2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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堀江愛利氏:皆様、こんにちは。堀江愛利と申します。Women's Startup Labのファウンダー、CEOです。北カリフォルニア、シリコンバレーに拠点がありますが、アクセラレータとしての役割を果たしたいと思っています。つまり、女性の起業家をより強くし、会社を立ち上げるということですけれども、それだけではありません。彼女たちが世界をリードし、そして影響力を及ぼすようになってほしいわけです。
私はもともと日本の出身で、広島生まれ広島育ちです。ですので、私はドーナツであると思っています。外側はドーナツだけれども、中には小豆のあんこが入っているということです。18歳までこちらにおりましたけれども、アメリカで20年過ごしておりますので、外側はドーナツですけれども、中には小豆のあんこが入っています。
さて、40年間の人生の中で私は、日本人ではあるけれども、アメリカの文化が繁栄してくるのを目の当たりにしてきました。そして、自分自身が女性であり、また、男性主体のテックインダストリーで女性の起業家として仕事をするという意味では、様々な課題があったわけです。
しかし起業家というのは、あえてそのチャレンジに身を投じるわけです。この旅路の中でいろいろなことを学びました。今回は、その学びを皆様と共有したいと思います。
女性を通じた機会、チャンスというものを考えていきたいんです。というのは、皆様お一人おひとりの中に必ず起業家精神というものがあるはずです。
「愛利さん、一体どうやってそこまで上り詰めたんですか?」とよく言われます。日本人であり、女性であり、そしてアメリカに行ってそういう仕事をして、どうやってそこまで行けたんでしょうか? ということで、振り返りをしてみたいと思います。そして、その振り返りの中で、ぜひ皆様ご自身の起業家精神も見つけてほしい。
また、それに対してどんな行動を自分でとれるかということも考えながら聞いていただきたいと思います。
起業家とはどんな人間かといいますと、業界の中ではよく、エンジニアリングの背景を持った若い男性が起業家と言われます。ここに3つの写真がありますが、これが誰だかわかりますか?
右側の男の子は、ほっぺたを見ると誰だかわかるかもしれません。スティーブ・ジョブズとマーク・ザッカーバーグです。
私はクパチーノに住んでいて、Appleもクパチーノですし、メンロー・パークに住んでいますので、マーク・ザッカーバーグを時々見かけます。奥さんと一緒によく散歩をしていますので、2人とも隣人です。
真ん中は男の子のように見えますけれど、実はこれは私です。子どもの頃は少年のようだったので、もしかしたら起業家になろうと思ったのかもしれませんけれども、もともとは非常に内気な少女でした。よく泣いていました。泣き虫でした。
アイデンティティーについてお話をしたいと思います。私の母親はシングルマザーで、一人っ子の私を育ててくれたんですけれども、私が7歳のとき、私が他の子どもとは違う、あまりにも内気過ぎる、弱過ぎるということで、母親は心配したわけです。そして、私に強力なアイデンティティーを植えつけるためにおもしろいことを行いました。
ピンク色のランドセルを私に与えたんです。
ほかの女の子たちは全員赤いランドセルでした。その中で唯一ピンクだったわけです。7歳の少女にとってアイデンティティーというのは、ほかの人と一緒になるということ、つまりその年齢では、どうやって人と同じになるかというのがとても重要だったんです。
ですから、「いじめられた」と言って泣いて家に帰って来たのを、私は今でも覚えています。この日本の文化にちゃんと収まるかどうか。多分皆様も、はみ出してしまったときがあったと思うんですね。でもそれを隠さなければいけない。というのは、出る杭は打たれる、嫌われると思うからです。
私は、7歳のときがまさにそのような経験をしたときでした。毎日家に帰ってきて「友人がこう言ったよ」と言いましたが、ここで母がちょっとおもしろいことを言いました。「ほかの人の言うことをみんな信じちゃいけないよ」と言ったんです。
「自問自答してみなさい。それが本当のことかどうか。あなたは馬鹿なの? あなたは本当に人に嫌われるような人なの? ほかの人があなたに対して言ったことを1回そしゃくして、本当かどうか考えなさい」と。
もちろん、7歳の私にはわかりませんでしたけれども。でも彼女はやはり私のアイデンティティーをつくるために、具体的な行動を起こしたんだと思います。
では、アイデンティティーとは何でしょうか? 三木谷さんにはアイデンティティーもブランドもあります。彼のニュースレターを読むと、まさにアイデンティティーが読み取れます。彼はビジョナリーとしてのアイデアを持っています。
皆様のアイデンティティーは何ですか? 皆様は会社で働いていらっしゃいますけれども、私が今日申し上げたいのは、男性である皆様方も生涯をかけて働いてキャリアを築き上げるというアイデンティティーを持っていらっしゃるわけです。
女性の場合はどうでしょうか? 女性のアイデンティティーというのは、思いやる、愛情を与える、家を守る、料理が上手……。そういったアイデンティティーを、皆様は選んで自分で追及するのでしょうか? それとも、我々が生まれてきたこのモノカルチャーで、我々に期待されている、押し付けられているアイデンティティーなんでしょうか?
