2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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堀江愛利氏:私が男性と女性を考えるとき、私はよく「竹のようになろう。竹のようにならなければならない」と思います。
竹、これもやはり、起業家精神の表れだと思います。強い。でも、しなる。つまり風に抵抗せずに、風とともにしなる。というのは、市場というのは、抵抗すれば倒されます。そこで、やはり柔軟性をもって天気が改善したらまたしなって戻るということが重要なんです。
竹というのは常に中核に戻ります。竹は非常によく成長します。そして、美しいです。美しい植物です。Appleの製品同様です。様々なインテリアの飾り、例えばクリスマスツリーのデコレーションも美しいですけれども、でも竹も美しいです。
起業家であって、イノベーションをするということは、何か大きいものをつくることだけではありません。シンプルでもパワフルなものをつくることです。やはり私にとって竹というのは、いろいろなものを表しているのではないかと思っています。
お気づきでしょうか? 男女とも人間です。我々は人間としては全く同じです。しかし、男女で違う特徴を持っています。科学的には、例えば筋肉の力、考え方、そして脳の仕組み。もちろん、女性のほうが特定の仕事に向いた特徴を持っている部分もあります。それは決して悪いことではありません。
ただ何が悪いかといいますと、女性は機会がないので、完全にビジネスでインパクトを与えるような形で選択ができない場合、女性も女性に対するバイアスを持ちます。男性が悪いだけではない。やはり人間ですから、無意識のバイアスがかかっているんですね。偏向、あるいは考えの偏りがあるんです。
竹というのは、外側は、背が高くて、強くて、そして目に見える。男性のようです。つまり、目立ってビジネスを実行している。ところが、女性というのは多くの場合背景にいてそこで一生懸命、例えば点と点を線につなげ、コミュニティをつなげて、問題が大きな問題になる前に未然に防ぐということを女性がしています。
女性というのは火を防ぐ側であって、男性は消防士、つまり火を消す側だというふうに説明する人もよくいます。これは竹の根です。地中深く根を張ります。でも、単独ではなく一緒に集団で成長します。それが力となっているんです。お互いにつながってお互いに支持し合う。
例えば、花瓶などに挿しますと竹の根はどんどんと外に張っていきます。女性というのは力強く立つことはできないかもしれない。しかし、根を張って、そしてつながることで、いろいろな厳しい状況に耐えることができるわけです。
また女性は、例えば特定の特徴を持っているので、ある特定の技能に優れているという考えを持つ人がいるかもしれない。女性が台頭し、そして竹のように森の中心になるためには何が必要なのか? ということです。チャンス、オポチュニティーということを考えてみたいと思います。
日本では今、経済でより女性を活用しようという動きが強まっています。しかし、経済国の中で日本というのはそういった意味では最下位です。ノルウェーが1番上です。アメリカは恐らくかなり進んでいるだろうと思われるかもしれませんが、女性の採用という意味では真ん中ぐらいです。
ノルウェーというのは、まずノルウェーの女性が立ち上がって、そして力を合わせて変化を起こし始めた。何を欲しいかということを主張したわけです。日本人の場合はそうはいかないかもしれません。文化が違います。コンセンサスという文化がありますので、独自の方法が必要ですけれども、これは100年かかるプロジェクトで、今始めたばかりです。
ただ、朗報もあります。日本というのは、実は大学卒の女性の率が世界で3番目に多いです。ということは、非常に有能なリソースがありながら、それが十分に活用されていないという非常に大きなギャップがある。
ギャップが大きいということは、つまり、それだけ大きなチャンスもあるということです。このチャンスを生かす、行動に移していく、そしてその女性の活用を変えていくというのは、これは確かにチャレンジなんです。
アイデンティティーの話に戻りましょう。いろいろな価値観を私たちは受け継ぎます。日本は非常に美しい文化を持っています。お互いを尊重する。そして、きちんと合意をしてから何かをするということです。しかし今、世界はテクノロジーを通じて非常に急速に変わっていますので、これでは追いつきません。
我々の物事のあり方をもう一度問い直さなくてはいけません。そして、バリアを取り除き、女性、男性のアイデンティティーを問い直すべきです。「もしかしたら、自分は仕事がしたいのではなくて、男性として父親になりたかっただけかもしれない」そういったアイデンティティーもあり得るわけです。
