英語公用語化した3つの理由

関口:時間もどんどん来ておりまして、最後皆さんからもご質問いきたいんですけど。あともうひとつ、私がお聞きしたいのはグローバル戦略なんですが、これはもう三木谷さんにぜひお聞きしたかったのは、なんであんなに頑に英語にこだわってやっているのか、というところなんですね。

で、私はそれは正しいと思ってるんですけども。まあ、保守的な人からしてみると、「日本は日本人でやってるんだから日本語でやったらいいんじゃないか」みたいな人が結構まだ多いわけです。で、それを変えなきゃいけないと思うんですけど、その辺りをちょっと、お気持ち、心意気をお聞きしたいんですが。

三木谷:目的が2つありまして。1つは楽天スペシフィックに、企業としてやる必要があるって話と。2つ目は僕らがやることによって、日本人でもできるんだっていうことを証明したいっていう2つがあるんですよね。

楽天スペシフィックで言うと、まずは技術者の問題ですけど、やっぱり先ほど言ったように、2万3千人しか出てこない。だから技術者っていうのは枯渇しつつあるわけですよね。楽天に入ってくる今の技術者は、50%がもう日本語をしゃべれない。日本で採用してるんですけれども。日本語しゃべらない。別に日本にいる外国人の方じゃなくて、東欧であったり、北欧であったり、いろんなところから、そのまま採用してきてる。

で、わかったのは、意外とシリコンバレーが嫌いな人っていっぱいいるんですよね(笑)。「本当に俺は嫌だよ」って、北欧とか東欧の人って、「あんなところに行きたくない」みたいなのがあってですね。日本は意外と人気があるっていうことで。日本に来たいエンジニア、すごいいっぱいいるっていうのがあってですね、これは重要である。

三木谷:で、2つ目は、やはり日本人の、僕がなんで楽天である程度成功したかっていうと、世界を見ながら日本に合ったモデルを作ってきたわけですよね。世界でどんなことが起こってるかっていうことの情報があって、それで日本はこうやってやろうって考えてきたんで、そういう意味では、従業員の視野を上げるということ。

で3つ目はですね、日本的な楽天のモデルを海外に進出させるためには、言葉の壁を乗り越えなくちゃいけないということがあって始めました。結果は大変だったんですけど、本当に。ま、今でも大変なんですけど、結論から言えば、これは楽天がやることのひとつ、じゃなくて、楽天の戦略の中核になってますね。

和洋折衷じゃないんですけど、和魂洋才じゃないけども、サービスマインドとか、そういう丁寧さというのは日本の心で。でもやっぱり、西洋とか色んなところの技術者も受け入れながら、やっていく。で、eコマースもこれから本当にグローバルマーケットになると思うんですよ。TPPがあってアメリカからモノ買ったら、消費税かからないとかね。デジタルコンテンツとかもそうじゃないですか。マーケットもつながってくんで、やっぱり英語ができるっていうのは必須なんですよね。

書籍をAmazonに独占されたくない

関口:ついでにちょっと、集中して申し訳ないんですけど、もう1個いきたいんですけど。kobo(楽天電子ブックス)ね。日本の人たちってわりとみんな従順な人が多いっていうか、真面目というか。たとえばAmazonがあるからAmazonでいいじゃないの、とか。ソーシャルではFacebookあるからFacebookでいいじゃないのと、いう風になりがちなんですけども、あえてそうじゃないものをぶつけて来ているような気がするんですよね。

で、実際問題、SONYのReaderなんかに比べると、まだkoboのほうが全然マーケットシェア大きいでしょうし。Amazonほどではないにしても、次をグローバルで見たときにプレイヤーとして存在してると。これはどういう戦略なんですか?

三木谷:アメリカ人によく言われるのは、「Amazonに対抗しようってバカなこと言うのは世界中でお前ぐらいだ」みたいなですね、ところがあって。まあだけど、色々考え方と戦略を見ればいけるっていう風に思ってますし。それから僕の日本人的な発想で言うと、やっぱり書籍とか本っていうのは、日本の文化にとって大変重要なモノだと思っているわけですよ。

で、そういうものを、ある意味、1社に独占されて、そしてコントロールされるっていうのは、あまりよろしくないんじゃないかというふうに思っていて。ま、我々もカナダの会社買収したんで、100%ピュアに日本の会社じゃないんですが、まあそういうしっかりとしたモデルを作りたいというのが1つ。

それから書籍市場っていうのは、だいたい世界で25兆円マーケットなんですけども。2018年までにアメリカの書籍の70%が電子化するって言われてるんですよね。ですから、まあ、10年ぐらい経てば、25兆円のうち、20兆円の電子書籍のマーケットが出現するという、巨大なマーケットで。世界で言うと、基本的にはAmazonのKindleか、楽天のkoboという形になってきたんで。これはまあ、ビジネスとしても非常に大きな話だと思っています。