アイデンティティーに対して選択肢がなかった人と、実際に選択肢を持って選ぶことができたアイデンティティーとがある。日本というこの文化の中で、私はぜひ、今の皆様のアイデンティティーについて考えを変えていきたいと思います。このアイデンティティーは皆様が選んだものですか?
例えば女性、彼女たちの今のアイデンティティーというのは、選択肢があって選べたものだったのでしょうか? 起業家としてのアイデンティティー、これを持つことができたら全ての始まりです。創作性、そしてビジョンに向けて人を引っ張っていくというアイデンティティーの始まりです。
「Be Shocked!」と書いてありますが、私はこの写真が大好きです。なぜこの女性が大きな声を出して叫んでいるのかわからないんですけども。私は17歳のときにアメリカに行きました。交換留学生としてアメリカに行って、1年アメリカで過ごして、そして広島に帰ってきました。たった1年です。でも、ショックを受けました。
というのは、たった1年という短い期間の間に私が変わったからです。自分でもわからなかったんですけれども、自分の1年間の経験を通じて考え方が変わっていました。「考えろ、考えろ、考えろ。計画を立てろ。考えてから行動を起こせ。そして結果を出して、そこから学習せよ」と、日本人としてこれを学びました。
モノカルチャーである日本。集団行動を尊ぶこと、日本ではそれがやはり重要だったんです。ところが、アメリカでは全く違う考え方を求められました。つまり、「考えて行動しろ。そして学習して、また考えろ」と言われたんですね。つまり、考えて行動を起こして学習する。常に行動を起こせと。早ければ早いほどいいと。
もちろん、たくさんの行動を起こせば起こすほど失敗も多くなります。例えば、英語がうまくないということで人によく笑われました。「本を買いたい」と言うときに、「本をください」と言わないで、「私は本です」と言ってしまった。本当に、英語としては完全に間違っていますね。
1年たって帰って来たとき、私の頭の中、ものの見方がどれだけ大きく変わってしまったか。自分でもショックでした。そこから母親に対して2週間毎日嘆願しました。「アメリカに帰してくれ」と。「私をもう1回アメリカに行かせてください」と母親に嘆願し続けました。
日本には私に対して愛情を持っている人がたくさんいる。けれども彼らは皆私に、「失敗するな」「行動を起こすな」「自分の人生を自分で駄目にするな」と言う。私は「でも、私は行動を起こすことが好きなんです。失敗しても学ぶことが好きです。できる限り自分で自分のことをやりたい」と言いました。
また、母親が言った通り「ほかの人の言葉をうのみにするんじゃなくて、自分の意見を持つ、自分の意見をつくって、そして自分の決定には自分で責任を持つという人生を過ごしたい」と言ったんです。もちろん母はシングルマザーでしたから、一人娘の私をもう1回アメリカに行かせることはつらかったと思います。
でも、私はまさに母親に言われたことをそのまま実行していたので、彼女はオーケーしてくれたのだと思います。私は、非常に厳格な家で育てられました。私の母の父というのは実は知事だったので、とても厳格でした。
でも考えを切り替えて、自分にとって価値のあること、重要なことをアイデンティティーとして、自分が行動を起こせる、トライできる、自分の考えを試すことができる場所へと飛び出しました。
皆様がここにいらっしゃるのは、やはり、イノベーションを通してブレークスルーして、そしてすばらしい企業を立てて、お金を儲けて、世界的なプレーヤーになりたいと思ってらっしゃるからです。それにはチャレンジが必要ですし、いくつかの失敗、何レベルかの失敗も必要です。
でも、失敗の中からいろいろなことを学ぶことができます。学習することによってデータが取れます。例えば、10ステップ100万ドルではないけれども、次の1つのステップをまた踏み出すことができる。学習というのはそういうものだと思います。
女性にとってのチャンス、これは経済、そして男性にとって、そしてビジネスにとってのチャンスであると考えています。我々がやること、その行動によって自分の考え方が限られてしまいます。
イノベーションというと技術ということをすぐに思いつきますけれども、実際多くのイノベーションというのは頭の切り替え、考え方の切り替えから起こるものではないでしょうか? 技術だけではありません。
例えば、ジップカード。もちろん、車というのは今までもずっとありました。何も新しいものじゃない。ところが、彼女、あの創業者は考え方を変えて、そして市場をつくったんです。
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