この文化でたまたま受け継いだアイデンティティーに縛られる必要はありません。すぐに解決策が見つかるとは思いませんけれども、自分の価値観を問い直すということが大事です。自分の価値観によって、もしかしたらビジネスを最大化するためのチャンスが阻害されているかもしれない。
ということで、そこを探っていけば、無限の可能性があると思います。
フォーチュン100に入っている企業において、2人か3人の女性がその取締役になっている場合、そういった企業はROIが40パーセント高いということが言われています。これはかなり大きな数字だと思います。
誰もが欲しがるような、喉から手が出るような数字だと思います。これはマッキンゼーの調査ですが、この調査を行ったときに彼らは、これはミスだと思ったそうです。そして次の年、もう一度同じ調査を行いました。やはり同じ40パーセントという数字が出てきました。その次の年もそうです。5年間も連続して調査を行っているんですけれども、同じ結果が出ています。
女性のほうが優れていると言いたいわけではありません。チームのメンバーとして女性がいたほうが、より協調的になる。そしていろいろな人のアイデアを集めてくれて、それをまとめてくれる。ディテールに目が行き届くということで、そのアイデアがよりしっかりとした実になって、会社が前に進むということだと思います。
スタートアップの世界では、スタートアップに対するベンチャーキャピタルの資金のわずかなパーセントしか女性の企業には届きません。しかし、この6パーセントの女性が率いる企業というのは、実はROIがほかよりも25パーセント高いという数字が出ています。非常に大きな成功例があります。
「人が見ていないところを見なければいけない。そこにチャンスがある」と、ある起業家の方が教えてくれました。場合によっては、そのやり方がわからないということもあると思います。やり方がわからなくて躊躇するということがあると思います。
しかし日本の場合には、非常に有能な女性を組み入れるという大きなチャンスがあるわけです。やり方が今すぐにはわからないかもしれない。まだ5年、10年かかるかもしれないけれども、それでも非常に大きなチャンスだと思いますし、世界中がこの日本の成功を見守っています。
つまりグローバルに、世界に対して、日本が大きな経済的なインパクトを与えることができる方法の1つであるからです。ということで、ぜひ皆様、これから行動につなげてほしいと思います。皆様が考えるイノベーションとは何でしょうか?
そして女性をもっと、どんどん登用・採用してほしいと思います。皆様の職場でそれをどういう形で実現されるかわかりません。例えば、もう少し考え方を変えてみようとか、1週間に1度残業をやめてみようとか、あるいは子どもを職場に連れて来ようとか、これは非常にアメリカ的な考え方かもしれません。
日本ではいろいろ制約もあると思います。でも、少なくともそういった議論を女性と始めてみて、それによって皆様お一人おひとりのライフスタイルがよくなる、事業がよくなるという方法があるかもしれません。
2つ目はロールモデルです。より多くの女性のリーダーが必要です。もうすでに有名な人たちにしか注目は集まりません。つまり、雑誌も購読量を増やしたいわけです。しかし、皆様お一人おひとりにご自分のコミュニティにいる女性のリーダーを探してみてください。
もしかしたら目立たない人かもしれません。リーダーではないかもしれません。若い女性かもしれません。まだ若いので経験がないかもしれない。しかし、そういう人をぜひ登用してほしいと思うんです。
アメリカはメンターシップが非常にうまく機能しています。誰かを登用して、その人が成功するために先輩が助けてあげるという方法なんですけれども、皆様の会社でもそれはできないでしょうか? 皆様ご自身がメンターになり、そしてロールモデルを増やしていくことができないでしょうか?
私の話もそろそろ終わりですが、皆様お一人おひとりにぜひゲームチェンジャーになってほしいと思います。皆様は今日ここに、何かを学びたいという気持ちで来ていらっしゃると思います。企業としてできることもたくさんありますが、やはり会社が変わるためには、皆様一人ひとりが変わらないといけない。
そして、日本からのイノベーションがこれから先どんどん期待されていきますので、皆様の行動が未来を変えていきます。最後になりますけれども、このシリコンバレーの私の組織ですが、女性の起業家ということだけではなく、イノベーションの促進も進めています。
まだ市場で日の目を見ていないような種があるかもしれませんけれども、シリコンバレーのネットワークを使ってそれをテストしたりする方法もありますので、日本のイノベーションをぜひ広めていきたいというふうに思います。起業家精神をさらに日本的な形で盛り立てていきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
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