変化のタイミングで変われる組織に

関口:会場が明るくなってきて、早く終えろということだと思うんですが。じゃあ最後、皆さんのほうから、ぜひこれだけはお聞きしておきたいっていうことがあれば、質問お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。そこ手が上がりましたね。マイクお願いします。ではご所属と名前もお願いします。

質問者:Oisixの高島と言います。今日はありがとうございます。マクロな話、大変勉強になりまして、新経連についても勉強になりましたけれども。ミクロの話を聞きたいんですが、いかに日本からイノベーションを作るかではなくて、まずいかに自分の会社からイノベーション作るかっていうことを知りたいんですが。

4人のパネラーの皆さんが過去にイノベーションを、イノベーティブなサービスや商品や作品を作って、それを事業成長につなげて、マネタイズしてきた経験。それをしかも何度もご経験されてると思うんですが、そのイノベーションを作って事業成長につなげてく上での重要なこととか、学びを紹介していただければと思います。

関口:特にどなたにお聞きしたいですか?

質問者:皆さんに聞きたいですが、三木谷さんは今何個かおっしゃっていただいたので、他の方に。

関口:じゃあ皆さん順番に、森川さんからどうぞ。

森川:そうですね、なかなか口で言ってできるものではないので、非常に難しい問題だとは思うんですけど。変化とタイミングだと思うんですよね。常に変化していて、ただ早すぎても、遅すぎてもダメで、このタイミングが重要だと思うんですよ。変化を見据えながら、ここだと思うときに、そのタイミングでちゃんとモノを出せる態勢ができるのか、これがすごく重要かなと思ってます。なので先は正直どうなるかわからないので、変化のタイミングで変われる組織なり、作れる仕組みが重要かなと思ってます。

"隙間"を狙う発想

関口:亀山さん、どうですか。

亀山:僕は今言ったなかで言うと、まず『踊る大捜査線』っていう作品を最初に作ったときは、「犯人の逮捕劇のシーンが一切ない刑事モノってできるか」っていうのを、そのときの監督と脚本家に相談して、1週間ぐらいああでもないこうでもないで、あの形になりました。

結果それをやってくうちに、なにかって言ったら、サラリーマンモノなんじゃないかっていう、別な視点が見えてきて。じゃあって調べていくと、警視庁とか所轄とかっていう、あれを調べてあのドラマにしたわけじゃなくて。その隙間を狙って調べていったらすごく面白かったんで、そっちをしたという。だから逆転の発想というか、当てるためには同じことやってたら当たらないんで隙間を選ぼうっていうのと。

もう1つは『テルマエロマエ』の企画を若い35歳のプロデューサーが持ってきた時に、古代ローマ人が主役なんで、「まさか、これジョージ・クルーニーでやりたいとか、ラッセル・クロウでやりたいって言うんじゃないだろうな」って聞いたら「阿部寛はどうですかね?」って聞かれて、一発でオーケーしました。日本人がローマ人を演じる映画なんか今まで1本もないので。これうまくやったら大ヒットするし、大コケするかもしれないけど、賭けてみようったら結果は大ヒットして。なんと阿部寛は日本人の役をやってないのに、アカデミー賞主演男優賞取りましたんで。後にも先にも彼だけだと思います。外人を演じて取ったのは。

だからやっぱり、ひらめきと隙間をどう狙うか。ですから僕らよく言うのは、勘とノリだって言ってます。勘とノリさえあれば、なんとか企画は成立してくんじゃないかっていう気はしてますけど。それはまだ最初の種のところだと思いますけど。

計画なんてつくらない

関口:熊谷さん、お願いします。

熊谷:計画を作らない。55年計画っていう長い計画、あと投資家の方に開示している予算はあるんですけど。個々のサービスにおいては、細かい計画、分厚い企画書とか計画書作ると、それにとらわれて失敗するんですよね。だから走りながら考える。これが結構イノベーションに結びついたりしてます。

で、この計画書がないって話は実は、前回の新経連のサミットでもちょっとお話が出たんですけども。LINEは経営計画がない。あとGREEの田中君はVCさんに出資をしていただく際に、「予算とか、そういうドキュメントください」と言ったら、「そんなもんない」と。「出資をしたかったら作って持ってこい」って言って、VCさんが書いて持ってきたのを「いいよ」って言ったっていう。これ、田中君から聞いた話ですけど。

まあ、そんなことを、この早いインターネットの中で成長し続けるためには、あんまり決めない、と。その場に応じて考えていくっていうことを社内の風土にしています。高島さんでしたね。質問の回答になりましたでしょうか?

質問者:はい、ありがとうございます。

3年以内にインターネットの歴史を変える

関口:ありがとうございます。もうひと方だけ、もし、ぜひという方がいらっしゃれば。よろしいですか。じゃあ、前から手上がりました。じゃあ、ご所属とお名前もお願いします。

質問者:NEXTの井上です。今日は本当にありがとうございました。質問ではなくてですね、これだけの豪華な顔ぶれの皆さんなので、10年後どのぐらいまでご自身の会社をスケール大きくしていきたい。ま、数字では言えない皆さんだと思いますので、なにか定性的な表現で、「ここまで俺は持っていく」というような、意志を示していただければと思います。よろしくお願いします。

関口:じゃあ、ひと言ずつで。三木谷さんから。

三木谷:なんとなくこの15年、楽天16年目なんですけれども、そのなかで、日本のベンチャーができるようになってきたっていうことが、ある程度証明できたと思うので。やっぱり日本人でも本当にグローバルな、大きなインターネット・サービス関連のビジネス組織が作れるんだということを証明したいと思っています。

関口:じゃあ、熊谷さん。

熊谷:あの意外と数字なんですけども(笑)。今期多分ですね900億内外の売上ぐらいで、来期1000億ぐらいいくと思うんですね。で、グループの仲間が今、上場企業6社を含む67社になってて、3200人の仲間たちがいるんですけど。ま、これ10年後は全部一桁変わってるっていう風にしたいんですよね。売上高で兆が見える規模化。で、3千人じゃなくて3万人になってなきゃダメだし。あと利益も今期多分100億アップなんですけど、それが10倍の4桁が見えるようになると。

で、日本ということではなくて、アジア圏で、全面的に事業を展開しているっていうのがイメージですよね。僕49(歳)なんですね。あと2ヵ月で50なんですけど、ってことは10年後は60なんで、それぐらいなってなかったら命賭けてる甲斐がないなと思いますね、以上です。

関口:ありがとうございます。じゃあ亀山さん。新社長の抱負等含め。

亀山:いやーあの、フジテレビに関しましては、6月27日以降の株主総会後にさせていただきたくて(笑)。もう1個、社長をやっていまして、フジ・スタートアップ・ベンチャーズっていうファンドの会社を、この1月に遅ればせながらやっと作りまして。これはVCで、なおかつサイバーエージェントの藤田さんが、あんまりうるさいことを言わない株主が一番いいんだ、というふうに言ってましたけど。キャピタルゲインをそんなに求めない。ともかく「一緒にテレビを使って面白いことをやろうよ」とかって思ってくれている、スタートアップ、またはアーリーの企業にどんどん出資したいなというファンドを用意しました。10年後、そこから三木谷さんや熊谷さんを越せる社長が登場してきて、左うちわで僕がいられるようになっていれば、というふうに思っております。

関口:ありがとうございます。じゃあ、森川さん。

森川:まあ、僕は創業者でもオーナーでもないので、たぶん10年後はいないと思いますが。(会場笑)ただ今考えているのは、世界のインターネットの歴史を変える会社にしたいなと思っていまして。これはできれば3年以内に実現したいなと思ってます。

亀山:そう言われちゃいますと、僕は5年ももたないかもしれませんので、すいません(笑)。

(会場笑)

ビッグピクチャーを描きながら、変化に対応する

関口:ありがとうございました。予定を大幅に超過して大変申し訳ございませんでしたけれども。私も聞いて非常に勉強になり、かつ楽しい会でした。で、先ほど三木谷さんおっしゃいましたけれども、新経連サミットの時に、アンディ・ルービン、アンドロイドを開発した彼が言ってたことで、非常に印象に残ったのは「もともと、アンドロイドは携帯端末のために作ったんじゃない」と。ケーブルの端末、セットトップボックスのために作ったけど、それがうまくベンチャーキャピタル側からあんまり評判がよくないので、ビジネスモデルを変えて成功したんだ、っていうことを言っていたわけであります。

そういう意味でいきますと、大切なことはグローバル目線で、ビッグピクチャーを描きながら、絶えずそのビジネスモデルを自分で組み立て直して、変化に対応していくということが必要だなと思った次第です。

それと日本は安倍政権で、冒頭の話にもありましたように、確実に風が吹いておりますので、これは皆さんにとっても大変なチャンスです。第三の成長の矢は政府がやるわけでも、大企業がやるわけでもなくて、一人ひとり、あるいは小さな会社も含めて、それぞれの会社が起こして、それの集大成が日本を突き動かす大きな成長を描く戦略になるんだと思います。

ですからこの会場にお集まりの皆さんにはですね、ぜひとも、このタイミングで歯を食いしばって頑張っていただきたいと思います。その示唆が今日はたくさんいただけたんだと思います。4人の方に大きな拍手をお願いして終わりたいと思います。

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